ワルディーの京都案内

ワルディーの京都案内

2017/03/08
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テーマ: 京都。(6082)
カテゴリ: 常駐ガイド
2017年 3月8日(水)】

 今日は、「八木邸」の第13日。冬に戻ったような寒い一日でした。特に午後から冷え込みました。それでも、日に日に陽気がよくなってきているのと、大学が春休みに入ったり、修学旅行生も次第に増えたりしているので、平日としては多いお客様でした。順調に一日を終えることができました。


 八木邸の説明の続きです。

 前回から八木邸のお屋敷の特徴を説明していますが( こちら )、その続きです。

 お客様の中には、入って来るなり、「天井低い~っ。」とおっしゃる方がいらっしゃいます。天井はどうか分かりません(低いような気もします)が、鴨居は低い造りになっています。母屋(主屋)が建ったのは、江戸後期の天下泰平の時代ですが、郷士の家には刀や槍はありました。しかし、天下泰平の世の中で、刀や槍を使うような騒動が起こって欲しくない、起こっても刀や槍を振り回しにくいようにと考え、鴨居を低く造るような行政指導のようなものがあったようです。それで当時の壬生の郷士の家の鴨居は低く造られています。

 本玄関を入ったところに、棒のようなものが何本かぶら下がっています。いつもここの説明を一番最後にします。ぶら下がっているもののうち、曲がっているのは弓だと容易にわかるのですが、真っすぐの棒は、単なる棒のように見えます。しかし、これは突棒(つきぼう)、刺又(さすまた)、袖絡み(そでがらみ)といった江戸時代によく使われた捕り物道具だったものです。しかし実際に使うことが目的ではなかったようで、これを見れば、盗人も怖がって入らないだろうと、一つは泥棒除けのために置かれていました。また、昔は疫病なども怨霊や魔物の仕業という考え方をしていて、それを防ぐ魔よけの意味もあったようです。

 しかし、第二次世界大戦が終わって、米軍が進駐したとき、刀狩りのようなことがあって、こういう武具類は、全部警察に提出させられました。そして返ってきたときにはケラ首の下から切り落とされていたので、今は、単なる棒にしか見えないのです。

突棒、刺又、袖絡み(この写真は八木邸のものではなく、Wikipediaから)
20170308-捕り物道具.jpg
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%81%93%E5%85%B7


 今まで述べてきた建物についての詳しい説明は、新選組誕生の話や芹沢鴨暗殺のお話をした後、奥の間に回ったときにしますが、奥の間に移動するとき、お庭の横の縁側を通るので、そのときにまずお庭の説明をします。時間の急ぎ具合を、このお庭の話の内容で調整することが多いです。今回は、フルに説明した場合です。

 お庭は、床の間のある部屋から、ガラス障子越しにも見えます。ここに嵌まっている大きな4枚のガラスは、表面が波打っている大正ガラスと呼ばれるものです。昔は真っすぐなガラスは作れませんでした。逆に今は、真っすぐなガラスしか作れません。ですので、割れてしまうとそこだけ真っすぐなガラスになります。ここは4枚すべて大正ガラスのままです。お家の方も、割らないよう細心の注意を払ってきたでしょうし、訪れたお客様も注意をしてくださったのでしょう。

 人数が少なければ、ガラス障子を開けて、縁側に出ていただいて説明します。多ければ、奥の座敷の内容の一部も含め、部屋の中に残っていただいて説明します。

 庭の奥行きは当時のままですが、今のような背の高い板塀ではなかったし、周りは農地だったので、二条城や五山の送り火が庭から見えたそうです。右手は表のほうに向かって倍ほどの広さがあって、その突き当たりに板張りの剣術道場がありました。しかし、西本願寺に屯所を移したとき、道場も移したとのことです。刀掛けだけが土間に置かれています。

 その道場の前に石が置いてあって、そこによく隊士たちが腰を掛けて、休んでいたそうです。その石は今は、長屋門を出て左にある燈籠の近くに置かれています。看板が立ててあって「隊士の腰掛け石」と書かれています。よく皆さんここに腰をかけて記念写真を撮っておられます。

 一番左の灯籠が黒ずんでいるのは、天明の大火で灯籠の石も焼けたからです。その右のとんがり帽子の灯籠は「蓮華寺型灯籠」と呼ばれる形の灯籠です。その右に雪見灯籠があり、さらにその右、建物に近いところに、背が低くて、グニャッと曲がった灯籠があります。「お化け灯籠」と呼んでいます。

 井戸は飾り井戸ですが、石の削り方から判断すると、室町時代のもののようです。

 床の間のある部屋(説明をする部屋)の額や、彫刻は質問があればお答えすることにしています。

 額は「平太楽事無」(読みは、無事楽太平)と書かれています。意味は、「無事太平を楽しむ」。書いたのは明治~昭和期の日本画家、橋本関雪です。

 置いてある像は、近藤勇の木像で、滋賀県彦根市の山口栄太郎という新選組ファンの彫刻家が、欅(けやき)の一木から刻まれ、平成11年に納められてものです。

 部屋や庭の写真は撮影禁止ですので、八木家のHPでご覧ください。

http://www.mibu-yagike.jp/04tonsho_main.html

(続きます)


(内容再考版。原文は非公開日記に移動済み。)



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最終更新日  2019/05/27 05:00:50 PM
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