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2009.10.10
Copyright belongs to Mizumizu. All rights reserved. This blog may not be translated
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本ブログの著作権はMizumizuにあります。無断転載・転用を禁止します。許可なく外国語に翻訳して流布することも法律により禁止されております。また文意を誤解させる恐れのある部分引用も厳にお断りいたします。
<きのうからの続き>
というのは、wrong edgeはいったんマークがつき始めると、つまり、見つかってしまうと、次からさらにつきやすくなるためだ。
ライザチェック選手のフリップは軽度のwrong edgeで、！マークがついたり、つかなかったりする。いったん目をつけられると、そうした状況にもなりやすい。
さて、キム選手の場合、ロシェット選手ができない「セカンドに3回転をつけられる」というアドバンテージがある。
だが、これも実はかなり危ういのだ。キム選手のセカンドの3Ｔは、実はときどき「多少」回転不足のことがある。それが、3Ｆ+3Ｔで起こる場合もあるが、2Ａ+3Ｔで起こる場合もある。ダウングレード判定こそないが、今まで取られなかったからといって、その今後もその回転不足が4分の１以下だとジャッジが判断してくれるかどうかはわからない（4分の1以上の回転不足だとダウングレードとなる）。
そもそもキム選手のように、背が高く、手足がすらりと長い選手は、それほどジャンプが得意でない場合が多いのだ。若いころに跳べたとしても、だんだんに跳べなくなる。17歳から20歳ぐらいの間で、女子選手はたいてい一度大きなジャンプの「乱れ」を経験する。
それを機会に跳べなくなってしまう選手と、それを乗り越えてジャンプを安定させる選手がいる
コストナー選手はキム選手と同じような、ハイスピード助走からの3Ｆ+3Ｔを跳ぶことができた選手だ。トリノの前年はこれの成功率が高く、メダル候補と言われたが、トリノのちょうどその年に、「乱れ」に当たってしまった。その後また3Ｆ+3Ｔを復活させて2季前はかなり安定して跳ぶことができ、銀メダルを獲ったが、昨シーズンはまた、コケが多くなってしまった。
凄い助走で走ってきて跳ぶのだが、ああしたジャンプは、スピードに負けると、物凄いコケにつながる。お尻からドテッと落ちてしまう。伊藤みどりが、コストナー選手の3Ｆ+3Ｔのコケを見て、「凄いスピードで来るので、コケるときも凄いですねぇ」と、素人さんのようなソボクな感想を言っていた（苦笑）が、伊藤みどりは、助走のスピードに負けてコケるということがない選手だったので、ああした失敗を見て素直に驚くのかもしれない。
キム選手にとっての「乱れ」がいつ起こるのか。今年か来年か、それはわからないが、女子選手には避けて通れない関門だ。コストナー選手の「スピードに負けてコケる」という失敗は、キム選手が3Ｆ+3Ｔを今後も続ければ必ず起こってくる現象だ。
それを避けるために、あえて助走がそれほどなくても跳べるルッツに3トゥループをつけるというのがオーサーの作戦なのかもしれないが、この微妙な時期に、これまで馴染んできた3Ｆ+3Ｔを3Lz+3Tに変えるというのは、それはそれでリスクがある。
キム選手はスピードを利用してフリップからの連続ジャンプをうまく跳ぶが、ルッツにした場合、助走のスピードはフリップほどつけられない。それでも、セカンドの3回転を回りきることができるのか。ロスの世界選手権の練習で、3Lz+3Tを跳んでいるのを見たが、セカンドの3Ｔは明らかに回転が足りず、降りてからグルッとエッジが弧を描いていた。
ルッツなら、フリップからの連続ジャンプのような、「スピードに負けて大コケする」という失敗のリスクは減るが、そのかわり、あれだけスピードをつけてなんとか回りきっている3Ｆ+3Ｔの3Ｔを、ルッツで常に回りきれるのか――そんなに簡単なことではないはずだ。
どちらにしろ、数回試合を見てみなければ判断できない。
エッジ違反対策としてのジャンプ構成の変更が吉と出るか凶と出るか。
もしジャンプ構成をかえないとしても、コストナー選手のような「スピードに負けてコケ」る失敗が始まる可能性がある（それを恐れてスピードを落とすと、今度は回りきれなくなる）。キム・ヨナ選手には、実は不安な点がかなりあるのだ。
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<きのうからの続き>
というのは、wrong edgeはいったんマークがつき始めると、つまり、見つかってしまうと、次からさらにつきやすくなるためだ。
ライザチェック選手のフリップは軽度のwrong edgeで、！マークがついたり、つかなかったりする。いったん目をつけられると、そうした状況にもなりやすい。
さて、キム選手の場合、ロシェット選手ができない「セカンドに3回転をつけられる」というアドバンテージがある。
だが、これも実はかなり危ういのだ。キム選手のセカンドの3Ｔは、実はときどき「多少」回転不足のことがある。それが、3Ｆ+3Ｔで起こる場合もあるが、2Ａ+3Ｔで起こる場合もある。ダウングレード判定こそないが、今まで取られなかったからといって、その今後もその回転不足が4分の１以下だとジャッジが判断してくれるかどうかはわからない（4分の1以上の回転不足だとダウングレードとなる）。
そもそもキム選手のように、背が高く、手足がすらりと長い選手は、それほどジャンプが得意でない場合が多いのだ。若いころに跳べたとしても、だんだんに跳べなくなる。17歳から20歳ぐらいの間で、女子選手はたいてい一度大きなジャンプの「乱れ」を経験する。
それを機会に跳べなくなってしまう選手と、それを乗り越えてジャンプを安定させる選手がいる
コストナー選手はキム選手と同じような、ハイスピード助走からの3Ｆ+3Ｔを跳ぶことができた選手だ。トリノの前年はこれの成功率が高く、メダル候補と言われたが、トリノのちょうどその年に、「乱れ」に当たってしまった。その後また3Ｆ+3Ｔを復活させて2季前はかなり安定して跳ぶことができ、銀メダルを獲ったが、昨シーズンはまた、コケが多くなってしまった。
凄い助走で走ってきて跳ぶのだが、ああしたジャンプは、スピードに負けると、物凄いコケにつながる。お尻からドテッと落ちてしまう。伊藤みどりが、コストナー選手の3Ｆ+3Ｔのコケを見て、「凄いスピードで来るので、コケるときも凄いですねぇ」と、素人さんのようなソボクな感想を言っていた（苦笑）が、伊藤みどりは、助走のスピードに負けてコケるということがない選手だったので、ああした失敗を見て素直に驚くのかもしれない。
キム選手にとっての「乱れ」がいつ起こるのか。今年か来年か、それはわからないが、女子選手には避けて通れない関門だ。コストナー選手の「スピードに負けてコケる」という失敗は、キム選手が3Ｆ+3Ｔを今後も続ければ必ず起こってくる現象だ。
それを避けるために、あえて助走がそれほどなくても跳べるルッツに3トゥループをつけるというのがオーサーの作戦なのかもしれないが、この微妙な時期に、これまで馴染んできた3Ｆ+3Ｔを3Lz+3Tに変えるというのは、それはそれでリスクがある。
キム選手はスピードを利用してフリップからの連続ジャンプをうまく跳ぶが、ルッツにした場合、助走のスピードはフリップほどつけられない。それでも、セカンドの3回転を回りきることができるのか。ロスの世界選手権の練習で、3Lz+3Tを跳んでいるのを見たが、セカンドの3Ｔは明らかに回転が足りず、降りてからグルッとエッジが弧を描いていた。
ルッツなら、フリップからの連続ジャンプのような、「スピードに負けて大コケする」という失敗のリスクは減るが、そのかわり、あれだけスピードをつけてなんとか回りきっている3Ｆ+3Ｔの3Ｔを、ルッツで常に回りきれるのか――そんなに簡単なことではないはずだ。
どちらにしろ、数回試合を見てみなければ判断できない。
エッジ違反対策としてのジャンプ構成の変更が吉と出るか凶と出るか。
もしジャンプ構成をかえないとしても、コストナー選手のような「スピードに負けてコケ」る失敗が始まる可能性がある（それを恐れてスピードを落とすと、今度は回りきれなくなる）。キム・ヨナ選手には、実は不安な点がかなりあるのだ。
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最終更新日
2009.10.12 19:30:56
[Figure Skating(2009-2010)] カテゴリの最新記事
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