まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.02.14
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またまた一週おくれですが、
「アストリッドとラファエル4~文書係の事件録」
第4話の《不死の男》を見ました。

今回のテーマは"トランスヒューマニズム"。

すなわち《超人間主義》です。
遺伝子工学などによって、
人間が生物学的な限界を超えるという思想。

ストーリーは、
いままででいちばん面白かったかな。



以下は、簡単なあらすじネタバレ。

メッタ刺しに殺されたのは遺伝子研究者の男。
ところが、凶器に付着してたのは被害者自身の指紋とDNAだけ。
もしかして自分で自分をメッタ刺しにした??
そんなことありえない!!
DNA型が同じ一卵性双生児の犯行とも疑われたけど、
被害者に双子の兄弟など存在しません。
結局、犯人は被害者の息子でした。
…といっても、それはほんとうの息子ではなく、
齢の離れたクローン人間だった


クローン人間の息子が父を殺す一方で、

アストリッドの腹違いの弟ニルスは、
父の顔さえ知らないのに、
亡き父と同じように鉛筆の噛み癖をもっていた…。

そんな2つのエピソードが対比されてます。



今回、
とくに興味をひかれたのは2つの名前でした。

ひとつは、
遺伝子操作で誕生した赤ちゃんの「アンティゴネー」。
もうひとつは、
被害者の男が名乗っていた「イザーク・ラクデム」。


◆アンティゴネー

ギリシャ神話のアンティゴネーはオイディプス王の娘です。
彼女は、オイディプスの次王クレオーンと対立しました。

このアンティゴネーとクレオーンの対立は、
神の法 (ピュシス) と人間の法 (ノモス) の対立といわれてます。
それは言い換えれば「自然」と「人工」の対立なのですね。

今回のお話では、
遺伝子操作の犠牲者である赤ちゃんアンティゴネーを見て、
アストリッドが涙を流すシーンがありましたが、

遺伝子工学にもとづく超人間主義が、
神=自然の法則への冒涜と位置づけられてるわけです。


◆イザーク・ラクデム

一方、この名前は、
デュマの未完の小説から採られてるらしい。
その名も「Isaac Laquedem」という1853年の作品。
主人公の名前が題名になってるようですが、
残念ながらネットで検索しても邦訳が見当たらない。

調べてみると、
これは「さまよえるユダヤ人」のヴァリエーションで、
すなわち不死伝説に材をとった物語のようです。

ヨーロッパに伝わる「さまよえるユダヤ人」とは、
十字架に向かうイエスを罵ったために、
その再臨まで地上を彷徨いつづけるよう呪われた男のこと。
つまり、永久に死ねなくなって、
いつまでも生きることを強いられたユダヤ人です。



この「さまよえるユダヤ人」の不死伝説は、
その後、さまざまな文学作品などに変奏されてます。

ワーグナーの「さまよえるオランダ人」もその一つですが、
このアレクサンドル・デュマの「Isaac Laquedem」もそうなのね。

日本でいうと、
手塚治虫の「火の鳥」や、
萩尾望都の「ポーの一族」や、
大今良時の「不滅のあなたへ」などの漫画作品も、
やはり不死をめぐる物語なので、
この「さまよえるユダヤ人」のヴァリエーションかもしれません。



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最終更新日  2024.03.14 20:01:44
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