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2022.12.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse
第46話「新たなる旅立ち」

方鑑明(ホウカンメイ)は鮫人(コウジン)族の琅嬛(ロウケン)の血で解毒してもらうことになった。
しかし琅嬛はまず皇帝との柏奚(ハクケイ)を解く必要があるという。
褚仲旭(チョチュウキョク)は今からすぐ始めようと言ったが、方鑑明は柏奚を結んだ時と同じ時刻でなければならないと教えた。
それから数日後の満月の夜、方鑑明はついに褚仲旭との柏奚を解くことに成功する。
褚仲旭は長年、感じることのなかった痛みを思い出し、指から流れる血を見て生きていることを実感した。



方海市(ホウハイシー)が琅嬛の血を持ってやって来た。
鮫人の血はいかなる毒も排出できる妙薬だという。
しかし流觴(リュウショウ)方氏は特殊な体質のため、鮫人の血を受け入れられるかどうか琅嬛にも分からなかった。
方鑑明は琅嬛から聞いた話を正直に海市と褚仲旭に伝え、もし自分の血と琅嬛の血が相克すれば命を落とすと教える。
「海市、こたびは隠さぬ…また心配をかけてすまない」
すると鑑明は迷うことなく琅嬛の血を飲み干した。

方鑑明は激しく血を吹き出し、倒れた。
そして翌朝、天啓(テンケイ)に清海公(セイカイコウ)の訃報が告示される。
その様子をちょうど城門に到着した馬車の窓からうかがう者がいた。

朝議では清海公に流暢郡王の名と靖翼(セイヨク)の諡号が贈られ、位牌は廟堂に安置されることになった。
また朝廷は3日ほど休廷、流暢の民は100日の喪に服す。
主を失った霽風(セイフウ)館も昭明宮を出て古巣へ戻ることになり、早々に荷物を運び出した。

海市は朝議を終えると、しばし師匠と過ごした昭明宮を散策した。
実は昨夜、李(リ)侍医が意識を失って倒れた方鑑明を脈診したところ、体内の毒が消え、積年の傷まで全て消失していると分かる。
褚仲旭は喜び、くれぐれも口外しないよう釘を刺して李侍医を下げた。
『方海市、この機を逃すでないぞ…清海公がこの世を離れる時が来た』

海市が鳳梧(ホウゴ)宮へ戻ると、寝所の物陰から方鑑明が現れた。
固く抱き合う2人、しかし海市は今さらながら鑑明に多大な犠牲を払わせてしまったと自責の念に駆られる。
清海公という身分を失い、霽風館を指揮することもできず、先祖が眠る朝堂に祭られることもない。
しかし鑑明は海市のおかげで安らぎと幸せを得られたと感謝した。
そこで海市は皇帝が自分たちの新しい戸籍を作り、越(エツ)州の官府に届けてくれたと報告する。
鑑明は早速、皇帝から賜った手形を開いてみると、新しい名前は″霽諸(セイショ)″となっていた。

翌日、誰もいなくなった昭明宮に方鑑明と褚仲旭の姿があった。
鑑明は″死ぬ″前に取りに戻れなかった荷物があると話し、化粧箱の蓋をあけて微笑む。
その中には海市との婚姻書が入っていた。
すると褚仲旭は″方″と刺繍された香袋を見つけ、確かに不器用な海市の作だと笑う。
「永遠の別れではない…数年してほとぼりがさめたら朕がお忍びで会いに行く」
「はお」
一方、海市は身重の緹蘭(テイラン)を気遣い、龍尾神を見送りに行くとしか伝えなかった。
しかし緹蘭は海市が宮中に戻ってこないと気づく。
「寂しくなるわ…でもあなたが想い人と結ばれることは嬉しい」
緹蘭は海市のために作った龍尾神の護身符を贈った。
「あなたは私の1番の友よ」
「いつか必ずあなたとあなたの子に会いに来るわ」
そして翌朝、皇帝と大臣に見送られ、淳容(ジュンヨウ)妃は天啓を出発した。
こうして清海公と淳容妃は天啓から姿を消し、やがて人々の記憶からも消えて行くのだろう。



方鑑明が去って褚仲旭は心に穴が空いたような寂しさに襲われた。
それでも親友の幸せのため、手放すしかない。
緹蘭は友を思う皇帝の真心に深く感銘を受け、これからは天が守ってくれると安心させた。
「清海公には及びませんが、私とこの子はずっと陛下のおそばにいます」

一方、海市は宿で一夜を過ごすことになった。
いざ天啓を離れてみると寂しさが募る海市、すると別の馬車で到着した方鑑明が現れ、海市の好きな桂花糖を差し入れる。
海市は貴重な菓子を少しずつ食べることにしたが、鑑明は越州にも支店があると教えた。
「他にも酒やお気に入りの装飾品、絹の織物も越州で買える」
実は鑑明は霽諸の名で海市の好きな店を買収、他にも手広く田畑や鉱山を買っていた。
まだまだ秘密はあるが、少しずつ教えるという。
海市は清貧に暮らせればいいと思っていたが、鑑明は頑なに拒んだ。
「周幼度(シュウヨウド)の家は店を持っていたな…お前に酒をおごり、贈り物で喜ばせ、奇術まで見せた
 あの者ができるなら私もできるぞ、もっとすごいことだって……(๑•̀ㅂ•́)و✧」
「負けず嫌いなのは知っていたけれど、周幼度と張り合うなんて…( ̄▽ ̄;)」
海市は子供のような鑑明に呆れながらも、かつて皇帝から聞いた自由奔放な姿に戻ったことが何より嬉しかった。

緹蘭は弟の索蘭(サクラン)と再会を果たした。
弟は立派な後継者に成長、注輦(チュウレン)も自国で力をつけなければならないと考え、今後は姉を頼って大徴の庇護を得たりしないと約束する。
「注輦を発展させ、必ずや姉上の支えになってみせるよ…(๑•̀ㅂ•́)و✧」

一方、海市は無事に琅嬛を海へ帰した。
海市の手を握った琅嬛は海市と方鑑明が結ばれたと知り安堵する。

「また会いに来るわ」
「待ってる」
琅嬛は海原を自由に泳ぎ出し、やがて深海へ消えて行った。

つづく


(* ゚ェ゚)<ハッ!あなたたち…
って琅嬛、何を見てしまったのか?!www





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最終更新日  2022.12.09 22:26:01
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