森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.10.21
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第47回形外会において、林さんが森田先生に次のように質問している。

上役の人と議論するとき、自分の意見が正しいと思うけれども、しばらくその場ではその人の意見に賛意を表すことがある。
そして時を経て後に、自然にそれに対する説明の工夫もできて、おもむろにその人に対して、あのことはこうも考えられないでしょうか、という風に持ちかければ、何かにつけて円滑にいくのではないかと思います。上役と意見が違うからといって、直ちにその場で反抗してしまえば、長上の顔をつぶすことになるから、にらまれることになる。

これに対して、森田先生曰く。
親や長上は何かにつけて自分より偉いはずである。
したがってこれに対して畏敬の情の起こるのが人情の自然である。
それで、親や長上のいう事は、あるいは自分と意見が違い、あるいは疑わしく、あるいは癪にさわることがあっても、それはそれとして、まずさしあたりその意見に従う、というのが僕のいわゆる柔順であって、実行上決して無理なことではありません。

森田先生は、まず人情から出発することが大切であるといわれています。
ところが、親や長上の考え方に無条件に賛同してはいけない。
つまり、盲従するような態度ではいけないとも言われています。
その考えを疑い、自分で事実を調べる。
事実の裏をとることが大切だといわれている。

林君の言うように、偉い人には何でもかんでも、常に必ず尊敬するとか、親のいうことは有難いと思わなければならぬとか、学者の説は信じなければならぬとか、そのような鋳型に自分の心をはめようとするのは間違いの元である。
我々は疑うものは疑い、嫌いなものは嫌いで少しもさしつかえない。
(森田全集第5巻 556ページより)

この考え方は人間関係に大いに応用したいものです。
まず相手の気持ち、考え、言い分を十分に聞くという態度が欠かせない。
相手の立場や考え方を吐き出させるという態度を持つということである。
実際には、聞く耳を持たず、相手を非難、否定、攻撃する人が後を絶たない。
仮にある程度は聞いても、早合点して不十分ということが多い。
こういう態度では、良好な人間関係は成立しない。
そのうち話もしたくない。犬猿の仲になることは目に見えている。
相手にいつまでも根に持たれることも発生する。

しかし、そこで留まっていては、これまた問題である。
言いたいことがあっても、抑圧していると、相手になめられてしまう。
つまり親分と子分の関係が出来上がっています。
相手との間で支配・被支配の関係が成り立ってしまう。
それがいつまでも精神的なストレス、葛藤や苦しみをもたらす。
またそういう関係が一旦成り立ってしまうと、修正することが困難になる。

しかし神経質者の場合、後々の報復を恐れて、何も言い返せない人が多い。
心の中では反発しているので、それがストレスとなる。
そういう時は、森田理論学習の中で学んだ、「私メッセージ」をぜひとも活用したい。
「私はこう思いました」「私の考えはこうです」「私はこうしたい」「私は好きではありません」「私はよく理解できません」

相手に直接反論するというよりも、自分自身の気持ち、考え、言い分を相手に伝えるというものです。これは相手に対して喧嘩を吹っかけるものではないのです。
相手との立場の違いを説明することになります。
これができるようになると、支配・被支配の人間関係に陥ることは、ある程度防ぐことが可能となります。





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Last updated  2020.10.21 06:20:05
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