まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.09.11
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小さな手2階ボタンに届く秋 NHKホール迫り上がる良夜 秋涼しハンカチ社員笑み浮かべ 若煙草纏いし君に気もそぞろ この階で降りればいいのか鬼灯め 閉ボタン連打秋夜のエレベータ 白桃や車いす用ボタン押す
プレバト俳句。
お題は「エレベーター」。




トレンディエンジェル斎藤。
小さな手2階ボタンに届く秋


見つけちゃったのね~。

思わず何十年かぶりに、
ちいさい秋ちいさい秋♪…と歌ってしまったw
幸せな小さい秋ですね。



和田アキ子。
NHKホール 迫り上がる良夜


秋の季語「良夜」は月の明るい夜のこと。
これを屋内の場面に用いたことの是非。

先生は好意的に解釈してましたが、
おそらく作者は季語の本意を知らずに、
一般的な「良い夜」の意味で使ったのでは?

…とはいえ、
月夜の舞台セットが出現したとも読めるし、
スポットライトを月に見立てて、
自分が月光に照らされるような幻想を描いた、
と読めなくもありません。



勝村政信。
この階で降りればいいのか鬼灯 ほおずき
この階で降りるか 鬼灯を灯して
(添削後)

これは完全なる幻想句ですね。
そういうジャンルがあるのか分かりませんが、
戦争が廊下の奥に立つてゐた

のような戦争関連句なども思い出させます↓。
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202208140000/

鬼灯を擬人化した問い掛けを、
添削では自問自答のような形に直してますが、
そもそも非現実的な句材なのだから、
この場合は擬人化を許容してもいいのでは?

それよりも、
むしろ難点なのは中八です。
この階で降りろと云ふか鬼灯め

のようにすれば容易に解消できる。

なお、
口語によるセリフ形式の句なので、
助詞の「で」を使っても問題はないだろうし、
最後は「め」のままでも構わないと思いますが、

わたしの好みをいえば、
この階に降りろと云ふか鬼灯よ

とするほうがいい。

最後を「め」にした場合は、
上から恨み節を言ってる感じですが、
これを「よ」にすると、
すこし怖れをなしてる感じかもしれません。

いずれにせよ、泉鏡花っぽい世界ですね。



皆藤愛子。
閉ボタン連打 秋夜のエレベータ


これまたホラーっぽい。
といっても、幻想ではなく、
女性ならだれしも思い当たることですが。

難点をいえば、
「閉ボタン」と「エレベーター」が、
やや情報として重複してる感がある。

破調の17音なら、
秋夜 閉ボタンを連打する女

とも出来ます。



清水アナ (Twitter)
残暑の夜 エレベーター点検中


これも夜のエレベーターの不安感。

あるいは、
「クソ暑いし疲れてるのに階段かよっ!」
という落胆の句でしょうか?(笑)

破調の17音にしたことの是非ですね。

もし定型に寄せるなら、
助詞を入れて 「エレベーターは点検中」 とするか、
写生に徹して 「点検中のエレベーター」 とすれば、
下6にはなるものの、
最後が長音だから、さほどの字余り感はありません。

でも、あえて破調にしたことで、
ある種の字足らず感が生まれていて、
そこに孤独な夜の心許なさが表現されてる気もするので、
わたしは破調のままでもいいかなと思います。




梅沢富美男。
白桃や 車いす用ボタン押す
桃抱いて車いす用ボタン押す
(添削後)
白桃抱いて車いす用ボタン押す (添削後)

二句一章にした必然性の是非ですね。

これは添削に異論なし。
句材はよかったのに残念ですが、
やはり梅沢は叙述の構造を理解できていない。



秋元真夏。
若煙草纏いし君に気もそぞろ
嗅ぎ慣れぬ秋の大人の煙草の香
(添削後)

秋の季語に「若煙草」なんてのがあるんですね。
残念ながら原句は用法を間違ってましたが…(笑)。

かたや添削句のほうは、
無理やり季語をねじこんだ結果、
「秋の大人」なんぞという、
不可解なフレーズが誕生してしまった。

作者の意図に沿うならば、
ベタな恋の句にはなるけれど、
煙草の香 ときめく秋のエレベーター

とでもするのが妥当なのでは?

あるいは、
恋の句とは明示せずとも、
新涼のエレベーターに煙草の香

ぐらいでいいのかもしれません。



松倉海斗。
秋涼し ハンカチ社員笑み浮かべ
エレベータに秋のハンカチ使いをり
(添削後a)
エレベータに秋のハンカチ使わざり (添削後b)

おおかた「ハンカチ王子」に倣って、
不用意な造語を取り入れたのでしょう。
夏のあいだはハンカチを多用していた社員…ってことですよね。

しかし、
意外なことに「ハンカチ」は夏の季語だそうで、
はからずも季重なりになってしまった。

そうでなくとも、
この場面でハンカチは使われていないので、
それを描写の対象にすることは出来ません。

原句に沿った(添削後b)では、
「使ってないハンカチ」を描写した結果、
季語を否定する形になってしまってます。

かたや(添削後a)のほうは、
原句の意図から外れていますが、
「秋のハンカチ」の用途もよく分からない。
残暑がひどくて汗を拭いてるのか。
潔癖の人がハンカチ越しにボタンを押してるのか。


かりに実景だけを描写するなら、
束の間を語らう秋のエレベーター
同輩とエレベーターの秋涼し

みたいな形にしかならないし、
作者の意図を活かすのは困難ですね。

ハンカチ店を開店。





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最終更新日  2023.09.11 11:19:40


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