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2008.02.06
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カテゴリ: Gourmet (Others)
ことさら世間の評価が高くなくても、妙に偏愛してしまうものがある。Mizumizuの場合は、「ゲビュルツトラミネール」がその対象だ。Gewuerztraminer(uはウムラウトがつくので、ウムラウト表記ができない場合は、ueと書く)、Gewuerzとはドイツ語でスパイスのこと。Traminerは「トラミン(地名)の」という意味。つまり「トラミンのスパイス」という名をもつ白ワインだ。

名前がドイツ語とはいえ、産地はフランスのアルザス地方が有名。というより、アルザスはもともとドイツ文化圏なのだ。アルフォンス・ドーテの『最後の授業』を覚えている人は、「ドイツ人が強制的にフランス語の授業をやめさせたんじゃないの?」と言うかもしれない。だが、事実は逆で、ドイツ語圏だったアルザス地方にフランス語を持ち込んだのはフランス人のほう。フランス語はアルザスの人々にとってはもともと母語ではなかった。「フランス万歳」で終わるドーテの小説自体は感動的だが、フランス人に都合よく歴史的事実を歪曲(なんて言うと中国人か韓国人みたいだが)した作品であることは間違いない。それはアルザスに行けばわかる。「ストラスブール」という街の名前からしてドイツ語だし、建物も完全にドイツ風。食事もドイツ風だ。こういう街を舞台にして、「フランス語が強制的に禁止された」なんて被害者ヅラしたことをよく書いたもんだ。ついでに「世界一美しいフランス語」などというのもやめてほしい。秋田弁そっくりに聞こえるフランス語が、汚いとはいわないが、ドイツ語だって、イタリア語だって、それぞれに美しさをもっている。子供のころ、単純に感動して、「ドイツ人ってひどいなぁ」「フランス語って、素敵な言葉なんだ」などと思ってしまった自分が情けないや、ちぇっ!。

だから、アルザスの白ワインはあくまでドイツ風だ。もっとも有名なのはリースリングかもしれない。もちろん、ゲビュルツトラミネールも多く栽培されている。ゲビュルツトラミネールはなぜか日本ではあまり人気がない。ドイツ語ができない人には名前が覚えにくいというのもあるだろうし、味わいがあまりに個性的だというのもあるかもしれない。ゲビュルツトラミネールは「ライチや薔薇の芳香をもつ」と言われる。本音で言えば、ゲビュルツトラミネールの香りがライチなんだか薔薇なんだか、よくわらかない。だが、甘やかでフルーティな香りであることは間違いない。デザートワインのような香りからは想像できない、スパイシーでぴりっと辛いエキゾチックな味わい。この意外性がゲビュルツトラミネールの魅力だ。

ゲビュルツトラミネールの味には「ふくらみ」はない。だが「複雑さ」がある。花と果実の香りで誘いながら、実は甘口のワインではなく、舌先につぶつぶした刺激がくる。それがそのまま消えてしまうものもあるけれど、鼻先に抜けるように尾を引くこともあり、いったん消えたと思ったスパイシーなニュアンスが、また舌のうえに、こんどは刺激を失ってよみがえってくることもある。「花のリースリング」のような高貴さはない。といってその複雑さは、ケバさとも違う。そして、当たり外れが非常に多い。特段高級品種でもない。だから、ゲビュルツトラミネールはチャーミングな「不良少女」なのだ。成熟とは違う若々しいアロマに、多彩で個性的な味。ハズレのゲビュルツトラミネールは、香りも抜けたようになっていて、味も苦さだけが残るような平板なものになっている。こうしたハズレのゲビュルツトラミネールは、それでも、ウィンナーやチーズ、そして不思議なことにエスニックや中華料理と合わせれば、「何とか使える」ワインになる。ハズレを飲むとがっかりするが、そんなとき、「アタシはもともとその程度のワインなの。期待するアナタが悪いのよ」とせせら笑われている気がする。

だがときどき、甘くかぐわしい芳香と複雑でスパイシーなエキゾチックな味という、ゲビュルツトラミネールの魅力を十二分にそなえたモノに当たることがある。わりと値段は安いワインなので、こうしたアタリに出会ったときの嬉しさも格別。先日「ザ・ガーデン自由が丘」という高級スーパーで、900円ちょっとのチリ産ゲビュルツトラミネールを買ってみた。
ゲビュルツトラミネール
これは間違いなく、超アタリのゲビュルツトラミネール。ゲビュルツトラミネールを置いてる店自体が少ない(量販店ではまずほとんど見ない)うえに、アタリはもっと少ないから、「ザ・ガーデン自由が丘」の仕入れはさすがだ。ただ、同時に同店で買ったアルザスのゲビュルツトラミネールは、チリのものより約400円(苦笑)高かったのだが、こちらは完全にアロマも抜けて、ミネラル分だけを強く感じるだけの平板な味だった。

イタリアではGewuerztraminerをTraminer Aromatico (トラミネール・アロマティコ)と呼ぶ。「トラミン(村)の芳香」という意味だ。つまり、ドイツ人がスパイシーな味に着目して名前をつけているのに対し、イタリア人はその香りに重きをおいているということだろう。では、Traminはどこにあるかというと、イタリア北東部、スイスとの国境近くのトレンティーノ・アルトアディジェ州にある。ボルツァーノ〈ドイツ語ではボーツェン〉という街の近くで、この地方の人々はドイツ語とイタリア語の両方を話す。Traminはドイツ語での呼び方で、イタリア語ではTermeno(テルメーノ)という。道路標識にもTermeno とTraminが両方併記されている。日本ではフランスのアルザス産が有名なドイツ風の名前をもつGewuerztraminerのルーツが、今はイタリアにあるというのもおもしろい話だ。

この「イタリア語とドイツ語を両方話す地方」に行ったとき、土地の人々がいったいどちらの言葉で挨拶するかな、と思って聞いてみたら、だいたいドイツ語で挨拶していた。Mizumizuはドイツ語よりイタリア語のほうが話しやすいので、イタリア語で話しかけたら、もちろん、すぐイタリア語で返事が返ってきた。そのちょっと前までドイツ語で話していた人が、すぐスムーズにイタリア語に切り替えるというのもおもしろい体験だった。ただ、普通の(?)イタリア人に比べると、何となくぎこちない気がしたような、しないような…。で、彼らはイタリア語とドイツ語は話すが、英語はかなりダメだ。日本人からすれば、英語とドイツ語は同じゲルマン系言語でかなり近い。イタリア語はラテン系だからかなり離れている。その離れた2つの言語でしゃべりながら、英語は全然話せないというのも、妙な気がするのだが、そんなことを言ってる自分は、日本語と近いはずの韓国語は全然ダメで、英語、ドイツ語、イタリア語は話せるから、やっぱり教育なんだろう。ゲビュルツトラミネールの由来の地に住むイタリア人は、もちろん、トラミネール・アロマティコをよく飲む。現地ではありふれた手ごろなワインで、日本で飲むよりハズレが少ない気がする。

だが、日本でこの個性を愛する人が少ないせいか、ワインショップでもなかなか見ない。だからなおさら店に行くと、無意識のうちにGewuerztraminerを探している自分がいる。そして、運良く見つけると、フラフラと引き寄せられて手にとってしまう。アタリかハズレか買ってみないとわからない。それでもやっぱり飲みたくなる。だからゲビュルツトラミネールは、それを偏愛する人間にとっては、翻弄する永遠の不良少女なのだ。





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最終更新日  2008.02.06 19:22:37


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