りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年07月13日
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カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記1

今日の日記2 (初めての無料ギターレッスン体験)



<ユナ8>



テニスやスキーをするような、
時には飲み会があるような、
特に何をするとは決まってないサークルだった。

私がフジサワくんに連れられてそこに行くと、
転校生のような、後から来た者の疎外感を感じた。

女子は女子で元からのサークルメンバーなのか固まっていて、
何となく入りにくいし、
フジサワくんは、友達としゃべっていて、
私は後ろでくっついているだけ。
何だか居心地が悪かった。

女の子たちがこっちを見てコソコソしゃべっている。
何だかヤな感じ。

ちょっとテニスもさせてもらえたけど、
みんな上手で、下手な私なんて、ここで何してるんだろう?って感じだった。

あ~あ、来なきゃ良かったな。

そう思った。

その後、みんなで飲み会。
でも、フジサワくんは、「大丈夫?」
とか言うだけで、気付いてないみたいだった。

大丈夫じゃないって言ったら帰ってくれんのかな?
それとも気付いてるのかな?
よくわかんない。

楽しそうにしてるフジサワくんを見るのは、
ちょっと違う面を見れたようで嬉しかったし、
フジサワくんの友達は、気を遣ってくれてるみたいだった。

ちょっと申し訳なく思った。
来てていいんだろうか?

そんな感じでその集まりに、
いつの間にかフジサワくんが当然のように誘ってくるようになり、
土曜の時はそのままフジサワくんの家に行った。

帰ったら、二人でいられるんだし、
まあいいか…って思った。

本当は行ってもたいして面白く無いんだけど、
フジサワくんと会えないとつまらないと思って行く感じだった。

私の周りの友達はどんどん彼氏ができていたし、
週末遊んでくれる友達が少なくなっていた。
都合がいい時だけ友達を呼び出すワケにもいかない。

それで、時々フジサワくんの休日出勤なんかが急に決まって家にいると、
「あれ?フラれたの~?」
なんて、弟にからかわれる。

こんなに会えないだけで週末がつまらなくなるなんて思わなかった。

そのうち、どこからか、
私とフジサワくんが付き合ってることが会社にバレ始めた。

そうなると、なぜか私と気安くしゃべってくれていた同期の男子も、
私に声をあまりかけないようになった。
フジサワくんに悪いからなのか、
恋愛対象からハズれたのか、何なのか。

私の世界はフジサワくんを中心に回ってるようになっていた。
今フジサワくんがいなくなってしまったらどうなるんだろう?
こんな私、重くないだろうか?

親もしょっちゅう週末に泊まってるので、
結婚するのか心配し始めた。

気付くと付き合い始めて一年になっている。

でも、結婚なんて、まだ早過ぎない?
自分の中でも、多分フジサワくんの中にも、
まだ無いだろう。
そりゃあ、結婚したら、ずっといっしょにいられるだろうから嬉しいけど。

親もうるさく言わなくなるだろうし、
周りも、結婚しないのか?ってよく聞いてくるから、
はい、結婚しますよ、ってハッキリ言えたら、気分いいだろう。


そんなある日、私はいよいよ親がうるさいので、
今日は少し早めに帰ることにした。

早いので、フジサワくんが家まで送ってくれることになった。
いつもなら、フジサワくんの駅まででバイバイ。

フジサワくんが、電車でうちまで来るのは久しぶりだな~
なんて思っていたら、
道の前の方から現れた人影は、お父さんだった!

嘘!

私は焦った。

お父さんは何を思ったのかニコやかに、
「キミがフジサワくん?良かったら、寄っていけば?」
と言った。

「え、いいよ、もう帰るとこだし!」
私が慌てて言う。

「いいじゃないか。
ちょっと寄るくらい。まだ大丈夫だろう?
電車?車ならここに置いておけばいいじゃない?」

お父さんは、強引に家に招き入れようとする。
どうしようか…。

「あ…、じゃあ、すみません。」

フジサワくんが中に入ることを決めたようだ。
私は失敗したと思った。
どうしよう。
とても緊張する。

母親も父親としめし合わせたかのようにニコやかにフジサワくんを迎える。

「あら、電車?それならビールでもどう?」

そして、冷蔵庫から適当にツマミを出してきた。

「ごめんなさいね。いきなりのことだったから、たいしたものが無くて。
良かったら、また遊びに来てね。
今度はもっとちゃんとしたもの出すから。」

オホホホホって感じの、母は普段よりワンオクターブ高い上品な笑いをする。

こ、怖いよ。

二人の魂胆は読めた。
どんな人だかわからない男と付き合ってるより、
オープンに付き合ってもらうためにイイ顔をしている。
どんなつもりなのか、笑顔で探ろうとしている。

父親が、フジサワくんに、まあ飲みなさいと言ってグラスにビールを注ぐ。
フジサワくんが緊張しながら、
すみませんと言って、慌ててお父さんにビールを注ぎ返す。

私はこの情景についていけない。

するといきなり、フジサワくんが口を開いた。

「いつも、本当にすみません。
あの…。ユナさんとは、ちゃんと結婚を考えて付き合ってますので、
安心していただければと思ってます。」

頭を深々と下げた。
まるで、営業の商談のようだと、私は驚いて見ていた。

あれ?
でも今何て言った?
え?そうなの?そうなの?結婚?

父親もいきなりの言葉に驚いている。
でも、娘が遊ばれてる訳じゃないことが嬉しかったらしい、
よほど心配させていたんだろうか?
顔がニンマリと笑った。

「いや、そんな、いいんだよ。
フジサワくんは、アレかい?営業なのかい?」

お父さんとフジサワくんが仕事の話を始める。
もうよくわかんない。
経済情勢の話とかしてるし。
会社の面接みたい。

ああ…穴があったら入りたいって、こういうことなんだ
…と思った。
ちょっと違うか?

普通、お父さんて、難しい顔してたりするものじゃないの?
何なの?
この和やかな雰囲気。

でも、フジサワくんは、
親に気を遣ってそう言ってるのかもしれない。
私が親にせがんだと思われていたらどうしよう…。

心の中には、嬉しさより不安ばかりが増していった。
めんどうなことになったと思ってないだろうか…。

一時間ほどして、フジサワくんが電車が無くなるので、そろそろ…
と言って、帰ることになった。

玄関まで送る。

「あの…、今日は本当にゴメンネ。」

フジサワくんは私をジッと見て、決心したように言った。

「オレさ、さっきお父さんに言ったこと、本気だから。」

「え?」

「ちゃんとしよう。
順序が逆になっちゃったけど。」

順序?
ああ、プロポーズのことかな?
でも、今言われてることが、何だか実感が湧かない。

「ユナ?どう?」

私は我に返って返事をする。

「うん。
うん!お願いします!」

フジサワくんは嬉しそうな顔をして帰って行った。
私も多分、同じ顔をしていただろう。

お父さん、どうもありがとう!
本当にそう思った。










続きはまた明日

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最終更新日  2009年07月13日 20時29分00秒
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