マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2013.09.16
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≪ あれから ≫

 ゴール後、完走証と完走Tシャツを受け取る。預けていた荷物を引き取り、ホテルの大浴場へ。脚が痛むのに重たい荷物を持って、階段で3階まで。エレベーターがないのだ。これもまた修行の内。さっぱりして1階まで降りると、JR猪苗代駅へのシャトルバスは出たばかり。次の便は1時間先とのこと。そこへ1台のタクシーが停まった。

 これは良かったと思って乗ろうとすると、東京の若者が呼んだものらしい。頼んで同乗させてもらう。料金は1600円ほどだったが、私が千円出した。若者は恐縮したが、私もそれで助かったのだ。このお陰でちょうど良い電車に乗れ、悠々座ることが出来た。私の目の前に1人の女性が座った。彼女も65kmの部に出たとのこと。



14中田浜.jpg 中田浜(21km地点)


 ウルトラ挑戦は2度目だが、今回が初めての完走だった由。一目で心身が健康だと分かる、感じの良い女性で、3人のお子さんがおられるとのこと。彼女を相手に終点の郡山まで、今日のレースや全国で走ったウルトラレースなどの話をした。別れ際に、退屈せずに有益な話を聞けて良かったと彼女。私もこんな素直な人に話せて嬉しかった。

 新幹線の乗り継ぎも良く、自宅には7時前に着いた。早速荷物を整理し、ワインレッドの完走Tシャツ、歓迎会の記念品のワイン、抽選で当たった外国製のポシェットは妻へプレゼントした。残ったのは1枚の完走証。それも完走記を書き終えた後は、切ってメモ用紙に。その完走記の写真すら、容量オーバーになれば消える。それで十分、思い出は私の頭の中にあれば良い。


57完走Tシャツ.jpg ワインレッドの完走Tシャツ


 翌日は整骨院へ行った。「50kmは行けたでしょ?」と院長。私は折り畳んだ完走証を広げて見せた。それを見た院長が驚いた。「いや~。良く頑張りましたね」。両脚の筋肉はかなり傷んでいたようだ。マッサージを受けると、強い痛みが走る。それでも厳重にテーピングしたお陰で、この程度の傷みで済んだ由。膝にサポーターをつけてレースに臨んだのは平成19年の「おきなわマラソン」以来。今回はゆっくり走ったため、何の違和感もなかった。

 「次回は2日後に来てください」。院長の指示を無視し、私は1週間後の日曜日を予約した。次の予定レースまで1カ月ちょっとある。確かに通院すれば状態は改善されるが、ここは自分の体の自然治癒力に任せてみよう。私はそう考えたのだ。



35.5つ目の坂下.jpg 5つ目の山を下った湖畔(42km地点)


 9月10日火曜日は、街中のホテルで高校時代の同学年会があった。今回は古稀を祝うのが目的だが恩師の姿はなく、同窓会会長が列席しただけだった。高校卒業後52年。物故者も増えた。会は先ず物故者への黙祷で始まった。クラスの仲間は良く会っているので分かるが、他の組の連中は2、3人を除いて見覚えがない。

 もうすっかり老人の顔だ。話題も体調の話が多くて閉口した。ある人の提唱で、サミエル・ウルマンの詩「青春」を一緒に朗読した。「青春とは人生のある時期のことではなく」で始まる有名な詩だが、私は黙って聞いていた。男が40になれば自分の顔に責任を持てと言う。70にもなって一緒に詩を読んで人生を振り返って何になる。

 70歳の男なら人生訓の2つや3つくらい自分でも作れるはずなのだ。私は数日前に走り終えたウルトラマラソンの話をした。ついでに全都道府県を走った話や、走り始めてから地球2周に達したことも。列席者は51名いたが、ほとんどの人は驚いたようだ。だが1人の学友が近づいて来て私に言った。「年に20回ほどフルマラソンに出ている」と。私は大いに飲み、大いに酔った。



50国道49号線.jpg 道路標識の磐梯山(57km地点)


 9月14日(土)。レースから1週間後のこの日。ブログ更新後、近所の公園を走った。舗装道路と土の道をゆっくり10周。5kmほどの距離に50分近くかかった。脚に痛みはなかった。どうやら「自然治癒力」で痛みが取れたようだ。翌日の日曜日も同様に5kmをゆっくり走った。脚の違和感は全くない。整骨院から電話が来たが、「キャンセルします」と断った。

 来月の「浜名湖一周」は100km。果たして今の私に100kmを走破する力が残っているかどうかは分からない。だが挑戦する価値はありそうだ。問題は妻。また心配して何か言い出すだろうが、体調の判断はいつも通り自分でする。「もう駄目だ」と思ったら、その時点でレースは終了。ウルトラマラソンは精神力が強く作用するスポーツなのだ。



53長瀬川.jpg 長瀬川の土手(61km地点)


 それにしても「磐梯高原猪苗代湖マラソン」では、良く最後まで走れた。今さらながら奇跡だと感じる。70年近く生きていると、たまにはこんな不思議なことに出会うものだ。これまでもう駄目だと思ったことが6度はあるだろう。何故だか知らないが、その都度何とか立ち直ることが出来た。今回はその典型的な事例だったと思う。ウルトラマラソンの奥深さを感じる所以だ。<完>





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Last updated  2013.09.16 08:09:47
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