鴎座俳句会&松田ひろむの広場

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2022年07月01日
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テーマ: 楽しい俳句(373)
カテゴリ: 句会
第27回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ
第27回鴎座通信句会は40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。        鴎座俳句会 代表 松田ひろむ

〈第27回鴎座通信句会結果〉 作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。
石口  榮(編集長)選
35ひめゆりの塔に夕焼のいくたびぞ
特選57愛逢月語り継ぐものとして非核/翠雲母
62立て板に水の候補者瑠璃蜥蜴
110クレマチス噓に気づかぬふりをして
113ワクチンを打って百まで青胡桃
154二グラムの蛍五グラムの赤紙
171戦争は空腹のこと六月来
(選評)特選にいただいた57「愛逢月」の句。愛逢月は「めであいづき」と読み牽牛と織姫がお互いに愛して会うと言う月のこと。旧暦七月の異称。全世界が非核を目指し恒久平和を願う。「愛逢月」の季語に惹かれた。
35「ひめゆりの塔」の句。看護要員として戦場に動員され亡くなった「ひめゆり学徒隊」の慰霊塔。戦後七十七年経つ今も自然は変わらない。夕焼けの色と戦火の色が重なり何とも言えない作者の思い。
62「立て板に水」の句。今、参議院選挙の真っ只中である。なんと立て板に水の候補者が多いことか。季語の瑠璃蜥蜴が何とも不気味である。対義語に「横板に雨垂」がある。
110「クレマチス」の句。人は時に気づかぬふりも必要。処世術のひとつとして共鳴。
113「ワクチンを」の句。人生百年時代、四回目のワクチン接種が始まった。青胡桃から、まだまだ百歳に程遠い作者かも知れない。
154「二グラム」の句。召集令状で戦地に向い亡くなると蛍となって帰る兵士の御霊。どちらも何グラムと具体的に表現して深みのある句となった。
171「戦争は」の句。戦争に限らず空腹だとイライラして兄弟喧嘩にもなる。この句もロシア軍のウクライナ侵攻のことか。終息しないまま六月になった。

小髙沙羅(副編集長)選
特選29 過呼吸は蛍火見ての子規の恋/信岡さすけ
38山法師亡き母からの手紙です
83昼顔や誰かに言ってしまいそう
90姫女菀抜いて自治会清掃日
113ワクチンを打って百まで青胡桃
162梅酒瓶暗号資産と書いておく
170浮いてこい「ねたきり」なんて書いてある
(選評)特選にいただいた29「過呼吸の」の句。ひろむ先生の〈鬼灯市や子規に恋の句あればなあ〉を思い出した。蛍は恋の象徴であるが、句は過呼吸といって子規の苦しさを表現している。子規の恋の思いが切ない。
38「山法師」の句。確かに亡き母からの手紙が届いたらいいなあとつくづく。山法師を手紙と感じたのだろう。
83「昼顔や」の句。確かに言ってはいけないことをついうっかりということもある。昼顔が意味深。
90「姫女菀」の句。確かにヒメジョオンもドクダミも生命力がある。清掃日がさっぱりとして効果的である。
113「ワクチンを」の句。確かに最近の目標は百歳。青胡桃として元気な作者が思われる。
162「梅酒瓶」最近聞きなれない言葉が多い。「暗号資産」もその一つだが、梅酒も資産というのは庶民的な感覚だろう。
170「浮いてこい」の句。「ねたきり」とはなんとも切ないが、浮いてこい(浮人形)で救われた。

小平 湖(Ⅰ欄同人)選
19糠床を育て四万六千日
38山法師亡き母からの手紙です
123父の日の初めての杖小意気に
124四度(よたび)目のワクチン予約梅雨曇
特選154二グラムの蛍五グラムの赤紙/木野俊子
157始まったばかりの老後落し文
168絵手紙に南部風鈴「今元気」
(選評)特選157「二グラムの」の句。本物の赤紙を見たのはどこの資料館だったか覚えていないが、赤紙というよりピンクに近い色だった記憶がある。この句は蛍はニグラム、赤紙は五グラムと具体的に言われるとなるほどと思う。五グラムの赤紙と命の重さの対比だ、日本でも七十七年前多くの若者が国のためと駆り出され帰って来ない人が多い。今でも世界では戦争の真っ最中のところもある。人は助け合い仲良くは言うまでもない。
19「糠床」の句。四万六千日は観世音菩薩の結縁日、この日参詣すると四万六千日詣したと同じ功得があるらしい。糠床も毎日手をかけると美味しくなる。健康で穏やかな暮らしが窺える。
38「山法師」の句。万緑の中に浮かぶ山法師の卵形の大きな白い花弁は亡き母からの手紙のようだと言う。作者の新鮮な把握が魅力。
123「父の日」の句。明るくお洒落な男性が想像される。毎日少しでも小意気に歩こう。
124「四度(よたび)目の」の句。四度目の予約は考えていなかったが、まだ先が見えないし元気でいたいし。
157「始まったばかり」の句。いずれにしても始まったばかりの老後、人生百年なら第二の青春かもしれない。
168「絵手紙に」の句。メールもいいけど素敵な絵手紙のやりとりも一服の清涼剤。風鈴の音が聞こえそう。

白石みずき(Ⅰ欄同人)選
50誰にでも生老病死蝉しぐれ
59安心のはずの年金遠花火
105片陰や集合時間じっと待つ
特選132 沖縄忌ざわわざわわのとまらない/石口りんご
156宇宙語の飛び交う渋谷梅雨晴間 
176水無月の朝一番に白湯沸かす
199団扇しかなかった頃の大家族
(選評)特選にいただいた132「沖縄忌」の句。太平洋戦争の激戦の末、アメリカに占領され基地存続のまま五十年、同じ日本人でありながら辛い経験をしている。さとうきび畑のざわわざわわが心のざわわとなって今でも止まらない。
50「誰にでも」の句。生まれ、老い、病気する、死ぬ、この四つの苦しみは誰もが避けられない。蝉しぐれがいやに寂しい。
59「安心の」の句。年を取って年金だけが頼みの綱という人が多い。その年金が否応なく減らされ、こんなはずではなかったのにと嘆いている。聞こえてくる遠花火が切ない。
105「片陰や」の句。猛暑日の集合時間に早く行きすぎ、まだかまだかと片陰を探し探しじっと耐えているのだ。私も常に早く行く方なので気持がよく分かる
156「宇宙語」の句。渋谷と言えば若者の街、宇宙語という表現に納得。言葉を省略したりして独特の言い回しで聞いていてもさっぱりわからない。梅雨の晴れ間の渋谷の街はさぞ混みあっているであろう。  
172水無月」の句。蒸し暑い梅雨時の朝今日一日分の白湯を作っておく。水分を取らなきゃならないので。ジュースやお茶などより白湯が一番いいと言われているため。
199「団扇しか」の句。夜寝る時母が蚊帳の中で子供達に団扇で風を送ってくれていた事をこの句を読んで思い出した。その時の安堵感が今も蘇って来る。扇風機は無かった。

鈴木 砂紅(招待)選
特選3向日葵直立わが列島と屈背たち/松田ひろむ
19糠床を育て四万六千日
57愛逢月語り継ぐものとして非核
141宇宙にも匂いのあるや鰻の日
151着古しの浴衣と故郷やわらかし
154二グラムの蛍五グラムの赤紙
197あめんぼの百年先へ跳ぶ準備
(選評)特選に頂いた「向日葵直立」の句。直立する向日葵と、島国に背を屈めて生きる者たちの姿。ウクライナと日本の対比なのだろうが、人間社会そのものの姿を詠んだ句として強く胸に残った。
19「糠床を」の句。手塩にかけた糠床への愛着と、浅草寺への参詣の功徳が表裏一体になった「四万六千日」という季語のインパクト。
57「愛逢月」の句。恋の句かと思わせながら「非核」という結語で反転させた。抽象的な句になりがちな素材を七夕のイメージで包み、詩情が生まれた。
141「宇宙にも」の句。なるほど、鰻の匂いは空へ上がり大気圏を超え宇宙へと広がって行くのか、と思わせる仕掛けが愉しい。
151「着古しの」の句。いかにも当たり前のことだが、それがしみじみと懐かしく、普通の暮しの有難さに繋がる。災厄を前にして口からこぼれ出た句のようだ。
154「二グラムの」の句。蛍も赤紙も至って軽いもの、ということをグラムで表現。最小の単位が命の軽さに直結していくことを詠んだ一句。
197「あめんぼの」の句。跳ぼうとする瞬間、あめんぼは百年先を見通している。現在も過去も存在せず、真っ白な未来だけがあるという嬉しさと怖さ。

松田ひろむ(代表)選
19糠床を育て四万六千日
22ぷちとまとプチっと弾け眼がさめる
36イヤホンを分け合う二人さくらんぼ
116トランペット・ケースの中の夏の星
準特選133沖縄忌ざわわざわわのとまらない/石口りんご
137トランプの一人占い梅雨籠り
138噴水がとぎれとぎれて子が消えて
準特選151着古しの浴衣と故郷やわらかし/行成佳代子
171戦争は空腹のこと六月来
特選189水鉄砲銃殺隊の背後から/増田萌子
199団扇しかなかった頃の大家族
(選評)特選にいただいた189「水鉄砲」の句。水鉄砲ははかない抵抗。ウクライナの現実と幼時体験が重なる。旧軍隊でも横暴な上官に「弾は前からだけ飛んでくるわけではないぞ」と脅かすこともあったという。その「背後」が効いている。
準特選にいただいた133「沖縄忌」の句。寺島尚彦作詞作曲の「さとうきび畑」は「ざわわざわわ」のフレーズが印象的だった。その反戦の思いは今も「とまらない」。
準特選151「着古しの」の句。「故郷やわらかし」は優れた感覚。浴衣とともに懐しい。
19「糠床を」の句。これは四万六千日と直接的な因果関係を排してイメージが広がった。
22「ぷちとまと」の句。やはりリフレインの効果。「目が覚める」の転換も上手い。
36「イヤホンを」の句。ちょっと甘いがそれもいいだろう。いつも一緒にいたかった時。
116「トランペット」の句。幻想的な飛躍。
137「トランプの」句。トランプも懐かしい。
138「噴水が」の句。公園でも遊ぶ子がいない。コロナ禍か受験のためか。その現実。
171「戦争は」の句。空腹‐飢えの恐ろしさ。戦争の本質をついている句。
199「団扇しか」の句。たしかに暑さによく耐えたもの。涼み台なども思い出される。

(互選高点句)○数字は点数  3点以上
一位154二グラムの蛍五グラムの赤紙   ⑨  木野俊子
二位36 イヤホンを分け合う二人さくらんぼ⑥ 川目智子
二位111西瓜買うはちきれそうな音を買う ⑥  白石みずき
二位19 糠床を育て四万六千日      ⑥ 金丸菜斗
五位125一人降り一人乗る駅麦の秋 ⑤ 白石みずき
五位156宇宙語の飛び交ふ渋谷梅雨晴間 ⑤ 高橋透水
七位11 病む地球ほのかに照らし夏の月 ④ 中村ふみ
七位50 誰にでも生老病死蝉しぐれ ④ 石口 榮
七位106ふたりなら二駅歩く蝸牛 ④ 小平 湖
七位113ワクチンを打って百まで青胡桃 ④  小平 湖
七位133沖縄忌ざわわざわわのとまらない④ 石口りんご
十一位3向日葵直立わが列島と屈背たち3松田ひろむ
十一位12時の日や地元時間という間合3金丸菜斗
十一位57愛逢月語り継ぐものとして非核3翠雲母
十一位59安心のはずの年金遠花火3 国井 梢
十一位74梔子の明るさ欺瞞かも知れぬ3木野俊子
十一位78ちひろ絵のふうわりふわり裸の子3石口りんご
十一位103枝豆や素面で言えぬ嘘まこと3石口榮
十一位110クレマチス嘘に気づかぬふりをして3荒井類
十一位116トランペット・ケースの中の夏の星3後藤よしみ
十一位151着古しの浴衣と故郷やわらかし3行成佳代子
十一位171戦争は空腹のこと六月来3 福島芳子
十一位199団扇しかなかった頃の大家族3宮沢子

(第27回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順
1腑に落ちない言葉ばかりや髪洗う 0 吉村きら
2家だらけ電線だらけ大西日 0 近田吉幸
3向日葵直立わが列島と屈背(くぐせ)たち3松田ひろむ
4衣替え四季のリズムを整える 1 吉村きら
5日傘さまさま回覧板をお隣へ 0   石口りんご
6夕食の献立決まる沖縄忌     1 小平 湖
7首振り三年音無しの扇風機 1 鈴木砂紅
8大粒の出雲の喜雨に傘一つ 0 岡崎久子
9フライトは気の向くままに飛魚(あご)何処1望月のぞみ
10うっかりと散るを忘るる濃紫陽花 0 安原南海子
11病む地球ほのかに照らし夏の月 4 中村ふみ
12時の日や地元時間という間合 3 金丸菜斗
13父母の俤はみな汗になる 1 近田吉幸
14健康オタクテレビオタクが豆の飯 0 小髙沙羅
15故郷に兎を追えずサングラス 1 川目智子
16頬紅の姉焼く煙夏の富士 0 安藤利亮
17芝刈のグングンかわるゴルフ場 0 渡辺すみれ
18夏服や少女のリュックの反射板 0 安原南海子
19糠床を育て四万六千日 6 金丸菜斗
20梅雨晴や御苑を闊歩顎マスク 0 安藤利亮
21父の日やいつからなのやらジジの日に0 岩渕純子
22ぷちとまとプチっと弾け眼がさめる1 渡辺すみれ
23反骨と耳と父似で梅焼酎 2 松田ひろむ
24プーチンさん胸に泉を持てますか 1 翠 雲母
25戦始まる性善説を梅雨叩く 1 福島芳子
26枝豆や薄目の猫が離れない 1 小髙沙羅
27朝顔の紺の奥より戦出ず 0 後藤よしみ
28モンローの対極にいてモンロー忌 1 高矢実來
29過呼吸は蛍火見ての子規の恋 1 信岡さすけ
30くちなはの真昼の情事しつこくて 0 高橋透水
31喜雨の中神話の国の兎たち 0 岡崎久子
32汗流すたび消えてゆく自尊心 2 吉村きら
33新茶汲みそっと差し出しどきどきし0 郡楽清子
34夏至ひと日頭痛ひときわ重くれて 0 古川塔子
35ひめゆりの塔に夕焼(ゆやけ)のいくたびぞ1荒井類
36イヤホンを分け合う二人さくらんぼ6 川目智子
37一服のブルーシートや麦の秋 0 金丸菜斗
38山法師亡き母からの手紙です 2 石口 榮
39梅雨空のシェフの豚かつイタリアン0 渡辺すみれ
40老尼の人恋しげに団扇かな 0 高橋透水
41オレンジの炎と化した紅花と 0 斎藤 藍
42怪獣のような巨岩や梅雨茸 0 近田吉幸
43無言館出る花栗匂う画学生 1 翠 雲母
44箱庭の川のいつしか日本海 0 後藤よしみ
45短夜や手も迷わずに釣りちょうず 0 石黒宏志
46静寂のうちの華やぎ夏茶碗 1 国井 梢
47放置されし戦車を遊具に戦禍の夏 0 高良和子
48備前焼ぴったり決めた半夏生 1 津田文江
49梅雨空のワイン豚カツ新社長 0 渡辺すみれ
50誰にでも生老病死蝉しぐれ 4 石口 榮
51螢火を追って我が身の老いてゆく 0 斎藤 藍
52数独の堂々めぐり竹皮脱ぐ 2 翠 雲母
53一人部屋ひねもす暇だ虎が雨 0 津田文江
54最上川の水面を染めて紅の花 1 石黒宏志
55夏衣や美脚を隠すマキシ丈 0 百目鬼英明
56ひょうたん島川面揺らして夏ともし0 行成佳代子
57愛逢月語り継ぐものとして非核 3 翠 雲母
58ご破算に願いましては雹はじく 0 川目智子
59安心のはずの年金遠花火 3 国井 梢
60筋書のもっとも滲みる楸邨忌 0 増田萌子
61昼蛙どちら向いても愛妻家 2 小髙沙羅
62立て板に水の候補者瑠璃蜥蜴 2 川崎果連
63頷くもすこし間を置きさくらんぼ 0 安原南海子
64年齢不問遍歴不問半夏生 0 吉村きら
65白南風やベビーカーから児を降し 0 安藤利亮
66来客と句会胃カメラ梅雨に入る 1 古川和美
67夜明けなきロシア小説読む白夜 1 川目智子
68子孫ひこ夫は写真の夏座敷 1 白石みずき
69Tシャツで行く大統領花茨 1 松田ひろむ
70立葵のぼりつめれば人と距離 1 増田萌子
71五年目の単身赴任誘蛾灯 2 川崎果連
72蜜豆の蜜といえども甘くない 0 中村ふみ
73感情が一直線に心太 1 小髙沙羅
74梔子の明るさ欺瞞かも知れぬ 3 木野俊子
75山滴る毀釈石仏頸の無く 0 安藤利亮
76三秒や一キロ迫るはたた神 0 国井 梢
77大皿に輪切トマトの罠掛ける 0 福島芳子
78ちひろ絵のふうわりふわり裸の子 3 石口りんご
79腰痛も日に日に治って花菖蒲 0 津田文江
80蚕虫の一文字(もんじ)の口ウクライナ0 高良和子
81夏蝶の金の吐息よ陽の白し 0 高橋透水
82喜雨三日出雲の国に二泊す 0 岡崎久子
83昼顔や誰かに言ってしまいそう 2 小平 湖
84女坂ゆきて息切薄暑かな 0 荒井 類
85駅近く白波となる更衣 0 望月のぞみ
86戦争が梅雨の入日を眩しくす 1 後藤よしみ
87散策の肉屋をゆるり桜桃忌 0 近田吉幸
88夏汐や若大将も引退か 0 津田文江
89醒ヶ井の水の旨さよ梅花藻よ 0 高矢実來
90姫女菀抜いて自治会清掃日 2 古川和美
91過払の振込を待つ熱帯魚 1 百目鬼英明
92干瓢干す白い浄土に父と母 1 宮 沢子
93鰻重の松竹梅と婚活と 0 安藤利亮
94明易し町内清掃のボランティア 0 岩渕純子
95恋バナや相槌軽く天道虫 0 行成佳代子
96杏子熟れ信州人と返事あり 0 信岡さすけ
97まぎわまで着る服迷う梅雨寒し 1 石黒宏志
98父の日の父の直通遊び癖 0 古川塔子
99二十三時閉店スーパー夏至の月 0 石口りんご
100馬の背に稚児のおてふり風薫る 0 磯部薫子
101片陰や出ては入りの繰り返し 0 百目鬼英明
102万緑を見たくてベッド一階へ 1 古川和美
103枝豆や素面(しらふ)で言えぬ嘘まこと3石口 榮
104花桐や夕餉仕度のそぞろにて 0 国井 梢
105片陰や集合時間じっと待つ 1 高矢実來
106ふたりなら二駅歩く蝸牛 4 小平 湖
107頬なぜて茅花流しや地蔵さま 0 郡楽清子
108美容院紫陽花いつも跳ねている 0 小平 湖
109雲の峰あっという間に肥満体 0 石口りんご
110クレマチス嘘に気づかぬふりをして3 荒井 類
111西瓜買うはちきれそうな音を買う 6 白石みずき
112雷遠し外して光るイヤリング 0 岡崎久子
113ワクチンを打って百まで青胡桃 4 小平 湖
114沙羅の花ピッポッパッとドアオープン0安原南海子
115亀鳴くや甲羅の下の蕁麻疹 0 中村ふみ
116トランペット・ケースの中の夏の星3 後藤よしみ
117木下闇樹液にたかるもの数多 0 鈴木砂紅
118冷奴また一本を抜歯して 2 小髙沙羅
119家計簿をほったらかしたまま端居 0 鈴木砂紅
120蠛蠓(まくなぎ)やふくらみ初めし猜疑心1荒井 類
121ライフジャケット二の足踏んで舟遊び0行成佳代子
122夏の記憶集金に割りし貯金箱 0 高良和子
123父の日の初めての杖小意気に 1 古川塔子
124四度(よたび)目のワクチン予約梅雨曇1高良和子
125一人降り一人乗る駅麦の秋 5 白石みずき
126蓮の花バッグの底で電話鳴り 1 中村ふみ
127家中のロボット掃除薔薇活ける 0 福島芳子
128青梅や投票に行こうと誘う 2 木野俊子
129豊漁や泳ぐダイヤの鮪かな 0 斎藤 藍
130「俳句教えて!」孫からライン若葉風1 翠 雲母
131陽に透かす若葉の脈の昏きこと 0 磯部薫子
132ビール酌むZoomの笑顔十色かな 1 近田吉幸
133沖縄忌ざわわざわわのとまらない 4 石口りんご
134夏めくやモルック遊びデイサービス0 津田文江
135あめんぼの表面張力生きる術 0 磯部薫子
136縄文の木洩れ日揺らす青葉風 0 岡崎久子
137トランプの一人占い梅雨籠り 2 岩渕純子
138噴水がとぎれとぎれて子が消えて 1 望月のぞみ
139好きなのよ流しでがぶりすももかな0 郡楽清子
140バラ切って襤褸(らんる)たちまち美しき0松田ひろむ
141宇宙にも匂いのあるや鰻の日 2 信岡さすけ
142選挙カー夏木立にも手を振れり 2 川崎果連
143一夜にして思わぬ方へ竹婦人 1 吉村きら
144ベランダの薔薇の鉢との会話かな 0 渡辺すみれ
145鉄の雨知らず母国の梅雨深む 1 松田ひろむ
146梅雨入や心の晴れ間何色に 0 石黒宏志
147洗濯機水着だったら海の音 0 荒井 類
148檜葉の実の天に昇れば夏の星 0 磯部薫子
149二十四万名をあげて梅雨長し 0 後藤よしみ
150甘酒に女が酔うた振りをする 0 望月のぞみ
151着古しの浴衣と故郷やわらかし 3 行成佳代子
152成すままに後手後手のまま草茂る 0 安原南海子
153五月雨や匂い残して散歩道 0 郡楽清子
154二グラムの蛍五グラムの赤紙 9 木野俊子
155父の日や親父美味いと煽てられ 0 金丸菜斗
156宇宙語の飛び交ふ渋谷梅雨晴間 5 高橋透水
157始まったばかりの老後落し文 2 増田萌子
158カップルが十薬の八重写真撮る 0 古川和美
159麦笛を吹きつつ濃き日濃い思い 0 福島芳子
160短夜や乱れた国の心電図 1 木野俊子
161ちびちびと十年(ととせ)を舐める梅酒かな0川目智子
162梅酒瓶暗号資産と書いておく 2 鈴木砂紅
163補虫網池の周りを駆け回る 0 百目鬼英明
164人声にしばらく廻る吊忍 0 斎藤 藍
165水を打つ風は我が家をひと回り 0 国井 梢
166愛憎のひとつやふたつソーダ水 0 石口 榮
167訃報欄ていねいに読みメロン食む 0 白石みずき
168絵手紙に南部風鈴「今元気」 2 宮 沢子
169鬼瓦踏ん張る空家青嵐 0 鈴木砂紅
170浮いてこい「ねたきり」なんて書いてある2高矢実來
171戦争は空腹のこと六月来 3 福島芳子
172雨音はショパンの調べ梅雨に入る 1 岩渕純子
173梅雨の雷メビウスの輪のばっさりと0 高矢実來
174デザートは連夜の西瓜糖度十 0 百目鬼英明
175黒揚羽花から花へ旅行中 0 古川和美
176水無月の朝一番に白湯沸かす 2 古川塔子
177五月晴れ向かいの家も満艦飾 0 郡楽清子
178娘いての三人旅や青葉木菟 0 行成佳代子
179網戸風座敷童もちゃっかりと 0 信岡さすけ
180悪女めく江戸風鈴の古びおり 0 宮 沢子
181鎌倉の白い紫陽花アナベルと 0 斎藤 藍
182薔薇萎れ腰痛急に強くなり 0 中村ふみ
183香を盗む駅構内のカサブランカ 0 高良和子
184わが月日塩辛とんぼ糸とんぼ 0 増田萌子
185四万六千日胸に四つの部屋のあり 1 高橋透水
186沖縄忌せめてゴーヤの白和えで 0 金丸菜斗
187ハンカチでこする地球儀キエフの字1 川崎果連
188ひたすらに女を生きて冷索麺 1 白石みずき
189水鉄砲銃殺隊の背後から 2 増田萌子
190ひとことで語り尽くせぬ沖縄忌 0 石黒宏志
191暮六つや玄関にまた蝦蟇 0 岩渕純子
192優曇華や母の睫毛の長きこと 0 磯部薫子
193野良犬に吠えられているかたつむり1 川崎果連
194末期の水譲り合っても心太 2 宮 沢子
195浜昼顔丸き地球の貨物船 0 木野俊子
196お化け屋敷本物ひとりまじりおり 0 信岡さすけ
197あめんぼの百年先へ跳ぶ準備 1 古川塔子
198白靴を履けばハワイの砂被り 0 望月のぞみ
199団扇しかなかった頃の大家族 3 宮 沢子
200今生の今が旬なり水中花 2 石口 榮 
(第28回鴎座通信句会)投句締切=7月24日。 5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。





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Last updated  2022年07月27日 09時40分05秒
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