鴎座俳句会&松田ひろむの広場

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2022年10月01日
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テーマ: 楽しい俳句(373)
カテゴリ: 句会

30 回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ

30 回鴎座通信句会は 39 195 名でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切 24 日)。   鴎座俳句会 代表 松田ひろむ


〈第30回鴎座通信句会結果〉 作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。
石口  榮(編集長)選
10金木犀息を大きく吸っている
13耳元を過ゆく風もやっと秋
46何もない日々が幸せ秋桜
特選64きのこ汁気づけばまたも愛妻句/小髙沙羅
102村祭り雑踏を行く有袋類
107乗り越して梨三つが泣いている
184時間泥棒がスマホに潜む秋
(選評)特選にいただいた64「きのこ汁」の句。鴎座では愛妻句を詠む方が数名。朝食の味噌汁や茸汁は妻の日常であろう。しかし茸にはときどき毒もある。愛妻句といっても妻はそれを信じているのだろうか。句は「またも」にちょっぴり皮肉が籠められているようだ。その複雑なところも秀句の条件である。
10「金木犀」の句。金木犀は控え目な花ながら存在感を示す香りを放つ。その甘い香りに誰しもが立ち止まり深呼吸がしたくなる。口語表現がやわらかい。
13「耳元を」の句。季節の変化を耳で感じ取った皮膚感覚。長く暑かった夏から逃れたい思いが「やっと秋」に表白。暑さ寒さも彼岸までである。
46「何もない」の句。人は日常が非日常になった時不幸と感じる。何もない日々を過ごせることが幸せなのである。平穏無事が幸せと秋桜(コスモス)が言っているようだ。
102「村祭り」の句。置き去りで子供を死なす、暗いニュースが最近多い。祭りの日抱っこ紐に入れて一緒に出かける親子。正面から見たその様子をカンガルーのような有袋類と捉えた。
107「乗り越して」の句。うっかり乗り越して先まで行ってしまった。買った梨も一緒である。泣いたのは作者自身であるが、あたかも梨が泣いているような擬人化に惹かれた。
184「時間泥棒」の句。秋の夜長スマホに夢中の作者。時間が失われる様子を泥棒と言った措辞に共鳴した。まさにスマホは時間ロスの魔物である。

小髙沙羅(同人会長)選
61盃に五山送り火明日は明日
73同病の子規の目線の鶏頭花
109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁
113小鳥来る釈明いつもじれったい
121大袈裟に相槌を打つ黄落期
126金木犀二度目のチャイム強く押す
特選138二年三組向日葵の種をとる/小平湖
(選評)特選の138「二年三組」の句。なにも難しいことは言っていない。二学期が始まりクラスの友達と仲良く向日葵の種をとっている。二年生だけに、また来年への楽しみの様子が微笑ましい。
61「盃に」の句。五山の送り火をお酒や水に映して飲むと無病息災に暮らせるという。「明日は明日」にこれからの人生への期待を感じる。
73「同病の」の句。子規と同病とは切ない。
109「つまづかず」の句。喜寿と言っても元気をつける「とろろ汁」ならではの句。
113「小鳥来る」の句。偉い人ほど釈明には時間がかかる。「小鳥来る」は庶民なのだろう。
121「大袈裟に」の句。これは誰もが経験するかも。あるあると納得。「黄落期」は対象のお歳と重なる。
126「金木犀」の句。「二度目のチャイム」が効いている。ついつい二度も三度も押してしまうが、それも金木犀の家ならではの妙。

後藤よしみ(副編集長)選
10 金木犀息を大きく吸っている
20 初恋を忘れていても蚯蚓鳴く
36 持ち主のない満月と会話せり
52 長き夜やAIに訊く恋の道
103 台風圏見知らぬ人の訪ねけり
特選150 蝉の声聞かなくなればまた一人/古川和美
160 案山子案山子風は力を抜いており
(選評)特選の150「蝉の声」の句。蝉も台風が通過すると衰え、聞かなくなる。蝉の声は夏の声で人生の輝かしい時期でもある。家族に囲まれていた時代。その後の一人の長い時期。人生の季節を教えてくれる。
10「金木犀」の句。その香を肺細胞が取り込むと人は幸せとなる。銃を持つ手も力を失う。魔法の香り。
20「初恋を」の句。人生に追われると若き日の恋を忘れがちである。しかし、人生は刻々と進んでゆく。
36「持ち主の」の句。月は誰のものでもない。その黙契の月と一人語らう。幻想的な楽しさが溢れる。
53「長き夜や」の句。老いも若きも人の心をつかむことに苦心する。機械に訊いた方が心は軽くなるのだ。
103「台風圏」の句。台風襲来でも人は出歩く。突然、見知らぬ人が戸を叩く。台風のみせる幻覚かもしれぬ。
160「案山子案山子」の句。十字の心棒に顔と手が付いた案山子。力の入りっぱなしの案山子を風が揶揄う。

小平 湖(Ⅰ欄同人)選
36持ち主のない満月と会話せり
40この辺り少し省略秋ともし
50いのこずち近道をきて迷いけり
特選109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁/増田萌子
135夜の秋知らず知らずに指折って
142こそあどで足りる会話の新豆腐
184時間泥棒がスマホに潜む秋
(選評)特選に頂いた}109「つまづかず」の句・喜寿は(「喜」の字の草体「㐂」が「七十七」と読まれるところから)七十七歳の喜の字のお祝いと言われる。自分のペースで人生百年時代を目指すのはこれからだ。「つまづかず」の自分を戒めているのも、季語のとろろ汁も効果的。
36「持ち主の」の句。満月は皆のもの。今年の九月十日の満月は素晴らしく感動した。月と会話する気持がよくわかる。
40「この辺り」の句。この辺りってどの辺りか想像が広がる・省略して気持ちの余裕もでた秋の夜長、一句ひねるのもいい。
50「いのこずち」の句。昔から急がば回れというけれど、誰にでもついて行く季語の「いのこずち」を擬人化して・ウイットに富んだ句となった。
136「夜の秋」の句―季語「夜の秋」は夏の終わりごろの、まだ暑さの残るころ。知らず知らずに指を折るとは秀句に違いない。
142「こそあど」の句・「こそあど」とは「ここ・そこ・あそこ。どこ」という体系・夫婦も年数がたつとこれで通じてしまうから不思議、夫婦円満で微笑ましい。
184「時間泥棒」の句。便利なものは使い方次第で良くも悪くも。秋の夜長・。覚えのある方スマホに潜むのは時間泥棒ですよ。

白石みずき(Ⅰ欄同人)選
46何もない日々が幸せ秋桜
74とは言えどパクチー好きずき十三夜
88未来とは黄泉に旅立つ白地着て
95晩年はコスモスの揺れに任せよう
特選156ふらふらと茶柱が立つ敬老日/行成佳代子
175スーパーで焼き秋刀魚買うハイヒール
190とんぼとんぼきょうはとんぼになりたい日
(選評)特選にいただいた156「ふらふらと」の句。ふらふらが茶柱が浮いているようにも取れるし年寄りがふらついているようでもあり、クスッと笑ってしまった。俳諧味たっぷりの句である。
46「何もない」の句。昨日と変わりない今日一日、平凡だがそれがなにより。年を重ねたからこそ感じる一句。
74「とは言えど」の句。まず上五の出だしが新鮮。パクチーは本当に好き嫌いの激しい野菜である。その極端さを十三夜で柔らかくしている。
88「未来とは」の句。いまは旅立つ人に白地の着物を着せるのは少ない。故人が一番好きだった服を着せて送る。徐々に時代は変わっている。
95「晩年は」の句。穏やかな老後が想像できる。出来たらそういう生き方をしたいと思わせてくれる句。
175「スーパーで」の句。この句はハイヒールが効いている。ハイヒールを履いた颯爽とした若い女性が焼き秋刀魚を買っている。そのアンバランスが俳諧味である。
190「とんぼとんぼ」の句。とぼけていてなんとなく面白い。そういう日もあるだろうと妙に納得してしまう句。 

鈴木 砂紅(招待)選
12ねこじゃらし老後のプラン風まかせ
特選30爽やかや全方位より蜂起雲/鈴木ひろ子
36持ち主のない満月と会話せり
60平成のあくび指南や葱鮪鍋
72持て余す再建乳房乱れ萩
138二年三組向日葵の種をとる
156ふらふらと茶柱が立つ敬老日
(選評)特選に頂いた「爽やか」の句。一読、秋の空を詠んだ写生句だが、箒雲(巻雲)を蜂起雲と表記したことで現代社会の様相を描写。全方位より蜂起するのは反戦、環境保護、或いは貧困に喘ぐ人々の声なき声ではないか、と思わせながらも俳諧風な味付けが愉しい。
12「ねこじゃらし」の句。生きがいも終活も重すぎる。軽々と老後を歩くには、風まかせのプランで沢山。蕉風俳諧の軽みに通ずる句。
36「持ち主」の句。満月は独り占めできない。誰の物でもない自然は、畏怖すべき対象だからこそ親しく会話できる相手。
60「平成」の句。葱鮪鍋とあくび指南の光景は、同名の落語と同様にシュールで面白い。江戸時代と現代を繋ぐ人間の行為の無意味さ。
72「持て余す」の句。体の一部が異物の様な感覚なのだろうか。経験はないがその切実さは想像できる。掲句が希望の一歩となる事を祈りたい。
138「二年」の句。種とりは小学校の年中行事だが、二年三組と明記したことで実景がはっきり見えた。みんなで手を動かすのはリモートでは出来ないこと。
156「ふらふら」の句。敬老日につき過ぎる感はあるが、面白くて頂いた。どんなオノマトペを使おうと、茶柱が立つのは吉兆に違いない。

松田ひろむ(代表)選
20初恋を忘れていても蚯蚓鳴く
24九月場所遠くで祖母の声がする
30爽やかや全方位より蜂起雲
61盃に五山送り火明日は明日
特選67鬼灯を揉んで出る出る武勇伝/吉村きら
72持て余す再建乳房乱れ萩
91栗ご飯ひらりひらりと歳重ね
113白露かな断捨離はもうやめました
117ばばあ色と母なら言はむ秋衣
166根を伸ばせコスモス憲法十九条
準特選191生きてゐる証の癌や尉鶲/荒井 類
(選評)特選にいただいた67「鬼灯を」の句。鬼灯を揉んで中身を出し、きれいな袋にするのはなかなか難しい。それを口に含んで鳴らすのはさらに難しい。それを易々とする女の子は自慢顔である。そんな姿を武勇伝といっているのだろう。なつかしさの句。
準特選の191「生きてゐる」の句。癌とともに生きる作者。季語のジョウビタキは鳴き声が火打石の音に似ていることから。そんな切ない声とともに生きているのである。
20「初恋を」の句。初恋は遠くなっても恋心はいつまでも。鳴くという蚯蚓の声を聴いている作者。
24「九月場所」の句。相撲好きだった祖母の声はいつまでも。相撲は秋の季語だが九月場所といって現代の大相撲。
30「爽やかや」の句。「蜂起雲」は箒雲つまり巻雲のこと。蜂起は何に対してとは書かれてはいないが、例えば安倍国葬反対という国民の怒りとしてもいい。それが「全方位より」の措辞になった。
61「盃に」の句。盃に映る五山の送り火に、故人を思いながらも、過去は過去として明日を見ている作者なのだ。
72「持て余す」の句。乳がんで全摘した乳房の再建。乱れ萩と持て余すはやや付き過ぎだが、切実さに打たれた。
91「栗ご飯」の句。ここはなんといっても「ひらりひらり」のオノマトペが軽妙。
113「白露かな」の句。「断捨離」よりもまだまだ欲しいものは欲しい。これもさっぱりと明日を信じている句。
117「ばばあ色と」の句。おそらくはお歳をめしても地味な服を嫌った母上だったのだろう。存命ならそんな「ばばあ」のような服を着てと叱られている。やや複雑な心境の句。
166「根を伸ばせ」の句。憲法十九条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とある。それへの思いが「コスモス根を伸ばせ」である。

(互選高点句)○数字は点数  3点以上
一位156ふらふらと茶柱が立つ敬老日 ⑧ 行成佳代子
二位31 蓮の実が飛んで原発再稼働 ⑦ 行成佳代子
二位72 持て余す再建乳房乱れ萩 ⑦ 安藤利亮
四位12 ねこじゃらし老後のプラン風まかせ⑥ 望月のぞみ
五位46 何もない日々が幸せ秋桜 ⑤ 岡崎久子
五位50 いのこずち近道をきて迷いけり ⑤ 川崎果連
五位67 鬼灯を揉んで出る出る武勇伝 ⑤ 吉村きら
八位36 持ち主のない満月と会話せり④  安原南海子
八位126金木犀二度目のチャイム強く押す④白石みずき
八位142こそあどで足りる会話の新豆腐④  吉村きら
八位150蝉の声聞かなくなればまた一人④  古川和美
八位184時間泥棒がスマホに潜む秋④    岡崎久子
十三位10金木犀息を大きく吸っている③  松田ひろむ
十三位20初恋を忘れていても蚯蚓鳴く③  望月のぞみ
十三位30爽やかや全方位より蜂起雲③   鈴木ひろ子
十三位41台風は中国苦手右折する③    石黒宏志
十三位44つくつくし勝ち負けどうでもいいゲーム③鈴木砂紅
十三位64きのこ汁気づけばまたも愛妻句③  小髙沙羅
十三位78明日の色決めかねている秋の風③  岡崎久子
十三位95晩年はコスモスの揺れに任せよう③ 石口 榮
十三位109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁③増田萌子
十三位139季語さぐる良夜に源氏物語③   翠 雲母
十三位160案山子案山子風は力を抜いており③増田萌子
十三位191生きてゐる証の癌や尉鶲③    荒井 類

(第30全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順
1鳥帰るいとど涙の遠の島     1 近田吉幸
2もしかして虫の気配の墓誌を拭く 0 宮 沢子
3どっどどどどうど風の三郎空を飛ぶ 0   松田ひろむ
4今日のレシピ気長に栗を剥く 0   石口りんご
5発熱は死への入口穴まどひ 0   百目鬼英明
6優秀賞はこうへいの歌蝉しぐれ 0 古川和美
7国葬は捨て案山子か時の矢か 0 木野俊子
8確証を得て霧は山に湧き出して 0 福島芳子
9月魄の切能ならば安達ヶ原 0   後藤よしみ
10金木犀息を大きく吸っている 3   松田ひろむ
11目ひかりをころりと焼いて菊の酒 1 宮 沢子
12ねこじゃらし老後のプラン風まかせ6  望月のぞみ
13耳元を過ゆく風もやっと秋 2 岩渕純子
14初秋や朝から体が良く動く 1 国井 梢
15台風があって気温の下がり過ぎ 0 古川和美
16留守電にお元気ですかと良夜かな 2   安原南海子
17オンライン月見自慢や時共に 0 郡楽清子
18秋分や本屋に寄りて二三冊 0 斎藤 藍
19雨上がり初秋の日差しや美術館 0 郡楽清子
20初恋を忘れていても蚯蚓鳴く 3   望月のぞみ
21BGMはカノン花野から花野へ 1 古川塔子
22九月一日生れべこの子人見知り 0 増田萌子
23秋彼岸息子に頼む香華かな 0 斎藤 藍
24九月場所遠くで祖母の声がする 1   渡辺すみれ
25花野より結婚話届いたよ  1   石口りんご
26英国葬栗の鬼皮剥きながら 1 安藤利亮
27秋風や恋は引っかき傷ほどに 1 高橋透水
28グレーヘアーが流行ですから銀木犀1  石口りんご
29秋涼の同じ病の姉妹     0 国井 梢
30爽やかや全方位より蜂起雲 3   鈴木ひろ子
31蓮の実が飛んで原発再稼働 7   行成佳代子
32母子家庭の児童転出鰯雲     0 安藤利亮
33母米寿染みだ白髪だねこじゃらし 0 高矢実來
34迷い人のお知らせメール虫の闇 0 鈴木砂紅
35枝豆の産毛を擦り瀬戸の塩 1   望月のぞみ
36持ち主のない満月と会話せり 4   安原南海子
37そぞろ寒共感力の一家なら 1   信岡さすけ
38自然派のふすま入りパン秋高し 1   高矢実來
39堪忍の煙茸はまとめ買い     0   信岡さすけ
40この辺り少し省略秋ともし 1   安原南海子
41台風は中国苦手右折する     3 石黒宏志
42カマキリの威嚇笑いこらえる緊張感2 国井 梢
43サルビアやレジ袋ならいりません 0 荒井 類
44つくつくし勝ち負けどうでもいいゲーム3 鈴木砂紅
45秋彼岸区役所なおす次世代へ 0   渡辺すみれ
46何もない日々が幸せ秋桜   5 岡崎久子
47竜胆の好みじゃないの雨男 0 石黒宏志
48天高しわずかに動き出す海馬 1 小髙沙羅
49時刻表見つつ種なしの柿かじる 0 木野俊子
50いのこずち近道をきて迷いけり 5 川崎果連
51風太郎たまには帰れ野菊の里 2 翠 雲母
52稲妻をつかみ真弓を引くばかり 0   後藤よしみ
53ゆっくりと何かがもれて文化の日 0   信岡さすけ
54長き夜やAIに訊く恋の道 1 高橋透水
55手作りの果実酒一献秋の夜 0 岩渕純子
56風死して疲れきったる旅鞄 0 中村ふみ
57病みあがり塔のへつりの沢胡桃 0 宮 沢子
58天の川横切って行く宇宙船 1 岩渕純子
59周子さん会えないままに秋ですね 0 小髙沙羅
60平成のあくび指南や葱鮪鍋 2   信岡さすけ
61盃に五山送り火明日は明日 2 古川和美
62遅れぐせの時計のねじ巻く台風裡 1   鈴木ひろ子
63月天心未来をひらく「キーウの月」 0  宮 沢子
64きのこ汁気づけばまたも愛妻句 3 小髙沙羅
65ひとけなき館トルソーの秋湿 0 磯部薫子
66枯れてなお立つ向日葵の美しき 0 郡楽清子
67鬼灯を揉んで出る出る武勇伝 5 吉村きら
68種朝顔一たす一は二に非ず 0   安原南海子
69名月やたしかにあった若い日々 2 吉村きら
70手に残る十薬の香の力かな 0 鈴木砂紅
71豊の秋いいことよりも美味いもの 0   安原南海子
72持て余す再建乳房乱れ萩     7 安藤利亮
73同病の子規の目線の鶏頭花 1 高良和子
74とは言えどパクチー好きずき十三夜1   古川塔子
75こんな日は酔ひの早まる秋夕焼 0 中村ふみ
76取り敢えず百歳までと敬老日 0 津田文江
77アールグレイや満月を置き去りに 0 小平 湖
78明日の色決めかねている秋の風 3 岡崎久子
79霜の朝ヒュッテの娘から味噌汁を 0 安藤利亮
80ラビュー過ぐ行く手に広がる鰯雲 0 高良和子
81お茶日和刻み栗入り麦こがし 0 斎藤 藍
82プチプチでくるみトマトの一個買ひ0   高良和子
83泥水をすすりし戦夏の蝶     0 福島芳子
84アペリティフ睡蓮ひらくとき開く 0 古川塔子
85風船葛ときにハートにならぬ子も 0 高矢実來
86曼珠沙華ツンツン伸びて横並び 0   渡辺すみれ
87この月のため購(あがな)ひしレンズかな0 荒井 類
88未来とは黄泉に旅立つ白地着て 1 中村ふみ
89すたすたと値上げシーズン桃冷す 0 古川塔子
90貴党とカルトで九月合同葬どうぞ 1   鈴木ひろ子
91栗ご飯ひらりひらりと歳重ね 2 小髙沙羅
92海鳴りを消す一本の曼殊沙華 0   白石みずき
93群とんぼ空間行間走ろうか 0 増田萌子
94軒下にその時を待つ月今宵  0   行成佳代子
95晩年はコスモスの揺れに任せよう 3 石口 榮
96車椅子入れて広がる踊の輪 0 近田吉幸
97巨峰切る仕事はいつも上を向き 0 古川和美
98スマホからマツケンサンバ秋夕焼 0 近田吉幸
99紅葉かつ散るいつの間に高層ビル 0 石口 榮
100野菊のような男と眠る月夜茸 2 翠 雲母
101秋風やないしょ話に左耳 1 高良和子
102村祭り雑踏を行く有袋類 1 翠 雲母
103台風圏見知らぬ人の訪ねけり 1 磯部薫子
104そうだっぺっ郷の訛や箒草 1 岩渕純子
105からくりのぎこちなきかな菊人形 1 川崎果連
106蛇穴に入る猫に尾つぽを叩かれて 0   百目鬼英明
107乗り越して梨の三つが泣いている 2 増田萌子
108キツネダンス常盤木落葉蹴りながら0  国井 梢
109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁 3 増田萌子
110一滴をわびつくしたる秋の水 0   後藤よしみ
111すりこぎに国旗はためく痩せ案山子0  川崎果連
112小鳥来る釈明いつもじれったい 2 小平 湖
113白露かな断捨離はもうやめました 1 津田文江
114天高し銀座通りをマリオカー 0   百目鬼英明
115長寿国なれど貧困ピラカンサ 2   白石みずき
116秋の夕巨大母艦の煙消え 0 石黒宏志
117ばばあ色と母なら言はむ秋衣 2 高良和子
118鬼胡桃ホストをやめる源二郎 1 川崎果連
119鳥兜窓にひっそりと飾りたる 0 津田文江
120反転攻勢ウクライナまで鰯雲 0   松田ひろむ
121大袈裟に相槌を打つ黄落期 2 石口 榮
122木の香通り抜けたる安普請 0 宮 沢子
123露草にずうずうしいと読み仮名を 1 石黒宏志
124虫の闇覚えきれないマイナンバー 2 岡崎久子
125百代の過客子猫のあとに我も 0   鈴木ひろ子
126金木犀二度目のチャイム強く押す 4   白石みずき
127青虫の臭角にょきり台風圏 0 磯部薫子
128白さるすべり脳神経外科は嫌 0 鈴木砂紅
129彼岸花覆いかぶさる古きこと 0 国井 梢
130韓鶴子ふるふる鵙の贄ばかり  1   松田ひろむ
131落し水帰国の近い実習生 0 川崎果連
132女郎花柵よりいづる猫の道 0   百目鬼英明
133秋彼岸本妻と後妻同じ墓 0 津田文江
134落人部落の暮色に浮かぶ蕎麦の花 1   行成佳代子
135夜の秋知らず知らずに指折って 1 古川塔子
136酔芙蓉主亡き庭に今年また    0  岩渕純子
137芋名月食糧危機のどまんなか 0 木野俊子
138二年三組向日葵の種をとる 2 小平 湖
139季語さぐる良夜に源氏物語 3 翠 雲母
140鯖雲のうしろにかすか昼の星 0 荒井 類
141居心地の良きに溺れてサザエさん 1 福島芳子
142こそあどで足りる会話の新豆腐 4 吉村きら
143朝顔をたくさん咲かせて誘われて 0 福島芳子
144LINEにて満月届き飽かずをり 0 中村ふみ
145恋文の起承転結式部の実 0 石口 榮
146茹で卵つるりと落ちて秋深む 0 中村ふみ
147秋の虹どこかで観てて元気です 0   渡辺すみれ
148虹色の青春捨てし妹恋し 0 福島芳子
149星めぐる夢のきざはし烏瓜 0 近田吉幸
150蝉の声聞かなくなればまた一人 4 古川和美
151天狗棲む由来の深山紅葉狩 0 近田吉幸
152掻き分けど人の気配のなき花野 0 磯部薫子
153台風や洗いきれない放射能 0 高橋透水
154菊人形鎌倉殿は二人居ず 0   後藤よしみ
155芋嵐横綱大関総崩れ     0 鈴木砂紅
156ふらふらと茶柱が立つ敬老日 8   行成佳代子
157親知らず残る一本敬老日 0 吉村きら
158資産家の壮婦が狙ひ鉦たたき 1   百目鬼英明
159秋の暮英日ともに国葬を 0 斎藤 藍
160案山子案山子風は力を抜いており 3 増田萌子
161秋の蝉木の間に声の心地良き 0   郡楽清子
162三階まで新米匂う炊ける頃 0   石口りんご
163蓮の実飛ぶそこは戦地のウクライナ1  石口 榮
164服なんて着たもの勝ちよ曼珠沙華 2 高矢実來
165高空の帰燕半旗をかえりみず 0   後藤よしみ
166根を伸ばせコスモス憲法十九条 2 木野俊子
167白露降る双葉の上に一つづつ 0 石黒宏志
168精一杯恋の弾ける鳳仙花 1 高橋透水
169初紅葉学びの友と有楽町 0   渡辺すみれ
170唐辛子遺影の笑(ゑみ)のにこやかに 0  荒井 類
171国葬の反対のデモ秋高し 1 高橋透水
172この相は苦労しますよ秋の蝶 0    高矢実來
173痩せていて少し塩っぱい新秋刀魚 1 小髙沙羅
174虫時雨濃茶の点前始まりて 0 津田文江
175スーパーで焼き秋刀魚買うハイヒール2 望月のぞみ
176背丈越す紫苑つくづく天上花 0 鈴木ひろ子
177長き夜のいつまで続く独り言 0   望月のぞみ
178夫婦です酌み交すことない新酒 0   石口りんご
179秋刀魚焼く射程圏内の裏庭 0 岡崎久子
180水澄むや踏絵のような壺ひとつ 1   木野俊子
181句会あり国葬があり稲の花 1 小平 湖
182はからずも母の歳越え敬老日 0   吉村きら
183老人の日の吊革に遊ぶかな 0 小平 湖
184時間泥棒がスマホに潜む秋 4 岡崎久子
185片隅にカンナの矜恃そこにあり 0 郡楽清子
186ゆく秋やワインレッドの靴を買う 0   白石みずき
187名伯楽の言葉訥々いわし雲 0   行成佳代子
188仲秋の名月に捧ぐ団子持て 0 斎藤 藍
189売り声の成城石井初秋刀魚 1   松田ひろむ
190とんぼとんぼきょうはとんぼになりたい日 2翠雲母
191生きてゐる証の癌や尉鶲(じょうびたき)3 荒井 類
192季語派から温暖化派へ秋の肥え 1   信岡さすけ
193新米や夫のお尻の安定感 1 磯部薫子
194「さよなら」と言わず「じゃあね」秋深む1白石みずき
195雄蕊に露の溢れてちんぐるま 0 安藤利亮
(第31回鴎座通信句会)投句締切=10月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。





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Last updated  2022年10月01日 12時07分17秒
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