●琵琶湖疏水煉瓦工場跡碑
御陵駅を上がったところに、琵琶湖疏水煉瓦工場跡の石碑があります。
琵琶湖疏水建設当時、日本にはこの大工事を賄うだけの煉瓦製造能力がなく、京都府がこの地に煉瓦製造工場を造りました。若き技師、 菊田宗太郎
が起用され、明治19年に創業しました。
●天智天皇山科陵【道標】
三条通を東に向かった南側の天智天皇陵を示す道標があります。
[西]天智天皇山科陵
[北]↓
[東]昭和四年十一月建之 大阪皇陵巡拝会
●日時計碑
さらに東に向かうと、天智天皇陵の参道があり、その入口に日時計碑があります。
時計(水時計)に縁の深い天智天皇にちなみ,その御陵前に建立されました。
[南]天恩無窮【篆額】
(日時計)
日時計
[北]昭和十三年六月建之
京都時計商組合創立二十周年記念
●天智天皇山科陵
天智天皇=大化の改新に登場する 中大兄皇子
長い緑に抱かれた参道を行きます。近所の方々の散歩道になっています。
今度は旧東海道を西に向かいます。
●亀の水不動尊
道が急な上り坂になったところに、亀の水不動尊があります。
亀の水不動尊は、一七三八(元文三)年、日ノ岡峠の改修に尽力した僧 木食(もくじき)正禅
が結んだ庵(いおり)の名残。峠の途中に構えた庵は休息所を兼ね、井戸水で牛馬の渇きをいやし、湯茶で旅人を接待したとされます。
2009年9月に訪れたときの写真がありました。
ところが、今回訪れてみると・・・・
立ち入り禁止になっていて、荒れ果てていました。
ある方の話によると、この土地の所有者が別の土地のトラブルで、所有地すべてを立ち入り禁止にしてしまったためだそうです。悲しいことです。
●大乗寺(日蓮宗)
少し西に行ったところ、階段を上っていくと大乗寺があります。
約三百年前に京都の七本松の内野と云う処に建立され、当初は禅宗系でしたが、日蓮宗に改宗されたと伝えられています。其の後は代々尼寺として受け継がれ無本山の寺でしたが、約二百年前に法華宗の大本山本能寺の末寺になった様です。
代々檀家が少なく細々とつないできた尼寺でしたが、凡そ二十年ほど前にその建物も大分いたみ、此の山科の現在地に移転してきました。然し檀信徒が殆ど無いという状況になり、廃寺寸前だったのですが、大本山本能寺執事長だった方が住職として来られ再興されました。その後、酔芙蓉の苗木百本ほどの寄贈を受け、それを毎年百数十鉢に挿し木して、現在は約千三百本を越えるまでになり「酔芙蓉の寺」として知られるようになりました。
といっても、こんな小さな鄙びたお寺です。
酔芙蓉観音
「文学の寺」も目指しておられるとのことで、多くの歌碑があります。
翠芙蓉観音横のご住職直筆の漢詩
源宗干(みなもとむねゆき)歌碑
「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」(小倉百人一首)
光孝天皇御製碑
「君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ」(小倉百人一首)
その他、日蓮上人、ご住職による歌の歌碑もあるようです。
さて、ご朱印をいただこうと、お寺のの中をウロウロしていたら、こんな張り紙が・・・
「声をかけても誰も出ないときは、ドラを鳴らして下さい」
扉を開けて、ここに書いてあるように、声をかけましたが、どなたも出てこられません。
ドラを叩いてみました。やはり誰も出てこられません。
お昼どきに近かったので、お買い物でお留守かとあきらめかけたところ、テレビの音が聞こえます。
本堂?と思われる方向です。近づいてドアを開けて、「ごめんください。」 でもどなたも出てこられません。もう一度もっと大きな声で「ごめんください。」 ようやくお年寄りの女性が出てこられました。「ごめんなさいね。住職も私も耳が遠くてテレビを大きな声でつけていたので、なかなか気がつかなくて。」ご朱印をいただけますか?とお願いすると、ドラが掛かっていた庫裏に案内してくださいました。
「どうぞお上がりください。」
とおっしゃるので、遠慮せずに上がらせていただくと、何と コーヒーとケーキを出してくださいました。
壁にはお寺には場違いの宝塚歌劇団の写真。 「宙(そら)組 小春乃さよ」
と書いてあります。
ご朱印を書いて持ってきていただいたので、お聞きしたらお孫さんだそうです。娘役で活躍されているとのこと。熊本地震の直後でしたが、福岡で公演中とのことでした。
宝塚のホームページにありました。 http://kageki.hankyu.co.jp/star/koharuno_sayo.html
東京に住む別のお孫さんの着物姿の写真も飾ってありました。
ご住職はヘルペスで入院されて、帰ってきて療養中で、こうやって奥様がご朱印を書かれたりしているとのこと。荒れたお寺を修復し、芙蓉の花を植え、一から再興して来られたご住職。また元気になられることを祈るばかりです。
芙蓉の花が咲くのは9月から10月だそうです。ですので、花は楽しめませんでしたが、話に花が咲きました(うまいっ!!!)
この前の岩屋寺といい、この大乗寺といい、訪れる人も少なく、こうやってお寺の方と、時間を気にせず色々お話できるのは楽しいことです。
芙蓉の季節に訪れることを約束して、大乗寺をあとにしました。
●光照寺(浄土宗)
少し西に行くと、光照寺があります。光照寺といえば蓮如上人ゆかりの音羽の光照寺が有名ですが、同じ名前のお寺がここ日ノ岡にもあります。
お寺の入口には、 圓光大師御旧跡
との石碑が立ちます。木曽義仲軍が京へ乱入した日に法然上人が避難されたのがこの場所であると言われています。
●妙見道、花山稲荷道(道標)
東に戻り、南への細道に入るところに道標が2つ並んでいます。
妙見道【道標】
[東]右 明見道
[西]二条講中
道標には「明見道」と刻まれていますが、すでに訪問した大塚の「妙見寺」に至る道のことを指しているのだと思います。
花山稲荷道【道標】
[東]右 かさんいなり道
[西]中川直郎 亀山正七
山科区第8日で訪れた花山稲荷神社に至る道の道標です。
南に向かい、東海道本線をまたぎます。すぐ西に 東山トンネル
があります。
(続きます)
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