ワルディーの京都案内

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2016/02/10
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テーマ: 闘病日記(4006)
カテゴリ: 癌闘病記
2016年 2月10日(水)】

 後腹膜脂肪肉腫に罹り、抗がん剤治療に続き粒子線治療を受けました。現在、経過観察中です。ちょうど1年前の今頃は、6クールの抗がん剤治療後の次の治療について方針を決める時期でした。

 M病院での診察で、次の治療のステップとして、透析をしたうえでの残った腎臓ごとの切除手術が提案されましたが、大阪府立成人病センターでのセカンドオピニオンで、腎臓を残して透析を避ける方法として粒子線治療の可能性があるとの所見が示され、兵庫県立粒子線医療センターに治療の対象になるか、治療の対象になった場合、どんなリスクがあるかなどについてセカンドオピニオンで聞きにいくことになりました。

 この日、初めて兵庫県立粒子線医療センターを訪れました。

 果たして、私の「がん」は治療対象になるでしょうか。

以下、2015年2月10日の日記からです。

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【2015年2月10日】

■重粒子線での治療可能か?粒子線医療センターへ

 今日は、兵庫県立粒子線医療センターでのセカンドオピニオンの日。朝5時起床、タクシーで最寄りのJR駅へ、そこから在来線と新幹線で相生(あいおい)へ。相生駅からバスで30分強の、一山越えた播磨科学公園都市の中にあります。到着したのは8時半過ぎ。片道3時間。自宅最寄り駅までのタクシーをバスにしても片道約6000円、新幹線を在来線にして片道約3500円(ただしこの場合は、片道3時間半強)。かなり遠いです。相生からのバスは乗っているのは30分くらいですが、なんと片道690円もします。

 山間のサイエンスパークで、広々として建物も高くなく、何かアメリカの企業団地を見るようで、なつかしい感じもしました。粒子線医療センターも写真のように、広々として、一番高くても4階建ての建物で落ち着いた感じです。


兵庫県立粒子線医療センター(パンフレットより)
IMG_0001(外観).jpg


 私としては、「これは粒子線治療は無理ですね。やはり残った腎臓を含めた広範切除がお薦めです。」と言ってもらって、M病院での広範切除にふんぎきりをつけるという覚悟できました。でもネットで探していたら、下記のような記事も見つけ、ひょっとしたら治療の対象になるかもという気持ちも片隅にありました。しかし、CT画像を見る限り腫瘍は腎臓にへばりついているように見えるので、いくらピンポイントで照射しても腎臓を損傷するだろうし、やっぱり無理かなぁとも思ったりもしていました。

日経メディカルの記事です。

重粒子線治療で切除不能軟部肉腫の5年生存率は69%【外科学会2008】

2008/5/19 八倉巻 尚子=医学ライター

 重粒子線の一つである炭素イオン線を使った治療で、切除不能の後腹膜軟部悪性腫瘍(肉腫)の5年生存率は69%、5年局所制御率は65%に上る――。放射線医学総合研究所重粒子医科学センターの鎌田正氏らが、5月15日から17日に長崎市で開催された日本外科学会で発表した。

 炭素イオン線治療は線量集中性に優れ、細胞を死滅させる生物効果も高いとされる。同センターでは炭素イオン線の安全性と有効性を検討するフェーズ1/2臨床試験およびフェーズ2臨床試験を1994年から行なっている。実施件数は1994年6月から2008年2月までに3819件。このうち骨軟部への治療が398件、10.4%を占めた。

 本発表では軟部肉腫の約15%を占める後腹膜軟部肉腫について、その治療成績が報告された。対象は後腹膜軟部肉腫患者27人で、原発性が18人、再発性が9人だった。腫瘍径は4~15cm(中央値は10cm)。組織型はMFH(悪性線維性組織球腫)が6人、MPNST(悪性末梢神経鞘腫瘍)が5人、脂肪肉腫が3人、そのほか11人となっていた。4週間で16回の照射を行った結果、5年生存率は69%、5年局所制御率は65%であり、「重粒子線治療は主に切除不能あるいは術後再発の後腹膜軟部肉腫症例を対象としているが、局所制御および生存率は切除例の報告と同等であった」と鎌田氏はいう。

 副作用は、急性期にはグレード2の皮膚障害が15%、遅発性の副作用としてはグレード2の皮膚障害が4%、グレード2の末梢神経障害が19%に見られた。炭素イオン線はピンポイントの照射が可能だが、その近接した組織への照射はまぬがれない。そこでゴアテックスシートを腹部に挿入することにより、消化管近接への照射も試みられており、「適応の拡大が可能になりつつある」という。


 受け付けで申し込み書や同意書やアンケートを記入して待ちました。受付の皆さんの対応は丁寧、親切で好印象でした。9時半からの予定でしたが、多分、この申し込みのための時間も含めてでしょう。担当の看護師さんが呼びに来たのは、10時半を過ぎていました。

 面談いただいた先生は、私よりも年上と思われるいかにもベテランという感じの温和な感じの先生でした。事前に画像を見ておられたのかと思いましたが、そうではないようでした。私からも経過を説明しました。

 「東京の国立がん研究センターのセカンドオピニオンでは最初腫瘍内科の先生に『切除しても再発のリスクが高いから、抗癌剤で延命を図ったほうがいいです。』と言われたました。でもあとで後腹膜腫瘍の先生方と相談していただいた結果『広範切除手術も選択肢として十分あり得る』との連絡をいただきました。診てもらっているM病院の提案も、セカンドオピニオンでの大阪府立成人病センターの提案も第一は広範切除手術でしたので、これで三者が一致し、透析を前提にした広範切除にふんぎりがつきました。でも、大阪府立成人病センターで重粒子線治療の紹介も受けたので、後悔をしたくないので、今日、聞きにきました。」

「まず、あなたの年齢なら、たとえ透析前提であっても切除を選択すべきで、抗癌剤を続けての延命は選択肢としてあり得ないでしょうね。一般的に根治には切除が一番です。重粒子線治療は、切除ができない場合の治療が基本です。根治できないリスクも存在します。あなたのような後腹膜腫瘍での5年制御率は70%くらい、すなわち30%は再発するということです。ですから広範切除ができるのなら、透析してでも切除したほうがいいと思いますよ。」

「でも、大阪府立成人病センターでは切除でも再発率10%から50%と言われていますし、M病院でも半分程度、東京KGKセンターでも50%以上と言われました。」

「確かにそう書いてありますね。では画像を見てみましょう。」

 でもなかななかCTの画像が画面に現れません。先生が別の先生を呼んで色々やっていただきましたが、うまくいかず、隣の診察室でトライ。そこでうまく行ったようで、呼ばれていっしょに画像をみました。

「腎臓の入口の尿管が出ているところへの腫瘍の回り込みはないようですね。腫瘍部だけでなく、近接する臓器も損傷します。この腎臓の入口近くに腫瘍があると、この部分を損傷させてしまい、あとで腎不全になる可能性が大きいです。結局、透析になってしまいます。でも、腎臓の背中側であれば、その部分が損傷を受けても腎機能が障害を受けることはありません。治療の対象にはなりそうですね。こんな言い方したらあれだけど、医者としても治してみたいと思う症例ですね。一度重粒子線治療をすると癒着とかで、今度手術でとろうとするとむつかしいということはあります。あとは、あなたの決断次第ですね。それとM病院で経過観察していただくことと、再発した場合に適切な対処をしていただくことが条件になります。」

他の先生も急きょ呼んでいただいていっしょに画像を見てもらいましたが、同じような意見でした。

「順番待ちでなかなか治療していただけないということも聞きますが。」

「決断いただいて2週間で初診可能です。決断されたら、私の直通電話番号を教えておくので連絡ください。」

 ちょっと予想外の結果になりました。ロビーで精算を待つ間、置いてあった機関紙をみたら、診ていただいたのは院長先生でした。少々感激。

 支払いはセカンドオピニオンで保険がきかず13,000円強。30分なら10,000円強なのですが、30分を上回ったので、その分しっかりとられていました。12時頃センターを出て、帰りは在来線を使い、帰宅は午後3時半過ぎでした。

広範切除
・歴史のある方法
・でも、後腹膜腫瘍の症例が少なく、
 広範切除もそれぞれの病院でみれば経験が少ない
・開腹手術必要
・透析で生活の質が落ちる
・透析の合併症のリスクが加わる
・再発リスク10~50%
・再発の場合、再手術が困難かも
・再発の場合、抗癌剤は使えない
・健康保険がきく

重粒子線治療
・歴史が浅い(それでも10年以上経過)
・治療できる機関が限られているため、後腹膜腫瘍
 治療の件数は多くあり
・開腹手術不要
・生活の質を保てる。
・皮膚障害などの副作用が考えられるようですが、
 治療によって様々で、個人差もあり、まとまって
 書かれたものは今のところ見つかっていません。
・再発時、手術が困難かも
・再発時、抗癌剤使用可能
・健康保険がきかない
 私の場合、医療保険の先進医療特約で150万円程度は
 出るようなので、自己負担約150万円。
 これなら捻出可能。

 帰ってから、家族にも説明。東京Kセンターで一切話は出てこなかったし、M病院のY先生はこの治療の存在さえ知らなかったようで、何か紛い物ではないかと思ったりもするとの話が家族からの出ましたが、最終的には私の判断に任せるとのこと。

 重粒子線治療を受ける方向で、ほぼ決心が固まりました。

 帰宅後ウォーキングに行こうと思いましたが、家族から「今日は、朝も早かったので疲れているし、やめとき。」と言われてあえなく中止。二人でワンちゃんの散歩にだけいっしょに行きました。

家族に言ったこと。

再発リスクが高く、残された人生は短いかもしれない。
健康なときは、最低でも年金がもらえる61歳くらいまで働いてと思っていた。
重粒子線治療であれば物理的には職場復帰できる。
でも、どうなるか分からない人生。できるだけ時間をともにしたいし、プライベートにも色々できるときにしておきたい。、
最後は、長期に休むことになったけど、60歳までは現役を貫くことができた。
前の会社でも、今の会社でも、一生懸命働いた。悔いはない。
これから別のチャレンジをしたいので、今度の4月の契約更改をせずに会社は辞めようと思う。

家族も賛成してくれました。


以上 2015年2月10日(火)の日記でした。

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 あまり期待してなかったのですが、粒子線治療の対象になるとの結果になりました。腎臓が温存でき透析をする必要がなく、再発リスクも切除手術とそれほど変わらないことから、粒子線治療を選択するということで気持ちが固まっていきます。


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過去の治療履歴は下記を参考にしてください。

がん治療日記: http://plaza.rakuten.co.jp/saaikuzo/diary/ctgylist/?ctgy=10
がん治療振り返り: http://plaza.rakuten.co.jp/saaikuzo/diary/ctgylist/?ctgy=11





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最終更新日  2021/07/20 11:46:18 PM
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