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2012.03.06

藤原の大宮仕へ生れつぐや

(3)

カテゴリ：万葉恋々

作者未詳

藤原の大宮仕おほみやづかへ生あれつぐや
処女をとめがともは羨ともしきろかも

万葉集　５３

藤原京の大宮仕えをするために生まれつづけるのかなあ。
あの少女たちは世にも稀なるうらやましい存在だなあ。

註
処女をとめ：ここでは、「采女（うねめ、さいにょ）」のこと。神殿の神供水（じんぐすい、聖水）を奉仕する神聖な少女。朝廷において天皇や皇后に近侍し、食事など身の回りの雑事にも与（あずか）った女官（にょかん）。その多くは地方豪族の娘で、政治的な人質の含みもあったと見られるが、才色兼備の若い女性であり、皇族・貴族などに見そめられることも多かった。当時の若者たちの憧れの的だったことを示す記述は多い。
→ 画像〔１〕〔２〕〔３〕
＊采女祭（うねめまつり）奈良・采女神社

処女をとめがとも：采女たちの朋輩（ともがら）。

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Last updated 2012.03.09 10:35:38
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■コメント

梅の花今盛りなり

けん家持さん

藤原の宮の御井の歌の反歌ですね。
　志貴皇子の明日香風の歌とつらつら椿の歌の間にある、この御井の歌（長歌）は洗練された修辞で語調もよくて気に入っている歌の一つであります。
　大和三山の真ん中にある藤原宮の大極殿跡に立って四囲を遠望すれば、この歌の詠い上げる風景も彷彿として来ます。
　まあ、今は、采女もその仲間たちの姿もなく、時に日系ブラジル人の人達が集まって向こうの音楽をかけて踊るなどして休日を楽しんでいたりと、いささかのミスマッチもあったりはしますが・・（笑）。
　ところで、
「ともし」は、
（１）少ない、貧しい、不十分な
（２）うらやましい
（３）珍しい、貴い、高貴な
の意がありますが、原文「乏吉呂賀聞」を「羨し」と表記されている通り「うらやましいことだ」と解釈するのが一般的ではないでしょうか。

ともしろき　御井の処女の　影とかも　大和は梅の　今盛りなり　（偐家持）
(2012.03.06 14:01:03)

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訂正

けん家持さん

歌にミスプリありました。訂正します（笑）。

ともしきろ　御井の処女の　影とかも　大和は梅の　今盛りなり　（偐家持）
(2012.03.06 15:24:51)

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「ともし」について

くまんパパさん

けん家持さん、５２番の長歌も含めていい歌ですよね。私も好きです。

ご指摘の「ともし」については、私が参考にしております講談社文庫版「万葉集」（中西進校閲・訳注）によりますと、

──「乏し」と「羨し」は同語。「めづらし」などと同じ。

という注が付いておりまして、古語辞典などの語釈を考え合わせますと、おっしゃる（２）と（３）の意味を両方包含していると思われます。

拙訳は、（３）の意味寄りにしてみましたが、ご指摘のニュアンスもあると思いますので、本文を訂正します（＾＾）
(2012.03.06 16:21:35)

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