2011年06月12日
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カテゴリ: シリーズ京歩き

絢爛華麗な桃山文化の粋、二条城。
また、この二条城という城は、幾度か歴史の転換点の舞台となってきた場所でもあります。



唐門彫刻



城といっても、実際に戦いの場所になったということはなく、
主に、徳川幕府の儀典の場として利用され、また、京都における幕府の威光を示す象徴として、
その存在を示してきました。

今回は、以前に、二条城に行った時の写真を交えながら、
二条城の歴史についてまとめてみたいと思います。



東南隅櫓



二条城が築城されたのは、1603年(慶長8年)のこと。
もともとは、徳川家康が征夷大将軍に任命されるにあたり、
その京都における居館として、築かれたものでありました。

築城については、畿内の諸大名に負担を命じ、
城の縄張りについては、築城の上手といわれた藤堂高虎が担当しました。

二条城が築かれた頃といえば、大坂に、まだ、豊臣氏があり、
徳川と豊臣の間での桎梏が続いていた時期でもあります。

加藤清正、福島正則などといった、豊臣恩顧の大名が身辺の警護にあたりながら、
豊臣秀頼が大坂城を出て、家康との対面を果たしたのも、この二条城でありました。

その後に起こった大坂の陣。
この時には、二条城が徳川方の軍議の場所となりました。



大手門




豊臣滅亡後、今度は、二条城が公武融和の儀典の場として、脚光を浴びることになります。

それが、二代将軍・秀忠の娘、和子(東福門院)の後水尾天皇への入内。

二条城は、この時に、様々な儀典の舞台となり、
そうした中、やがて、徳川の姻戚となった後水尾天皇が、二条城への行幸を果たすことになります。



二の丸御殿



二条城の中でも、国宝に指定されているのが、この二の丸御殿。

二の丸御殿が出来上がったのは、1626年(寛永6年)のことで、
後水尾天皇が行幸されるのにあたり、二条城を大改築した時に建てられたものでありました。

二の丸御殿の内部は、まさに、桃山文化の宝庫ともいえる造りになっていて、
特に、大広間-蘇鉄之間-黒書院-白書院と続く各部屋の装飾は絶品で、
一枚板を透かし彫りにして、両面で違う模様になるようにした欄間とか、
花熨斗形の釘隠し、狩野派の障壁画などには、目をみはるような華麗さがあります。



二の丸庭園



二の丸御殿の西側に広がっているのが二の丸庭園です。

この庭は城郭建築における庭園の代表作とも云われていて、
小堀遠州による作庭であるとされています。

小堀遠州は、寛永の二条城大改修に際しては、その作事奉行も勤めていて、
二の丸御殿の美の世界というのも、遠州のプロデュースによる部分が大きいように思われます。

また、この二の丸庭園も、後水尾天皇行幸に合わせて造られたものなのでありました。



天主跡1



本丸の西南にある、二条城天主跡です。

元々は、二条城にも五層からなる天主が聳えていました。
しかしながら、1750年(寛延3年)に落雷により焼失。
それ以後、再建されることはありませんでした。



天主跡2



やがて、その後、二条城は、幕末になり、再び歴史の大舞台に立つことになります。

1863年(文久3年)には、徳川家茂が将軍として、230年ぶりに入城。
1867年(慶応3年)には、二条城大広間が、徳川慶喜・大政奉還発表の舞台にもなりました。

ほどなく、江戸幕府は消滅したわけですから、
二条城は、徳川幕府の日の出と日の入り、両方の舞台になったということになります。



本丸へ.jpg



明治維新後、二条城は新政府により接取され、
1868年(明治9年)からは、一時、ここが京都府庁となりました。

さらに、その後は宮内省の管轄下に移ることとなり、
それ以降、この城は「二条離宮」と呼ばれることとなりました。



二条離宮



「二条城」と、一般には呼ばれていますが、
実際は、「元離宮二条城」というのがその正式名称。
これは、一時、宮内省の管轄であったという歴史があったためなんですね。

1939年(昭和14年)になり、宮内省は、「二条離宮」を京都市に下賜。
現在は、京都市の所有となっています。



西南隅櫓



平成6年には、世界遺産にも登録された二条城。
今も、訪れる人が絶えない京都を代表する観光名所のひとつになっていますね。

二条城というのは、様々な歴史と桃山美が凝縮されているということが印象的で、
まさしく、文武と格式を兼ね備えた、貴重な文化遺産であると云えるのだと思います。






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最終更新日  2012年03月18日 17時09分44秒
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鳴くよウグイス  
楊ぱち  さん
gundayuuさん、おはようございます。
二条城といえば鶯張りの廊下!
小学生の頃に修学旅行で訪れた際、“どれだけキュッキュキュッキュと鳴るんだろう!?”と期待に胸を膨らませて廊下を歩いてみた時のちょっとしたガッカリ感を思い出しました。
その時に最も興味を引いたのは、大政奉還の間に並んでいた人形達でした(^^;
法隆寺といい二条城といい、本来は日本が世界に誇る素晴らしい歴史建造物なのですが、小学生の頃は歴史の重みなど分かるはずもなく、こうしたしょうもない記憶しか残っていないのが情けないです。
二条城にもまた行きたくなりました。
gundayuuさんの御紹介記事を読むと、いつも行きたくなって困ります(^^;

前回のコメントの続きで恐縮ですが、石田三成さんと大谷吉継さんは生き様を敬愛している武将であり、蘭丸ちゃん(と天草四郎くん)は単にアイドルなのであります。
どうでもええことで、本当にすみません…m(_ _)m (2011年06月12日 07時49分25秒)

Re:二条城の歴史(06/12)  
二条城観光の定番ですね。
何度か外国の友達を連れて行きました。
見どころのたくさんある所です。
庭園には皆びっくりしますね。

ただ鴬張りの床のことを説明しても外国人の若い子はあまり興味を示さないんですね。あれは日本人と外国人の感じるところが違うんでしょうね。
目で見えるものはともかく鳥の鳴き声とか水琴窟とか鳴る床とかは特にそうですね。 (2011年06月12日 08時10分25秒)

Re:二条城の歴史(06/12)  
picchuko  さん
おはようございます、gundayuuさん。^^
二条城、実はまだ行ったことがありません。
今の私にとっては、京都での行きたい名所のひとつなのですが、子供の頃のイメージではこういった武を感じる場所と雅な京都が似合わないと思っていました。
それでも、知れば知るほど興味が尽きない場所のようで、いつか必ず行ってみたいです!
鶯張りの廊下も楽しみなんですが~、それほど鳴らないのかな?
ですが、姫になった気分が味わえそうなので楽しみです♪(笑) (2011年06月12日 09時22分22秒)

おはようございます♪  
二条城には、、行ったことがありません。
gundayuuさんの
ブログを読んでいると行きたくなりますねε=ε=ε=└|∵|┐

今日は法隆寺の壁画復元図を見ていたのですが、
こちらも行きたい場所です。

京都・奈良・・早く行ってみたいですね。

その時には、、
gundayuuさんの案内で解説付きというのが理想ですね。
何泊かしてゆっくり京都巡りをするのが夢です。
海外に行くには、、まず、、
日本の素晴らしい景観を見ておくことは大事なことですから
早く行きたいですね。

今日は凄い雨です。
そちらはいかがですか?
雨の日は雨を
楽しむようにいたしますHappy (ノ^^)乂(^^ )ノHappy

と言いつつ、、
どうしても出掛けないと行けないので、、
ちょっと・・・( ̄- ̄)な私です。

ではでは、、
本日もデラックスハッピーな日でありますように♪ (2011年06月12日 10時49分41秒)

Re:鳴くよウグイス(06/12)  
楊ぱちさん
こんばんわ~

>二条城といえば鶯張りの廊下!
>小学生の頃に修学旅行で訪れた際、“どれだけキュッキュキュッキュと鳴るんだろう!?”
と期待に胸を膨らませて廊下を歩いてみた時のちょっとしたガッカリ感を思い出しました。
>その時に最も興味を引いたのは、大政奉還の間に並んでいた人形達でした(^^;

私も小学校の頃に行った時、鶯張りの廊下が楽しみだったのを覚えています。
どれくらい鳴っていたかは覚えてないですが、たぶん、こういうものだと思っていたんだと思います。
でも、大人になってから行ってみると、確かに、たいして鳴っていないですね(笑)
大政奉還の人形は、何故か、菊人形とイメージがだぶります。今でも、その人形ありますよ。

>法隆寺といい二条城といい、本来は日本が世界に誇る素晴らしい歴史建造物なのですが、
小学生の頃は歴史の重みなど分かるはずもなく、こうしたしょうもない記憶しか残っていないのが情けないです。

いえいえ、小学生くらいなら、それが自然な反応です。
それも、いい思い出なんじゃないですか。

>二条城にもまた行きたくなりました。
>gundayuuさんの御紹介記事を読むと、いつも行きたくなって困ります(^^;

有り難うございます。
機会があれば、ぜひ、京都を訪ねて下さい。

>前回のコメントの続きで恐縮ですが、石田三成さんと大谷吉継さんは生き様を敬愛している武将であり、
蘭丸ちゃん(と天草四郎くん)は単にアイドルなのであります。

それは、失礼致しました。
なるほど、同列でないということなのですね。
特に大谷吉継の生き様は凄いですし、それを正面から受け止めた石田三成も偉いと思います。
楊ぱちさんが敬愛されるのも頷けますね。
(2011年06月12日 21時03分03秒)

Re[1]:二条城の歴史(06/12)  
灰色ウサギ0646さん
こんばんわ

>二条城観光の定番ですね。
>何度か外国の友達を連れて行きました。
>見どころのたくさんある所です。
>庭園には皆びっくりしますね。

灰色ウサギさんは、外国の方を色々なところへ案内されているんですね。
そういえば、私が二条城に行った時も、結構、外国の方が多く来られていました。
お寺や神社よりも、わかりやすいのかも知れませんね。

>ただ鴬張りの床のことを説明しても外国人の若い子はあまり興味を示さないんですね。あれは日本人と外国人の感じるところが違うんでしょうね。
>目で見えるものはともかく鳥の鳴き声とか水琴窟とか鳴る床とかは特にそうですね。

そうなんですか。
和歌や俳句などのわびさびが理解できないというのなら、うなずけますが、
音の趣きは万国共通のようにも思えますが。
意外なところに感性の違いがあるんですね。
(2011年06月12日 21時08分00秒)

Re[1]:二条城の歴史(06/12)  
picchukoさん
こんばんわ~

>二条城、実はまだ行ったことがありません。
>今の私にとっては、京都での行きたい名所のひとつなのですが、
子供の頃のイメージではこういった武を感じる場所と雅な京都が似合わないと思っていました。
>それでも、知れば知るほど興味が尽きない場所のようで、いつか必ず行ってみたいです!

二条城は他の城とは、ちょっと違う雰囲気があるんですよ。
それは、二の丸御殿だったり、離宮だった時代に御所から移してきた建物だったり、
城というより御殿のような趣きの建物が多いからなのでしょうね。
これが、京都のお城。という感覚で楽しめると思います。

>鶯張りの廊下も楽しみなんですが~、それほど鳴らないのかな?

ええ、実際は思ったほどには鳴らないです。
最近行ったところで言うと、淀殿ゆかりの養源院や大覚寺(今日行ってきたんですが)の廊下の方が
良い音で鳴ります。

>ですが、姫になった気分が味わえそうなので楽しみです♪(笑)

ははは、それもいいですね。
いつか、picchukoさんが京都に来る機会がありましたら案内しますよ。
(2011年06月12日 21時14分24秒)

Re:おはようございます♪(06/12)  
ハッピーフューチャリストさん
こんばんわ~

>gundayuuさんの
>ブログを読んでいると行きたくなりますねε=ε=ε=└|∵|┐

>今日は法隆寺の壁画復元図を見ていたのですが、
>こちらも行きたい場所です。

>京都・奈良・・早く行ってみたいですね。

>その時には、、
>gundayuuさんの案内で解説付きというのが理想ですね。
>何泊かしてゆっくり京都巡りをするのが夢です。
>海外に行くには、、まず、、
>日本の素晴らしい景観を見ておくことは大事なことですから
>早く行きたいですね。

海外に行く前に、京都・奈良へ。
いいですね。ぜひ、いらして下さい。
その時は、私も、案内をさせてもらいますが、
ガイドさんみたく解説はできないので、歴史についての雑談を交えて楽しく見て廻れるという感じがいいですね。

>今日は凄い雨です。
>そちらはいかがですか?
>雨の日は雨を
>楽しむようにいたしますHappy (ノ^^)乂(^^ )ノHappy

今日は、妻と2人で京都に行ってたんですが、昼からは、ずっと雨でした。

>ではでは、、
>本日もデラックスハッピーな日でありますように♪

有り難うございます。
(2011年06月12日 21時24分30秒)

これは、、、  
女房から聞いたのですが、、、

修学旅行のときバスガイドさんが「二条城を建てたのは誰でしょうか?」
「大工さんと答えないで下さい(^^)」
なんてことを言っていました。

・・・因みに女房は俺と違い、歴史が得意なんです(^_^)
(2011年06月12日 22時45分18秒)

Re:これは、、、(06/12)  
まっさん@Harley-Davidsonさん
こんばんわ~
コメントを有り難うございます。

>女房から聞いたのですが、、、

>修学旅行のときバスガイドさんが「二条城を建てたのは誰でしょうか?」
>「大工さんと答えないで下さい(^^)」
>なんてことを言っていました。

子供の頃、いじわるなぞなぞで、そういう問題ありましたね。
大坂城を建てたのだ~れだ。
豊臣秀吉!  ブ~ 大工さんでした。
ってやつですね。

>・・・因みに女房は俺と違い、歴史が得意なんです(^_^)

ほとんどが歴史ネタというブログなので、コメントしずらいでしょうけど、たまに、気がついたことがあった時だけで十分ですので、コメントしてやって下さい。

(2011年06月13日 22時57分52秒)

Re:二条城の歴史(06/12)  
KAZNY  さん
はじめまして、オランダ在住のKAZNYです。
昨年日本帰国時に二条城前のホテルに宿泊し、二条城を見学しました。2006年にはオランダ人を連れて行きました。
日本史が好きな私にとって、gundayuuさんのブログはうれしいですね。
(2012年03月18日 07時54分41秒)

Re[1]:二条城の歴史(06/12)  
KAZNYさん
はじめまして
コメントを有難うございます。

オランダに住んでおられるのですか。
私のブロ友にも、アムステルダム在住の方がおられます。
アムステルダムは学生時代に一度だけ、行ったことがありますが、
オランダというところは、歴史の上でも日本とのつながりが深く、親日家の人も多いような感じがしています。

>日本史が好きな私にとって、gundayuuさんのブログはうれしいですね。
それは、有難うございます。
KAZNYさんのブログも拝見させて頂きましたが、オランダの異国情緒が感じられて素敵ですね。

(2012年03月18日 17時09分44秒)

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