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<きのうから続く>
ストのせいか、駅舎に入っても、誰も働いていない。切符売り場も閉まり、切符は機械でしか買えない状況になっている。
しかも、タクシー乗り場にタクシーだけが停まり、例によって運転手がいない。しばらく待ったが運転手は戻ってこないし、別のタクシーが来そうな気配もない。
駅にタクシーゼロって、一体、どういうこと?
ストだからなのか、駅そのものが廃れてるのか、とにかくこんな状態では、待っていてもラチがあかない。ホテルに連絡してタクシーを呼んでもらうしかない。
また通行人にヘルプを求めないと・・・
最初に声をかけたのは、1人でお迎えを待ってると思しき20歳ぐらいの美人。「携帯を持っている?」と聞いたら、「持っている」と答えたので、「かわりにホテルに連絡してもらえる?」と聞くと、「今は持ってない」と、急にニベもない。
警戒されたよう。
ダメだ、女は・・・ 若い男の子のほうがよっぽど親切。と、めぼしい(笑)相手を探したのだが、若い男の子はあまっていなかった。
ふと見ると、若い男女のカップルが、ややヒマそうに市内バスの停留所に立っている。しかも、女の子のほうが携帯をいじってるではないか。
例によって、「ボンジュー」と挨拶し、「英語話せる?」と聞くと、男性のほうが話せるという。
そこで、事情を話して、ホテルの電話番号を書いた紙を指し示し、さらにコインを見せてお金は払うからという意思を見せ、かけてくれるかと聞くと、快く彼が彼女に通訳し、彼女からわたされた電話でホテルにかけてくれた。
ホテルの従業員が出たところで電話をかわり、「駅にタクシーが全然いないから・・・」というと、「全然いない?」と驚いている。「駅というのはTGVの駅か」と聞くので、「ノー、ノー」と言って英語のわかる男の子に、「この場所を説明してくれる?」と言うと、これまた快く電話をかわり、
「▲■□○△~」
とフランス語で説明してくれた。「どんな服装してるかってことも話しておいたから」と彼。
う~ん、なんて気がきているの?
お礼を言って、もっていたコインを全部あげた(たぶん3.5ユーロぐらい?)。すると、
「メルシィ♪♪♪」
と物凄く嬉しそうな声を出してお金を受け取り、さっさと自分の財布にしまう彼女。
確かに、ケータイは彼女のものだが、いろいろやってくれたのは彼のほうだ。彼女は彼にケータイをわたしただけ。てっきりもらったお金を、そんな彼と分け合うのかと思いきや・・・
全額自分のものかい!?
つくづく・・・フランス男は大変だ。こんな自分勝手で役に立たない女を相手にしなければいけないとは。日本女性のほうがまだずっとマシ。フランスの一般男性の親切さは、あれは人生修業の一環なのか? 逆にフランス人男性が大勢日本に来たら、どんどん日本人女性はフランス人男性になびいてしまうかもしれない(親切ったって、それはどのみち「釣る前」だけに、ほぼ決まってる)。
親切な彼とそうでもない彼女に別れを告げ、駅の前に立っていると、2人乗りの小さな車がやってきて、Mizumizuの前で停まった。
え? これタクシーじゃないよね。
「▲■□○△~」
運転席から東洋系の女性が話しかけてきた。
「Hotel Villa Gallici?」
と聞くと、人違いだとわかったようで、「ごめんなさい」みたいなことを言って向こうへ行ってしまった。彼女も誰かのお迎えに来たのだろう。
しばらくしたら、メルセデスのタクシーが来た。さすがに高級ホテルが寄こすタクシーはクルマがいい。
メーターは押された状態だったが、3ユーロちょっと。フムフム、これなら別に問題ないでしょ。
ホテルは旧市街の北にある。タクシーに乗り込むと、あとはあっという間だった。
無人のゲートが開く。すぐに建物は見えない。
「マフィアの家に招待されたみたいね~」と、小市民的な感想を述べるMizumizu母。
こちらがエントランス。し~んとしていて、Mizumizuたちがタクシーを降りても、誰も出迎えに来る気配がない。「ちょっとサービス悪いホテルかも・・・」と若干不安になるMizumizu。
実際にはサービスが悪いというより、あまり人手のないホテル(同じか?)だったのだが。
タクシーは7ユーロぐらいだった。もちろん荷物代の上乗せ請求もなし。
本当に、エクスアンプロバンスまではタクシーに何も心配することなく乗っていたのに・・・
通された部屋は、貴族的な雰囲気。シルクのモスグリーンとライトブラウンで統一されたファブリックは、まごうことなきシルク製。
重く垂れ下がった窓辺のカーテンを触って、
「重いわね~。なんでこんなに重いの」と、庶民丸出しの感想を述べるMizumizu母。
そら、あーた、モスグリーンとライトブラウンのシルクファブリックを2枚重ねて縫って(つまり、裏表がないということ)、2.5メーターはあろうかという大きな窓から下げているんだから、重くもなりますよ。
窓からはプールのある中庭と緑豊かなエクスの街が見える。塔はサン・ソヴィール大聖堂。
ランカスター とはえらい違いだ。
マカロンが運ばれてきた(本当は4つあったのですが、1つ食べたあと写真撮影)。
ガラスの器に入った、薄いピンクのバラが美しい。ここはとにかく、何かをサーブするときは、必ずガラスに落としたバラの花を添えてくる。
マカロンを食べて、「美味しい~」と感激するMizumizu母。そのあと街に出て、「またマカロン食べたい」と言って、チェーン店のパン屋で3ユーロのデカマカロンを買っていた。
あ~、高級ホテルで出すマカロンと、そこらのパン屋のマカロンは別物なのに・・・
案の定、デカマカロンを食べて、「これはマズイ」と、のたもう母(苦笑)。ま、何事も身をもって知っていただかないと。買う前から、「それはマズいよ」とも言えない。
Villa Galliciというイタリア系の名にふさわしく、イタリア貴族の別荘風のホテルの内装。廊下の壁には、フレスコ画。壁紙ではありません。
天気がよければ、中庭のオープンスペースも気持ちがいい。
中庭とホテルの中をつなぐドアの両端においた彫刻は、いかにもフランス的。
泉の街エクスアンプロバンスにふさわしい、水汲み場を象った中庭のオブジェ。色とりどりのバラを置いたところまではいいのだが・・・
横のホースをしまえって、使わないときはさ~!
とにかく、ここのホテル、ゲストがいようがどうしようが、一切お構いなく、スタッフ各自が勝手な時間にあちこち掃除したり、手入れしたりしている。仕事熱心なのはいいのだが、まるで準備が整わずにオープンした直後のホテルのようで、どうもねぇ・・・
とは言え、内装や調度品は素晴らしい。
こちらはサロン(バーとして使える)。華やかな壁紙に、惜しみなく飾られたバラの花。磁器製のネコの置物。天井にはプロバンス風のファブリックが帆のようにかかっている。
夜にはサロンの暖炉に火が入った。本当に4月とは思えない寒さだった。
東洋趣味の磁器をコレクションしている貴族の館に招かれたよう・・・
調度品だけ見てる分には。
暖炉のそばで、オレンジジュースとショコラ(ココア)を飲んだ。ブラッドオレンジ100%のジュースをこんなところで飲めるとは。フレッシュで甘さと酸っぱさのバランスがよく、文句のつけようのない味。シチリアを思い出した。ショコラもポットにたっぷり。ミルクが多めだったが、あまり濃厚なショコラは夜にはふさわしくないので、ちょうどよかった。例によって、バラの花が添えられている。
<続く>
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