まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2021.02.26
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新海誠の映画「君の名は。」には、
隕石によってできた 糸守湖 が描かれます。

一般に、
「糸守湖のモデルは諏訪湖だ」と言われてきたのですが、
新海誠自身は、
「最初期のイメージは (長野県小海町にある) 松原湖や大月湖」
だったと述べていました。

昨夜NHKで放送された、
「ネーミングバラエティー・日本人のおなまえっ!」を見て、
ようやくその謎が解けた気がします。

なんと「長野に幻の湖が存在した!」というのです…。



ときは平安時代。

西暦887年、
五畿七道の地震によって、
北八ヶ岳が山体崩壊を起こし、
千曲川がせきとめられた結果、
現在の小海町や南牧村あたり一帯が、
水深130mもの巨大なダム湖になったというのです。

その1年後には一部が決壊して、
水深は50mほどに減ったそうですが、
それでも、そこには100年以上ものあいだ、
幻の湖が存在しつづけたそうです。

現在の研究者たちは、
この湖のことを「古千曲湖Ⅰ/古相木湖」 (または南牧湖/小海湖)
と呼んでいるようです。


新海誠のいう「松原湖」は、この巨大湖の名残りなのです!


そして、松原湖の周囲には、
消えた湖の堆積土砂による広大な平野が残され、
人々の暮らしと、水運のもたらす経済が育ったのです。



話はそれだけではありません!

長野は内陸県であるにもかかわらず、
「本海野」「海瀬」「小海」「海の口」「海尻」など、
海にまつわる地名が多いのですが、
それらは、ここに幻の巨大湖が存在した痕跡なのであり、

のみならず、
「海野」「海瀬」「新海」「新津」などの苗字が多いのも、
同じ理由からなのだそうです。

…新海?!

そうです!

森岡浩によれば、
もともとは「新開(新しい開墾地)」を意味する苗字に、
あとから 「海」 の字を当てたものだそうですが、

これもまた、その幻の湖に関係する苗字だったのです!!



映画「君の名は。」に出てくる糸守湖は、
隕石によって生まれたという設定ですが、
実際には、
地震による山体崩壊が生んだものがモデルだったのです。

そして「新 」という苗字のルーツをたどれば、

新海誠が、
湖や、雨や、竜など、
水にまつわる物語を作りつづけるのは何故なのか、

その理由もはっきりと見えてくる気がします。

おそらく新海家の一族は、
地震で突如生まれた巨大湖のそばで生きた人々なのです。



(追記)

新海誠の娘はFoorinの新津ちせちゃんですが、
新海誠も、本名は「新津」なのだそうです。

新海家ではなく、新津家だったのですね。

むろん「津」とは "港" の意味ですから、
これもやはり海 (=巨大湖) に関係した苗字です。

なお、
長野県佐久 サク 市には「新海神社」があるので、
新海という芸名はここに由来するのかもしれません。

また、
長野県と海とのかかわりでいうと、
海人族 (ワダツミ) に連なる阿曇氏が穂高神社に祀られている…
というのも気になるところです。
▶映画「天気の子」を民俗学で読み解く



ついでに余談ですが、
松原湖には、畠山重忠にまつわる竜の伝説があります。




重忠の母 (三浦義明の娘) は、
源頼朝に仕えた息子を守るため、
松原湖に入水して竜へ身を捧げたとのことです。
(もともと彼女自身が竜蛇だったとの説もあり)

彼女の墓は、いまは松原湖に水没しており、
湖面が下がったときにのみ少し姿を現すそうです。



もともと長野には、
諏訪のミシャグジ神 ≒ 建御名方 タケミナカタ 神を中心に、
多くの竜蛇伝承がありますが、

一説によれば、
口噛み酒 (ミサク) もミシャグジ神に関係しているそうです。

上述の新海神社が祀っているのも、
「興波岐 オキハギ 」という神様で、
これは建御名方の子、もしくは甲賀三郎の子にあたり、
いずれにしても蛇神/竜神です。

別名を「新開 ニイサク 」「御佐久地 ミサグチ 」とも言うらしいので、
これまたミシャグジ神に関係しているかもしれません。

(追記はここまで)




話は変わりますが、
番組では、「鬼滅」がらみで、
鬼のルーツにも迫っていました。

ざっくりいえば、
鬼というのは修験者(山伏)なのですね。

奈良の都の人々は、
紀州沿岸の山地に潜伏する修験者たちを、
「鬼」と呼んで恐れたようです。

この地域には、
「鬼」のつく地名や苗字が多いのです。
役小角の弟子だった前鬼・後鬼の子孫も実在します。

実際、修験の人々は、
日に焼けた異形の赤ら顔で、
目は爛々と輝いて野性味にあふれ、
超人的な身体能力を持ってましたから、
しばしば「鬼」「天狗」などと思われたのでしょうね。

しかも、
金属や水についての高度な知識をもっていたし、
朝廷の権力さえ脅かす対抗勢力だったかもしれません。

中央政権に統合しきれない鬼たちは、
討伐(鬼退治)の対象になっていったのでしょうし、

平安朝の嵯峨天皇は、
紀伊の修験者たちを統合するためにこそ、
空海の密教を利用したのかもしれませんよね。





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最終更新日  2022.11.10 02:08:39


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