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2006.11.11

ミニシアター系も上映してくれるようになり、うれしいですねえ。
この映画96分なんですけど、テンポもよく共感できる所も多い映画でした。
お薦めですねえ＾＾）
青春ものと思って見にいったのですが、それだけではなかったですよ。

☆サムサッカー☆（2005）
マイク･ミルズ監督

ルー・プッチ・・・・・・・・・・・・・・・・ジャスティン・コップ
ティルダ・スウィントン・・・・・・・・・・・オードリー・コップ
ヴィンセント・ドノフリオ・・・・・・・・・・マイク・コップ
キアヌ・リーヴス・・・・・・・・・・・・・・ペリー・ライマン
ヴィンス・ヴォーン・・・・・・・・・・・・・ギアリー先生

ストーリー
オレゴン州郊外に住む17歳のジャスティンは、いまだに「親指を吸うクセ（サムサッキング）」が治らず悩んでいた。どうしてもクセを治したいジャスティンは、知り合いの歯医者ペリーに「親指が苦くなる」催眠術をかけてもらう。おかげで親指しゃぶりは止められたものの、ますます不安がつのり挙動不審になった彼は精神病と判断され、抗うつ剤を処方される。その薬でジャスティンは見違えるほど活動的で、頭脳明晰な優等生に変身するが…。

この主役の少年ジャステン役のルー・プッチは、ベルリン国際映画祭の銀熊賞＜最優秀男優賞＞とサンダンス映画祭の特別審査員演技賞を受賞した。
また主人公の母親役にティルダ・スウィントン、ニューエイジ志向の歯医者役にキアヌ・リーヴス等豪華な俳優陣も見所。

～～～～～～～～～～～～

サムサッカー１

「フツーに心配な僕のミライ」

親指しゃぶりの事を「サムサッキング」というのですねえ。
そんな癖を持つ17歳の少年の物語。
ライナスの毛布のようなものだよね～～。
やはり、何という具体的なことではなくても不安ってあると思う。

指しゃぶりというのは、小さい子供にはよく見られ癖。
実はうちの息子もそうだった。
幼稚園にあがる頃になると、そういう癖を直した方がいいんじゃないかと親は思うのよね。
おばあちゃんなどは「指にからしを塗る」方法を教えてくれた。
昔の人はそういう荒療治で、治そうとしたんだね。
我が家の息子の場合、からしを塗る事はなく「指しゃぶり」はなくなったんだけど。
まあ、息子を見ていると今も常に心配事や不安がてんこもりという感じ。
たぶん、数えあげればキリがないと思うのね。
この映画のコピーの「フツーに心配な僕のミライ」って、ピッタリな感じなんだよね～～。
この主人公のジャスティンを見ていて息子を思い出してしまった（笑）

そんなわけで、最初はジャスティンを見ていたんだけれどね。
しかしこの映画、ジャスティンの成長物語というだけではないのだ。

大人の物語でもあるのね。

サムサッカー２

常に強気な（顔つきからして）父親、彼を理解し愛してくれる母親、こましゃくれている年のはなれた弟。
ジャスティンは自分の心配に浸かりきっているけど、実のところ家族だってそれぞれに挫折だとか、不安だとかと向かい合っているんだよね。

ジャスティンが、父親にアドバイスを求める場面がある。
そして、満足な答えを貰えずに（父親から見ると満足な答えを与えられず）ジャスティンが怒りまくるのだ。

「自分はどうしたらいいのか？」「何を、どうすればいい？」
誰もが、誰かに答えを欲しいと思う。
答えをもらえたら、どんなに楽になるだろうねえ・・・

しかし、答えが常にあるとは限らないんだよね。

ジャスティンが未来を不安に思うように、大人たちも皆不確かな自分に悩んでいるのだ。

歯科矯正の医者ペリーが、いう言葉。

「大切なのは、答えのない人生を生き抜く力」

なるほどと思ってしまったわ。
答えのないことの方が多いものね、人生なんて。

父親の挫折、母親の苦悩、弟のけなげさ、更にペリーもまた自己模索中。
そうそう、ジャスティンと付き合うレベッカという少女もまた、他人との関係に悩む一人だったしね。
そういうジャスティンの周りの人物達も気にかけ、丁寧に見せてくれていたね。

ジャスティンが、不安に思うことの一つには、親にまた他人にどう思われるのだろうかという不安、失敗が許されないのではないかというおどおどした気持ち、そんなものもあったんだろうね。
彼の指しゃぶりは次々と姿を変えていくのだけれども、依存するということにはかわりが無かった。

自分を丸ごと受け入れる事、ジャスティンのようにうまく次の一歩を踏み出せればいいよね～～。
ラスト、彼の笑顔の明るさにちょっぴりミライが見えたかな＾＾）

～～～～～～～～～～～～

ジャスティンが入っているサークルが、ディベート部。
アメリカでは、こうやって常に討論する事を勉強しているのね。
ディベート大会もあるし。
日本でも最近は学校でそういう事もやり始めたようだね。
こうして見ていると、日本人も「言葉に出す」必要性があるんだろうなと思う。

映画など見ていると、アメリカの学校のカウンセリングなどは、しっかりしているなあと思う。
日本でももっと、子どもの心を見守る人間が必要だと思う。
それを学科を教える教師に全てやらせるのは、限界があるんじゃないかしらね。
まあ、この映画ではジャスティンはADHD（注意欠陥多動性障害）と診断されるのだけど、その診断が正しいのかどうかは知識もないので私にはわからなかったんだけどね～。

～～～～～～～～～～～～～～

さて、俳優陣が豪華だ。

母親がティルダ・スウィントン。
あの「ナルニア」の雪の女王で「コンスタンティン」の中生的な堕天使。
彼女が人間、しかも母親の役なんだ～～と、最初驚いた。
彼女が息子を思い悩む普通の母親の姿を自然に見せてくれるのだ。
しかも、TVドラマの俳優に熱を上げている子供っぽい所もあったりして＾＾）
すごく魅力的だった。

父親がヴィンセント・ドノフリオ。
いかつい顔は、厳格で力強い父親って感じ。
だからこそ、この父親自身も悩みを持っているという弱さ、ちょっと息子に対して腰が引けてる感じが、うまくでるんだよね～。
この硬派な感じのヴィンセントって、演技うまいんだなあと思ってみていた。

そして、なんといっても歯医者の役のキアヌ・リーヴス。
良かったです！
結構この歯医者、変わり者でね。
ころころ思想が変わるし、おもしろんだよね。
そして、一番おいしいところを彼がもっていったという感じでもありますな。
この役のキアヌは「イルマーレ」よりも私は好きですねえ＾＾）

そうそう、そして、ジャスティン役のルー・プッチがこの役にピッタリなんだよね。
ちょっと中性的な雰囲気の男の子なんだけど、ストーリーにしたがって変化を見せる主人公を自然に見せてくれる。
注目する若手だね。

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