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2007.11.03
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カテゴリ: Travel
サンタ・アガタでタクシーを探す。幸いホテルからすぐのところでタクシー溜りがあり、運ちゃんがたむろしていた。一番前に停めたタクシーの運ちゃんがいないので、2番目のタクシーの運ちゃんに話しかけたら、胸に手を当てて、自分はまだ交渉できないという。一番前のタクシーの運ちゃんとまずは話さないとダメだそうだ。
「だって、いないじゃない」
「すぐ戻ってくるから待って」
どうやら、そういうルールが運転手仲間で徹底しているらしい。少しして、中年のオッサンが道の向こうから慌てたように駆け寄ってきた。
「彼だよ。話して」
と2番目の運ちゃん。
「ポジターノの『イル・サンピエトロ』に行きたいんだけど」
「はいはい、いいですよ」
「場所は知ってる?」
「知ってるよ」
「ここからだと、だいたいいくらぐらいかかる?」
「さあ。メーターがあるから、それで」
「メーターがあるのはわかるけど、だいたいいくらぐらいか教えて。ポジターノはよく知ってるでしょ」
「う~ん。たぶん50ユーロぐらいかな」
「OK。じゃ、ホテルに来て。そこの『ドン・アルフォンゾ』」
タクシーも無事見つかって、ホテルまで来てもらう。個人旅行ではなんと言って荷物を自分で運ぶのが大変だ。ドア・ツー・ドアでポジターノのホテルまで連れて行ってもらえば、これほどラクなことはない。

タクシーの運ちゃんは、陽気でよくしゃべる。タクシー内はMizumizuと運ちゃんの漫談状態になった。
「サンタ・アガタへはどこから来たの?」
「ソレントから」
「ソレント、よかった?」
「全然! 駅に荷物も預けられないし、ホテルで聞いてもダメだって。親切じゃないのよ」
「え~、俺はソレントの人間なんだけどな」
「もっと親切になるべきよね。観光の街なんだから」
運ちゃん、ウッとつまって話をかえる。
「ドン・アルフォンゾの食事は気に入った?」
「ここだけの話だけど、あんまり美味しくなかったのよ」
「やっぱりね。そういうのはキミだけじゃないよ。あそこは宣伝がすごいからね」
身びいきの強いイタリア人は、自分の地元が「印象悪い」と言われると露骨にがっかりする。だが、自分と関係のない人間の悪口は大好きだ。
「そう、宣伝がね。イタリア人がいないんだもの」
「アメリカ人ばっかりだったでしょう」
「そうそう。アメリカ人ばっかり」
タクシーはソレント半島の細い道をうねうねと走る。それほど渋滞もなく、快適なドライブだった。眼下には蒼い海と断崖絶壁の海岸線が続く。
「ねえ、どこかで停めてくれる? 写真を撮りたいんだけど」
「待って、待って。ここはそんなにいい場所じゃないよ。もっときれいなところがあるからさ」
運ちゃんが自慢げに言って、停めてくれた場所から撮った写真がこれ。
花のソレント半島

まさに「花のソレント半島」だ。タクシーの運ちゃんは楽しそうに土地の自慢話を繰り広げる。そういえば、陣内氏も「イタリアの地方を回るなら、多少高くても土地のタクシーをチャーターするといい。その土地の自慢話をたっぷり聞かせてくれる」とアドバイスしていた。この運ちゃんはまさにそんな感じだ。

「あそこに、フランコ・ゼフィレッリの別荘があるんだよ。ゼフィレッリは知ってる?」
「もちろん、『ロミオとジュリエット』はすごくよかったし、『ブラザー・サン シスター・ムーン』も見たよ。ラストシーンでラベンナのモザイクが出てきて、きれいだった」
「オペラも有名だよね」
そう、ゼフィレッリはオリビア・ハッセーのジュリエットを撮った監督としても知られているが、オペラの舞台美術に関しても、ヴィスコンティの流れを汲む「これぞオペラ」という正統派の豪華な舞台美術を作る。Mizumizuは新国立の『アイーダ』、上野の『ドン・ジョバンニ』(ウィーンフィル+小澤)でゼフィレッリの舞台を見ている。特に新国立の『アイーダ』の美術は圧巻だった。いくらかかったのだろう? 最近の新国立は予算が厳しいのか、舞台美術はとても安上がりなものになっている。

しばらくすると、海の向こうに小島が見えてきた。
「あれがセイレーンの島だよ」
「え? セイレーン?」
「そう、ギリシア神話の」
「本当!?」
「そうだよ」
なんと、オデッセウスを惑わしたセイレーンの島はここだというのだ。実はその話は全然知らなかった。ギリシア神話の舞台が南イタリアのソレント半島にまで広がっているとは。そういえば、オデッセウスの旅は地中海のあちこちに広がっているということだから、ここまで来たとしても、おかしくはない。

ことの真偽はどうあれ、セイレーンの島がソレント半島沖にあるというのは、このあたりでは信じられているらしい。あの有名なカンツォーネ、『帰れ、ソレントへ』でも、そういえば、そんな歌詞があったかもしれない。

しかし、左手に迫る山を指し、
「ここらあたりの風景は、アメリカのグランドキャニオンに似てるんだ」
という説明には、承服しかねた。
「似てないよ~」
「あれ? 行ったことあるの?」
「あるけど、似てないわよ」
「だって、アメリカ人が似てるって言ったんだよ」
ちゃっかりアメリカ人のせいにしてる。
しかし、誰だ? そのアメリカ人は。いい加減だなぁ。

というわけで、右手にセイレーンの島、左手にグランドキャニオン(嘘)を見ながら、爆笑のタクシー旅は終わり、ホテルに着いた。
結局、途中で停まって写真を撮ったりしたので、メーターは60ユーロだった。渋滞に巻き込まれていたら、きっともっと上がっていただろう。
サンタ・アガタからポジターノに行くなら、メーターではなく「60ユーロで」と交渉してみるといいかもしれない。最初のドライバーと交渉が決裂したら、次のタクシーの運転手と交渉してもよいのだから。順番は決まっているが、「いくらで行く」というのは個人の裁量にまかされている。

さて、世界的に有名なホテル「 イル・サンピエトロ 」。実際に入ってみると、驚愕の美しさが待っていた。
イル・サンピエトロのロビー

ここはロビー。床にはダークブラウンのタイルが敷き詰められ、清潔感と清涼感を出している。白壁には一部小さな穴があけられ、外からブーゲンビリアを招き入れている。ブーゲンビリアが壁から天井をつたい、時折はらはらと花弁を散らす。それを目の当たりに見たときは、あまりの美しさに足が止まった。
頻繁に掃除をしているようで、散った花はしばらくするときれいに片付けられる。だから、花が踏みつけられて汚くなるなんてことはない。
白く塗られた籐の椅子は背もたれが大きく、安楽な気持ちになる。背もたれは丸みを帯びており、天井と壁の境も曲線になっている。どうやらこのホテルは極力直線を排除し、曲線の美を追求しているようだ。

部屋に入って、その理由がわかった。スリッパに描かれた絵はギリシアに残るミノア文明の壁画のイルカにとてもよく似ている。ホテルの設計と内部の装飾は、ミノア文明の流動的なデザインに着想を得たのだろう。部屋は広くはなかった(やはり土地のない場所柄か)が、それでも部屋のそこここに「曲線」のエレメントがちりばめられていた。

相当凝ったな~、この内装のデザイナー…… と感動する。

密やかな静謐に満ちたロビーと違い、テラスはあまりに明るく強烈な、南イタリアの光と色彩に満ちていた。<その写真は、また明日。おやすみなさい>





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最終更新日  2007.11.03 03:18:06
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