●作品33 フランス・ハルス 《男性の肖像画(聖職者)》
1657-60年頃 アムステルダム国立美術館
肌のトーンやハイライトで強調されたふくよかな唇、頭髪や髭、そして何より重ねられた手が大まかなタッチで描かれていますが、それらは信じがたいほど説得力のある表現を生み出しています。人物像をつくり上げるこの革新的な方法は後世の絵画史に影響を与えることとなりました。
【フランス・ハルス】
《ひだ襟をつけた男の肖像》《男性の肖像(聖職者)》を描いたフランス・ハルスの肖像画は、間違いようがない特徴を備えています。モデルのまなざしと身振り、印象的な筆法と光と影の活き活きした戯れによって活気を与えられた彼の作品は、17世紀の肖像画において最も感嘆に値し、最も陽気なもののひとつです。
●作品34 ヘラルト・ファン・ホントホルスト《画家の肖像》
1655年 アムステルダム国立美術館
テーブルの端に掛けられたメダルには、スウェーデン女王クリスティーナの像と“Christina” の銘が表されており、この画家がスウェーデン女王に雇われていたことを暗示しています。
●作品35 ヘラルト・ファン・ホントホルスト《女性の肖像》
1655年 アムステルダム国立美術館
作品34の《画家の肖像》と対のこの絵は、画家の妻ソフィア・コープマンスの肖像と考えられてきましたが、実際のところははっきりとしません。この作品にも描かれているスパニエルは、オランダ黄金時代の肖像画と風俗画によく登場する愛玩犬です。
【ヘラルト・ファン・ホントホルスト】
《画家の肖像》《女性の肖像》 を描いたホントホルストは、30代のうちに25人もの弟子をかかえるほどの成功を収めました。オランダ総督フレデリック・ヘンドリックの宮廷やイングランドの収集家であるアランデル卿から注文を受け、また1628年にホワイトホール宮殿のバンケティング・ハウスのためにチャールズ1世から招きを受けたことにより、彼の国際的な名声は不動のものとなりました。この時代において、国際的に最も人気の高いオランダ人画家でした。
(続きます)
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