[Stockholm syndrome]...be no-w-here

[Stockholm syndrome]...be no-w-here

2019.10.28
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カテゴリ: 映画
久し振りに、感想を書き難い映画を観てしまい、悪戦苦闘していた(笑)。
表面的には、夫の裏切りとも取れる言動に動揺する妻を描いた作品なのだが、妻の性格や2人の関係性を見ていると、実はもっと深い所に監督の意図があるような気がして、それをどう解釈して感想に落とし込むかで悩んでいたのだ。

妻の目線で描かれながらも、監督が女性に向ける視線は決して同情的ではない。
寧ろ、冷ややかですらある。
その描き方に、これまでにない感性を感じたのだ。
気になって調べてみると、この作品を撮ったアンドリュー・ヘイ監督は、ゲイであるとの事。
それが、男女関係に対する、彼独特の価値観を生んでいるのかも知れない。

熟年夫婦を演じたトム・コートネイ(夫役)とシャーロット・ランプリング(妻役)の演技も素晴らしく、本来なら★4つ以上付けても良い位の作品だが、離婚経験者としてはどうにも後味が悪いラストなのでこの評価に(笑)。



【さざなみ】…満足度★★★


結婚45周年パーティを6日後に控えた熟年夫婦の元へ届いた、1通の手紙。
その内容が、穏やかだった2人の関係にさざ波を立てる…。

ミステリーでもサスペンスでもないのに、画面を通して伝わって来る空気は「悲哀」ではなく、常に「不穏」。
心がざわつき、息苦しくなるような緊張感だ。
その理由は、本作品で監督が描こうとしているものが、夫婦の愛情や絆ではなく、妻の「女としての自尊心」だからだろう。
(だからこそ、彼女は夫に対して「愛情」ではなく「不満」という言葉を使う)

一体、2人で過ごして来た45年間とは何だったのか。
自分達は、夫婦としてきちんと心を通わせて来たのか。
たった1通の手紙を切っ掛けに、「45年間、家庭を守り夫を支えて来た」という妻の自尊心が揺らぎ、軋(きし)み、やがて崩れて行く。
その様が不穏なのだ。

しかし、彼女を本当に打ち砕くものは、実は夫の言動ではない。
45年間の絆を確かめ合えるもの、証明できるものが、今の自分達には何も残っていない事に、彼女自身が気付いてしまう事だ。
残っているのは、ただ年老いたこの身体だけ…。
そして、屋根裏で見付けたある物を通して、妻は「女」として覆(くつがえ)しようのない敗北感を味わう事になる。

個人的にはもう少し繊細な描写が欲しかった所だが、観る者の心を確実に波立たせる超凡な作品である事は間違いない。
彼らのその後を案じずにはいられない終わり方も秀逸だ。
この作品で暴かれるものは「男の幼稚さ」か、それとも「女の愚かさ」か…。
夫婦では一緒に観ない方が良いだろう(笑)。





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Last updated  2020.09.27 20:12:01


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