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今のフィギュアスケート男子が羽生結弦の時代であることは間違いない。だが、Mizumizuが以前このブログで書いたように、それは誰が勝つかまったく分からない時代なのだ。NHK杯、グランプリファイナルと神演技を披露し、「これじゃ誰も勝てないんじゃないの?」と思われたかもしれない羽生選手の強さ。ところが、肝心なワールドでまたもやクリケットクラブの盟友に金メダルを持っていかれた。天子は神ではないから、失敗することもある。フェルナンデス選手が生涯最高の演技をしたことは間違いない。本当に素晴らしいフリーだった。2種類の4回転を跳べるフェルナンデス選手がすべてのジャンプをノーミスで美しく決めれば、羽生選手が叩きだした驚きの高得点に並ぶ点を出すことができる。それをシーズンで最も緊張するはずの最も格式の高い試合でやってのけた。フリーの演技に入っていくときのフェルナンデス選手は、笑顔だった。あの精神的な「ゆとり」は、必死になりすぎて表情がお面でもかぶったように硬くなり、肝心な場面で実力を出せなくなる日本人選手も是非見習ってほしいところだ。羽生選手のフリーの総合得点は、技術点93.59点、演技構成点92.02点。転倒に伴う最後の減点として-1があるので、最終的に184.61点。グランプリファイナルでは、技120.92点 / 演98.56点。技術点の差が27.33点もある。ワールドフリーのプロトコルはこちら。http://www.isuresults.com/results/season1516/wc2016/wc2016_Men_FS_Scores.pdfファイナルのプロトコルはこちら。http://www.isuresults.com/results/season1516/gpf1516/gpf1516_Men_FS_Scores.pdfルールをよく知らずに見てる人は、なぜそこまで点が下がるのか、理解できないかもしれない。フリーで羽生選手がコケたのは1回だけ。他のジャンプもきれいには決まらなかったし、得意のトリプルアクセルからの3連続もうまくいかなかった。とはいえ、コケた後半の4サルコウのあとに、トリプルアクセル+3トゥループを成功させるなんて、やはり五輪で金メダルを獲る人は違う。四大陸のフリー再現が期待されたチャン選手が、相変わらず大技で失敗すると、連鎖的に後半のトリプルアクセルで失敗を重ねるのと対照的だった。このトリプルアクセルの力の差が、結局はこの2人の金と銀を分けたのだ。あるショーでランビエール選手と羽生選手が続けて滑ったのを見た時、その技術と表現の洗練度の違いに、正直Mizumizuは、「なぜランビエールに五輪金がなく、羽生選手が金なのだろうか」と思ったのだ。だが、その答えは簡単だ。ランビエール選手もトリプルアクセルが苦手だった。彼もあの時代に高確率で4回転を決めながら、そしてあれほどの華と技術と革新性をもちながら五輪で金メダルは獲れなかった。トリプルアクセルの圧倒的な強さが羽生選手を常に救ってきたが、今回のライバル、フェルナンデス選手はトリプルアクセルに欠点を持たない。4サルコウの習得も羽生選手よりずっと早かった。今回はその4サルコウを羽生選手がフリーに2度入れたことが2人の明暗を分けた気がする。グランプリファイナルでは、羽生選手は4サルコウではなく4トゥループを2度組む構成で、ワールドでは難度の高い4サルコウ2度に変えた。なぜこんなリスキーなことをしたのかよく分からない。さらに高得点を狙ったうえでの挑戦なのか、あるいは4トゥループより4サルコウのほうが調子がよかったからなのか。だが、どちらにしろ、4サルコウを2度入れるということは、どちらかを連続ジャンプにしなければならず、これまで試合でやっていきているならともかく、シーズン一番の大舞台で「挑戦」するなど、いくらなんでも賛成できない。とはいえ、これは結果論。その是非についてとやかく言うのがこのエントリーの目的ではなく、同じ選手が同じシーズンの試合で、30点近くも技術点が上下することの是非について問いたいのだ。ルール上は、これは当然のことなのだ。ワールドフリーで羽生選手は最初に4Sを単独で跳んだ。そうなると同一ジャンプは次は連続にしなければいけない。単独になってしまうと基礎点が7割しかもらえない。連続にしなければいけない2つ目の4サルコウでコケた。それでも回り切ったと判定されたので、基礎点が8.09、そこからGOEマイナスで4.09。最後に転倒のマイナスがあるから、実質的には3.09点だったということになる。一方のフェルンナンデス選手は後半に単独の4S を跳び、基礎点11.55点。きれいに決まったのでGOEは3点をつけたジャッジがほとんどで、14.55点という得点をジャンプ1つで得ている。コケてるのに3点もらってるのがどうかという問題点もあるが、これがアンダーローテーション(<)判定、ダウングレード判定(<<)だと、さらに点が下がってくる。同じ転倒でも、回り切っているかいないかで基礎点が違うのは今のルールがそうなっているから、そうなのであって、その是非については何度も書いているので今は言及しないが、問題は、高難度ジャンプが決まるか決まらないかで、10点から点が変わってくるということだ。それでいて、今は転倒が「致命的」なミスではなく、回り切っていれば基礎点が入るから、選手は無茶なジャンプ構成を組み、トップ選手の転倒が増え、高難度ジャンプを回り切ってコケて勝つ、「転倒王者」が次々と生まれる。今回のフェルナンデス選手も例外ではなかった。4回転が非常にレアで、きれいに決めることのできる選手が少なかった時代なら、4回転の基礎点が破格であっても、それはそれで筋が通っていたと言えばそうかもしれない。だが、今は複数回の4回転がトップ選手の構成の「標準」になりつつある。つまり4回転というジャンプの希少性、重みは相対的に下がっていると言える。にもかかわらず、4回転の基礎点は3回転に比べて非常に高く、きれいに決まればそのジャンプ1発で13点などということになり、失敗すれば10点から点を失う。複数回入れれば、それは単純な掛け算の問題で、さらに得る点・失う点が膨らんでいく。それでいて、フィギュアの醍醐味の1つであるステップは、非常に難しい「レベル4」を取り、かつGOEで「3」を並べたとしても、最大限やっと6点しか取れない。だから、ボーヤン・ジンのような若い選手が出てきて、誰も跳べなかった4ルッツを安定的に決めたりすると、主観で上げ下げできる演技構成点で意味不明なアホみたいな点差をつけなければいけなくなるのだ。最近のクリケットクラブ組の2人に対する演技構成点は、ジャンプが決まってくれば、「10点、10点、10点」。昔あった「ものまね王座」決定戦というテレビ番組の、きびしい論調で真剣に歌を審査していた審査員の淡屋のり子がいなくなった後の視聴率稼ぎみたいになっている。今回アメリカ王者のリッポン選手は、4回転こそフリーに一度で、それもアンダーローテーション判定ではあったが、なんといっても4回転ルッツをおりてはいるし、ショート、フリーとも転倒もなく、全体的に素晴らしい出来だった。それなのに開催国のナショナルを制したベテラン選手の、あの円熟した完成度の高いパフォーマンスに対して、演技構成点はあまりパッせず、フリーでは、羽生選手と6.38点差、フェルナンデス選手とは実に12.72点差。クリケットクラブをソデにした報復ですか? アメリカ母国開催とはいえ、シングルは女子のほうを優遇するからゴメンナサイ採点ですか? 日本企業のスポンサー名だらけの会場で、アメリカももっと金出せよのISUの圧力ですか? まったく。フリーの比較羽生 93.59/ 92.02リッポン 93.08/85.64話をジャンプの基礎点に戻すが、4回転の基礎点が3回転以下のジャンプと差がありすぎるうえに、GOEでマイナスやプラスがつく、それも最近は気前よくGOE「3」をつけてくるので、男子シングルはあまりにもハイリスク・ハイリターンになりすぎ、それがスリリングな逆転劇を生む要因でもあるが、同じシーズンの同じ選手の出す点数のあまりの上がり下がりの原因にもなっている。実力が拮抗しているトップ選手の差を、客観的に「細かく」見て点数化することを目標に始まったはずの新採点システムなのに、試合が終わると1位と2位に圧倒的な点差がつきすぎてしまい、それが八百長疑惑を招く温床になっている。これは割合簡単に解決できるはずだ。トリプルアクセル以下のジャンプ、それにジャンプの種類の間についている「基礎点の差」を小さくする。具体的に言えば、トリプルアクセル以下のジャンプの基礎点を引き上げて、相対的に4回転ジャンプの価値をもう少し下げる。4回転のジャンプの基礎点を下げる必要はない。トリプルアクセル以下のジャンプの点数を上げれば、相対的に4回転ジャンプの価値は下がるからだ。GOEを細かく5段階ぐらいにするのはまったく構わないが、反映割合を下げて、あくまで基礎点重視に戻す。同じジャンプを跳んでいるのに、GOEであまり点差が出ないようにする。3回転や2回転のジャンプを基礎点を上げれば、ハイリターンを狙って、4回転ジャンプを3度も4度も入れる必要性も下がり、もっと難度を下げて完成度重視の作戦へ変更することも容易になる。そして、スピンやステップの基礎点をもっと引き上げる。特にステップの点数に占める割合が現行ルールでは低すぎる。スピンやステップも大事なエレメンツと言いながら、その基礎点が2点台とか3点台で、4回転ジャンプが最低でも10点台というのは、差がありすぎるのではないか。こうしてスピンやステップでもっと点を積み上げることができるようにし、確実に跳べるジャンプで構成するプログラムへの流れを促していけば、結果として1人の選手の技術点が試合によってこれほど上下する傾向にも歯止めがかかるだろう。高難度ジャンプがなくても「トータルパッケージ」だとか「コンプリートパッケージ」だとか、あっという間に死語になった意味不明の「こじつけ用語」で、キム・ヨナ&パトリック・チャン金メダルへのお膳立てをした「バンクーバー特製ルール2年限定バージョン」の時代に戻ってもらっては困るが、今の「同じ選手なのに、試合によって30点上下は当たり前」ルールでは、とても客観性を重んじた採点システムとは言えない。それにしても、チャン選手のフリーの出来の悪さは信じられない。四大陸のフリーを見逃した人は、彼がどれほど優れたスケーターであるか分からないかもしれない。コケないパトリックなんて、それだけでレア…というのはジョーダン(にならないの)だが、もう彼もフィギュアスケーターとしては「おじさん」なんだから、ワールドの前に四大陸に派遣して疲れさせるのはやめてもらえないですかね。カナダのスケート連盟さん。
2016.04.02
羽生結弦は、「天使」か「天子(天に代わって国を治める人物)」か?Mizumizuはかつてこのブログで問いかけた。天性のジャンプ能力を誇示しながらも、常につきまとう肉体的な脆弱性への懸念。細くしなやかで、それゆえに脆さも感じさせるルックス。少年期と青年期のはざまで奇跡的な華やかさをもって氷上に降り立ち、あっという間に消えてしまう、はかない天使のような選手になるのか、あるいは「ロシアの皇帝(ツァーリ)」と呼ばれたプルシェンコのように、その圧倒的な強さでフィギュアスケート史に燦然と名を刻む「日出処の天子」となるのか。今シーズンのNHK杯、グランプリファイナルで、羽生結弦は、すでにその答えを出した。だが、シーズンで最も重要なワールドでどんな演技をするのか、楽しみでもあったが、心配でもあった。終わってしまえば、4サルコウ、4トゥループ+3トゥループ、トリプルアクセルを軽々と決めて圧巻の点数を叩き出したが、それが本当は大きなリスクと背中合わせの、異次元の難しさであることは、フィギュアスケートを知っている人間には簡単に分かる。先の四大陸選手権は非常に質の高い競技会で、誰が勝つか最後までまったく分からなかった。Mizumizuは、久しぶりというぐらいにワクワクと選手たちの演技を見た。特に中国選手のジャンプの精度は素晴らしかったし、パトリック・チャンのフリーはと言えば、恐らく長いフィギュアスケート史上においても屈指のハイクオリティ演技だったといっても過言ではない。ワールドでも特に中国選手に対して、四大陸の再現を楽しみにしていたのだが、フタをあけてみれば、ハン・ヤン選手もジャンプ失敗、ボーヤン・ジン選手も完璧な4ルッツ+3トゥループを決められなかった。現王者のフェルナンデス選手は、彼にはわりによくある4サルコウでの転倒、チャン選手は相変わらずの3アクセルでの転倒。期待の宇野選手もコンビネーションのセカンドが2回転になってしまった。コフトゥン選手もせっかく高難度の連続ジャンプを、(彼の課題であった)回転不足なく降りながら、次の単独4回転が3回転になり、3トゥループの繰り返しで大きく点を失った。残念と言えばそうだが、「こうしたものだ」と言えば、そうなのだ。4回転を2種類入れてくるトップ選手も出る中で、男子シングルはショートからリスキーな高難度ジャンプに挑まざるを得なくなっている。高橋大輔が「もう(現役には)戻れない」と言ったぐらい、今の男子のジャンプのレベルはソチ五輪をはさんで、急激に進化した。緊張した大舞台では、その選手の弱いところがどうしても出てしまう。若い頃から苦手な3アクセルで失敗するベテランのチャン選手。難しい単独ジャンプを決めながら、最後の3回転+3回転を入れられない若手の宇野選手。世界トップレベルとはいえ、ワールドでのショートプログラムの出来というのは、こうしたものなのだ。その中で、羽生選手だけは違っていた。あの演技だけを見ていると、いつも同じことができるようにすら見えるが、インタビューを聞けば、必ずしも練習ではうまくいっていなかったという。ま、あのジャンプが日常的に跳べたら天子どころか、神だろうけれど(笑)。今日は、グランプリシリーズで力を使い果たしてしまい、シーズン最終の肝心のワールドでピーキングがうまくいかなかった羽生選手の姿もなかった。幻想的なショパンの旋律も、底知れない力強さに満ちて聞こえた。トップ選手でも次々失敗する高難度ジャンプ構成のショートをあれだけの完成度で決めてくるというのは、それだけ羽生選手の実力が異次元だということ。運動能力も異次元だが、あのキャラクターも日本人離れしている。難しいジャンプを次々と決め、アドレナリンを放出しまくり、最後に「吠える」。思えば、羽生選手が最初にワールドに登場した時も、ジャンプよりスピンよりなにより、最後のステップに入る前に、ウオッーと叫んだ瞬間の表情に、Mizumizuは圧倒された。実はあれが、Mizumizuにとっては、その後のソチの金メダルよりも、ワールド金メダルよりも、「羽生結弦のベスト」な一瞬だったのだ。それを書かなかったのは、「吠えてる」姿はフィギュアスケートの技術とは直接関係がなく、選手にとってはあまり名誉なことではないからだ。だが、氷上で人々の心をつかみ、魂を揺さぶるには、技術以上のキャラクター(性格)というものが必要なのだ。フィギュアスケートが運動競技としての以上の魅力を持ち、ショービジネスとして成り立っている理由もそこにある。今回のワールド、ショートの演技のあと、「見たか!」と叫ぶ羽生結弦は、完全にイッちゃって…じゃない、物凄い迫力だった。演技も異次元なら、ああやって感情を爆発させることのできるキャラクターもまさにスレスレ…いや、超一流の表現者のものだ。そしてキスクラでは、一転して礼儀正しい日本人青年に戻り、コーチやファンへ感謝の意を伝えて見せる。その姿は時代劇の悪代官並みにしたたか…いや、選手の模範そのものだ。聞けば、羽生結弦が勝てば勝つほど、「アンチ」が増えて、彼の言動にいちいち悪口を浴びせているらしい。いいじゃないですか? 最も人気のある者は常に最も憎まれる者でもある。これからもしたたかに、美しく、そして、できれば、「コケろよ!」と全世界のアンチから呪詛されても高難度ジャンプを冷静に決めるような、さらに異次元の選手になってほしい。「日出処天子至書日没処天子無恙云々」(日出処の天子、書を、没する処の天子に致す、つつがなきや云々…)。かつて世界の大国だった隋の煬帝に不敵な書を送り、激怒させた日出処の比類なき天子のように。そして、一部の観客からは、「あの態度は何だよ」と言われても、演技の後、「俺が一番だろ?」と人差し指を突き上げて自分自身の演技に酔う姿を見せてほしいのだ。どこででも、何度でも。
2016.03.31
男子シングルのグランプリファイナルは素晴らしい試合だった。羽生選手のショートのトンデモな得点を見て、他の選手が意気消沈するのかと思いきや、さにあらず。フリーで高難度のジャンプを次々と跳び、成功させていく世界トップ6の選手たちの技術と情熱に圧倒された試合となった。松岡修造氏も開場の熱気について言及していたが、ある意味、勝負はショートで見えてしまった試合で、これほど観衆が熱狂し、選手の素晴らしい演技に惜しみない拍手を送る光景は、「暗黒のバンクーバー五輪」前後に失われてしまった男子フィギュアの人気の復活を印象づけるもので、長くこの競技のファンをやってきたMizumizuとしては、それが何よりうれしい。ストイコが「武闘的」な4回転を成功させる。プルシェンコが「不敵な」高難度ジャンプを連発する。そのたびに観衆が湧き立つ。あの男子フィギュアにあった熱狂が失われて、何年が経っただろう。勝たせたい選手を何としても勝たせるために、その選手の長所をやたらと評価し、他の選手の短所をことさら貶める意図的な採点がまかりとおり、不可解が採点が出ると、「スケートはジャンプだけではなく、トータルパッケージ」などという、後づけの苦し紛れの正当化解説を聞かされ、あれほどフィギュアを愛していた北米の観客は、すっかりフィギュアスケートの会場に足を運ばなくなった。ジャッジの出す点が変なのは、もう分かり切っている。だが、素晴らしい演技はやはり、誰が見ても素晴らしいのだ。今回のグランプリファイナルの男子シングルの試合は、「誰にでも分かる凄さ」のもつ凄さをまざまざと見せつけた。2時間半を超える長い番組。しかも生でもない試合の平均視聴率がなんと平均20・7%(関東地区)。最高視聴率が29・2%。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151214-00000089-spnannex-ent13日にテレビ朝日で放送された「フィギュアスケートグランプリファイナル世界一決定戦2015」(後7・25~10・10)が平均20・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高視聴率を記録したことが14日、分かった。同日に放送された好調のTBS日曜劇場「下町ロケット」(日曜後9・00)第9話の18・2%を上回った。瞬間最高視聴率は午後10時8分の29・2%。男子初の3連覇を達成した羽生結弦(21=ANA)が表彰台で笑みを浮かべる場面だった。 13日は「男子フリー」「女子フリー」を放送。既に結果が分かっている録画放送ながら、高視聴率を叩き出した。フリーに続いて午後10時10分から放送された「エキシビション」も平均19・2%をマークした。 男子は14年ソチ五輪金メダリスト・羽生が12日のフリーで219・48点、合計は330・43点で、ともに自身がNHK杯でマークした世界歴代最高得点(フリー216・07点、合計322・40点)を更新。2位のハビエル・フェルナンデス(24=スペイン)にファイナル史上最大の37・48点差をつけ、男子初の3連覇を飾った。凄い数字だ…(汗)。この数字は、人々が必ずしもフィギュアに「勝負の面白さ」は求めていないことを示している。「凄いものは誰が見ても凄い」。そして「凄いものは見たい」。このシンプルな人々の要求を、今回のグランプリファイナル男子シングルは満たしてくれた。これほどレベルの高い男子シングルの試合は、かつて見たことがない。点差を見ると羽生選手の圧勝だが、彼は1つミスれば、20点レベルで点を失うような非常にリスキーな構成で試合に挑んでいる。これにはシステムの問題(現場のジャッジの採点行動の問題ではなく、ルールそのものの問題)も絡んでおり、例えばチャン選手のショートの低すぎる技術点など見ても、システムをいじって、点数があまり下がりすぎないように手を入れるべきではないかと思う。それは後日また書くとして、これほど急速に男子シングルのレベルを引き上げたのは、もちろん羽生結弦だが、もう1人隠れた立役者がいる。それは金博洋(ボーヤン・ジン)だというのがMizumizuの見方だ。
2015.12.14
闘いを終えた羽生結弦の麗しき写真とともに投稿されたプルシェンコの言葉(原文ママ)。This is what I am talking about after almost six years of Vancouver games! All the boys thank you ,for pushing our sport to no limit. Yuzu - now you are my hero! Javi -great fight!, thank you boys!!!https://www.instagram.com/p/_NPbH3my-n/
2015.12.13
長い時間をかけて、NHK杯男子シングルについての長文エントリーを書いたのだが、一瞬のミスですべて消してしまった(涙)。今は書き直す気力がない。だから、端的に書こう。2015年11月、NHK杯。羽生結弦のショート&フリーを生で観た人は幸運だ。あなたがたが目撃したのは、長いフィギュアスケート男子シングル史上、最高の演技。これまで誰も到達したことのない領域。誰も打ち立てたことのない金字塔だ。今夜の羽生結弦は、過去の男子シングル競技におけるレジェンド全員を、遠い昔話の世界に追いやった。フィギュアスケート史上屈指の選手である皇帝プルシェンコの最盛期さえ、敬意とともに墓廟の中へ閉じ込めた。「敬意」とMizumizuが書くのは、プルシェンコがいなければ、羽生結弦もなかっただろうと思えるからだ。それは羽生選手がプルシェンコに憧れていたからというだけではなく、「ボイタノ時代に逆戻り」「男子シングルが死んだ夜」とまでストイコが評したあのバンクーバー五輪で、「4回転を跳ばなければ、もはやそれは男子シングルではない」と当時のルールに挑戦状を叩きつけ、反ロシア感情の強い北米に乗り込んでいったプルシェンコがいなければ、今のこの男子シングルの急速なジャンプの進歩はなかったと信じられるからだ。ショートに4回転が2種類必要になる。こんな時代が本当に来るとは。 フリーで、4回転2種類3回、後半にトリプルアクセルを連続ジャンプにして2本。こんな離れ業を、しかも圧倒的な完成度でやってのける選手が出るとは。そして、それが日本人だとは。凄いものを見せてもらった。ショート&フリーを通じて、羽生結弦は神のように崇高で、悪魔のようにしたたかだった。 炎のように闘争的で、氷よりもクールだった。今日は男子シングルに、新しい次元が切り拓かれた夜。 歴史が変わった瞬間を、ついに私たちは目の当たりにした。
2015.11.28
グランプリシリーズに浅田真央選手が参戦したせいか、拙ブログへのアクセス数が急上昇(汗)。やはり凄い、浅田真央人気。もちろん素晴らしい選手で、フィギュアスケート史に残る名選手であることは間違いないが、他の日本女子も頑張っていると思う。本郷選手の成長も目を見張るものがあり、これからの彼女のスケートも非常に楽しみだ。フリーの技術点から見れば、浅田選手を6.56点も上回っている。さすがに浅田真央を下して全日本女王のタイトルを手にした鈴木明子選手を指導したコーチについているだけのことはある。浅田選手について言えば、滑り出しからもはや、何もかもがティーンの若手選手とは別次元だった。ショートでは、これまで少し弱いかな? と思っていたポーズの力強さと美しさが印象的だった。初めから終わりまで、「は~、キレイ」「は~、すげぃ」「は~、うまい」と鳥肌立ちっぱなしのMizumizu。ジャンプで度胆を抜かれたのは、フリーのトリプルアクセル。凄い完成度かつハイクオリティだった。成功率はともかく、質ではロシア選手に軍配を上げかけたMizumizuだが、あの力強いトリプルアクセルを見せつけられては意見を変えざるを得ない。間違ってもあのレベルのトリプルアクセルが、アンダーローテーション判定なんてことがないようにお願いしますよ。ルッツは案の定(?)、公式戦になると「!」ではなく「E」判定になってしまった。ジャパンオープンではルッツのエッジ違反減点は最低限だったので、これなら武器になるとショートに入れたのだと思うが、「E」では、減点が酷く、3回転を跳ぶ意味がなくなってしまう。フリーでは気にしたのが、ルッツをトリプルにできなかった。やはり、ルッツには赤に近い黄色信号がともったかな、という印象。浅田選手の場合は、構えているときはアウトエッジだが、いざ跳ぶ時にエッジがスライドしていってしまう。左側からの画面だとよく分からない(アウトに乗って踏み切るところまでいっているように見える)のだが、後ろからだとかなりハッキリwrongだという印象だった。 「だった」というのは、今シーズンの浅田選手のルッツのエッジがどの程度アウトに乗って踏み切れているのか、今回のテレビの画面の方向からではよく分からないので、あくまで過去のクセに言及することしかできないから。 ただ今回、確かに踏み切る直前にエッジがインサイドにスライドしているかな、というのは思った。本人は「アウトに乗って踏み切れるようになった」と発言しているので、スライドしていっている自覚はないのかもしれない。肉眼ではよく分からないし、エッジの矯正というのは改めて大変なことだ。 おまけにスペシャリストの判断も一貫性・正確性に疑問符がつくし。ルッツのエッジ違反は「!」程度だと判断してもらえれば武器になる。「E」では、ほぼトリプル跳ぶ意味がなくなる。浅田選手のルッツに関してはもう少し試合を見たいところだが、「E」判定があるとなると、ショートに入れるのは危険だろう。一貫して浅田選手に冷たかったメディアも、キム・ヨナ選手が引退したとなったら(かどうかは知らないが)、浅田選手の高難度構成を手のひらを返したように持ち上げていて、逆に気持ちが悪い。抜群の人気を誇る浅田真央に乗っかって盛り上げ、視聴率を取ろうということしか考えていないのだろう。プロトコルを見れば、やはり3回転+3回転のセカンドにつけるトリプルループはアンダーローテーション判定だ。それに加えて、ルッツはE、フリーの2A+3Tの3トゥループも回転不足では、正直、バンクーバー前と、判定上はたいした変わりはないではないか。ルール改正で減点幅が変わっただけのことだ。セカンドにつける3回転については、Mizumizuは一貫してループではなくトゥループにすべきだという主張だ。ソチでのあの素晴らしい3回転+3回転の トリプルループさえアンダーローテーション判定なのだから、今後も期待できない。スローで再生すれば恐らくどこか足りていないのだろうし(それがどの程度なのかはともかく)、セカンドを回り切ろうとすると今度は最初のジャンプが省エネで足りなくなる。このパターンを今後、25才を過ぎた女子選手が脱することができるとは思えないのだ。フリーのダブルアクセル+3トゥループも回転不足判定だが、この 3トゥループはかなりよくなったと思う。以前は、もう明らかに回転不足と思えるものが多かったが、認定されていいレベルまで来ており、これについては明らかに進歩が見られた。あの年齢で、これまで以上に進化するなど、しかも休養をはさんでここまで持って来るなど、本当に人間離れしている。天才としか言いようがない。エッジ違反や回転不足判定は置いておいて、浅田選手自身が試合という舞台を楽しんでいる様子が何より嬉しかった。 この気持ちを失わずに続けて欲しい。中国にも多くの浅田真央ファンがいるということが、今回よく分かった。技術的に見ても、スケーティングはさらに伸びやかになり、余裕のある表現といい、円熟とはこういうものだというお手本だろう。 見せて、魅せる――やはりフィギュアスケートはこうでなくては。若い選手がポンポン跳ぶだけの競技にしてはいけない。 プロトコルはこちらから。 http://www.isuresults.com/results/season1516/gpchn2015/gpchn2015_Ladies_FS_Scores.pdf
2015.11.09
【送料無料】眠りの世界に品質を。快眠・安眠を支える抜群の体圧分散と寝返り特性。1枚で和室やフローリングにもお使い頂くことができます。エアウィーヴ 四季布団 シングルロング airweave【お布団 タイプ】【カバー両面仕様】【1枚敷きが可能】 浅田真央の現役復帰に合わせたのか、新宿高島屋の駐車場から店内に入ってすぐのところにある、おなじみのエアウィーヴのポスターが錦織選手から浅田選手のものに変わった。 購入当初は、「カタイ」とか「腰痛再発か?」などと書いたMizumizuだが、ある程度長く使ってみての今の感想は・・・ エアウィーヴ、最高でしょう!! ということになる。 この夏から秋にかけては非常に仕事が忙しかった。朝から晩までパソコンに張り付いて、平均して1日8000文字入力するようなハードなデスクワークで、肩も腰もかなりの負担を強いられているハズなのだが・・・肩こりがなくなった!エアウィーヴを使う前は、 仕事が立て込んでくると、決まって重だるい肩こりに悩まされていた。そこから気分が落ち込み、集中力が続かなくなっていた。「若い頃みたいに、サクサク仕事が片づかなくなったなあ。これも年かしらん」などと半ば諦めの境地になっていた。眠りが浅いのが、よく同じイヤな夢も見ていた。ところが最近、非常に仕事がはかどるのだ。寝具でこれほど、仕事が快調になるなんて、まるでCMの決まりきった宣伝文句みたいで言いたくないのだが、本当だ。眠りが深いのか、夢もおぼえていないし、目が覚めたあと布団の中でグズグスすることなく起きることができる。この「起きたときのスッキリ感」は、エアウィーヴ以外では体験したことがない。ただ、やっぱり「硬い」感じが否めないので、今はエアウィーヴの下に1枚マットレスを敷いて寝ている。自分にはこちらのほうが合っているよう。最初は、あまりポジティブな感想を書かなかったエアウィーヴだが、長く使ってみて、「買ってよかった」と思えた。寝具としては高めだが、毎日の生活の質を向上させてくれるツールとして考えれば、極めてよい商品だ。
2015.10.28
ジャパン・オープン2015を観た。驚いた。まず驚いたのは観客数。オリンピックの余韻も去り、ファンが競技離れを起こすこの谷間のシーズンで、さいたまスーパーアリーナ―を埋め尽くす客、客、客の姿。「浅田真央復帰」のもたらす熱波をまざまざと見た気がした。そしてCM。浅田真央、浅田真央、浅田真央の連発ではないか。浅田真央による浅田真央のためのイベントと言っても過言でないくらい。先の五輪では、成績だけを言えばメダルを逃した選手だ。しかも、25歳と女子フィギュアスケーターとしては、普通ならピークを過ぎた年齢だ。にもかかわらず、これだけのスポンサーがつく。いかに浅田真央という存在が破格であるか。Mizumizuは「浅田真央という一大産業」と評したことがあるが、その輝きは休養を経て、ますます増したようだ。そして、演技。この時期の試合で復帰するのは、少し早すぎるのでは? と思ったが、とんでもなかった。あの年齢で、あれだけのスタイルを保ち、かつあれだけの高難度ジャンプを跳ぶ。本人の努力が尋常でないことは当然うかがえることだが、結局のところ、何をやっても才能がすべて。これほどフィギュアの神様に愛された選手が、過去いただろうか?すらりと細い、ロシアの某コーチの悪口を敢えて借りれば「子供体形」を保っていられること自体が、すでに奇跡に近い。実際には子供体形ではないが、例えば、現・世界女王のトゥクタミシェワ選手は18歳ですでに、あれだけ女性的な肉がついてきてしまっている。Mizumizuは、トゥクタミシェワのトリプルアクセルは、質だけを見れば(成功すればだが)浅田真央選手以上だと思っているのだが、あの体形を見ていると、「いつまで跳べるだろう?」という不安を抱かずにはいられない。18歳の世界女王が転倒してしまったトリプルアクセルを、25歳の元世界女王が決める。逆ならわかる。18歳が決め、25歳が跳べなくなっている、というのなら。25歳の女子フィギュアスケーターがトリプルアクセルをあれほど力強く跳び、(個人的にはやや回転が足りていないようにも見えたのだが)降りる。これだけで、もうひっくり返るような驚きだ。今回はこの大技に入っていく時に、まったく迷いというものがなく、思い切って跳んでいた。「勝負師」浅田真央の男気を見る思いだった。長い休養を経たあとの演技がどうなるかは、五輪女王のソトニコワ選手を見ればわかる。怪我からの復帰とはいえ、オリンピックの時の爆発的なジャンプはすっかり色あせていた。1つ1つのジャンプの高さと幅はさすがだが、連続ジャンプをほとんど入れることができなかった。浅田選手は15歳で世界の舞台に踊り出て以来、大きな怪我がない。いや、実際には怪我した状態で黙って言い訳せずに出場していただけかもしれないが、長期にわたって休まなければいけないような大きな怪我がなかった選手だ。本当に、どこまでフィギュアスケートの神様に愛されているのだろう?「回転不足判定を厳しくするのは、選手の怪我を防ぐため」などと、さかんに吹聴し、試合によってバラバラな判定の理不尽さからファンの目をそらせようと躍起だった大昔の元ジュニア選手がいるが、これほど回転不足判定を受けながら、ほとんど回転不足判定を受けない選手より、浅田選手ははるかに怪我の少ない選手なのだ。「回転不足のまま降りるクセがあると怪我につながる」というのなら、浅田選手はなぜ、15歳から25歳までの長きにわたって、大きな怪我なく、(さかんに回転不足判定を受けながら)試合に出続けることができたのだろう?今回の演技では、技術的にも、進歩が見られた。素晴らしかったのは、ダブルアクセル+トリプルトゥループ。このセカンドジャンプがあからさまに回転不足で降りてくることが多かったのだが、今回は文句が付けられないほどクリーンに降りた。そして、Mizumizuが一番心配していたのは、ルッツ。今季のルール改正は、エッジの正確性をより細かく見るようになっている。浅田選手のルッツのエッジがどう判定されるか注目していたが、「!」マークで、GoEがわずかに減点とまずまず。テレビではスローのアップが出なかったし、今回テレビに映った角度ではアウトエッジで跳んでいるようにも見えたのだが、浅田選手の場合、跳ぶ直前にエッジがスライドしてしまうので、見る角度によってはwrong edgeなのかもしれない。だが、減点は最小限で、これならルッツを跳ぶ意味もある。まあ、日本のイベント試合で、浅田真央のスポンサーばかりだったから、配慮があったのかもしれない。フィギュアスケートの採点が、開催地やスポンサーに左右されるのは、いくら関係者が口をつぐんでも、もう皆わかっていることだから、そこは否定するつもりはない。もし、ジャッジが公平だというのなら、常にこのくらいのトリプルアクセルは認定し、ルッツの判定もせいぜい「!」で、減点もこの程度にとどめる、一貫した態度を取ってほしいものだ。可能であれば、フリップにつける連続ジャンプを、ループに頼るのはやめてトリプルトゥループをつけてほしいのだが、年齢的にも、そこまでは期待できないかもしれない。しかし、ダブルアクセル+トリプルトゥループの完成度を見ると、3フリップ+3トゥループも十分回転不足にならずに着氷できそうな気がするのだが…そして表現力。もともとうっとりするような、浮世離れした雰囲気のある選手だが、いい意味で、「地上に降りてきた」感がある。これまではポーズの弱さが気になっていたが、ポーズのメリハリもついて成熟したムードが漂っている。決して安いお色気に走らず、気高さと凛とした佇まいはそのままに、観客も感情移入しやすい振付になっていた。どこか薄絹をまとった天女のようなムードは、よくフィギュアで使われる蝶々夫人の、したがってよく聞くサウンドを特別なものにした。かつてクリスティ・ヤマグチ(表現力で高く評価された五輪女王)も蝶々夫人を演じたが、アメリカナイズされた「ゲイシャ感」が、ややステレオタイプの古い日本のイメージにつながってしまっていた。浅田真央の蝶々夫人は、オペラの蝶々夫人とは離れて現代的であり、「フジヤマ」「ゲイシャ」の古い日本のイメージから、世界がすでに自由になったことを示した。ここまでやるとは、本当に凄い。期待以上だった。これからも浅田真央から目が離せない。
2015.10.05
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