こんばんは

「竜馬がゆく」
大河ドラマだけじゃなくほかでもドラマ化されていますよね
かといってみたわけではないですが
ゆっくり本を読む時間が欲しいですね(*_*; (2019.03.08 20:35:28)

マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2019.03.08
XML
カテゴリ: 読書
~維新前夜を読み解く~



 司馬遼太郎著『竜馬がゆく』全8巻文春文庫を読了した。4か月もかかったが、全く飽きることはなかった。この原作を元にした大河ドラマも放送された頃、私は別な歴史小説を読んでいた。いずれも埼玉県のブロ友Cさんから譲ってもらったものだ。それをなぜ今頃になって読んだのかは触れないが、やはり今で良かったと感じた。本の内容を受け入れるだけの素養がようやく備わっていたと思うからだ。

  大黒屋光(幸)太夫(左)

 元々日本の古代史や考古学関係の専門書ばかり読んでいた私が幕末期に魅せられたのは、吉村昭著の『大黒屋光太夫』を読んでから。伊勢国白子(現在の鈴鹿市)の船頭であった光太夫の乗った廻船が、難破して漂着した先がロシアのアリューシャン列島。帝都サンクトペテルブルクの女帝エカテリーナに日本への帰国を願い出、根室に帰るまでの10年間の苦労と当時の国際情勢が手に取るように分かった。

      楠本イネと娘高子  

 日本初の女医、楠本イネの生涯を描いた吉村昭の『ふぉん・しいほるとの娘』も名著だった。日本への研究心に満ちたシーボルトの実態。日本人妻お滝との間に生まれたイネ。外国勢に開国を迫られる幕末日本の動転ぶりと各藩の動き。その中でのシーボルトの国禁騒動と追放。唯一外国に開かれた港町長崎の姿。女医イネの誕生と苦労。イネの成長を通じて幕末と明治の日本、そして国際状況が学べた。



 イギリスの外交官で後に枢密顧問官となったアーネスト・サトウの著『一外交官が見た明治維新』が実に秀逸。彼は幕末期の日本と日本人を冷静な目で観察していた。日本語を理解して候文も書け、各藩の主要人物と交わり、「生麦事件」にも遭遇。『竜馬がゆく』では2人が2度出会ったと書かれているが、実際はどうだったのだろう。明治には駐日公使として来日し、近代日本をつぶさに見ている。



 歴史小説は歴史そのものではないが、歴史の一面は捉えている。迫り来る先進国の脅威と各藩の激しい動き。竜馬の脱藩からその死に至るまで、動乱の日本が余すところなく描かれた小説だった。原作は昭和37年から41年にかけて産経新聞夕刊に連載された。これによって竜馬の考え方と生きざまが、あまねく世に認知されたようだ。大河ドラマの脚本もこれに拠ったようだ。



 激しく変動する日本と諸外国の動静。慌てふためく各藩の対応。元寇などそれまでも国難はあったが、過去最大の国難が日本に迫っていた。水戸藩、土佐藩、長州藩などでは藩士同士が殺し合い、薩摩と長州では外国船を砲撃して戦争にもなった。それ以前の啓蒙思想家に対する厳罰と安政の大獄。そして戊辰戦争で国内が真っ二つに割れ、新政府誕生後も西南の役などの混乱。(写真は左から岩倉具視、西郷隆盛、大久保利通、高杉晋作)



 大城立裕の『小説琉球処分』にはペリーの黒船来航と沖縄が日本に組み込まれる過程が描かれている。だがそこには列強の侵略を乗り切った「内地」の苦難と流血は存在しない。国際認識が違っていたし人物もいなかった。それは現在も同様に思える。島の利益だけ考えていたら、いつかとんでもない事態を迎えるのではないか。『竜馬がゆく』は独創力、判断力と、先を見る目の大切さを教えてくれたように思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2019.03.08 00:00:24
コメント(12) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:大著読了(03/08)  
すごい読書家ですね。男性で読書をする人、尊敬しますし、また歴史の本なども読破されて、それらが頭に残って、世の流れ歴史の流れがよく理解されていることでしょう。
わたしなんか、歴史の授業もあまり興味はなく、小説だってあんまり読んでないし、もっともっと本を読んでくればよかったなあと反省します。
いま方でも遅くないと思いますが、英語勉強で時間が取れない…これはきっといい訳でしょうね。やはり本が読めない人間なんでしょう。来世はきっと・・・^-^;; (2019.03.08 06:52:51)

Re[1]:大著読了(03/08)  
マックス爺  さん
ローズコーンさんへ


お早うございます!!
いつもコメントをありがとうございます。

歴史の勉強も英語同様に積み重ねの連続です。
古代史、考古学、人類学、神話学、言語学、
文化人類学などの専門書を、素人ながらも
長く読んで来たことが私の歴史認識の原点に
なっています。

ふとしたことから歴史小説(時代小説では
ありません)の面白さを知り、なかんづく維新
前後の大動乱の時期の日本と日本人の
面白さに取りつかれました。(^_-)-☆

今回の『竜馬がゆく』は多分その集大成になった
ように思います。作家の歴史と真実に対する
熱い思いも感じました。このような大著を読むこと
が出来て幸いでした。

一番目に感想文を書いていただき、ありがとうございます。
今日の仙台は暖かい春の日になるみたいです。😊

(2019.03.08 07:03:13)

Re:大著読了(03/08)  
おはようございます。
まあ~~すごい!読書家尊敬します。
病気してから読書トンと脳に入りりませんのよ😭
これからの私どうなるんだろう、
今朝はまた寒いよー、これから動かなくては・・ (2019.03.08 08:51:04)

Re[1]:大著読了(03/08)  
マックス爺  さん
田舎のシルビアさんへ


今日は~!!
いつもコメントをありがとうございます。

いえいえ、とんでもありません。
最近は目も弱り、なかなか読めないでいますよ。(;^_^A

それでも自分の人生で出会え、感動した本の存在は
有難いものですね。💛😊

今日の仙台は静かな春の陽気。早速ベランダに
布団を干していますよ。☀(@^^)/~~~
(2019.03.08 09:44:36)

Re:大著読了(03/08)  
こ う  さん

Re:大著読了(03/08)  
yorosiku!  さん
若い頃は読書好きだったんですが、最近はPCばかりです^^;
『竜馬がゆく』は男性がよく読まれているのでは?
先日、映画「洗骨」を見てきました。シビアな映画と思っていたら、随所に笑いありで、よい映画でした。 (2019.03.08 22:05:55)

Re:大著読了(03/08)  
古代史、考古学、人類学、神話学、言語学、
文化人類学などの専門書を・・

素晴らしいです。もう学者ですね。
しかも私みたいに何もわからない者にも、分かるようにかみ砕いてブログには書いてありますし、これ等は本当に記録として残しておくべきですね。 (2019.03.09 07:00:45)

Re[1]:大著読了(03/08)  
マックス爺  さん
こ うさんへ

お早うございます!!
いつもコメントをありがとうございます。

竜馬を代表とする攘夷派だけでなく、
新選組に代表される佐幕派もまた
幕末の主役ですね。

いままでどれくらいの小説やドラマに
なったことでしょう。それだけあの時代は
日本にとっても重要な時期だったのでしょう。😊



(2019.03.09 07:34:13)

Re[1]:大著読了(03/08)  
マックス爺  さん
yorosiku!さんへ


お早うございます!!
いつもコメントをありがとうございます。

『竜馬がゆく』最高でした。男ならきっと
誰でもが心をときめかすでしょうね。

「洗骨」なんて映画があるんですか。
その舞台は沖縄?それとも奄美?

私は割と最近、奄美の洗骨もどき
(完全なスタイルではなく形だけですが)
をTVで見て驚いたばかりです。(^_-)-☆
(2019.03.09 07:39:07)

Re[1]:大著読了(03/08)  
マックス爺  さん
ローズコーンさんへ


お早うございます!!
再びのコメント、ありがとうございます。

いえいえ、どんでもありません。
ただのど素人が勝手な思いで「つまみ食い」
をしてみただけですよ。
専門家と言うのは定説になる考え方を
ただただ積み重ねて行くのでしょうが、
ただのど素人は単なる「思いつき」に
過ぎないのですよ。(^_-)-☆

そしてそれすらドンドン忘れて行きますしね。
だから私が書くのは他人のためではなく、
自分のため時々考え方をまとめてみてるだけ
なんですよ。(;^_^A
(2019.03.09 07:44:33)

Re:大著読了(03/08)  
しぃ2006  さん
「竜馬がゆく」読了、お疲れさまでした。
歴史好きなマックスさんですから、読みながらいろんなことを考えたことでしょう。
私の本をマックスさんが読んでくださったこと、とてもうれしく思います。

ここ一年、通勤時間が長くなったので、たくさん本を読んでいます。
読書は楽しいです。

(2019.03.09 21:43:03)

Re[1]:大著読了(03/08)  
マックス爺  さん
しぃ2006さんへ


お早うございます!!
わざわざのコメントありがとうございます。

8ねんぶりくらいで、譲っていただいた本を
ようやく読み終えることが出来ました。

いまさらながら幕末の動乱と、司馬遼太郎が
描いた若き日の竜馬の生きざまに思いを
馳せています。

この大著を、若き日のしぃさんがどんな思いで
読み進められたのかと、何度も考えておりました。

日本人が命をかけたあの時代。それまでも獄
などで死んだ先達。大変な時期に命を削って
生き、そして死んで行った志士と幕府側の武士
たちに、ただただ歴史の厳しさを感じるばかりです。

素晴らしい書物をお譲りいただいたこと。改めて
御礼申し上げます。良い機会を与えていただき感謝です。😊
(2019.03.10 06:33:04)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: