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2007.01.14
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カテゴリ: TV・本・映画



養老先生の話の中にはいくつか興味深いものがあったので、
続編の「死の壁」「超バカの壁」を読んだ。(どっちも古本屋にあったからなんだけど・・・)
その中で結構共感したのは「あいまいなものを無理に明確しない」という考えだ。

たとえば「脳死」の話。
人間の死はどこから始まると定義できるのか?
もともと人間というのは生まれた時から必ず死ぬのだから、
生まれた瞬間から死に向かっており、それは不可逆なのだ。
それを定義するのは何のためか?
移植のためでしかない。

脳死はまだよい。
安楽死になると、どこから認めてよいのか、ということを定義することに何の意味があるのか?
下手に明文化した定義をつくってしまい、個々の事情を判断せずに
犯罪か否かを律儀に守ることは正しくないのではないだろうか。

同じように日本国憲法は9条をはじめとして自衛権があるかないかが極めてあいまいだ。
しかし、明文化させることは、ある程度の軍事力を容認する事である。
つまり世界の事情が今後どんな風に変ったとしても
明文化された軍事力は、何のうしろめたさもなく、維持される事になる。
それは本当にいいことだろうか?
そのあいまいさ、あいまいなうしろめたさが平和維持に役立っているとはいえないだろうか?

養老氏はまた「たてまえと本音」という言葉でも説明する。
「人命尊重」という医療の基本ですら、時にはたてまえであり、それによって本質が阻害されることがある。
たてまえが不必要だとは言わないけれど、それが本質ではないということをわかっていないといけない。
それがわかっていない典型がお役所仕事。
たてまえである書類の数が増えていき、本質はなかなか改善されない。

なるほど。

たしかに、日本人はやたらルールを作りたがって、
しかも一度ルール化してしまうと、その運用法方にも柔軟性がない気がする。
守らないルールをどんどん作っても、本質はちっとも改善されないのに。

実は僕は「たてまえ」というのが大嫌いだ。
上司でも同僚でも「それがルールだから」とかいう、たてまえ重視の話にはまったくついていくことができない。
だからといって、世の中に背を向けて反発しているわけでもないし、ルールを破りたいわけではない。
養老氏の「たてまえ」を「たてまえ」として認識するという意見には大いにうなづいたのであった。






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最終更新日  2007.01.14 08:18:32
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