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バーUKは本日26日(水)、「テイスティングの集い」(午後3時半~9時半)開催のため、原則として貸切営業となります。何卒ご了承くださいませ。Today( April 26th )the bar UK is fully booked for our private whisky tasting seminar.
2023/04/26
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皆さま、バーUK2023年5月の店休日と営業時間のお知らせです。 政府によるマスク着用要請などが3月13日から緩和されたのに伴い、バーUKは、店内のコロナ感染防止対策を緩和しております。何卒ご理解のほど宜しくお願い致します。 【5月の店休日=予定】3日(水)~7日(日)=黄金連休中の休業、11日(木)=臨時休業、14日(日)、20日(土)、21日(日)、28日(日) ※なお、1日(月)は午後3時オープンですが、午後6時からは貸切営業となります。2日(火)は、午後3時~9時半(ご入店は9時まで)で特別スタイルで営業いたします(詳細はお問合せください)。 ※営業時間は、平日=午後4時~10時(ご入店は9時まで。酒類の提供は9時半まで)、営業する日の土曜日=午後2時~7時半(ご入店は7時まで)とさせて頂きます 平日午後9時以降(※土曜日は午後7時以降)にご来店の場合は、必ず事前に店まで必ずお電話くださいませ=電話06-6342-0035。事前に連絡がない場合の入店はお断り致します。平日午後9時の時点(土曜日は午後7時の時点)でノー・ゲストの場合は閉店させて頂きます。 ※20日(土)は1週間前までのご予約(3~4名以上)があれば、営業も検討しますので、マスターまでご相談ください。 ※また、ご入店は引き続き御4人様まで、ご在店時間は120分以内に、店内の在客数は最大7~8人にそれぞれ制限させて頂いております。 以上、何卒ご理解、ご協力の程を重ねて宜しくお願いします。【Notice for May 2023】The bar UK is closed on 3rd~7th、11th、14th、20th、21st、28th( Open from 4:00 to 10:00 pm.< Your entry is until 9:00 and alcohol service is until 9:30 pm. > on weekdays). If open on Saturdays, from 2:00 to 7:30 pm.
2023/04/21
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◆プロなら知っておきたい「知られざるカクテル」<下> ※原則、年代順に紹介しています。レシピは標準的なものです。★印は近年においても欧米のバー・シーンでは頻繁に登場する、とくに重要なカクテルです。★エスプレッソ・マティーニ(Espresso Martini) (1983年、考案者=ディック・ブラッドセル<Dick Bradsell>) ウオッカ40ml、エスプレッソ・コーヒー20ml、コーヒー・リキュール10ml、シロップ1tsp。シェイクしてカクテルグラスに注いだ後、表面にコーヒー豆2~3粒を浮かべる ※1983年、当時ロンドン「ソーホー・ブラッセリ―(Soho Brasserie)」に勤めていたディック・ブラッドセル氏(1959~2016)が考案した。当初は、裏メニューとして「ウオッカ・エスプレッソ」の名前で提供されていたが、90年代末、ブラッドセル氏が移籍した「マッチ(Match)」というバーで初めて「エスプレッソ・マティーニ」の名でオン・メニューとなり、幅広く知られるようになった。その後米国の大都市のバーにも伝わり人気が定着した。近年、欧米の人気カクテル・ランキングでは常に上位にランクされている。 ブラッドセル氏は、1980~90年代に活躍し、数多くの「モダン・クラシック」カクテルを遺したことで知られる。ロシアン・スプリング・パンチ(Russian Spring Punch) (1986~87年頃、考案者=ディック・ブラッドセル) ウオッカ45ml、クレーム・ド・フランボワーズ7.5ml、カシス・リキュール7.5ml、レモンジュース23ml、シロップ7.5ml、生ラズベリー6~7個。シェイクした後、氷を入れたタンブラーに注ぎ、シャンパンで満たす ※ディック・ブラッドセル氏(上記45の説明ご参考)が、1986~87年頃、当時バーテンダーとして働いていたロンドンの「ザンジバー(Zanzibar)」で友人のために考案したと伝わる。★トミーズ・マルガリータ(Tommy’s Margarita) (1987~88年頃、考案者=フリオ・ベルメイヨ<Julio Bermejp>) テキーラ40ml、アガヴェ・ネクター(シロップ)15ml、ライム・ジュース15ml(シェイク)、塩でスノースタイルしたロック・グラスに注ぐ ※サンフランシスコのメキシカン・レストラン「トミーズ(Tommy's)」のオーナーで、“テキーラ・マスター”の異名を持つフリオ・ベルメイヨが、1987~88年頃考案したと伝わる。「マルガリータ(Margarita)」のバリエーションだが、マルガリータがホワイト・キュラソー(コアントロー、トリプルセック)を使うのに対して、このカクテルではアガベ・ネクターを使う。ロック・スタイルで味わうことも多いが、ショート・カクテルでも提供される。「アガベ・ネクター」はアガベ・シロップとも呼ばれるフレンチ・マティーニ(French Martini) (1980後半~90年代前半、考案者は不詳、ディック・ブラッドセル考案説も) ウオッカ60ml、ラズベリー・リキュール15ml、パイナップルジュース45ml(シェイク) ※ロンドンもしくはニューヨーク発祥。1997年の「Class Magazine」誌によれば、Chambord社のキャンペーンのために考案されたという(「Keith London」発祥説も)。セレンディピティ(Serendipity) (1994年、考案者=コリン・ピーター・フィールド<Colin Peter Field>) カルバドス45ml、アップル・ジュース45ml、シュガー・シロップ7.5ml、生ミントの葉5~6枚、シェイクした後、氷を入れたタンブラーに入れ、シャンパンで満たす ※パリのリッツホテル(The Ritz Hotel)内「ヘミングウェイ・バー(Hemingway Bar)」のチーフ・バーテンダー、コリン・ピーター・フィールド氏(1961~)が、常連客のためにオリジナル・カクテルをつくったところ、予想を超える美味しさに感激したその客が「Serendipity!」(直接の意味は「素敵な偶然に出会うこと」)と叫んだことから、その言葉がそのままカクテル名になったという。★ジン・ジン・ミュール(Gin Gin Mule) (2000年、考案者=オードリー・サンダース<Audray Sannders>) ジン(タンカレー)50ml、ジンジャー・ビア30ml、ライムジュース20ml、シロップ15ml(シェイク)、フレッシュミントの小枝=飾り ※ウオッカ・ベースの「モスコー・ミュール」のジン・バージョン。サンダース氏は当時ニューヨークの「Beacon Bar」のバーテンダー。オリジナルレシピではホームメイドのジンジャービアが使われているが、通常の缶入りジンジャービアでも構わない。このカクテルは、後にサンダース氏が独立・創業したバー「ペグー・クラブ(Pegu Club)」の看板カクテルにもなった★ポーン・スター・マティーニ(Porn Star Martini) (2002年、考案者=ダグラス・アンクラーー<Douglas Ankrah>) ウオッカ40ml、パッションフルーツ・リキュール15ml、ライムジュース20ml、ヴァニラ・シロップ15ml、パッションフルーツ・ピューレ30ml(シェイク)※小ぶりのタンブラーに入れたシャンパンを別にサーブ ※アンクラー氏は当時ロンドン・ナイトブリッジ「タウンハウス・バー」のバーテンダー。その奇抜な名前もあって、英国内のカクテル・バーで人気を集めるようになり、現在では「モダン・クラシック」の一つとして定着している。ちなみに、2019年には英国内最も飲まれたカクテルだったという。 アンクラー氏がなぜこんな名前(Porn Star=ポルノスター)を付けたのかはよく分からないが、生前(同氏は2021年に死去)のインタビューで「だって、パーティーのスターターとしては、とてもセクシーで、楽しい、気取らない究極のドリンクだろう?」と語っていたと伝わる。リボルバー(Revolver) (2004年、考案者=ヤン・サンター<Jon Santer>) バーボン(銘柄は「Bulleit」を指定)60ml、コーヒー・リキュール15ml、オレンジ・ビターズ2dash、オレンジ・ピール(シェイク) ※サンター氏は当時サンフランシスコ在住のバーテンダー。有名なカクテル「マンハッタン」のバリエーションとして考案したという。その後、ニューヨークの有名カクテルバーのメニューにも取り入れられ、幅広く普及するようになった。 「ブレイト(Bulleit)・バーボン」は1997年に復活したブランド。「リボルバー」とは回転式拳銃のことだが、ベースのバーボンの銘柄「Bulleit」と音の響きが似ている「ブレット(Bullet=銃弾)」からの連想で、この名を付けたのかどうかは、調べて限りでは分からなかった。オールド・キューバン(Old Cuban) (2004年、考案者=オードリー・サンダース<Audrey Sanders>) ラム45ml、ライムジュース23ml、シロップ15ml、ビターズ2dash、生ミント(シェイク)、シャンパンで満たす ※オードリー・サンダース氏は、米国の伝説的バーテンダーで著述家のデイル・デグロフ氏の弟子にあたる。サンダース氏自身も、現在ではニューヨークを中心に活躍する著名な女性バーテンダーで、数多くの「モダン・クラシック」を考案している。スパイシー・フィフティ(Spicy Fifty) (2004~05年頃、考案者=サルバトーレ・カラブレース<Salvatore Calabrese>) ヴァニラ・ウオッカ50ml、エルダーフラワー・コーディアル15ml、ライムジュース20ml、ハニー・ジンジャー・シロップ10ml(シェイク) ※あらかじめ底に唐辛子1個置いたグラスに注ぎ、最後にレッドホット・チリペッパーを少し振る。 ※カラブレース氏は当時ロンドンのバー「フィフティ」のバーテンダー。★ペニシリン(Penicillin) (2005年、考案者=サム・ロス<Sam Roth>) ウイスキー60ml、レモンジュース15ml、ジンジャー・ハニーシロップ15ml、1tsp、アイラ・シングルモルト(できれば「ラフロイグ=Laphroaig」で)1.5tsp(シェイク) ※「ペニシリン」は2000年以降に誕生した「モダン・クラシック」の中でも、群を抜いて知名度を獲得し、人気カクテルとなった。ロス氏は、当時ニューヨーク・マンハッタンの人気カクテルバー「ミルク&ハニー(Milk & Honey)」のバーテンダー。現在はブルックリンでバー「ダイアモンド・リーフ(Diamond Reef)」を営み、フローズン・バージョンも提供しているという。 ジンジャー・ハニーシロップは、サントリー社のプレミアム・シロップ「和 tsunagi 生姜」で代用することも可能。ペーパー・プレーン(Paper Plane) (2008年、考案者=サム・ロス) バーボン、アペロール、ビタースイート、レモンジュースを各4分の1ずつ(シェイク) ※サム・ロス氏が2008年、「店のオリジナル・カクテルをつくってほしい」と依頼してきたシカゴの友人、トビー・マロニー氏(バー「ヴァイオレット・アワー(The Violet Hour)」オーナー)のために考案した。カクテル名は、英国の世界的ラッパーM.I.A.の曲名から名付けたという。ちなみに、当初はアペロールではなく、カンパリを使っていたが、その後「甘さと苦さのバランスがよくない」と感じたロス自身がアペロールに変えたという。★メスカル・ミュール(Mescal Mule) (2008年、考案者=ジム・ミーハン<Jim Meehan>) メスカル45ml、ジンジャー・ウォート【注参照】30ml、ライムジュース23ml、パッションフルーツ・ピュレ23ml、アガヴェ・シロップ15ml(シェイク)。飾り=キュウリのスライス3片、砂糖漬けの生姜 ※ジム・ミーハン氏は当時ニューヨークの超人気バー「PDT(Please Don't Tell )」のオーナー・バーテンダー。「メスカル・ミュール」は数多くの「モダン・クラシック」を考案してきたミーハン氏の代表作の一つ。「ソンブラ・メスカル」の創業者のために捧げられたという。 ミーハン氏はクラシック・カクテルへの造詣が深いことでも知られ、彼が近年に出版した「PDTカクテルブック」と「バーテンダーズ・マニュアル」は「21世紀のサヴォイ・カクテルブック」とも称されている。現在はオレゴン州ポートランドのジャパニーズ・レストランバー「TAKIBI」で、バー部門の責任者として活躍している。 【注】ジンジャー・ウォートは、水、生姜のみじん切り、キビ砂糖、ライムジュースを煮詰めて漉し、つくる。難しければジンジャー・ビアで代用することも可。トリニダード・サワー(Trinidard Sour) (2009年、考案者=ジョセッペ・ゴンザレス<Giuseppe Gonzalez>) アンゴスチュラ・ビターズ30ml、オルゲート・シロップ20ml、レモンジュース15ml、ライ・ウイスキー10ml(シェイク)、「サワー」と言う名が付くがカクテルグラスで提供されるのが普通 ※カクテルでは普通は数滴しか使わないビターズをこんなに多く使ったら、とんでもないカクテルになりそうだが、予想は裏切られ、甘酸っぱさと苦さと複雑な香りが”同居”する不思議な味わいに変身する。現在ではIBA公認カクテルにも認定されている。ゴンザレス氏は当時ニューヨーク・ブルックリンの「クローバークラブ・バー」のバーテンダー (なお、オリジナル・レシピではビターズは「45ml」も使うが、それは150~200mlも入りそうな容量の大ぶりのカクテルグラスで提供することの多い欧米での話。総量70ml前後で提供することの多い日本のバーでは冒頭の分量比で適切と信じる)。ネイキド&フェイマス(Naked & Famous) (2011年、考案者=ホアキン・シモ<Joaquin Simo>) メスカル、ビタースイート・オレンジレッド・アペリティーボ、イエロー・シャルトリューズ、ライムジュース各4分の1ずつ(シェイク) ※シモ氏はニューヨークのバー「Death and Co」のバーテンダー。ビタースイート・オレンジレッド・アペリティーボはアペロールで代用できる。Ve. n. to(ヴェネト) (2021年、考案者=サムネーレ・アンブローシ<Samnele Ambrosi>) グラッパ45ml、レモンジュース23ml、ハニー・ミックス15ml、カモミール・コーディアル15ml、卵白(シェイク) ※カクテル名はイタリアの「ヴェネト(Veneto)州」に由来。アンブローシ氏は「Riva Bar」(所在地不詳)勤務のバーテンダー。同氏曰く「グラッパをベースにした過去にもない、初めてのカクテル」。【以下のカクテルについては、まだ情報は不足していますが、近年、欧米のバーの現場ではしばしば目にするものです。詳しいい情報を入手でき次第、改めて追記いたしますのでご了承ください】イリーガル(Illegal) (2000年代、考案者は不詳) メスカル30ml、ホワイト・ラム15ml、ファレナム(【注】ご参照)15ml、マラスキーノ1tsp、ライムジュース20ml、シロップ10ml(シェイク) ※【注】「ファレナム」はライム、ジンジャー、アーモンド・リキュールでできたトロピカル・シロップ。オルゲート・シロップで代用できる。イエロー・スコーピオン(Yellow Scopion) (2000年以降、考案者は不詳) ウオッカ45ml、パイナップルジュース45ml、ライムジュース0.5tsp、シロップ0.5tsp、アニスシード1tsp(シェイク)ホアン・コリンズ(Juan Collins)(2000年以降、考案者は不詳) テキーラ45ml、レモンジュース30ml、アガヴェ・シロップ15ml、シェイクしてソーダで満たす。レモン・スライス=飾りブレイブ・ブル(Brave Bull) (2000年以降、考案者は不詳) テキーラ40ml、カルーア20ml、氷、ロック・スタイルで(ビルド)エンヴィ・カクテル(Envy Cocktail) (2000年以降、考案者は不詳) テキーラ45ml、ブルー・キュラソー30ml、パイナップルジュース15ml(シェイク)、マラスキーノ・チェリー=飾りブラッディ・マリア(Bloody Maria) (2000年以降、考案者は不詳) テキーラ60ml、トマト・ジュース120~180ml、スパイス類(シェイク)、レモン・スライス=飾り※レシピから分かるように、ブラッディ・メアリーのテキーラ版。【謝意】この回の執筆にあたっては、Robert Simonson氏の著書「Modern Classic Cocktail」(2022年刊)から多くの参考情報を得ることができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
2023/04/19
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◆プロなら知っておきたい「知られざるカクテル」<中> ※原則、年代順に紹介しています。レシピは標準的なものです。★印は近年においても欧米のバー・シーンでは頻繁に登場する、とくに重要なカクテルです(かつて私のBlog連載で取り上げたものについては、その関係ページへのリンクも貼っておきます)。★ハンキー・パンキー(Hanky-Panky)(1903~20年代前半、考案者=エイダ・コールマン<Ada Coleman>) ジン45ml、スイート・ベルモット45ml、フェルネット・ブランカ2dash、オレンジ・ピール(シェイク) ※スイート・ベルモットを使う甘口系「マティーニ」(ドライ・ベルモットを使うマティーニが主流になるのは、1920年代後半以降)のヴァリエーション。ロンドンのサヴォイ・ホテル「アメリカン・バー」で2代目のチーフ・バーテンダーをつとめた女性バーテンダー、エイダ・コールマン(1875~1966)が、顧客の求めに応じて考案したと伝わる。★ベボー・カクテル(Bebbo Cocktail)(1920~33年、考案者は不詳) ジン40ml、オレンジ・ジュース10ml、レモン・ジュース10ml、ハチミツ10ml(シェイク) ※米禁酒法時代(1920~33)に生まれたカクテルと伝わる。奇妙な名の由来は定かではない。クラシック・カクテルには、ハチミツを使うものがしばしば登場する。氷が貴重品だった時代、カクテルを飲みやすくするバーテンダーの工夫の一つだった。(禁酒法時代の)粗悪なジンを使ったカクテルが飲みやすくなり、ジュースにも見えるため当局の摘発から逃れられるという実用的利点もあったと伝わっている。★メアリー・ピックフォード(Mary Pickford)(1920~33年、考案者は不詳) ホワイト・ラム30ml、パイナップル・ジュース20ml、マラスキーノ10ml、グレナディン・シロップ1tsp、レモン・ジュース1tsp(シェイク) ※米国の禁酒法時代(1920~1933)に、キューバの首都ハバナを代表するバー「エル・フロリディーダ(El Floridita)」で誕生したと伝わる。サヴォイ・カクテルブック(1930年刊)にも紹介されている。パイナップルの風味が効き、マラスキーノ・リキュールがほのかに香る、爽やかな味わい。カクテル名は、サイレント(無声映画)時代のハリウッドの大女優の名にちなむ。 ちなみに、ピックフォードは自ら映画製作に乗り出した最初の女優として知られ、1919年にはチャプリンらと共同で映画製作・配給会社「United Artists」を設立している。「エル・フロリディーダ」は、ハバナをたびたび訪れ、居宅も構えた文豪ヘミングウェイが、大好きなフローズン・ダイキリを味わうために通った店としても有名。★ピスコ・サワー(Pisco Sour)(1920年代、考案者は不詳) ピスコ・ブランデー40ml、レモン・ジュース15ml、シュガー・シロップ10ml、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、卵白(シェイク) ※爽やかな酸味と、卵白の柔らかな舌触りが絶妙に調和したカクテル。1920年代、ペルーの首都リマでバーを誕生したと伝わる。その後米国へ伝わり、50年代に入って、ハリウッドスターらに愛飲されて人気が高まった。ピスコ・ブランデーは、マスカット系ブドウが原料。カクテル名の「Pisco」は、古代インカの言葉の「鳥」に由来する。★ブラッド&サンド(Blood & Sand) (1920年代、考案者は不詳) スコッチ・ウイスキー30ml、スイート・ベルモット10ml、チェリー・リキュール10ml、オレンジ・ジュース20ml、ビターズ(シェイク) ※1920年代に誕生。サイレント時代の名優、ルドルフ・ヴァレンチノ(Rudolph Valentino)が主演した映画「Blood And Sand(血と砂)」(1922年公開)にちなんで考案されたという。美女の心を掴(つか)むために闘牛士の主人公が猛牛に戦いを挑むが、敗れて倒れ、血が熱砂を染めたという映画のエピソードから生まれたカクテルと伝わっている。★アペロール・スプリッツ(Aperol Spritz)(1920年代、考案者は不詳) アペロール60ml、スパークリング・ワイン60ml、オレンジ・スライス(ビルド)(アペロール40ml、白ワイン60ml、ソーダ40mlというレシピも)。 ※「アペロール」は1919年イタリア北部の町パドヴァで誕生したリキュール。「スプリッツ」は20年代には地元ですでに飲まれていたスタイル。戦後もそう注目されることもなかったが、2000年以降、欧米の大都市のバーでブレイクし、おしゃれで飲みやすいドリンクとして近年の人気カクテル・ランキングでは常に上位にランイクインしている。サウスサイド(Southside) (1920年代、考案者は不詳) ジン40ml、ライムジュース15ml、シロップ15ml、フレッシュ・ミントの葉7枚(ビルド) ※1890年代、米国ロングアイランドの「Southside Sportman's Club」で誕生した「サウスサイド・フィズ」が、その後、禁酒法時代(1920~33)に、ニューヨーク・マンハッタンのもぐり酒場(Speakeasy)でソーダを抜いたショート・カクテルのスタイルに変化したものと伝わっている。エンジェル・フェイス(Angel Face)(1920年代、考案者は不詳) ジン、カルバドス、アプリコット・リキュール各3分の1ずつ(ステアまたはシェイク) ※英国ロンドン発祥と伝わる。『サヴォイ・カクテルブック』の著者、ハリー・クラドックが考案したという説も伝わっているが、裏付ける資料は確認されていない。プレジデンテ(Presidente)(1920年代、考案者は不詳) ラム40ml、スイート・ベルモット(またはドライ・ベルモット)10ml、コアントロー10ml、オレンジ・ビターズ2dash(ステアまたはシェイク) ※1920年代、ハバナのバーテンダーが、キューバの第3代大統領マリオ・メノカル(「第5代ヘラルド・マチャド大統領」という説も)のために考案したと伝わる(「El Presidente」という名で紹介されるケースも)。他にも、「ニューヨークのクラブ「エル・チーコ」に勤めるキューバ人バーテンダーが考案した」という説も。 サヴォイ・カクテルブック(1930年刊)には「President」というよく似たカクテルが登場するが、こちらはベルモットは入らない別のカクテル。一方、ハリー・マッケルホーンのカクテルブック(1919年刊)に登場する「President」は、「El Presidente」に近いレシピであるなど、実に紛らわしいカクテルである。★コープス・リバイバー#2(Corpse Reviver #2)(1920年代、考案者=ハリー・クラドック<Harry Craddock>) ドライ・ジン、トリプルセック、リレ・ブラン、レモンジュース各15ml、シロップ5ml、アブサン2dash(シェイク) ※サヴォイ・ホテルの3代目チーフ・バーテンダーで、『サヴォイ・カクテルブック』の著者、ハリー・クラドックが考案したと伝わる。 同時代(1920年代)のカクテルに、J.W.ターリング(Tarling)による「コープス・リバイバー」が、また、少し後の1950年代に誕生したパトリック・ダフィ(Patrick Duffy)による「コープス・リバイバー#3」も伝わっているが、欧米ではクラドックの「#2」が一番よく知られている。他の2つのレシピは以下の通り。 ・コープス・リバイバー=ブランデー30ml、カルバドス15ml、スイート・ベルモット15ml(シェイク)(※同名のカクテルでは「ブランデー、オレンジジュース、レモンジュース各20ml、グレナディン・シロップ2dash、シェイクしてシャンパンで満たす」というレシピも伝わっている) ・コープス・リバイバー#3=ペルノー45ml、レモンジュース15ml、氷を入れたタンブラーに入れ、スパークリングワインで満たすモンキー・グランド(Monkey Gland)(1920年代、考案者=ハリー・マッケルホーン<Harry McElhone>) ジン40ml、オレンジジュース20ml、グレナディン・シロップ5ml、アブサン 2dash(シェイク) ※パリの「ハリーズ・ニューヨーク・バー」の創業者、ハリー・マッケルホーンが考案したと伝わる。カクテル名は直訳すると「猿の分泌腺」だが、1920年代、フランスの外科医セルジュ・ヴォロノフ(1866~1951)が「猿の睾丸を移植すれば長寿になる」ことを実証するため老人に移植手術したというエピソードに由来するという。パラダイス(Paradise)(1920年代?、考案者=ハリー・クラドック<Harry Craddock>) ジン45ml、アプリコット・ブランデー23ml、オレンジジュース23ml、オレンジ・ビターズ(シェイク) ※サヴォイホテルの3代目チーフ・バーテンダーで、『サヴォイ・カクテルブック』の著者、ハリー・クラドックが考案したと伝わる。★ブールヴァルディア(Boulevaldier)(1927年、考案者=ハリー・マッケルホーン<Harry McElhone>と伝わる) バーボン・ウイスキー40ml、カンパリ25ml、スイート・ベルモット25ml(シェイク) ※レシピを見て分かるように、ネグローニのジンをバーボンに代えたバージョン。「Boulevaldier」の文字通りの意味は「大通り」だが、転じて、「伊達男」「遊び人」「流行りの場所に出入りする人」の意がある。近年の欧米の人気カクテル・ランキングでは、常に20位以内に入るなど再び注目を集めるカクテル。 ハリー・マッケルホーンは、パリの「ハリーズ・ニューヨーク・バー」創業者で、1919年には歴史的名著『ABC of Mixing Cocktails』を出版した名バーテンダー。ブールヴァルディアは、彼の2冊目の著書『Bar Flies & Cocktails』の「Cocktail Round Town」の項で初めて登場する。ナイト・ライト(Night Light)(1920~30年代、考案者は不詳) ホワイト・ラム40ml、ゴールド・ラム15ml、コアントロー20ml、卵黄(シェイク) ※1920~30年代に誕生したと伝わる、食後向きのナイト・カクテル。ブザム・カレッサー(前出)と同様、卵黄を使うカクテルで、英国で1937年に出版された「カフェロイヤル・カクテルブック」でも紹介されている。基本はロック・スタイルだが、ショート・カクテルでつくってもとても美味しいドリンク(バーUKではベースのラムは2種をブレンドしています)。ブランデー・ズーム(Brandy Zoom)(1930年代前半、考案者は不詳) ブランデー45ml、生クリーム30ml、ミルク20ml、ハチミツ10ml(シェイク) ※甘口でデザート感覚で楽しめるカクテル。1934年にパリで出版された「The Artistry of Mixing Drinks」(フランク・マイヤー著)で初めて紹介されたが、マイヤー自身のオリジナルかどうかは不明である。「ズーム(Zoom)」とはミツバチが飛ぶ羽音の擬音。転じてハチミツを使うカクテルは「Zoom Cocktail」と呼ばれるようになった。ベースにはラムやウイスキー、ジンも使われるが、ブランデー・ベースが一番人気である。★サイレント・サード(Silent Third)(1930年代前半、考案者は不詳) スコッチ・ウイスキー35ml、コアントロー20ml、レモン・ジュース15ml(シェイク) ※有名なカクテル「サイドカー」のスコッチ・ウイスキー版。1930年代前半、コアントローの独占販売権を持っていた英国の実業家が考案したと伝わる。カクテル名は「物言わぬ第三者」との意ではなく、考案者の愛車のサード(トップ)・ギアがとても静かでスムースだったことに由来するとのこと。ベースに使用するスコッチ・ウイスキーは、アイラ島のスモーキーなシングルモルトを好む人も多い。★ゾンビ(Zombie) (1934年、考案者=ドン・ビーチ<Don Beach>)以下の2種類のレシピが伝わっているA=ホワイト・ラム、ゴールド・ラム、ダーク・ラム各15ml、アプリコット・ブランデー、オレンジジュース、パイナップルジュース各10ml、レモンジュース、グレナディン・シロップ各5ml、アブサン少々、氷、オレンジ・スライス(シェイク)B=ホワイト・ラム、ダーク・ラム各25ml、ライムジュース、パイナップルジュース各15ml、グレナディン・シロップ1tsp、氷、オレンジ・ピール(シェイク) ※Aの簡略版として考案されたものだろう ※ハリウッドにあるドン・ビーチのバー「ドン・ザ・ビーチコンバーズ(Don the Beachcomber's)」発祥と伝わる。映画「ティファニーで朝食を」でオードリー・ヘプバーンがパーティ・シーンで味わっていたのがこのカクテル。★ヴュ・カレ(Vieux Carre) (1937年、考案者=ウォルター・バージェロン<Walter Bergeron>) ブランデー、ライ・ウイスキー、スイート・ベルモット各20ml、ベネディクティン1tsp、ビターズ3dash、レモン・ピール(ステアまたはシェイク) ※ニューオーリンズのモンテレオーネ(Monteleone)・ホテルのバー・カルーセル(Carousel)のバーテンダー、ウォルター・バージェロンが考案したと伝わる。「Vieux Carre」とは、観光名所「フレンチ・クォーター」地区の古名。上記26のブールヴァルディアと同様、近年再び人気が上昇している「クラシック」の一つ。アルゴンキン(Algonquin) (1930年代、考案者は不詳) ライ・ウイスキー35ml、ドライ・ベルモット10ml、パイナップル・ジュース20ml(シェイク)、マラスキーノ・チェリー=飾り ※ニューヨーク・マンハッタンにある老舗ホテル「アルゴンキン・ホテル」のブルー・バー発祥と伝わる。B & B(1930年代、考案者は不詳) ブランデー30ml、ベネディクティン30ml、氷、ロック・グラスで(ビルド) ※米国の禁酒法時代(1920~33)の1930年代、大都市にあった「もぐり酒場(Speakeasy)」で考案され、その後1937年、ニューヨークの有名な社交クラブ「21 Club」で提供されるようになって、幅広く普及したと伝わる。現代のバーでは人気カクテルという訳ではないが、今なお「スタンダード」としての地位を保っている。★ヘミングウェイ・スペシャル(Hemingway Special)(1930年代、考案者は不詳) ホワイト・ラム40ml、マラスキーノ10ml、ライム・ジュース10ml、グレープフルーツ・ジュース40ml(シェイク) ※キューバ・ハバナの老舗バー「エル・フロリディータ(El Floridita)」のバーテンダーが、1930年代、常連客だった文豪ヘミングウェイのために考案したと伝わる。当初は、「パパ・ダイキリ(Daiquiri como Papa)」と呼ばれていたが、その後いくつか名が変わり、最終的に現在の名前になったとのこと。ヘミングウェイはこれを一日に12杯も飲んだという逸話も伝わっている。エース・オブ・クラブス(Ace Of Clubs)(1930年代、考案者は不詳) ゴールド・ラム40ml、ホワイト・クレーム・ド・カカオ10ml、ライム・ジュース10ml、シュガー・シロップ1tsp(シェイク) ※1930年代にバミューダ諸島の発祥と伝わる。カクテル名の「Ace Of Clubs」とは、1930年代後半、ニューヨークにあったバーの名(元々の意味は「トランプのクラブのエース」)。考案者はここに勤めていた無名のバーテンダーだが、彼は禁酒法時代、キューバのバーで働き、禁酒法廃止後、再びニューヨークへ戻ってきた。その彼がキューバでの日々を思い出し、ダイキリのヴァリエーションとして考案したという。カカオ・リキュールが入るが意外ときりっとして旨い。ミッショナリーズ・ダウンフォール(Missionary Downfall)(1930年代後半、考案者=ドン・ザ・ビーチコマー) ホワイト・ラム45ml、ピーチ・リキュール15ml、パイナップルジュース40m、カット・パイナップル2~3片(シェイカー内で潰す)、ハチミツ1.5tsp、生ミントの葉5~6枚 「宣教師の転落、破滅」という妙な名前を持つ古典的カクテルだが、名前の由来は不詳。「ラム・カクテルの帝王」とも称されるアーネスト・レイモンド・ボーモン・ガント(Ernest Raymond Beaumont Gantt)、すなわち米国のドン・ザ・ビーチコウマー(Don the Beachcomber)が考案したと伝わる。1907年にテキサスに生まれたガントは、禁酒法時代に酒の密輸業者として財をなし、34年に自らのバーをハリウッドに開いた。37年には自らの名前を「ドン・ビーチ」と改名。その後、自らの名を冠したレストラン&バー・チェーンを全米へ次々と展開、100以上のラム・カクテルを生み出した。サファリング・バスタード(Suffering Bastard) (1942年、考案者は、ジョー・セイアロム<Joe Seialom>) ブランデー30ml、ジン30ml、ライム・コーディアル20ml、ライムジュース10ml、ビターズ3dash、ジンジャー・ビア100ml、氷を入れた大ぶりのマグで提供する(ジンジャー・ビア以外をシェイク) ※セイアロム氏は、当時、エジプト・カイロのシェファーズ(Shepheard's )・ホテルのバーテンダー。★エル・ディアブロ(El Diablo) (1940年代、考案者は不詳) テキーラ40ml、ライムジュース10ml、カシス・リキュール20ml、ジンジャー・エール(適量)、ライム・スライス(ビルド) ※米国カリフォルニア州オークランドのバーテンダーが考案したと伝わる。1946年に出版されたVictor Vergeronのカクテルブックには「Mexican El Diablo」として紹介されている。Vergeron自身のオリジナルではないかという人もいるが、裏付ける資料は確認されていない。1960年代後半からは、単に「El Diablo」として紹介されることが多くなり、現在ではこの名前で定着している。【ご参考】過去のBlogでの関連ページハリケーン(Hurricane) (1940年代、考案者は不詳) ホワイト・ラム15ml、ダーク・ラム15ml、レモンジュース10ml、パッションフルーツ・シロップ7.5ml、グレナディン・シロップ2tsp、オレンジジュース5ml、パイナップルジュース5ml(シェイク)、オレンジ・スライス&チェリー=飾り ※ニューオーリンズの「パット・オブライエンズ・バー(Pat O’Brien’s Bar)発祥と伝わる。★パロマ(Paloma) (1950年代、考案者は不詳) テキーラ40ml、グレープフルーツジュース20ml、トニックウォーター30ml、グラスの縁を塩でスノースタイルに ※メキシコでの人気スタンダードカクテルの一つ。同国テキーラ村地区で誕生したと伝わる。バラクーダ(Barracuda) (1950年代後半~60年代前半、考案者=ベニート・クッパリ<Benito Cuppari>) ラム(ハバナクラブ3年)45ml、ガリアーノ15ml、パイナップルジュース 45ml、ライムジュース7.5ml、シロップ少々。シェイクしてシャンパンで満たす ※地中海クルーズの客船上のバーで働くクッパリ氏が考案したと伝わる。同氏は1966年、このカクテルでコンペに出場し、何かの賞をもらったという。イエロー・バード(Yellow Bird)(1960年代、考案者は不詳) ハバナクラブ3年20ml、バカルディ・ホワイト20ml、バナナ・リキュール15ml、ガリアーノ10ml、オレンジジュース45ml、パイナップルジュース25ml、レモンジュース5ml(シェイク) ※ハワイの「ハワイアン・ヴィレッジ」にあるシェル・バー(Shell Bar)で誕生したと伝わる。ゴールデン・ドリーム(Golden Dream) (1960~70年代、考案者=レイモンド・アルヴェラス<Raimondo Alveraz>) トリプル・セック25ml、ガリアーノ25ml、オレンジジュース40ml、生クリーム25ml(シェイク)※4つの材料を等量にするレシピも ※マイアミの「オールドキング・バー(Old King Bar)」のアルヴェラス氏が考案したと伝わる。★ペイン・キラー(Pain Killer) (1970年代初め、考案者=ダフィニー・ヘンダーソン<Daphne Henderson>) ダーク・ラム(パッサーズ・ネイビー・ラム)30ml、パイナップルジュース60ml、オレンジジュース15ml、ココナツミルク(またはココナツ・リキュール)15ml、クラッシュド・アイス、ナツメグ・パウダー=最後に振りかける(シェイク) ※「痛み止め」という変わった名前を持つカクテル。1990年代以降、世界中で注目を集めるようになってきたが、考案されたのは、1970年代初めで、発祥はカリブ海に浮かぶ英領ヴァージン諸島の一つ、ヨスト・ファン・ダイク(Jost Van Dyke)島と伝わる。パッサーズ・ラム社のHPによれば、ダイク島の「ソギ―ダラー・バー(Soggy Dollar Bar)」のオーナー・バーテンダーで、英国人女性のダフィニー・ヘンダーソンが考案したという。 後日、「ペイン・キラーの美味しさ」の噂を聞いたパッサーズ・ラムのオーナー、チャールズ・トビアス(Charles Tobias)が、ヘンダーソンに「レシピを教えてほしい」と頼んだが断られた。しかし、トビアスは「調合されたサンプル」を入手し、2年がかりで味を再現して、世界中のバーに紹介していったという。 「ペイン・キラー」の普及には、ドイツ・ミュンヘンにある「パッサーズ・ニューヨーク・バー」(1974年創業)が大きく貢献したことで知られており、現在でも同店の看板カクテルになっている。【ご参考】過去のBlogでの関連ページフレンチ・コネクション(French Connection) (1971年、考案者は不詳) コニャック45ml、アマレット23ml(シェイクまたはビルド)※コニャックではなく普通のブランデーだと「Godchild」というカクテルになる。 ※1971年、映画「フレンチ・コネクション」の公開を記念して考案されたと伝わる。初出文献は、1977年に出版された「Jones Complete Bar Guide」。ジャングル・バード(Jungle Bird) (1973年、考案者=ジェフリー・オン<Jeffrey Ong>) ダーク・ラム45ml、カンパリ23ml、パイナップルジュース45ml、ライムジュース15ml、デメララ・シロップ15ml(シェイク) ※マレーシア・クアラルンプールのヒルトン・ホテル内「バー・アヴィアリー(Bar Aviary)」のバーテンダー、ジェフリー・オン氏が考案したと伝わる。★アマレット・サワー(Amaretto Sour) (1974年、考案者は不詳) アマレット45ml、レモンジュース23ml、シロップ1tsp、卵白(シェイク)、飾り=レモン・ツイスト、マラスキーノチェリー、ロック・グラスで提供 ※米国のアマレットの輸入業者が1974年に考案したと伝わる。本格的に普及したのは1980年代以降。近年の欧米の人気ランキングでは常に上位にランクされている。 なお、2012年にオレゴン州のジェフリー・モーガンタラー(Jeffrey Morgenthaler)というバーテンダーが上記レシピにバーボンを加える別バージョンのアマレット・サワーを考案し発表。若い世代のバーテンダーに支持されたこともあって、現在ではオリジナル・レシピと同じくらい普及している。レモン・ドロップ・マティーニ(Lemon Drop Martini) (1970年代、考案者=ノーマン・ジェイ・ホブディ<Norman Jay Hobday>?) シトロン・ウオッカ60ml、トリプル・セック7.5ml、レモンジュース20ml、シロップ15ml、グラスの縁を砂糖でスノースタイルに(シェイク) ※サンフランシスコ発祥と伝わる。考案者ではないかと伝わるホブディ氏については詳細は不明。フェルナンディート(Fernandito) (1970年代、考案者は不詳) フェルネット・ブランカ(リキュール)50ml、氷を入れたグラスに入れ、コーラで満たす(ビルド) ※アルゼンチン・ブエノスアイレス発祥。考案者はブエノスアイレスのバーテンダー、Oscar Becerraとも伝わるが、裏付ける資料は確認されていない。★ブランブル(Bramble) (1980年代半ば、考案者=ディック・ブラッドセルラス<Dick Bradsell>) ジン40ml、レモンジュース15ml、シロップ10ml、ブラックベリー・リキュール(クレーム・ド・ミュール)10ml。シェイクして、クラッシュド・アイスを入れたロック・グラスに。レモン・スライス&ブラックベリーの実=飾り。 ※ロンドンの「フレッド・クラブ(The Fred's Club)」のバーテンダー、ディック・ブラッドセル氏(1959~2016)が、故郷・ワイト島の香ばしいブラックベリー畑にインスピレーションを得て考案したと伝わる。今日でもなお数多くのカクテルブックで取り上げられる「モダン・クラシック」の一つ。ブラッドセル氏は80~90年代に数多くの素晴らしい「モダン・クラシック」を創り出したことで知られる。 <下>へ続く。
2023/04/18
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◆プロなら知っておきたい「知られざるカクテル」<上> ※原則、年代順に紹介しています。レシピは標準的なものです。★印は近年においても欧米のバー・シーンでは頻繁に登場する、とくに重要なカクテル★シェリー・コブラー(Sherry Cobbler)(19世紀初頭、考案者は不詳) ドライ・シェリー90ml、オレンジ・キュラソー10ml、マラスキーノ1tsp、レモンジュース1tspを氷(クラッシュド・アイス)を入れたタンブラーかコブレットに注ぎ、レモン・ツイスト&マラスキーノ・チェリー、生ミントの葉=飾り、必ずストローを添える(ビルド) ※19世紀初頭、米国内で誕生、1850年頃には人気カクテルになっていたという。米国のバーでは近年、再び注目されるように。「コブラー」とはワインやスピリッツにリキュール、シロップを加えてクラッシュド・アイスを入れたタンブラーに注ぎ、ストローを添えて味わう古典的カクテルのスタイル。★ジョージアン・ジュレップ(Georgian Julep)(19世紀初頭、考案者は不詳) ブランデー45ml、ピーチ・ブランデー10ml、シュガー・シロップ1tsp、生ミントの葉(適量)、ソーダ(適量)、クラッシュド・アイス(ビルド) ※ミント・ジュレップは19世紀の初めに誕生した最初期の古典的カクテルの一つ。その爽やかな飲み口もあって、今日でも人気は衰えない。「ジュレップ」とは、古代ペルシャ語の「Gulab(グルアーブ=「バラの水」の意味)」というドリンクにルーツを持ち、ペルシャからフランスへ伝わり、さらにフランス系移民によって米国に持ち込まれ、改良されていったという。 現代のミント・ジュレップはバーボンがベースであることが多いが、この「ジョージアン・ジュレップ(Georgian Julep=Georgia Mint Julepとも言う)」は、ミント・ジュレップの原型でもあり、ベースはブランデーで、ピーチ・ブランデーも使う(かのジェリー・トーマスのカクテルブック「How To Mix Drinks」=1862年刊=にも登場する)。通常のミント・ジュレップは男性的なきりっとした味わいだが、こちらはピーチ・ブランデーが入るため、甘味を感じ、優しい味わいになる。★アブサン・ドリップ(Absinthe Drip)(1830年代、考案者は不詳) アブサン45mlを低めの広口ワイングラスに入れる。専用スプーンの上に角砂糖1個を置き、上から冷やしたミネラル・ウォーターをスポイトで少しずつ落とす。 ※1830年代、アルジェリア戦争に従軍していたフランス軍にアブサンが医療目的で供給されるようになり、後に水で薄めて味わうようになったのが起源という。★ピムズ・カップ(Pimm's Cup)(1840年代、考案者=James Pimm<Bar Owner>と伝わる) ピムズ(Pimm's No.1)45ml、氷を入れたタンブラーにオレンジ、レモン、ストロベリー、キュウリのスライスを入れ、生ミントの小枝を飾り、ジンジャーエール(またはセブンアップ)で満たす。最後にパウダー・シュガーを振る(ビルド) ※「ピムズ」は1823年に誕生した薬草系リキュール。19世紀半ばから英国内で飲まれていたドリンクだったが、1971年、ウインブルドン・テニス(全英オープン)の会場で「Pimm's Bar」がオープンしたことで話題となり、幅広い人気を得るようになった。★マルチネス・カクテル(Martinez Cocktail)(1840年代、考案者は不詳) オールドトム・ジン20ml、スイート・ベルモット50ml、マラスキーノ1tsp、オレンジ・ビターズ1~2dash ※マティーニの原型とも言われる代表的な古典的カクテルで、マンハッタンやマティーニへの「橋渡し的な役割」を担ったカクテルとも言われる。ゴールドラッシュ時代の1840年代末、サンフランシスコのオクシデンタル・ホテルでバーテンダーとして働いていたジェリー・トーマス(世界初の体系的カクテルブック「How To Mix Drinks」<1862年刊>の著者)のもとに、金鉱探しの男が客としてやって来た。 男は「(サンフランシスコの東40マイルにある)マルチネスへの旅立ちのために、元気になる一杯を」とトーマスに頼んだ。カクテル名はそんな逸話に由来すると複数の文献が伝えているが、真偽のほどは定かではない(ちなみにトーマスのオリジナル・レシピは、ジン(30ml)、スイート・ベルモット(60ml)、マラスキーノ2dash、シロップ2dash、アロマチック・ビターズ1dash)。★シャンパン・カクテル(Champagne Cocktail)(1840~50年代、考案者は不詳) シャンパン(適量)、角砂糖、ビターズ、ブランデー10ml=最後にフロート(ビルド) ※古い時代のカクテルブックでは必ずと言っていいほど登場する、代表的な古典的カクテルの一つ。 欧米では19世紀中頃~末には、すでに一般的なカクテルとして普及し、パーティー等での食前酒として提供されることが多かったという。 標準的なレシピでは、フルート型シャンパン・グラスの底に、アンゴスチュラ・ビターズを染み込ませた角砂糖を置き、その上から冷えたシャンパンを注ぎ、お好みでレモン・ピールするというものが多い。シャンパンのなかで角砂糖の甘苦いビターズが徐々に浸み出し、時間の経過とともに味の変化が楽しめる。 映画「カサブランカ」の有名なシーンで、ハンフリー・ボガード扮するリックが、イングリッド・バーグマン扮するイルザの目を見つめながら、「君の瞳に乾杯!(Here's looking to you!)」と言って飲んでいたのがこのカクテルだ。★ブランデー・クラスタ(Brandy Crusta)(1850年代、考案者=ジョゼフ・サンティーニ<Joseph Santini>と伝わる) コニャック30ml、コアントロー10ml、マラスキーノ10ml、レモンジュース20ml、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、キャスター・シュガー(シェイク)、オレンジ&レモン・ツイスト=飾り ※ジョセフ・サンティーニは、ニューオーリンズのバーテンダーだったという。「クラスタ」とは、オレンジの果皮を砂糖でスノースタイルにしたグラスにはめ込み、マラスキーノ、レモンジュース、シロップ、ビターズなどを加えた古典的カクテルのスタイル。★ニッカー・ボッカー(Knicker-bocker)(1850年代、考案者は不詳) ゴールド・ラム45ml、コアントロー15ml、ラズベリー・リキュール15ml、レモン・ジュース10ml、シュガー・シロップ1tsp ※19世紀半ばに誕生した古典的カクテル。世界初の体系的カクテルブックとも称されるジェリー・トーマスの「How To Mix Drinks」(1862年刊)にも登場する。カクテル名は、ニューヨークに数多くやって来たオランダ系移民が愛用していた「短ズボン」のこと。転じて「ニューヨーク市民」のことを指すスラング(俗語)になった。★サゼラック(Sazerac) (1850年代、考案者は不詳) サゼラック・ライウイスキー50ml、ペイショーズ・ビターズ4~5dash、シュガー・シロップ0.5tsp、アブサン・リンス、レモン・ピール(ビルド) ※1850年代、米国ニューオーリンズの「サゼラック・コーヒー・ハウス」で誕生したと伝わる。元々は「Sazerac」という銘柄のコニャックをベースにしたカクテルだったが、1870年にフランス全土のブドウ畑が病害虫で壊滅状態になったため、代用品として使われたライ・ウイスキーが、そのまま現在まで定着している。★ジャパニーズ・カクテル/ミカド(Japanese Cocktail/Mikado)(1860年、考案者=ジェリー・トーマス<Jerry Thomas>) ブランデー40ml、ライム・ジュース10ml、オルゲート・シロップ10ml、アンゴスチュラ・ビターズ2~3dash(シェイク) ※「カクテルの父」と言われるジェリー・トーマス(Jerry Thomas)が考案したと伝わる。1860年、徳川幕府が派遣した訪米使節団がニューヨークを訪れた際、当時ニューヨークでバーテンダーとして働いていたトーマスが使節団一行を目撃し、インスピレーションを得て創作したとも。欧州へ伝わった後、当時ロンドンで大ヒットしたオペレッタ「ミカド」にちなんで、「ミカド」とも呼ばれるようになった。ダーク&ストーミー(Dark & Stormy)(1860年代、考案者は不詳) ダーク・ラム40ml、ライムジュース15ml、ジンジャー・ビア(適量)、氷、カット・ライム(ビルド)、タンブラーまたはロック・グラスで ※1860年代に英国領バミューダ諸島で生まれたと伝わる。「バミューダの首都ハミルトンのラム製造業者だったゴスリング兄弟(Gosling Brothers)が自社のダーク・ラムに、英海軍が本国で生産していたジンジャー・ビアをブレンドして考案したという。バミューダ諸島では「ナショナル・ドリンク」となっており、英連邦内では缶入り飲料もあるほどの人気カクテル。 カクテル名は、Barのカウンターで、航海中に遭遇した暗い雲と荒れ狂った天気(Sail under the dark and stormy weather)について語った老水兵の言葉に由来するという。なお、バミューダではライムジュース抜きで味わうこともあるが、欧米では、ライムジュース入りが一般的。ピスコ・パンチ(Pisco Punch)(1860~70年頃、考案者は不詳) ピスコ50ml、パイナップルジュース30ml、オレンジジュース15ml、レモンジュース15ml、シロップ15ml、シェイクして氷を入れたタンブラーに注ぎ、スパークリングワインで満たす。飾り=クローブを刺したパイナップル片 ※サンフランシスコにあった「バンク・エクスチェンジ・バー(Bank Exchange Bar)」=1853~19191=で誕生したと伝わる。カンチャンチャラ(Canchanchara)(1868~78年頃、考案者は不詳) ハバナ・クラブ3年 60ml、ライム・ジュース15ml、ハニー・シロップ(またはハチミツ)20ml、氷、ライム・スライス(シェイク) ※キューバ独立戦争の頃、ハバナで誕生? ダイキリの原形とも言われる。キューバではダルマのような末広がりの形をした陶器カップに入れて提供するのが一般的。イースト・インディア(East India)(1870 年代後半、考案者は不詳) ブランデー60ml、オレンジ・キュラソー5ml、ラズベリー・シロップ5ml、アンゴスチュラ・ビターズ2dash(シェイク) ※1870年代後半にニューヨークで誕生したと伝わる。ハリー・ジョンソン<Harry Johnson>が1882年に出版した『Bartender’s Manual』にも収録されている。ニューヨーク・サワー(New York Sour)(1880年代、考案者は不詳) バーボン60ml、レモンジュース30ml、シロップ15ml、ビターズ1dash、卵白、赤ワイン30ml=最後にフロート(赤ワイン以外をシェイク) ※当初シカゴで誕生した際は「Continental Sour」と呼ばれていたが、その後、「Southern Whisky Sour」と名が変わり、最終的にNew Yorkのバーで一番普及したため、「New York Sour」と呼ばれるようになったという。★ラモス・ジン・フィズ(Ramos Gin Fizz) (1888年、考案者はヘンリー・ラモス<Henry Ramos>) オールドトム・ジン60ml、レモンジュース15ml、ライムジュース15ml、シロップ23ml、生クリーム23ml、フラワー・ウォーター5dash(抜いてもOK)、卵白1個分。氷を入れずにまずしっかりシェイクした後、氷を入れてさらにシェイク。氷を入れたタンブラーに注ぎ、ソーダで満たす。 ※1888年、ニューオーリンズのマイヤーズ・テーブル・ドテル・インターナショナル(Meyer’s Table D’Hotel International)内のバーに勤めていたヘンリー・ラモス(1846~1928)が考案したと伝わる。ラモスは後に、インペリアル・キャビネット・サルーン(Imperial Cabinet Saloon)を創業し、自らのジン・フィズにさらに改良を加えた。禁酒法廃止(1934~)後、このドリンクの権利はルーズベルト・ホテルに売却されたが、現在では世界中のどこのバーでも楽しむことができる。ブランデー・デイジー(Brandy Daisy)(19世紀後半、考案者は不詳) ブランデー45ml、イエロー・シャルトリューズ20ml、レモンジュース15ml、シロップ10ml、シェイクしてソーダ少々を足す。クラッシュド・アイスを入れたワイングラスに。生ミントの葉=飾り ※ジェリー・トーマスのカクテルブックの改訂版(1887年)やハリー・ジョンソンのカクテルブック改訂版(1888年)に紹介されている。「デイジー」とは、スピリッツに柑橘系ジュース、シロップ(またはリキュール)を加え、クラッシュド・アイスを入れたグラスで味わう古典的カクテルのスタイルウイドウズ・キス(Widow’s Kiss)(1890年代、考案者=ジョージ・カペラー<George Kappeler>) カルバドス50ml、ベネディクティン10ml、イエロー・シャルトリューズ10ml(ステアまたはシェイク)、マラスキーノ・チェリー=飾り ※ニューヨークの「ホランドハウス・ホテル」のバーテンダーだったジョージ・カペラーが1890年代に考案したと伝わる。彼が1895年に出版したカクテルブック『Modern American Drinks』にも収録されている。ティ・プンシュ(Ti’ Punch)(1890年代、考案者は不詳) マルティニーク・ホワイトラム45~50ml、シュガーケイン・シロップ10ml(または黒砂糖小1個)、ライムジュース10~15ml、ライム・スライス、氷、ロックグラスで(ビルド) ※マルティニーク諸島発祥と伝わる。マルティニーク島やクアドループ島のナショナル・カクテル。ハイチ、モーリス、レユニオンなどでも幅広く普及している。「Ti'」は「Petit(小さな)」の意味。マルグリート・カクテル(Ti’ Punch)(1890年代、考案者は不詳) ドライ・ジン35ml、ドライ・ベルモット35ml、コアントロー0.5tsp、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、レモン・ツイスト(ステア) ※マティーニの原型の一つと伝わるドリンク。ハリー・ジョンソンの『バーテンダーズ・マニュアル』の改訂版(1900年刊)で初めて紹介された。カクテル名の「マルグリート」は花の名前「マーガレット」に由来するが、命名の経緯は伝わっていない。ポート・フリップ(Port Flip) (19世紀後半、考案者は不詳) ポートワイン45ml、ブランデー20ml、シロップ5ml、全卵、シェイクしてナツメグ・パウダーを振りかける(ブランデーを入れないバージョンもある) ※「フリップ」とはワインやスピリッツに卵と砂糖を加え、ナツメグを振りかける古典的カクテルのスタイル。ジェリー・トーマスのカクテルブックの改訂版(1887年)に収録されて、全米で普及するようになった(ホットで味わうこともある)。プランターズ・パンチ(Planter's Punch) (19世紀末、考案者=フレッド・マイヤーズ<Fred Myer's>) ダーク・ラム30ml、コアントロー15ml、レモンジュース15ml、オレンジジュース15ml、グレナディン・シロップ15ml、ソーダ(ソーダ以外をシェイク) ※古い時代の欧米のカクテルブックにはよく登場する、フルーティさが魅力の南国風ドリンク。植民地の大農園で飲むために考案されたのだろう。フレッド・マイヤーズは「マイヤーズ・ラム」の創業者。ボビー・バーンズ(Bobby Burns)(19世紀末、考案者は不詳) スコッチ・ウイスキー45ml、スイート・ベルモット15ml、ベネディクティン5ml、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、レモン・ツイスト(シェイク) ※スコットランドの「ウイスキー詩人」ロバート・バーンズ(Robert Burns 1759~96)に捧げられたカクテル。考案者は不詳だが、活字になったレシピは、1900年に出版されたカクテルブック「Fancy Drinks Recipe Guide」で初めて確認されている。カクテル名は「ロバート・バーンズ」の名前で紹介されることもある。フローラ・ドーラ(Flora Dora)(20世紀初頭=1901年? 考案者=ジミー・オブライエン<Jimmy O'Brien>) ジン40ml、ライムジュース20ml、ラズベリー・リキュール15ml、シェイクした後、氷を入れたタンブラーに注ぎ、ジンジャー・エールで満たす。生ラズベリー&ライム・スライス=飾り ※フルーティで酸味の効いた味わいのジン・ミュール。1901年、ニューヨークで開かれた「フローラ・ドーラ」というミュージカルコメディ終演後のパーティーで、ジミー・オブライエンというバーテンダーが出演女優のために考案したと伝わる。カクテルは評判となり、その後、欧米の大都市のセレブたちの間で愛飲されるようになったという。ペグー・クラブ(Pegu Club)(20世紀初頭、考案者は不詳) ジン30ml、オレンジ・キュラソー15ml、ライムジュース15ml、ビターズ(アンゴスチュラ&オレンジ)各2dash ※20世紀初頭、英国植民地時代のビルマ(現ミャンマー)で生まれたと伝わるカクテル。その後、英本国へ伝わり、1920年代には欧州のバーにも普及した。ハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)のカクテルブック「Bar flies and Cocktails」(1927年刊)や、サヴォイ・カクテルブック(1930年刊)にも収録されている。カクテル名は、当時ラングーン(現在のヤンゴン)の北東約80km、ペグーという町にあった外国人専用の社交クラブ(現在は廃業)の名にちなむ。ウィドウズ・ドリーム(Widow’s Dream)(1900~10年代、考案者は不詳) ベネディクティン70ml、レモン・ジュース0.5tsp、シュガー・シロップ0.5tsp、生クリーム45ml、全卵 ※1920年代以前に誕生したと伝わるクラシック・カクテル。有名なサヴォイ・カクテルブック(1930年刊)にも登場するが、「未亡人の夢」という奇妙な名の由来は定かではない。昔のカクテルには、卵白や卵黄(時には全卵)を使うものがしばしば登場するが、これは全卵を使う代表的なカクテル。ベネディクティンはブランデー・ベースの薬草系甘口リキュール。美味しいスイーツを食べているような味わいで、食後にゆったりした気分で飲むのに最高の1杯である。★ピンク・レディ(Pink Lady)(1912年、考案者は不詳) ジン45ml、グレナディン・シロップ15ml、レモン・ジュース1tsp、卵白 ※1912年、英国で上演されたミュージカル「ピンク・レディ」の打ち上げパーティーで、主演女優のヘーゼル・ドーン(Hazel Dawn)に捧げられたという(考案者の名は伝わっていない)。昔のカクテルには卵白や卵黄を使うレシピが少なくない。氷が貴重だったため、常温でも飲みやすくする工夫の一つだった。★ブザム・カレッサー(Bosom Caresser)(1910年代、考案者は不詳) ブランデー40ml、コアントロー20ml、グレナディン・シロップ1tsp、卵黄、ナツメグ・パウダー ※1910年代、欧州(おそらくはフランス国内?)で生まれたと伝わる。カクテル名の直意は「胸を愛撫する人」だが、転じて「秘めやかな抱擁」というのが正確な意味。卵黄を使うのはこの時代のカクテルの特徴の一つだが、卵っぽい雰囲気はほとんどなく、むしろフルーツ香が感じられる、まろやかで上品な味わいである。カジノ(Casino) (1910年代、考案者は不詳) オールドトム・ジン45ml、マラスキーノ23ml、レモンジュース15ml、オレンジビターズ1dash(シェイク) ※1910年代に、ニューヨークのホテル・ワリック(Wallick)=ブロードウェイ43丁目=内のバーで誕生したと伝わる。1916年に出版されたカクテルブック『Recipes For Mixed Drinks』にも収録されており、バーテンダーだった著者のヒューゴ・エンスリン(Hugo Ensslin)が考案したという説も伝わっている。ラスト・ワード(Last Word)(1910年代、考案者は不詳) ジン30ml、グリーン・シャルトリューズ20ml、マラスキーノ20ml、ライムジュース20ml、水(シェイク) ※米国デトロイトの「デトロイト・アスレチッククラブ」で誕生したと伝わる。テッド・ソーシエ(Ted Sauciet)の著書『Bottms up』(1951年刊)にも登場する。長く忘れられていたが、2000年以降のクラシック・カクテル再評価の波に乗って再び脚光を浴びるように。★アヴィエーション(Aviation)(1910年代、考案者=ヒューゴ・エンスリン<Hugo Ensslin>) ドライ・ジン30ml、マラスキーノ10ml、ヴァイオレット・リキュール5ml、レモンジュース15ml(シェイク)、マラスキーノ・チェリー=飾り ※Aviationとは「航空(学)」「飛行術」「航空機産業」の意。航空機による飛行が盛んになった1910年代を象徴するカクテル。ニューヨークのバーテンダー、ヒューゴ・エンスリン(Hugo Ensslin)が1910年代に考案したと伝わる。1916年に出版された彼のカクテルブック『Recipes For Mixed Drinks』にも収録されている。ティペラリー(Tipperary)(1910年代、考案者=ヒューゴ・エンスリン) アイリッシュ・ウイスキー30ml、スイート・ベルモット25ml、グリーン・シャルトリューズ10ml、ビターズ2dash、オレンジ・ツイスト(※3分の1ずつのレシピも)(シェイク) ※1916年に出版されたカクテルブック『Recipes For Mixed Drinks』の著者、ヒューゴ・エンスリン(Hugo Ensslin)が考案したと伝わる。 <中>へ続く。
2023/04/17
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◆プロなら知っておいて損はない「知られざるカクテル」【収録カクテル紹介】(年代順)★印はとくに重要なカクテル<1800~1850年代>★シェリー・コブラー(Sherry Cobbler) ★ジョージアン・ジュレップ(Georgian Julep)★アブサン・ドリップ(Absinthe Drip) ★ピムズ・カップ(Pimm's Cup)★マルチネス・カクテル(Martinez Cocktail)★シャンパン・カクテル(Champagne Cocktail)★ブランデー・クラスタ(Brandy Crusta)★ニッカ―・ボッカー(Knicker-Bocker)★サゼラック(Sazerac)<1860~1890年代>★ジャパニーズ・カクテル(Japanese Cocktail) ダーク&ストーミー(Dark & Stormy) ピスコ・パンチ(Pisco Punch) カンチャンチャラ(Canchanchara) イースト・インディア(East India) ニューヨーク・サワー(New York Sour) ★ラモス・ジン・フィズ(Ramos Gin Fizz) ブランデー・デイジー(Brandy Daisy) ウイドウズ・キス(Widow’s Kiss) ティ・プンシュ(Ti’ Punch) マルグリート・カクテル(Marguerite Cocktail)ポート・フリップ(Port Flip) プランターズ・パンチ(Planter's Punch) ボビー・バーンズ(Bobby Burns) <1900~10年代>フローラ・ドーラ(Flora Dora) ペグー・クラブ(Pegu Club) ウィドウズ・ドリーム(Widow’s Dream) ★ピンク・レディ(Pink Lady) ★ブザム・カレッサー(Bosom Caresser) カジノ(Casino) ラスト・ワード(Last Word) ★アヴィエーション(Aviation) ティペラリー(Tipperary)<1920年代>★ハンキー・パンキー(Hanky Panky) ★ベボー・カクテル(Bebbo Cocktail) ★メアリー・ピックフォード(Mary Pickford) ★ピスコ・サワー(Pisco Sour) ★ブラッド&サンド(Blood & Sand) ★アペロール・スプリッツ(Aperol Spritz) サウスサイド(Southside) エンジェル・フェイス(Angel Face) ★コープス・リバイバー#2(Corpse Reviver #2)&コープス・リバイバー、コープス・リバイバー#3も。 モンキー・グランド(Monkey Gland) パラダイス(Paradise) ★ブールヴァルディア(Boulevaldier)<1930~1940年代>ナイト・ライト(Night Light) ブランデー・ズーム(Brandy Zoom) ★サイレント・サード(Silent Third) ★ゾンビ(Zombie) ★ヴュ・カレ(Vieux Carre) アルゴンキン(Algonquin) B & B ★ヘミングウェイ・スペシャル(Hemingway Special) エース・オブ・クラブス(Ace of Clubs) ミッショナリー・ダウンフォール(Missionary Downfall) サファリング・バスタード(Suffering Bastard) エル・ディアブロ(El Diablo) ハリケーン(Hurricane) <1950~1970年代>★パロマ(Paloma) バラクーダ(Barracuda) イエロー・バード(Yellow Bird) ゴールデン・ドリーム(Golden Dream) ★ペイン・キラー(Pain Killer) フレンチ・コネクション(French Connection) ジャングル・バード(Jungle Bird) ★アマレット・サワー(Amaretto Sour) レモン・ドロップ・マティーニ(Lemon Drop Martini) フェルナンディート(Fernandito) <1980~1990年代>★ブランブル(Bramble) ★エスプレッソ・マティーニ(Espresso Martini) ロシアン・スプリング・パンチ(Russian Spring Punch) ★トミーズ・マルガリータ(Tommy’s Margarita) フレンチ・マティーニ(French Martini)★セレンディピティ(Serendipity) <2000年代>★ジン・ジン・ミュール(Gin Gin Mule) ★ポーン・スター・マティーニ(Porn Star Martini)リボルバー(Revolver) オールド・キューバン(Old Cuban) スパイシー・フィフティ(Spicy Fifty) ★ペニシリン(Penicillin) ペーパー・プレーン(Paper Plane) ★メスカル・ミュール(Mescal Mule) トリニダード・サワー(Trinidard Sour) <2010年代~>ネイキド&フェイマス(Naked & Famous) Ve. n. to(ヴェネト) イリーガル(Illegal)イエロー・スコーピオン(Yellow Scopion) ホアン・コリンズ(Juan Collins) ブレイブ・ブル(Brave Bull) エンヴィ・カクテル(Envy Cocktail) ブラッディ・マリア(Bloody Maria)
2023/04/16
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◆プロなら知っておいて損はない「知られざるカクテル」(序文) ◆「スタンダード」の8割以上は150~50年前に誕生 以前私は、WEBマガジン「リカル(LIQUL)」での連載「カクテル・ヒストリア」で「日本と海外、人気カクテルはなぜ違う?」というテーマで執筆しました。→ 記事はこちら。 記事は、日本のバーでの人気カクテル・ランキングには、この40~50年ほど、ほとんど変化がないのに対して、欧米の人気ランキングは2000年以降、その顔ぶれがかなり変わってきていること、その理由・背景は何かを解説したものでした。 現代のバーでよく飲まれているカクテルは、その8割以上が150~50年前に欧米で誕生したクラシック・カクテルです。こうしたクラシック・カクテルは今では「スタンダード・カクテル」とも言われます。 いまでは「スタンダード」となったこうしたカクテルは当然、最初は誰かの創作カクテルでした。それが長い歳月の中で、世界中のバーで、たくさんのバーテンダーがお客様に提供してくれたおかげで、日本も含む幅広い国や地域で普及して、「スタンダード」になった訳です。100年以上経った今でも、私たちがバーのカウンターで気軽に楽しめるのは、数多くのバーテンダーたちの献身的な協力の賜物と言ってもいいと思います。 しかし、創作カクテルが生き残っていくためには、バーテンダーだけが努力だけでは足りません。飲み手(お客様)に気に入ってもらい、支持されなければ、再び注文されることなく消えてしまいます。では、現代のバーで提供されている「スタンダード・カクテル」は、どのような背景があって受け継がれてきたのでしょうか? どういう理由で飲み手に支持されてきたのでしょうか? ◆「シンプルで、特徴や個性が明確」だったからこそ 専門家は大きく2つの理由を挙げます。まずは、そのカクテルがどこの国や地域でも入手しやすい材料でつくれて、幅広い普及が可能だったこと、そして、多くても3~4種類程度の材料によるシンプルな味わいで、味の特徴や個性、方向性がはっきりしていたことです。 もちろん「シンプルで、味の特徴・個性が明確だった」から、すべての創作カクテルが生き残れた訳ではありません。飲み手=お客様が「美味しい」「また飲んでみたい」と思って、「選ばれたものだけ」が長い歳月を経過した現在でもメニューに生き残っているのです。 一方、日本人がつくり出す創作カクテルはどうだったかと言えば、過去、日本人が考案したもので現在、世界的な知名度を持つものは10数個くらいしかありません。日本生まれのカクテルとしては「バンブー」や「ミリオンダラー」が国際的にもとても有名ですが、残念ながら、明治期の来日外国人が考案したものだと言われています。 日本人が考案した創作カクテルが世界的に普及しない理由はいろいろありますが、私は、国内のカクテルコンペでのトレンドや、審査基準の影響が大きいと考えています。国内のコンペでは、参加選手は数多くの材料を使って工夫したり(現在ではコンペで使用材料の種類=数が制限されていて難しいそうですが…)、入手が難しい珍しいスピリッツやリキュールや自家製のシロップなどを使ったり、デコレーション(飾り)を競い合ったりするのがトレンドでした。 ◆数年で忘れ去られるコンペ優勝カクテル 材料の数を追求した結果、味が複雑になりすぎ、個性や特徴がよく分からないという弊害を生むことになりました。入手が難しい材料を使えば、他のカクテルとの「差別化」は図れても、どこのバーでも再現することは難しくなり、幅広い国や地域での普及という点では高いハードルとなりました。言い方を換えれば、普通のバーで再現できない創作カクテルは普及することはなく、たとえコンペで優勝しても数年後には忘れ去られるのが通常でした。 後者の「審査基準」について言えば、国内のコンペでは甘口系の創作カクテルの方が(審査員に)高く評価されやすい傾向があり、フレーバーは違っても、結果として同じような甘口系の方向性の作品ばかりが並ぶということが少なくありませんでした(実際のバーの現場では、甘口系のカクテルより辛口系のカクテルを好むお客様の方が多いのに、コンペの審査員をほとんど業界団体の人間で担っているので、こうした”逆転現象”が起きてしまいます)。 結果、優勝してもそのカクテルは数年で忘れられ、生き残ることはありません。そして、残念ながら、日本人の創作カクテルの中で、発表後に長い歳月を経て国内の「スタンダード」として生き残ったものや、国際的知名度を持つまでに有名になったものは、1970年代以降、数えるほどしかありません。 日本のバー業界の現状をみると、毎年星の数ほど生み出される創作カクテルは「コンペのための創作カクテル」であって、バーの現場で幅広い普及し、次世代へ受け継がれることを目指して考案される創作カクテルは、ほとんど見られません。 ◆普通のバーで再現できなければ、生き残れない もちろん、日本のバーテンダーの中には「次世代へ受け継がれるというよりも、いま目の前のお客様を楽しませるカクテルがつくれたら、それでいい」というスタンスの方もいます。私はそれも一つの考え方で、それはそれで素晴らしいと思います(「スタンダード」としての普及・定着を目指すだけがバーテンダーの使命ではありません。お客様に「見て楽しい、飲んで美味しい」オリジナルを日々考案する方が意味があるという考え方も一理あると思います)。 液体窒素や減圧蒸留器、遠心分離機など最新の道具を使い、斬新なカクテルを提供する勉強熱心なバーテンダーを、個人的にはとても尊敬しています。でも、残念ながら、そういう高度なテクニックを伴うカクテルは、どこのバーでも再現できるものではないため、どんなに素晴らしいカクテルを考案しても幅広く普及するのは難しく、「スタンダード」として生き残れないのです。 2000年以降、海外のトレンドに影響されて、国内のコンペよりも海外のコンペに挑戦するバーテンダーも目立ってきました。海外のコンペでは、日本とは違った「審査基準」で競い合います。カクテルの個性が重視され、臨機応変の対応力やパフォーマンス、語学力も含めたプレゼンテーション力などが評価されます。日本のコンペにように、技術や所作の美しさ、分量の正確さ、デコレーションの派手さを競ったりすることはほとんどありません。 そして、2015年の「ワールド・クラス」という世界的なカクテルコンペ(ディアジオ社主催)では、奈良県のバーテンダー金子道人氏(Lamp Barオーナー・バーテンダー)が見事、世界一となり、国内のバーテンダーが海外に目を向ける大きなきっかけとなりました。その後も、日本人バーテンダーで世界的なコンペで優秀な成績を収める人が相次いでいます。 ◆海外ではクラシック・カクテルに再び光が こうした海外志向のバーテンダーの皆さんが、どういうカクテルづくりを目指すのかは、人により様々でしょう。普遍的な材料を使って次世代へ残るようなカクテルを考案したいと願うのか、カウンターでお客様を楽しませるための斬新かつ革新的なカクテルづくりを追求するのか。 私はどちらの方向性も、バーテンダーとしてやりがいのある素晴らしいチャレンジだと思っています。後者のカクテルの中から結果として、後世へ受け継がれるものが誕生すれば、さらに喜ばしいことだと思いますが、何度も言うように、どこの国・地域でも手に入る材料で創作しなければ、世界的な幅広い普及は難しいでしょう。。 ところで、海外では2000年以降、なぜか「クラシック・カクテル」に再び光が当てられ、再評価されるようになっています。欧米の大都市のカクテルバーでは、古いクラシック・カクテルを見直し、21世紀のアレンジ(ツイスト)を少し加えて、蘇らせる試みが盛んになっています。 この傾向は、欧米の人気カクテル・ランキングでも同様で、近年では例えば、日本のバーでは注文されることが少ないオールド・ファッションド、ネグローニ、サゼラックなどというクラシック・カクテルが常に上位を占めるような現象が続いています。 ◆先人の遺産や歴史・文化を受け継ぐ気風 なぜ、欧米で再び「クラシック・カクテル」が再評価されるようになったのかーー。元々、クラシック・カクテル志向が強く、米国では禁酒法という逆風もありながら、19世紀末から20世紀初頭に生まれたカクテルは根強く飲み継がれてきました。背景には、アルコール耐性が強い欧米人は度数の高い、辛口系カクテルも好むということもありました。 日本の現状でも同じようなことが言えるかもしれませんが、近年、材料や手法が斬新な「モダン・カクテル」が増えて、味わいが複雑になりすぎたことへの「アンチテーゼ」として、「クラシック・カクテル」のシンプルな魅力が再発見、再評価されたのではないかとも言われています。 忘れてはならないのが、元々欧米では、歴史や先人の遺産・文化を受け継いでいこうという気風が根強くあり、バー業界も例外ではありません。米国や英国では現在、100年ほど前に出版された古いカクテルブックの復刻版・刊行が盛んです。 この5~10年ほどの間だけでも、長い間絶版だったカクテルブックが30冊近く復刻・復刊されています。おそらくは、古いカクテルブックの中から、現代に生かせるヒントがないかを求めるバーテンダーからの要望が多いためではないかと私は想像しています。 ◆「知っておいて絶対損はしない」欧米のトレンド 先日のこと。ある日本人バーテンダーの方から、「海外のバーでよく注文されることの多いカクテル、あるいは近年注目されているカクテルで、日本のバーの現場でも知っておいた方がいいものは何ですか?」という質問を受けました。この方も将来、海外のコンペに挑戦したり、海外のバーで働いてみたいと考えています。 そこで、良い機会なので、まがりなりにも長年カクテル史を研究してきた私が、独自?の視点で「プロとして知っておくべき、大切なカクテル」を選んでみました。選考にあたって重視したのは、最近の欧米でのトレンドです。近年の人気カクテル・ランキング調査、カクテルを専門に扱っているサイト、有名バーでの提供メニュー、近年発刊されたカクテルブックでの収録カクテル等々、可能な限りのデータを丁寧に集めてみました。 今回紹介するカクテルは、日本のバーの現場ではほとんど注文されることがないものが多く、いわゆる「(日本での)スタンダード100選」には入っていない、日本では知名度の低いカクテルです。プロのバーテンダーでも知らない人が多いかもしれませんし、知らなくてもそう困ることはないかもしれません。 しかし、プロなら「知っておいて絶対に損はしない」カクテルだと私は信じています。とくに、これから海外のコンクールなどに挑戦したい、または海外のバーで働いてみたいと思っているバーテンダーには、ぜひ知っておいてほしいカクテルです。 それでは、次回から3回に分けて、こうした「知られざるカクテル」について、標準的なレシピに加えて、誕生した時期、考案者(不明なものもありますが)、誕生の由来等について、現時点で知り得る限りのことを紹介したいと思います。 次回「プロなら知っておいて損はない『知られざるカクテル』<上>」は、明日17日に掲載いたします。
2023/04/16
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バーUKは本日15日(土)、通常通り(午後2時~7時半)営業いたします。皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。Today( April 15th )the bar UK is open from 2:00 to 7:30 pm.
2023/04/15
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バーUKは、本日12日(水)は「月イチ平日定休日」のため、お休みを頂戴いたします。何卒ご了承くださいませ。Today( April 12th )the bar UK is closed.
2023/04/12
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バーUKは本日4月10日(月)午後4時オープンですが、午後8時から10時までは貸切営業となります。何卒ご了承くださいませ。ご入店は御4人様まで、ご在店は120分以内とさせて頂きます。また、同一時間帯での在店者数は、「3密」予防の観点から当面、店のキャパの60~70%程度(7~8人)に制限させて頂きます。以上、皆様のご理解、ご協力の程よろしくお願い致します。Today( April 10th ) the bar UK is open from 4:00 to 10:00 pm, but fully booked for the private party from 8:00 to 10:00 pm.
2023/04/10
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先日のこと。ある海外のバー業界関係の方から「過去誕生したジャパニーズ・カクテルのなかで、知っておくべき重要なカクテルを教えてほしい」という依頼を受けました。 そこで、まがりなりにも長年カクテル史を研究してきた私が、独自の?視点で25のカクテルを選んで、DeepLの力を借りて(笑)英訳したうえでお伝えいたしました(うち2つは日本人の考案ではなく、滞日外国人が考案した or 関わったと伝わる日本生まれのカクテルですが…)。 以下はその日本語版です。「プロなら知っておくべきジャパニーズ・カクテル」と、その考案者(不明なものもありますが)、誕生の時期・由来等について簡単に紹介いたします(かつて私のBlog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話」で取り上げたものについては、その該当ページへのリンクも貼っておきます)。1.横浜(Yokohama)(19世紀末から20世紀初頭、考案者は不詳) ジン30ml、ウォッカ15ml、オレンジジュース15ml、グレナデン・シロップ10ml、アニゼット0.5tsp(ティースプーン) ※横浜・外国人居留地のバーもしくは欧州航路の客船内のバーで誕生したと伝わっている。いずれにしても欧州航路の客船を通じて1920年代には英国にも伝わり、サヴォイ・カクテル・ブック(1930年刊)にも収録されることになった。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:横浜(Yokohama)」】2.チェリー・ブロッサム(Cherry Blossom) 田尾多三郎(1923年) チェリー・ブランデー30ml、ブランデー20ml、オレンジ・キュラソー10ml、レモン果汁5ml、グレナディン・シロップ5ml ※田尾氏(故人)がオーナー・バーテンダーをつとめていた横浜・伊勢佐木町の「カフェ・ド・パリ」(現在は関内に移転し、「パリ」と改名)で誕生した伝わっている。カクテル「横浜」と同様、欧州航路の客船を通じてロンドンやパリなどの欧州の大都市にも伝わった。サヴォイ・カクテル・ブック(1930年刊)にも収録されている。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:チェリー・ブロッサム(Cherry Blossom)」】3.マウント・フジ(Mount Fuji) 東京帝国ホテルのインペリアル・バーで誕生(1924年)、考案者は不詳 ジン45ml、パイナップルジュース15ml、レモンジュース10ml、シロップ1tsp、マラスキーノ1tsp、 生クリーム 1tsp、卵白 ※「マウント・フジ」カクテルには他に2つのバージョン(JBAバージョンと箱根富士屋ホテルバージョン)が伝わっている。詳しくは、連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話」の「マウント・フジ(Mount Fuji)」の項をお読みください。4.ライン・カクテル(Line Cocktail) 前田米吉(1924年) ジン25ml、スイート・ベルモット25ml、ベネディクティン25ml、アンゴスチュラビターズ2dash ※前田米吉氏(1897年~1939年)は大正時代のバーテンダーであり、日本初の実用カクテルブック『コクテール』(1924年刊)の著者。【ご参考:拙Blogの記事「『コクテール』の著者・前田米吉氏の素顔とは」】5.會舘フィズ(Kaikan Fizz) 東京會舘内のバー発祥(1945年)、考案者は不詳 ジン45ml、牛乳60ml、レモンジュース15ml、砂糖1tsp、ソーダ ※敗戦後(1945年9月)、東京會舘は占領軍に接収され、1952年まで将校専用の社交場(「東京アメリカンクラブ」)として使用された。「會舘フィズ」は朝から酒を飲みたい将校が、バーテンダーに「お酒に見えないアルコール・ドリンクをつくってくれ」と頼んで、考案してもらったのが起源と伝わる。【ご参考:拙Blogの記事「東京會舘メインバー:歴史の重みに酔う」】6.カミカゼ(Kamikaze) 考案者不詳(1945~46年頃) ウォッカ30ml、コアントロー30ml、ライムジュース30ml、ライム・スライス ※第二次世界大戦後(1945年~)、東京の占領軍キャンプ(米軍基地)内のバー発祥と伝わる。 7.青い珊瑚礁(Blue Coral Reef) 鹿野彦司(1950年) ジン40ml、グリーンペパーミント・リキュール20ml、マラスキーノ・チェリー、あらかじめグラスの縁をレモンで濡らしておく。 ※1950年5月、戦後初めて開催された本格的なカクテル・コンクール「オール・ジャパン・ドリンクス・コンクール」(日本バーテンダー協会=当時はJBA=主催)で1位に輝いた。考案者の鹿野氏は(当時)名古屋のバー「くらぶ鴻の巣」のオーナー・バーテンダー。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:青い珊瑚礁(Blue Coral Reef)」】8.キッス・オブ・ファイア(Kiss of Fire) 石岡賢司(1953年) ウォッカ30ml、スロージン20ml、ドライ・ベルモット、レモンジュース5ml、砂糖でグラスをスノー・スタイルにして ※1953年に開催された「第5回「オール・ジャパン・ドリンクス・コンクール」(日本バーテンダー協会主催)でグランプリに輝いたカクテル。石岡氏は残念ながら、この受賞から数年後に他界された。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:キッス・オブ・ファイア(Kiss of Fire)」】9.雪国(Yukiguni) 井山計一(1959年) ウォッカ45~55ml、ホワイト・キュラソー10ml、ライムジュース5ml、ミントチェリー、砂糖でグラスをスノー・スタイルに ※1958年、山形県酒田市のバー「ケルン」のオーナー・バーテンダー井山計一氏が、川端康成の小説「雪国」をモチーフに考案。翌年の1959年に開催された「第1回寿屋(後のサントリー)カクテルコンクール」で最優秀賞を受賞した。 日本人が考案したスタンダード・カクテルとしては、「雪国」は日本国内では今なお最もよく知られている(日本生まれのカクテルとしては「バンブー」が世界的に有名だが、これは残念ながら、明治期に米国から来日した外国人によって考案されたもの)。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:雪国(Yukiguni)」】10. スカイダイビング(Sky Diving) 渡辺義之(1967年) ホワイト・ラム30ml、ブルー・キュラソー20ml、ライムジュース10ml ※1967年10月に開催された全日本バーテンダー協会主催の大会でグランプリを受賞したカクテル。海外ではあまり知られていないが、日本ではほぼ「スタンダード」になっており、国内で出版されるカクテル本にも頻繁に登場する。渡辺義之氏は大阪のバーテンダー。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:スカイダイビング(Sky Diving)」】11. レッド・アイ(Red Eye) (1970年代後半?沖縄発祥。考案者は不詳) ビール150ml、トマトジュース150ml、スパイス(セロリソルト、ブラックペッパー...) ※トム・クルーズ(Tom Cruise)主演の映画「カクテル(Cocktail)」(1988年公開)に登場する生卵入りカクテル「レッド・アイ」に似ているが、この日本発祥の「レッド・アイ」は全く別物で、映画公開前の1970年代後半には沖縄の米軍基地周辺のバーで流行っていた。その後、80年代半ばには東京や大阪などの大都市でも広く知られるようになった。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:レッド・アイ(Red Eye)」】12. メロンボール(Melonball) (1978年、考案者は不詳) ウオッカ20ml、ミドリ(メロン・リキュール)30ml、オレンジジュース80ml ※1978年、サントリー社がメロン・リキュール「ミドリ(MIDORI)」を米国で先行発売するに際して、提案したオリジナルカクテル(オレンジジュースの代わりにグレープフルーツジュース、パイナップルジュースを使うバージョンもある)。13. ソル・クバーノ(Sol Cubano) 木村義久(1980年) ホワイト・ラム45~80ml、グレープフルーツジュース60ml、トニックウォーター60ml、グレープフルーツ・スライス、フレッシュミント ※1980年に開催された「トロピカルカクテル・コンクール」(サントリー社主催)でグランプリを受賞。木村氏は神戸のバー「サボイ北野坂」のオーナー・バーテンダーとして今も活躍中。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:ソル・クバーノ(Sol Cubano)」】14. 照葉樹林(Shoyo Jurin=means Shiba Forest.) (1980年頃、考案者は不詳) 緑茶リキュール 60ml、烏龍茶 120ml ※サントリー・カクテルスクール東京校発祥と伝わる。15. 吉野(Yoshino) 毛利隆雄(1983年) ウォッカ60ml、キルシュワッサー0.5tsp、緑茶リキュール0.5tsp、桜花の塩漬け ※奈良県の吉野は桜の名所として有名。毛利隆雄氏は、東京・銀座「毛利バー」のオーナー・バーテンダー。16. スプモーニ(Spumoni) (1980年代半ば、考案者は不詳) カンパリ30ml、グレープフルーツジュース30ml、トニックウォーター ※日本のバーで最も人気のあるカクテルの一つ。アルコール度数が低く飲みやすいため、とくに女性に人気がある。日本のカクテルブックでは「イタリア生まれのカクテル」と紹介されることが多く、バー関係者でもそう誤解している人が多いが、日本生まれのカクテル。 1980年代半ばに、日本のカンパリ輸入業者と、イタリア料理ブームに便乗した外食産業関係者によって考案され、広まった。「スプモーニ」の語源は、イタリア語の「泡を立てる(spumare)」から名付けられたという。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:スプモーニ(Spumoni)」】17. キングス・バレー(King’s Valley) 上田和男(1986年) スコッチ・ウイスキー40ml、ホワイト・キュラソー10ml、ライムジュース10ml、ブルー・キュラソー1tsp ※1986年に開催された「第1回スコッチウイスキー・カクテルコンペティション」での優勝作品。作者の上田氏は、東京・銀座「Bar TENDER」のオーナー・バーテンダー。18. サケティーニ(Saketini) (1980年代半ば~後半に登場、考案者は不詳) ドライ・ジン40ml、日本酒(SAKE)30ml、オリーブ19. フォーリング・スター(Falling Star) 保志雄一(1989年) ホワイト・ラム30ml、パイナップル・リキュール15ml、オレンジジュース10ml、グレープフルーツジュース10ml、 ブルー・キュラソー 1tsp、レモンピールは星型にくり抜く。ブルー・キュラソーで銀河のようにコーラル・スタイルにしたグラスに ※1989年、日本バーテンダー協会主催の「全国バーテンダー技能競技大会」で総合優勝した際の創作カクテル。保志氏は現在、東京・銀座「バー保志」のオーナー・バーテンダー。20. チャイナ・ブルー(China Blue) 内田輝廣(1980年代後半〜1990年代前半) ライチ・リキュール30ml、ブルー・キュラソー10ml、グレープフルーツジュース45ml、トニックウォーター45ml(トニックウォーター無しのバージョンもある) ※ライチ・リキュール「ディタ(DITA)」の輸入発売スタートにあたり考案されたと伝わる。カクテル名は、中国の陶磁器「景徳鎮」の鮮やかな青色に由来するという。内田氏は富山市にある「バー白馬館」のオーナー・バーテンダー。21. ミルキーウェイ(Milky Way) 岸 久(1996年) ジン30ml、アマレット30ml、ストロベリークリーム・リキュール10ml、ストロベリー・シロップ15ml、パイナップルジュース 90ml ※1996年の「インターナショナル・カクテル・コンペティション(ICC)」ロングドリンク部門での優勝作品。岸氏は、東京・銀座「スタアバー」のオーナー・バーテンダー。ICCで優勝した日本人バーテンダーは岸氏が初めてである。22. オーガスタ・セブン(Augusta Seven) 品野清光(1997年) パッソア(パッションフルーツ・リキュール) 45ml、パイナップルジュース90m、レモンジュース15ml ※パッソア・リキュールの日本での輸入販売を開始するにあたり、オリジナルカクテル考案の依頼を受けた大阪の「バー・オーガスタ」オーナー・バーテンダー、品野清光氏が考案した。その後、人気漫画「バー・レモン・ハート」でも紹介されたことで全国的にも知られるようになった。【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:オーガスタ・セブン(Augusta Seven)」】23. スピーク・ロウ(Speak Low) 後閑信吾(2012年) ダーク・ラム50ml、ペドロヒメネス・シェリー5ml、抹茶1tsp、レモンピール ※2012年、「バカルディ・レガシー・カクテル・コンペティション」の優勝作品。後閑氏は日本人では、現在世界で最もその名が知られているバーテンダー。【番外編】・バンブー(Bamboo) 1890年、横浜外国人居留地にあった旧・横浜グランドホテルの支配人だった米国人、ルイス・エッピンガー(Louis Eppinger)氏が考案したと伝わる。 ドライ・シェリー50ml、ドライ・ベルモット20ml、オレンジビターズ(ステア)【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:バンブー(Bamboo)」】・ミリオンダラー(Million Dollar) 19世紀末または20世紀初めに、横浜グランドホテル内のバーで誕生? バンブーと同じエッピンガー氏の考案とも伝わるが、これを裏付ける文献資料は確認されていない。 ジン45ml、スイート・ベルモット15ml、パイナップルジュース15ml、グレナデン・シロップ、卵白(シェイク)【ご参考:拙Blog連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話:ミリオンダラー(Million Dollar)」】★こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2023/04/01
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バーUKは本日4月1日(土)、明日2日(日)の両日、お休みを頂戴いたします。何卒ご了承くださいませ。The bar UK is closed on 1st & 2nd of April.
2023/04/01
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