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その日只野は、愚息2と近くの公園に自転車で行くことになった。ただしそのことについて只野は、飲んだときに約束をしたらしく、朝になって心の中で「えっ?」という状況であった。 経緯はともあれ、晴れた日の自転車は気持ちがよい。愚息2は、公園で写真を撮るために、使い捨てカメラを買ってほしいと主張し、只野はそれにしたがい、途中のコンビニで使い捨てカメラを買うことになった。 愚息2のトレンドは恐竜である。その公園には大きな恐竜の模型が飾ってある。愚息2は使い捨てカメラで恐竜の写真を撮りまくった。只野も携帯で「写真を撮る愚息2」を撮ることになった。 その日の午後である。天気はまだ晴れである。只野には一つ気になる外回りがあった。家の一部である「つげの木の塀」である。 これについては、只野自身何度か剪定をしたことがある。しかしここのところ、のばし放題になっていた。只野は密かに気になっていた。 剪定そのものは大変なことはない。しかし、落とした後の始末が大変である。折しもこの日、風が強かった。剪定によって自由になった葉っぱが、自由自在に舞うことになった。只野は葉っぱの自由を奪うのに精一杯であった。 とにかく結果としてこの日、只野はアウトドア派になった。 何となくちょっとだけ、日焼けをしたような気がした。
2007年02月25日
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南沙織が歌った「春の予感」がある。尾崎亜美が作った曲であるが、この人の曲について、只野はなかなか自然で気に入っている。 この季節は、春の予感だらけである。その日も只野は外を歩いていて、これは4月の空気だと思うことになった。足りないのは野焼きの匂いぐらいである。 何しろブーツが要らない。只野がそう思うくらいであるから、冬物衣料の売り上げには大打撃だろうというのは容易に予想できる。 この暖かさに、熊も人里に出てきていると聞く。他人事ながら睡眠不足が心配になったりする。もっとも人ではなく獣であるが。 とにかく雪が降らない。そして、どうもそれがツケになっているような気がしてならない。などと思いながら、只野は日々過ごしている。今年に限った春の予感ということになる。
2007年02月18日
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その日、只野は法事に臨席していた。七回忌ということである。 七回忌を「ななかいき」と言う者が増えたというのは、只野が勝手に師匠と仰ぐ山口瞳氏の嘆きである。いずれ赤穂浪士の四十七士を「よんじゅうななし」と呼ぶことになるだろうとの予言もあったような気がする。 大体そんなことを考えているのは、何かを紛らせているときである。それにしても正座をする機会が少なくなったなどとも思っている。ときに「しびれを切らす」というのは、なぜ切らすなんだろうなどと思ってみたりする。 和尚は、只野の家のお寺さんである。この宗派はお経が長いことで知られている。只野の家の普段のお勤めは般若心経から始まる。盆の墓参りでは舎利礼文(しゃりらいもん)になる。いっしんちょ~らい、ま~んと~くえ~んま~んである。 法事の締めくくりは法話になる。只野ら参列者は、和尚から2枚のプリントをいただくことになった。これが、なかなかありがたい話だったと只野は思った。 只野は、その中に書かれていた一部を広く知らせたいと思い、ブログに載せることにした。
2007年02月11日
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その日只野は、午後2時半より休暇を取り、確定申告のため税務署へ向かっていた。 春の陽気である。本来なら除雪で汗をかく2月であるが、陽気で汗をかいている。ふところだけは相変わらず寒いことになっている。 ふところ…そう思ったときにふと、年末に作った通帳のキャッシュカードが届いていないことに只野は気づいた。 ちょうどいいタイミングである。只野はまず銀行に行くことになった。 窓口で問い合わせる。窓口係は「しばらくお待ち下さい」と言い、所長らしい人に報告する。 「郵便局に問い合わせていますので、もうしばらくお待ち下さい」と所長らしき人に言われ、只野はしばらく待つことになった。 銀行の午後3時は、窓口終了の時刻である。ソファで待つ只野を残したままシャッターが降り始める。 「閉店間際の銀行に強盗が…」という事件をよく耳にすることがある。実際こういう状況で強盗が騒ぎ出すのかなどと、只野は妙なことを考えていた。 そのうち、いよいよ只野は完全密閉された銀行の中に取り残されてしまった。「困ったことになった…」困る必要もないのだが、只野はなんとなくそう思った。「帰りはどこから出ればいいのだろう」などとも思っていた。 それにしても、銀行員というのは大したものである。閉店後もすべての行員が次から次へと手を休めることなく動かしている。しかもすべての行動が素早い。なかなかこういう光景は見られるものではない。 もっともそういう光景を見れば見るほど、只野はここにいることが場違いであるという思いを深くしていた。 やがて時計の針は3時半になろうとしていた。強盗ならすでに逃げていると思われた。 そう思った頃、ようやく所長らしき人が近づいてきた。 「どうも郵便局でも配達したようなのですが。印鑑も丸い感じのものが押されていたということで…」 只野は「これは真に困ったことになった」と思った。しかし出口については、所長らしき人が隅のドアを開けてくれた。この時点で只野の心配は一つ消えたことになる。 結局キャッシュカードは、棚の上の見えないところに置いてあった。只野が酔っていたときに何気なく置いたと、只野は推測している。
2007年02月09日
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雪が降ると、こういう光景が見られるナァというものがある。 雪が降ると、積雪によるワイパー損傷を防ぐために、駐車時に車のワイパーを立てている。ところがそれを忘れて、ワイパーを立てたまま動かしてしまう人がいる。ワイパーが踊ることになる。 多くは路肩に止めて、ワイパーを倒すことになる。中には信号で止まったときに、窓から腕を出して倒している人がいた。その人が助手席側のワイパーをどうしたのか、只野は知らない。 雪が降ると人々は手袋をする。只野のところでは車の積雪があるので、それを払ってから車に乗る。 そこで車に乗るときに手袋を外し、屋根の上に置く人がいる。結果として、屋根の上に手袋を置いて走ることになる。この場合、多くのドライバーは目的地まで気づかない。したがって、手袋は持ち手に戻らないことが多い。 雪とは関係ないが、車の鍵を開けるために両手の段ボールを屋根に乗せて、それを忘れたまま発車した車を見たことがある。走り去る車の上に、しかと段ボールが乗っていた。しかしその段ボールの結末について、只野は知らない。 冬も半ばとなったときに、この手の話はタイミングとしては明らかに遅い。しかしこの季節は暖冬のため、雪が降った今朝になってようやくこの話を思いついた只野である。
2007年02月01日
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