Brog Of Ropesu

Brog Of Ropesu

2009年02月01日
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カテゴリ: KDB




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「どうしたのでしょうか・・?トドメ・・刺さないのですか?」










「確かにオイラからボスを奪ったアンタ達は憎いッス・・・・初めの頃は全員ぶち殺してやろうと思ってたッス・・」










「・・なら、その心に従えば良いではないですか。人の行動力の原動となる”憎悪”という感情は必要なモノですよ」












「けど・・アンタに当たるのは筋違いじゃないかと・・そう思ったんス」











「・・・・どういう事でしょう」












「アンタは確かに敵ッス・・けど、オイラが今まで出会ってきた悪人特有の身体から漏れ出す様な”悪意”の類を感じねーんすスよ。

その証拠にアンタはまだ奥の手を隠していた様な気がするッスし、本当に全力でオイラを殺す気であったならば、幾らでもオイラを粉々に粉砕する機会があったんス・・・・どうしてもオイラを敵として接しているんでは無く、威嚇する事でオイラを立ち退きさせようとしている様に見えたんスよ・・」









「・・それは、とんだ誤解と言うものです。ボクは皆さま御存知の悪名高い連続猟奇殺人の犯人さん・・・・貴女のお仲間の言う事と自分のその曖昧な”勘”どちらを信用しているんですか?」














「・・その言い方は卑怯ッス。確かにオイラの勘なんて不確かで曖昧でとても信用の置けるモンじゃあねーんスけど・・

・・でも、それでも・・何となく、アンタは本当はこんな事望んで無い気がするんスよ・・・・オイラにはとてもアンタが犯罪の謳い文句にさせるような悪人には見えなくて・・・・ただ迷子になって泣いて・・自暴自棄になっている子供にしか見えないんス・・・・」












「・・・・少し、昔話をしましょう。



・・とあるスラム近くの居住区に、ある仲の良い、母と娘が暮らしていました。

娘の父は、娘が物心付く頃には既に居りませんでしたが、それでもたった二人の家族同士御互い支え合う様に生きてきました。

やがて娘が少女と呼べる年齢に差し掛かる頃・・治安の良くない所ですから、ある意味必然だったのでしょう・・・・少女は初めて変質者というものに遭遇します。

この地区に出没する犯罪者達は、少女を攫っては売り飛ばしたり、○姦した末に命を奪うというのが当然で、警察もほとんど未介入のエリアであった為に、捕まった少女が生きて帰ってこれる事はありませんでした。

その事を幼いながらも知っていた少女は、今まで出会った事の無い恐怖・・話では聞いたけれど”まさか自分が遭遇してしまうとは”という瞠目で、脚が竦んで動けなくなってしまいました」













「Mr.ソレナンティエ=ロゲ・・?」











「参ったなぁ・・鬼畜○辱系は専門外なんだけどなぁ・・・・」










「たまには、真面目に黙って聞きましょうよ・・」












「私からはもう何も言わないよ・・はぁ・・」











「・・しかし、少女には他の人とは違っている所が一点ありました。

それは障害を患っていたという事です。・・それは自分の意思とは無関係に腕が動いてしまう稀有な奇病でした。

本来であるならば行動の制限・・ハンデになってしまうそれですが、このときばかりは違いました・・怯えて声も出ない少女に変わり、襲い来る犯罪者を撃退しました。

・・何とか難を逃れた少女は”私が女の子であるから悪意ある人間が寄ってくるんだ。ならば・・私・・いいや、ボクは男の子として生きていこう”こう考え決意しました。

それは、自分だけじゃない・・大切な母、それに友人などを巻き込みかねない・・みんなに迷惑をかけたくない・・そう考えた末の決断でもありました。

それからというもの、少女は言動を偽り服装を偽り、少年として生きていきました。

たまに、少年趣味の変質者に遭遇する事もありましたが、武道に従事し、また初めの事件同様、守り神である腕の御蔭で悉く撃退して行きました。

・・そして幸いにも、少年となった少女の腕が動くのは、少女の身が危険に晒されたときでした」









「とりあえずおにゃのこが無事で良かったニャ~、鬱展開とかマジ簡便だニャ」










「全くだ。世の不条理に抗えない無力感ずる話しなんて聞いていて気持ち良いモンでも無いしね」










「男装の麗人・・悪くない・・悪くない・・・・フフ・・・・」












「しっ!皆さん!まだ続きがあるみたいです」













「・・しかし、穏やかな時間と言うモノは長続きしません。

幾ら、取り繕い振舞おうとも本来の性別は隠せない・・・・どれだけ絞め付けようとも膨らんだ胸は隠しきれず、声や顔付き・・何より全体の丸みを帯びた身体付きは女性特有のそれとなっていました。

そんな、少女が女性に至る年齢に差し掛かった頃、一つの転機が訪れます。


当然、街に蔓延る犯罪者達は、そんな実った果実の様な少女を収穫しないワケがありません。
来る日も来る日も狙われ、少女は疲れきっていました。

そんなある日、少女は遂に殺人を犯してしまいます。

その日は早朝から深夜まで襲撃が相次いだ日で、少女は心身共に疲れ、もう動けなくなった彼女に代わり自ら動く腕が変質者達を返り討ちにするのと同時にそれこそ木端微塵に打ち砕いていました。

何故、仮にも少女の身体の一部でもある左腕がそれほどの腕力を持っていたかは、当時の彼女には解りません。

ただ、あくる朝目が覚めた彼女を待ち受けていたのは想像を絶する凄惨な光景でした。
事情を知らない人間が見れば、精肉加工所と勘違いする程の陰惨な赤。肉塊。臭気。

・・それは普段、虫を殺すことにも悲しみを感じる少女にとって計り知れない衝撃的な光景であり、少女の心を壊すのには十分過ぎるモノでした」















「怖くなった少女は逃げ出しました。その場にいるのが怖いという思いもありましたが、何よりもこの腕がいつか、自分の愛する家族や友人を傷付けてしまうのかと思うと、いてもたっても居られなかったのです。

それだけの事を行ったのですから当然でしょう。少女は国中で指名手配され数年に渡る逃亡生活を送る事となりました。

逃亡中も少女を狙って犯罪者達が襲撃してくる事は何度もありましたが、彼らは例外無く物言わぬハンバーグとなりました。その頃の少女は修復不能にまで精神を病み、何も考えない虚ろな人形でした。

無論、それだけ人を傷つけた殺人鬼に因果は訪れます。

警察に捕まり裁きを受ける事となります。
その公判の折、見慣れた顔を少女は見つけました。少女の母です。

窪み落ちた枯れ木状態であった少女に水気が戻ります。
大人しく全てを受け入れ相応の裁きを受ける覚悟だった少女でしたが”母だけは母にだけは自分の事情を知って欲しい”その一心で何とか面会の許可を得、再会する事が叶いました。
・・しかし、そんな少女を待っていたのは

”私の娘は7年前に亡くなっております。人殺しに知り合いはいません”

完全な拒絶でした。

そして、母にも裏切られ・・世にも奇妙な生い立ちを持つ民衆の敵である殺人鬼さんには、皆の望み通り死刑判決が下されましたとさ。めでたしめでたし」












「・・それって、もしかして・・・・」









「・・少女はもう疲れたんです。

見知らぬ誰かに危害を与えないよう、少女は先ず性別を消しました。
次に大好きなみんなが危ない目に遭わない様、友達・・そして家族を消しました。
そして最後に、世の理不尽に飲み込まれない様に感情を消しました。

・・これ以上、少女は何を消せば良いのでしょうか?


少女の運命を決定づけたのは”奇妙な腕”でした。

・・けれど、少女は感謝もしているんです。もし、この腕が無かったら少女は今頃・・・・いえ、やめましょう・・・・もしもの話は・・・・無益です」












「嘘ッス!アンタはそんな事望んで無かった筈ッス!

・・・・だったら・・何で・・アンタは泣いているんスか・・・・」












「あはは・・知った風な口をきかないで下さいよ・・貴女に少女の何が解るっていうんですか・・・・

どうして・・!どうして・・・?!
誰もボクを助けてくれなかった!今だって利用されているだけって自分で解っています!
刑期だってどうでもいい!もう何もかもどうでもいいんです!・・・・疲れたんです。

両親にも見捨てられ、誰からも怯えた目や軽蔑の眼、好奇の目に晒され・・生きてきた。

ボクは一体どうすれば良かったんですか?!どうしてみんなボクを放っておいてくれないんですか!

答えてくださいよ!ねぇ!!」










「・・・・」




1.・・オイラには解らないッス  → Aパート ”我ハ星ガ身”
2.・・同情はするッス      → Bパート ”ウロボロス”








選択肢がどちらかによって話がけっこう変わります










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最終更新日  2009年02月01日 13時57分00秒
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