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今回は国産ワイン。熊本ワインさんの限定モノのシャルドネです。菊鹿ナイトハーベスト五郎丸・シャルドネ2009。生産者熊本ワインは1998年創業のワイナリー。マルスワインや高畠ワインを手がける本坊酒造の系列です。熊本城からわずか3駅という立地ですが、熊本産の葡萄にこだわり、14箇所の契約農家と協力しながらワイン作りを行っています。南方の雰囲気を持ったシャルドネや、カベルネ・ソーヴィニヨンで最近注目度が高まっているワイナリーでもあります。価格は、3500程度ですが楽天内では既に売り切れ。限定生産ですので入手はもう難しそうです。色はツヤのある黄色。樽の効いたカリフォルニアのそれほどではありませんが、なかなかに濃さがあります。香りは非常に華やか。蜜、ナッツ、アプリコット、バナナ、少々の焼き芋といった甘さ、濃さを感じるニュアンスが強く香ります。また、樽熟による木の香り、ほのかなミネラル、白い花、溶かしバターといったような要素も。その他、グレープフルーツやレモンといった柑橘やリンゴ、メロンといったフルーツや軽いハーブないし紅茶といったものも感じられました。味わいも香りに似合ったコクのあるもの。メインは太く、厚みのある果実味。そこに、結構明るさのある酸と旨みが加わります。エキス分もあり、ボリューム感を感じるフルボディですが、ミネラルのゴツさはそれほどでもなく、どこか繊細さを感じさせるのはやはり国産ワインですね。また、余韻も長いです。非常に華やかで、コクのあるワインですから単独でも十分いけます。小さいグラスですとちょっと濃すぎるかなと思いますので、リーデルのヴィノム・ブルゴーニュやヴィノム・モンラッシェといった大振りのグラスで飲みたいところです。ただ、それでも食事に合わないわけではなく、鮭のクリーム煮(キノコやジャガイモがあるとなおよし)やカニクリームコロッケといったクリーム料理にはむしろよく合いましたし、ベーコンとチーズのキッシュとは、チーズとの相性もいいですし、ベーコンの薫製香や旨み、塩分とワインの香り、果実味、ミネラルがよくマッチしてかなりのマリアージュ。ローストポークとは、香りの面での相性は勿論、肉の鉄分、旨みとワインのエキス分が引き合います。また、魚系と合わせても生臭みは出ず、脂の乗ったブリの刺身は脂のふくよかさとワインが結構合いますし、カキフライにもまずまずでした。やはり熊本ワインのシャルドネは凄いですね。華やかな香りや果実味、ボディといった要素は、国産ワインがニューワールドであることを思い出させてくれます。ただ、そこに日本らしい繊細さが加わるので、トータルバランスとしては非常にいいです。同じ価格帯のシャルドネとしては十分に外国のものに対する競争力があるように思います。しかし、国産ワインも色々ですね。先日のシャトー・メルシャン ハーベストフェスティバルでは北信シャルドネなど東日本のシャルドネをあれこれ飲みましたが、大分雰囲気違いますね~。にほんブログ村
2011年09月14日
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先月のケータリングワイン会のワインもとうとうコレで最後。〆のデザートワインです。仄仄2009。生産者四恩醸造は、当ブログでもよく記事にさせていただいていますが、国産自然派を代表するワイナリーと言える山梨の作り手です。甲州の白やメルローなどを用いた赤ワインを手がけていますが、このワインは、デラウェアの白ワインの発酵途中にブランデーを加え、糖を残して発酵を止めて作られたデザートワインです。価格は、写真のお店を含めどこでも大体2310円です。なお、このワインは375mlサイズです。色は青みもありますが、琥珀色といってもいいくらいの濃さ。ツヤもあります。香りは甘いニュアンスが強く、キャラメルや微かな蜜、ドライマンゴーや干し葡萄といったドライフルーツ、少々のリンゴ飴やクリームシェリーといったような要素が感じられました。また、バタースカッチやピスタチオ、ナッツといった香ばしさまろやかさのある香りや、軽いドライハーブっぽさも感じられました。味わいは糖が残っているだけあって甘みがあります。トーン低めの、糖を感じさせるものですね。酸味の印象はあまりありませんが、裏方として存在はしているようです。エキス分を感じますが、クリアーさ、滑らかさがあり、ボディはミディアムボディです。会では、デザートのココナッツミルクのパンナコッタスイカのソースのタイミングで飲みましたが、結構な相性の良さでした。ココナッツミルクのまろやかさとワインのナッツ的な部分が上手く繋がりますし、スイカのソースの爽やかさとワインの香りにも意外な連続性が感じられました。他にも、この時期ならバニラアイス等にあわせるのもいいでしょうし、ドライフルーツをつまみにするのもありでしょうね。ブランデーが添加されているとあって、度数は18度と一般的なワインよりは高いのですが、その度数を感じさせない滑らかさ、キレイさがありました。価格も手頃ですし、作り方的に日持ちもある程度するでしょう。栓もスクリューですから、普段用にも使いやすいのではないかと思います。にほんブログ村
2011年08月09日
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昨日は満月でしたね。ということで、ロゼを飲もうと今回はこちら。てぐみマスカット・ベリーA2010。生産者は京都の丹波ワイナリー。1979年創業で、現在はカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネ、それにピノ・ノワールといったヨーロッパ系の品種を多く栽培されていますが、スタートはデラウェアやベリーAでのワイン作りだったそうです。こちらのデラウェアは以前飲んで大変に好印象でした。そして、今回はマスカット・ベリーA100%の微発泡ロゼワインになります。色はまさにロゼなサーモンピンク。オリが多く、ちょっと濁りもあります。泡は微発泡という事ですが、開けてすぐは勢いかなりあります。自然派ぺティヤンのそれに近いですね。香りはマスカット・ベリーAのワインらしいイチゴやイチゴシロップ的なニュアンスがしっかりあります。が、ミネラルやちょっと青みのあるトマト的な複雑な雰囲気も出ています。また、時間と共に、フローラルっぽさや微かな赤べりー、それにほんのりと下草的な要素も感じられたでしょうか。味わいは、実はボトルサイズが500mlで、微発泡ロゼということで、甘口を想像していたのですが、飲んでびっくりのドライな辛口でした。ミネラル感や旨みが強く、やや明るめの酸がそこに加わり、さらにボディはライトで、結構シャープな印象すら受けます。果実味は完全に裏方で、ほんのりしたもの。あっさりしています。よく冷やして、この発泡感とドライさを、ビールのように楽しめてしまいます。個人的には、単独で行くよりは食事とあわせたいですね。なんにでもあわせやすいですが、サーモン系にはお寿司、刺身、それに鮭の塩焼きとよく合いました。旨みが多いので、生系だけでなく塩焼などの焼き物でも、旨み同士が上手く嵌ってくれますね。その他、魚系では、マスやアユなどの川魚との相性は気になるところです。また、焼き鳥にもやはり旨みがよく合います。鳥肉とは相性がいいようで、筑前煮の中の煮込まれた肉にもよく合いました。思いのほかドライでびっくりしましたが、自然派ワイン的な世界があり非常に面白いワインでした。四恩醸造さんのクレマチスシリーズなんかとちょっと似た所があるかもしれません。ちなみに、楽天内では750mlのものが1680円ですが、私は天満屋ハピータウン岡北店で500mlのものを1050円で購入しました。にほんブログ村
2011年07月16日
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昨日は満月でしたが、満月ロゼとして飲んだのがこちらのワインです。マスカット・ベリーA・クレーレ2009。生産者はシャトー酒折。ポルトガルワインなどの輸入を行っている木下インターナショナルが手がけるワイナリー。山梨県の酒折で、地場品種にこだわり甲州やマスカット・ベリーAのワインを作っています。また、試験農園ではシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなどの欧州品種も栽培しているそうです。最近はキスヴィンというプロジェクトにも関わっています。価格は、写真のお店で1470円。色はルビー的な、赤の強いロゼ色。ざくろ的な感じで、ちょっと紫も感じるでしょうか。香りはマスカット・ベリーAらしいイチゴやイチゴキャンディっぽさを感じます。時間と共に他の要素も盛り上がってきて、ラズベリー的な赤いベリーのニュアンスやチェリーっぽさ、白桃、軽いグレープフルーツ的柑橘、それに梅っぽさや軽い蜜といったようなものが感じられるようになりました。加えて、ミネラルや土、少々の革っぽさといった複雑な要素も。味わいはトーンの高い、明るい酸が印象的。ベリー系の酸がキュンキュン来ます。果実味は繊細で完全に脇役。ロゼ=甘めという印象を持っていると相当面食らうでしょうね。ミネラル感もありますが、あまり硬質な印象は無く、口当りは丸く柔らか。ライトです。単独で行くには、私にはちょっと酸が強いので、ぜひ食事に合わせたいタイプです。タコとジャガイモのアーリオオーリオ炒めをつまんでみましたが、相性はまずまず。塩気がいいつまみになったほか、タコの旨みにはまずまず引き合いを見せてくれました。その他、赤い魚との相性はいいようで、マグロやサーモンの握り、マリネといったものにも結構よかったです。しかし、一番だったのは鳥肉。ささ身の塩から揚げニンニク風味なるものとあわせましたが、ささ身の旨みと塩気がワインの旨み、酸、果実味とよくリンクしてくれます。また、から揚げにレモン…ではなく酢橘を搾ってみましたが、相性はさらにアップ。香りの部分での関係性がよくなりました。気軽に飲めますが、それだけではない、なかなかに魅力的なロゼでした。食事との相性もよく、バル的なお店や、焼き鳥屋さんにこれがあると面白いでしょうね~。タコとじゃがいものアーリオオーリオ炒めとともに。にほんブログ村
2011年06月16日
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ということで、前回記事にしました鯛のタルタル似合わせたワインがこちらです。甲州シュール・リー2010。生産者はルミエール。1855年創業、山梨は南野呂の地のワイナリーです。宮内庁御用達に指定され、地下発酵槽は登録有形文化財に指定されているという歴史ある名門です。最近では、新たな栽培家を迎え、自然派なワイン作りも行っています。こちらのワインは、ルミエールのベーシックなラインの甲州です。価格は、写真のお店を含めどこでも1365円。色はシュール・リー甲州らしい薄いものですが、黄色というよりは灰色を感じるニュアンスで、皮の色素が出ているのかな、と。香りもやっぱり皮のエキスの出たグリ系の印象があり、バナナやバラっぽさ、もう少し白い花といったものをよく感じます。そこに、温州みかんやほんのりとカボスないしスダチといった青い柑橘っぽさが加わってきます。また、少々の蜜入りリンゴっぽさも。時間と共に、梨や洋梨、メロンや吟醸っぽいニュアンスと言ったものも強くなってきました。特に、フルーティさはかなり増します。味わいは一応酸主体でリンゴ酸ながらもややしっとりとしたものが大きな印象としてあります。が、バランスはかなり良く、その酸に繊細な果実味が上手く溶け込みます。また、時間経過と温度上昇で果実味の印象はより増します。後口には苦味のような渋味のようなものもほんのり感じられますし、旨みは流石シュール・リーというべき多さ。ボディはまろやかさがあり、ライトながらもそれだけでない部分があります。このワインは単独でよりも食事にあわせてなんぼというワインです。前回の記事にしました鯛のタルタルとの相性は抜群。塩昆布や鯛の旨みとワインの旨み、果実味が抜群にマッチする他、ワインの酸が粘性のあるタルタルに、ケッパーやピクルスの酸と相まって爽やかさを加えます。また、豚肉とキャベツのミルフィーユ蒸しともあわせてみましたが、豚バラの旨みとワインの旨み、ほのかな渋味が上手く合わさる他、やはりキャベツの甘みがワインの果実味に合います。あまり脂が強いものなどには難しいかもしれませんが、鮮魚系も含めた魚介類や白い肉まで幅広く、食事・ワイン共に活きる組み合わせが出来そうです。ワイン自体の香りや味わいもしっかりあり、完成度の高さを感じました。価格的にも、まさに日常の食卓で楽しみたいタイプでした。国産ワイン会でも2000円台のものなどをよく使っていましたが、シュール・リー甲州もやはり相当面白いですね。一度まとめて飲み比べてみたいところです。にほんブログ村
2011年06月14日
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メルシャン続きで、今回はシャトー・メルシャンの赤です。山梨ベリーA2007。長野や前回記事にしたシャルドネのように福島など、様々な場所に畑があったり、契約農家さんがいたりしますが、勿論本拠は山梨。きいろ香など、甲州に力を入れている印象ですが、国産品種赤として、このマスカット・ベリーAも手がけています。セパージュは、勿論マスカット・ベリーA100%。価格は写真のお店で2029円ですが、ヴィンテージは選べないようです。色はやや紫を感じるルビー。透明度高めです。香りはイチゴやイチゴキャンディー的なベリーAらしい雰囲気が出ています。また、巨峰などの葡萄を思わせるニュアンスも。その他、ブルーベリーっぽさやダークチェリーといったフルーツ、木、カラメル、少々の革と言った要素、それに茶色いスパイスや甘栗的なニュアンスと言ったようなものを感じました。味わいはタンニンが結構強め。渋味をしっかり感じる他、舌での触感もあります。しかし、口当り自体は滑らかでミディアムライトな印象。酸味も十分で、しっとりしたトーンの低いものが口に広がります。果実味は繊細なもので酸や渋味よりは後ろに。食事にあわせるなら、やはり肉系がいいですが、あまりヘビーなものではなく、牛肉ならサイコロステーキやミートソース、醤油ソース系のハンバーグといった、日本の洋食的なものがよく合うようです。他にも、すき焼きや角煮、鳥肉なら焼き鳥(タレ)や鴨焼きなどなど、日本の味わいがやはりこのワインにはしっくり来るように感じました。ベリーAらしい雰囲気も十分にありますが、それだけでない要素も多々あり、最近増えてきているようなモダンなベリーAだなという感じです。そういったワインの中では、タンニンがかなりしっかりしているのが特徴的でしょうか。にほんブログ村
2011年06月10日
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今回は先日の国産ワイン会で飲みたかったけれど飲めなかったこちらのワイン。新鶴シャルドネ2009。生産者は国産ワインのビッグネームであるシャトー・メルシャン。こちらは、福島県の会津盆地にある新鶴地区のシャルドネを使用した銘柄となります。短梢剪定によって密植度を高めたり、雨よけ対策を行ったり、一部垣根栽培を導入するなど、「シャトー・メルシャン」ブランドの葡萄として、契約農家とともに意欲的な栽培を行っています。価格は、お店によって多少バラつきがあり、写真のお店では2572円。色は薄い黄色。麦藁系です。香りは木やナッツ、少々のカラメルを感じます。また、蜜っぽさや軽いクリームのニュアンスなどもあり、樽の印象が感じられました。勿論それだけでなく、ミカンやハッサク、軽いカボスといった柑橘っぽさや白い花的なニュアンス、石灰的なミネラルといった要素もありました。味わいはミネラリー。比較的硬質な口当りと塩気のような印象があります。旨みも強めです。酸はしっとり系の優しいものですが、存在感はあり、ミネラルに次ぐ要素といえます。一方、果実味は非常に繊細で脇役。ボディはミディアム。食事には合わせやすいタイプでしょう。コールドミートや魚介類など、色の白いたんぱく質とあわせたいところですね。焼き鳥(塩)とあわせると、モモなど脂のある部位だけでなく、あっさりした砂肝にも結構よかったです。その他、アジフライ+レモンにもなかなかでしたし小エビの天婦羅とも旨みが引き立ってよい組み合わせでした。同じくシャトーメルシャンの手がける長野シャルドネと比べますと、より大人しい、中庸な雰囲気があるでしょうか。その一方で、ミネラル感や樽の印象を考えると、3年~5年程度寝かせても面白そうではあります。にほんブログ村
2011年06月08日
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先日の東日本のワインの会のワインもこれで最後。今回は山形の「川上品種」です。ブラッククイーン古木・樽熟成2008。生産者であるタケダワイナリーは山形県上山市にあるワイナリーです。1960年には既にワイン専用品種を垣根作りで栽培していたという先駆者的存在です。一家3代に亘って営まれてきたワイナリーで、本ワインに使用されている、川上善兵衛氏の作った品種である「ブラッククイーン」の木は、樹齢40年にもなる古木です。価格は、写真のお店で3280円。色は黒いです。ガーネット系でしょうが、まだ若く深い黒というべきですね。香りはなかなかに華やか。オレンジや黄桃を思わせる甘い雰囲気がしっかりあります。加えて、ブルーベリーやブラックベリーといったベリー、それにプラムっぽさといったものも感じられました。勿論、フルーティさだけではなく、土っぽさや赤い花、それに下草的なニュアンスと言った要素もありましたね。味わいは酸!とにかく、強烈と言えるほどの強く太い酸が主役です。そこに、小石っぽいミネラル感が加わります。果実味もありますが、極めて繊細で酸の裏方以上の存在感はありません。口当りは滑らかですが、その酸とミネラルのおかげかボディはシャープさすら感じるミディアムフルと言った印象でした。会では、チーズ類なら何でも問題なく、塩気とクリーミーさや旨みが、ワインの酸を上手く受け止めてくれました。生ハム類も同様ですが、旨みの結びつきはこちらの方がやや強いような印象はありました。とすると、やはり赤身肉系統をあわせるのが良さそうですね。脂少な目の牛肉や鹿などの野禽などがいいでしょうか。野禽類なら、鴨などの鳥肉も問題なさそうです。個人的には、ローストビーフや牛フィレのステーキなどに、キノコのソースを合わせたものなどと一緒に試してみたいところですが、根菜を使った和風の煮物くらいの方がしっくり来るかもしれません。驚きました。ブラッククイーンは酸の強い品種で、東北のワインは酸が乗りやすいというようなことは聞いていたのですが、ここまで元気な酸は、赤ワインでは経験が無いかもしれません。これが熟成するとどうなるのか、酸がこなれるのか、それとも衰えず存在感を見せ続けるのか、興味深いところです。にほんブログ村
2011年06月04日
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先日の東日本のワインの会のワイン、ここからは赤。こちらは岩手産です。蒼-あお-。生産者くずまきワインは岩手県葛巻にあるワイナリーです。気温の低い環境ですが、山葡萄は昔から育っていたそうで、その自生する山葡萄を町おこしに使えないかと第3セクターとして発足したそうです。自生しているもののほか、葡萄園も所有しており、栽培品種はやっぱり山葡萄だそうです。というわけで、セパージュは山葡萄なのですが、山葡萄を用いた交配品種である「小公子」が使用されています。価格は写真のお店で2500円。色は濃く、黒さがありますがルビー系で透明度もしっかりあります。香りは結構特徴的です。黒コショウを中心としたスパイシーさや腐葉土系の土っぽさといったものに加え、ワイルドなケモノ系のニュアンスがあります。ちょっとシラー的かもしれません。それらの要素が非常にインパクト大ですが、ベリーっぽさもあり、開けてすぐはブルーベリーの印象に黒ベリー少々といったところ。時間経過と共にチェリー的な赤いフルーツの感じも出てきました。味わいは果実味メインですが非常に繊細。国産らしいなというインパクトです。酸は赤いベリー的なトーンの高いものとなっており、後口にかけて果実味とともにふわりと消えます。また、その後には、やさしい旨みが残ります。ボディは透明感のあるミディアムフル。会では、熟成したコンテチーズとの相性が非常によかったのが記憶に残りました。香り同士も引き合いますし、優しい味わいがチーズの旨みと上手く寄り添います。他には、生ハムやサラミもお出し頂きましたが、サラミの肉感とは結構よかったです。相性の幅は比較的広そうですが、やはり魚よりは肉でしょうね。牛肉や豚肉は勿論、イノシシなどの野禽の類にもあわせられそうです。が、調理法としては洋風なものより和食の方がしっくり来そうな印象はあります。味噌をつかった鍋や焼き物にはぜひ合わせてみたいところです。山葡萄系のワインはこれがはじめてでしたが、かなり印象的な香りでした。岡山にも、蒜山高原の山葡萄を用いたワインがあるので、あれを一度試してみたいものです。香りはワイルドですが、味わいは落ち着きのある、ある種ボルドーを思わせるようなキレイなスタイルで、好感度は高めでした。にほんブログ村
2011年06月02日
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まだまだ続く東日本のワインの会のワイン、続いては北海道の葡萄を栃木でワインにしたこちら。栗沢ブラン09。使われている葡萄を作っているのは、北海道の岩見沢にありますナカザワヴィンヤード。2002年から新規就農した中澤さんの葡萄園です。醸造設備はお持ちではないようで、出来た葡萄は栃木のココファームでワインにしています。セパージュは、ケルナー、 ピノグリ、ゲヴェルツトラミナー、シルヴァーナ。価格は2500円前後ですが楽天内は既に売り切れ。09は不作で生産量が少なく、今買える所はほぼ無きに等しいと言えそうです。色は時間が経っているのと、保管がちょっとアレだったこともあってか黄金っぽい感じ。つやがあります。香りも、開けてすぐはリンゴとミード的なハチミツっぽさが強く感じられ、熟した印象を受けました。その後、徐々に鉱物的なミネラルやミカン、オレンジといった色の濃い柑橘、さらにはマスカットやライチそれに白コショウ的なスパイスや乾燥ハーブっぽさと言った要素が感じられるようになっていきました。味わいは冷えた状態ではこなれた感のある、中庸なものとなっており、果実味や酸が拮抗した印象。旨みも後口にかけて存在感がありました。その後、時間経過というか温度上昇と共に、果実味が盛り上がってきてメインの要素となります。口当たりは丸さがありますが、エキス分もしっかり感じられるミディアムボディでした。会では生マッシュルームと緑の葉野菜のサラダによく合いました。緑の野菜の香りや苦味にワインの旨みが嵌りますし、マッシュルームの香りと熟した蜜っぽさがまずまずでした。その他、チーズ類とは無難にあわせられますが、白カビ系のものには結構よかったです。食事にあわせるなら、熟成感が出ており、ウニやイクラなどの一癖ある魚介とあわせると面白そうです。あと、白ワインですが白身魚より赤身の方があわせやすそう。その他、スパイシーさが豚肉のテリーヌなどコールドミートにもよく合いそうです。フレッシュなタイミングとはあわせるものをぜひ変えてみたいですね。このヴィンテージはちょっと甘めときいていましたが、確かに過去のものと比べても果実味はしっかりしていたように思います。その分、熟成感が出て果実味が多少なりともこなれていたのは逆によかったかもしれません。入手の難しいワインですが、東京のキッチンセロさんにはあったような…。にほんブログ村
2011年05月31日
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先日の東日本のワイン会のワイン、続いては岩手の白。オーストリアと縁のある土地とあってリースリング系の品種です。五月長根葡萄園リースリングリオン09。生産者は岩手県の大迫(おおはざま)町にあるエーデルワインです。メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンといった品種の他、オーストリアのベルンドルフ市と姉妹都市関係にあることもあり、ツヴァイゲルトも栽培されています。現地で醸造や栽培技術の研修を受けた人もいるとか。白系では、今回のワインに使われているリースリングリオンという品種が特徴的で、これは、リースリングに甲州三尺という葡萄を掛け合わせた交配種だそうです。価格は、写真のお店で2181円。色は薄くほぼ黄色は感じられないレベルです。香りは開けてすぐはミネラルの印象が強くちょっと生臭い?くらい。そこに少々のリンゴっぽさや蜜っぽさといったリースリング的ニュアンスが出ています。時間と共に甲州を思わせる酵母っぽさ、白い花的な要素が強まって、さらに青リンゴやマスカット、軽いハーブっぽさと言ったものが感じられました。味わいは少し糖を残しているような、やや辛口といった印象。しかし、そこに太さのあるクリアーで強い酸が加わるのはやはり北のワインだなというところです。温度の低い状態では、酸の印象が甘みを上回るほど。ミネラル感も強く、ミディアムライトで引き締まった印象です。会では、シェーブルのクリーム系チーズとあわせると相性抜群。チーズのクリーミーさがワインの強さと酸を受け止め、さらにほの甘さが塩分やまろやかさとよくマッチします。香りも、ミネラルっぽさや酵母っぽさがシェーブルの独特の香りと上手く嵌りました。また、ルッコラなど味の濃い葉野菜との相性もなかなかでした。他にあわせるなら、クリーミーな魚介のテリーヌや、ジャガイモとチーズの美味しさが活きるグラタン的な料理と言ったものなんか面白そうです。エーデルワインの畑のあたりは、他の日本の土壌とはちょっと違って白亜紀の石灰土壌が広がっているという、ヨーロッパ的な環境なのだそうです。このワインのミネラルの出方などは、確かに他の日本とはちょっと違ったものがあったように思います。甲州っぽいニュアンスの印象も、なんだかヨーロッパで作られた甲州ってこんな感じなのかな、なんて個人的には感じました。にほんブログ村
2011年05月29日
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今回は国産赤。長野産のブラッククイーンです。ミュゼ・ドゥ・ヴァン 松本平ブラッククイーン08。生産者のアルプスは、昭和2年に始まった、長野の、ワインやジュースなどを作っている会社です。従業員数も多く、日本のワインメーカーの中では大手と言える規模のようです。本ワインは、長野の原産地呼称制度の認証を受けており、ワイン作りにおける質へのこだわりがうかがえます。ブラッククイーン100%のワインです。因みに、ブラッククイーンは川上善兵衛氏が作り出した日本固有の交配品種です。価格は写真のお店で1344円。色は紫感強めのガーネット。透明度はゼロではありませんが、結構低いです。香りはフレンチオークの新樽70%熟成というだけあって、柔らかな樽香が感じられ、さらにそこから腐葉土や黒胡椒、さらには茶系スパイスといった印象に繋がります。フルーツっぽさは黒いものが強く、ブラックカラントやプラム、ダークチェリーといったニュアンスを感じられました。また、時間が経つと熟した赤いベリーも。味わいは、国産の赤の中ではかなり濃さのあるボディが印象的です。明確にフルボディという表現が使えるレベルと言えるでしょう。果実味もしっかりあり、コクを感じます。ただ、品種の個性である明るくトーンの高い酸がきっちり入っており、味わいを引き締めています。この酸は、時間とともに印象をさらに強めます。単独でも、香り、味わいともに楽しめるように思います。むしろ、ボディや果実味のインパクトからすると、単独で飲み続けると飽きるかもしれません(^^;食事に合わせるなら、やはり肉料理でしょう。フライドチキンに合わせたところ、鉄っぽい部分によく合いましたので、焼鳥など他の鶏料理や、鴨肉などより赤身の肉にも良さそうです。その他牛肉や羊、鹿なども、煮込みやローストで合わせてみたいところ。価格的には比較的手頃ですが、しっかりした味わいで驚きました。流石大手といったところでしょうか。また、使われているブラッククイーンは塩尻産だそうですか、この辺はメルローといい、赤ワインに適した土地でもあるのでしょうね。ところで、このワインは帰省中に地元のアワーリカー沖浜店という量販店で購入して飲んだのですが、この店、今日本フェア的なことをやっているようで、このワインの他に、熊本ワインのキスキッカや都濃ワインのキャンベルアーリーなど、今注目の九州ワインや、北海道のふらのワインの赤なども販売していました。徳島でこういったワインが手に入ることはまず無いでしょうから、お近くの方はこの機会に試してみてはいかがでしょう(^^)?にほんブログ村
2011年05月05日
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今回は、四恩醸造の人気の橙色甲州です。初めてありつけました^^クレマチス・橙10。生産者四恩醸造のワインはよく記事にさせていただいてますね。こちらは皮ごと醸して橙色に仕上がるタイプのものです。微発泡でもあるのですが、瓶内二次発酵方式で作ったそうで、この10ヴィンテージはしっかり発泡しています。また、亜硫酸塩は無添加だそうです。セパージュは甲州100%。価格は、写真のお店で1785円。色は淡いオレンジ。やや濁りもありますが、そこまで真っ白と言うわけではなく透明度はちゃんとあります。泡はキメは細かく、勢いは強め。スパークリングのカテゴリーで問題ないレベルですね。香りはミネラル、酵母、メロンがたっぷり感じられます。石灰系のニュアンスや白い花、吟醸香といったものが強いですね。時間と共に他のニュアンスも膨らんできて、トマトっぽさや青リンゴ、白桃、ミカンっぽさといったものも感じられるようになりました。味わいは国産らしい柔らかさと、ミネラル感の共存するさらっとした口当たりで、果実味は極めて繊細。キメの細かいが量のある泡と、ドライな味わい、、それに上記口当たりのおかげで、ビールやシードルを思わせるすっきりさとドライ感があります。ボディはライトで明るい印象。このワイン、イタリアンレストランに持ち込ませていただいて飲んだのですが、濃い肉料理以外には満遍なく合います。特によかったのが、イカとからすみのサラダで、サラダに使われているトマトとは甘みを引き立てつつ、香りや旨みがよくマッチしていました。また、からすみとは日本酒的に旨みのマリアージュを見せました。野菜との相性は良さそうで、茹でる、焼く、そのまま生で、などシンプルな調理法で甘みを引き出してやるとなおよし、と言った印象です。あと、天婦羅にもいいでしょうね。この時期なら、山菜などの春野菜のそれとはぜひ合わせたいところです。いいですね。日本のテーブルワインを作ることを意識されている四恩醸造ですが、このワインはニュートラルでありながら、その奥に個性も見せてくれ、まさに普段の食卓を豊かにしてくれる1本といえそうです。暑い時期によく冷やしてもいいでしょうから、オールシーズンいけます。また、この時期なら特に、上記天婦羅などを屋外で頂きながらこのワインを飲めば最高でしょうね。にほんブログ村
2011年04月01日
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先日の長野のワインの会のワイン、これが最後の銘柄です。こちらも桔梗が原産のメルローですが、ちょっと熟成が進んでいます。長野メルロー・フレンチオーク・マチュアード99。生産者はシャトー・メルシャン。同じく今回の会で飲みました、長野シャルドネと同じ生産者ですね。このワインは、フランス産のオーク樽で2年にも亘って熟成されたもので、他にアメリカンオーク、ロシアンオークの2種類があります。価格は、5000円のところが多いですが、写真のお店では3980円です。色はやや黒いガーネット。透明度はありますが、やや低めです。香りはメルローといえばこんな感じ、という印象。赤ベリージャムや黒ベリー、ダークチェリー、プラム少々といったようなフルーティさを中心に、腐葉土やキノコといったニュアンスが感じられます。スパイスも、茶系のそれや黒コショウっぽさが少々感じられました。また、微かなチョコっぽさや熟成した香りもあります。味わいは果実味もありますが、熟成による甘みが出ているように感じられました。酸は落ち着いた、しっとりしたもので、後ろから可愛らしく支えます。ボディは柔らかで、タンニンもアクセント程度の優しいものとなっており、全体として繊細さを感じさせます。ボディはミディアムフル。会では、やはりブルーチーズとの相性がよかったように思います。ただ、これは単独でも十分楽しめるかなと。食事に合わせるなら、熟成感のある、繊細なメルローということで、あまり濃さの強くない肉料理に合わせたいところ。赤身多めの牛フィレステーキにキノコのソースやローストビーフ、あるいはかたまり肉を使うようなしっかり目の肉じゃがなどの和食系肉料理といったものが面白そうです。5000円ですと、なるほどいいワインだけど国産ってちょっと高いね、というような印象を持たれるかもしれませんが、3980円という値段ならば十分に競争力があるかなと感じます。また、12年の熟成を経ているという事で、国産ワインもよく出来たものは十分に持つ、ということを体験できたのは良かったです。にほんブログ村
2011年03月24日
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長野のワインの会のワイン、続いては赤。比較的手頃に手に入る桔梗が原産メルローです。エステート・メルロ07。生産者五一ワインは、林農園が営むワイナリー。1911年に、創業者の林五一氏が桔梗が原で果樹栽培を始めたのがはじまりです。その8年後にはワイン用葡萄の栽培も手がけられたそうで、大変な苦労があったようですが、1本残ったメルローを守り抜き、それが今日の「メルローの産地桔梗が原」の礎となりました。価格は、写真のお店で2642円。色はガーネット。ボルドー的な色合いですが、透明度はやはり高めで、グラスのそこはきっちり見えます。香りは国産メルロー定番の茹で小豆っぽさがしっかり。また、土っぽさや根菜的なニュアンス、キノコ、木といった要素もあります。フルーティさはそう強く感じませんが、それでもブラックカラントやダークチェリーといった黒さのあるそれはそれなりにありました。加えて、茶系スパイス(特にシナモン?)も感じられました。味わいは落ち着きがあります。しっとり系の酸が主体で、そこに、繊細なベリーっぽい果実味が寄り添います。バランス的にはかなりのものですね。口当たりは柔らかではんなりしたものですが、骨格や収斂味も感じられるのは流石桔梗が原のメルローというところでしょうか。タンニンは、渋味は大人しめですが口の中ではある程度存在感があります。ボディは結果ミディアムフルと言ったところでしょうか。会では、やはりブルーチーズとの相性が一番よかったように思います。あまりアオカビが強くないものなら、国産のメルローには結構合う印象がありましたが、今回もそうでした。また、レバーペーストにもそこそこ。このワインは、単独でも楽しめるとは思いますが、料理と合わせたほうがより楽しいかなと思います。肉じゃがや根菜の煮物、和牛の焼きしゃぶなど味の濃い和食と合わせてもいいでしょうし、タンシチューやロールキャベツ、メンチカツやトンカツ、ビフカツなど「日本の洋食」にもぜひ試したいところ。価格的には、シャトー・メルシャンの長野メルローより少しだけ安いですが、その分若干こちらのほうが軽いかなと。ただ、負けず劣らずのよく出来たワインだと感じました。にほんブログ村
2011年03月22日
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先日の長野のワインの会のワイン、続いてはシャルドネの白です。長野シャルドネ06。生産者はシャトー・メルシャン。日本を代表する大きなワイナリーの一つですね。大日本山梨葡萄酒会社として1877年にスタート、その後1949年にメルシャンとなりました。このワインの葡萄は、長野市等千曲川流域の北信地区のシャルドネを用いていますが、シャトー・メルシャンでは同地区で、1990年代から垣根作りでの葡萄栽培を実践しています。価格は、写真のお店で2500円。色は薄い麦藁。黄色感は多少ありますが、熟した濃さのようなものはありません。香りは軽いクリーム、少々の蜜やハチミツ、ナッツっぽさといった樽熟成シャルドネらしいニュアンスに、オレンジやグレープフルーツといった柑橘、少々のメロン、石灰的なミネラルといった要素を感じました。味わいは乳酸系のしっとりした酸がメイン。加えて、後口にかけて旨みもしっかりあります。果実味は優しく、酸よりは繊細な印象ですが、存在感が無いわけではありません。また、少々の苦味も。ボディはミディアムで、柔らかな口当たりですが、骨格も感じます。会では、ミモレットとの相性の良さにびっくり。旨みの多いミモレットですが、その旨みとの相性はもちろん、ナッツっぽい香りとの相性も非常によかったです。他にも、コンテなどのハードチーズとの相性は興味深いです。その他、食事に合わせるなら、和食系ですと、甘辛系の煮物、春野菜や海老などのの天婦羅、カニの鍋ものなど、あまりあっさりしたものでなければ色々いけそうですし、フレンチやイタリアンでも、あまり脂の強いものや赤身の肉などでなければ面白そうです。繊細なはんなり感、ちょっと酵母っぽいニュアンスといったものがあるところはやはり国産ワインだなという感じですが、香りの要素や味わいのバランスなど、同価格帯の外国産シャルドネと比べても、決して引けはとりません。国産シャルドネってどんなのかな、と言う時に、このワインを飲めばそれが大体つかめる、と言うような1本だったように思います。にほんブログ村
2011年03月20日
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今回は以前ggwineさんのイベント「旅するワイン」でも頂いた、樽熟成の甲州です。甲州小樽仕込み08。生産者はシャトー・メルシャン。言わずと知れた国産ワインの巨人ですね。前身の大日本山梨葡萄酒会社から含めるともう130年以上の歴史があります。日本のファインワイン作りを目指し、外国品種に力を入れているほか、近年ではきいろ香をリリースするなど地場品種甲州にも力をよりいれています。価格は、写真のお店では2410円とややお安くなっていますが、取り寄せなのでちょっと時間がかかるようです。色は極めて薄い黄色。小樽での熟成がされているとは思えない印象。香りは流石にこちらは樽由来のニュアンスをしっかり感じ、バナナや木、クリームといったものを感じられます。また、メロンっぽさやミカン、その他日本の柑橘(ややサイズの大きいものですね)といったフルーツや、白い花のニュアンスと言ったものも感じられ、この辺はやはり甲州だなと言う印象。甲州らしさと言えば、吟醸っぽい要素も感じられましたね。味わいは柔らかながらも存在感のある果実味と、後口にかけての豊かな旨みが印象的でした。酸はリンゴ酸系ですが、比較的トーンは低め。ボディはまろやかさ、柔らかさを感じるミディアムライト。特段エキス分の強い印象は受けませんでしたが、軽い!と言うものでは有りません。食事に合せるなら、前述の旅するワインで合せたカシューナッツと鳥肉の炒め物やアンキモソースの料理などは面白いでしょう。樽のニュアンスとナッツの香りはよく合いますし、ワインの旨みとアンキモの旨みもよくマッチします。その他、天婦羅や焼き魚(塩焼きよりはタレ焼きや西京焼、あるいは木の芽焼きなどの方が面白そう)など和食、ただしちょっとしっかりした味わいのものや、豚肉のパテなど白い系の洋な料理など色々合せてみたくなります。カニクリームコロッケなど、「日本の洋食」にもいいかも。香りには樽っぽさがあるのですが、ワイン自体の味わいの旨みや、料理の旨みとの相性の良さを見ると、やはり甲州、やはり日本のワインだなと言った感じです。ただ、その樽のニュアンスとボディや味わいが、日本のワインに馴染みがない、シャルドネ好きな人には結構とっつきやすくもあるようです。樽甲州というと、樽が効き過ぎて印象が樽ばかり、というものもあるのですが、こちらは樽とワイン自体の香味のバランスが結構よく、若いヴィンテージでも十分に楽しめると思いました。にほんブログ村
2011年02月24日
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今回も国産ワインですが、これはワイン会で飲んだものではありません。twitter上で盛んな、満月ロゼ(満月にかこつけてロゼを飲もうというネタです)に乗っかって、飲んだものです^^ローズ・ロゼ10。生産者は四恩醸造。当ブログでも、価格的に手を出しやすいこともあってよく記事にさせていただいているつくり手です。四恩学園ナザレ幼稚園の体験農場だった事や、自然派なつくりをしている事、ワイナリーをされている小林さんが勝醸のご出身だとか、殆ど過去に書いているのでここで書くことがもうあまり無いですね^^;セパージュは、クレマチス・ロゼと同じく巨峰。価格は写真のお店で1365円ですが、残念ながら楽天内では既に売り切れ。色はピンク。やや赤みがあり、ピンクのバラ的ですが、結構濁りはあります。香りはイチゴやイチゴキャンディーのニュアンスが主体で、ちょっとスイカっぽさも加わります。またバラやスミレの微かなニュアンスも。スイカっぽさは酵母系のニュアンスからきているようで、他に軽いバナナやウリっぽさなども感じます。加えて、赤い花や石灰系のミネラル的な要素もありました。味わいは、想像以上にエキス分があり、非常にハリを感じるライトなボディが印象的です。果実味はしっかりあり、味わいの中心的要素となっています。また、酸はしっとりしたもので、裏方ですね。やはり、なんと言っても口当たりの収斂味、強さが印象に残りました。食事にはよく合います。幅広く、なんにでもいける感じですね。最初、鳥肉のおろし煮やローストポーク、鶏のからあげなど肉料理と合せてみたのですが、これはこれで旨みと引き合ってよく合いました。また、魚系も、お鮨や焼き魚と合わせたのですが、生魚の臭みを出すことも無く、むしろ魚の香りのいい部分と上手く結びついていましたし、焼き魚はサワラの西京焼でしたが、こちらも甘みと果実味がうまく合い、旨みを引き立てあっていました。肩肘張らずに飲める、まさにこのワイナリーが志向する日本のテーブルワイン、といったワインです。が、上記のとおり酒質の強さを感じるのはちょっと驚きですね。個人的には、単独で飲むよりはやはりテーブルワインらしく食事に合せたいところです。にほんブログ村
2011年02月06日
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さてさて、先日の山梨のワインの会のワインもこれで最後です。締めは山梨の地に最も適していると言われるプティ・ヴェルドを使った赤です。ルバイヤート・プティヴェルドー東白坂収穫08。生産者である丸藤葡萄酒工業もまた、勝沼を代表する作り手の一つです。現在の大村春夫氏で4代目になるそうです。周辺のワイナリーからの信頼も厚く、現地では多くの生産者がこのワイナリーの見学を勧めているのだとか。大村氏はボルドーでの勉強経験があり、プティ・ヴェルドも山梨に適したボルドー品種は無いかと大村氏が初めて栽培したのだそうです。価格は、写真のお店等で3990円。色は暗さのあるガーネット。ボルドー系の色合いですが、透明度はやはり高いですね。香りはキノコ、ココア、軽い腐葉土っぽさや黒い土といったものも感じますが、最も印象的だったのはクランベリーっぽさ。それも、ドライクランベリーですね。また、ドライベリーといえばブルーベリーのそれも感じられたでしょうか。その他、ダークチェリーや軽いミネラル、森の下草といったものもありましたね。味わいはタイトなものです。乳酸系、というにはややフレッシュさの強い酸が中心で、そこにミネラル感や繊細な果実味が加わります。また、旨みもしっかりで、果実味とともに後口にかけて存在感を見せます。ボディはミディアムで、やや硬質さも感じます。口当たりは滑らか岩清水系で、タンニンの感じはあまり無いですね。会では、ブルーチーズよりは白カビの方が相性がよかったような印象です。やはり、同じ国産のメルローなどと比べてもすっきりしたタイプですね。また、豚肉のパテとの相性はまずまず。マリアージュ、とまでは行きませんが、旨みはよく引き立ててくれました。このワインに合せるなら、肉料理なら鳥肉系が良さそう。焼き鳥(塩)やチキンソテーなどでしょうか。また、トマト煮こみもいいでしょうね。あとは、和食系で、根菜と煮たものなどでしょうか。案外、煮魚などの魚介系との相性が面白いかもしれません。やはり、ボルドーの力強いそれとは違う、ピノ・ノワールに近いようなはんなり感のあるワインで、まさに国産といった印象です。勿論、最近は濃さや強さのある国産の赤も増えていますから、国産らしい、とは一概には言えないのかもしれませんが、現在多くの人に共有されている国産赤のイメージにぴったりとはいえるでしょう。一方で、まだ若さも感じましたので、ちょっと瓶熟させるとどうなるのかも興味深いところです。にほんブログ村
2011年01月29日
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先日の山梨のワインの会のワイン、ここからは赤。酒折のイケガワが残念ながらブショネだったので、省略して今回はこの旭洋酒の銘柄を。ソレイユ・ルージュ・クサカベンヌ09。旭洋酒は元中央葡萄酒のスタッフさんだった鈴木さんご夫婦(職場結婚だそうです^^)が営むワイナリーです。ご夫婦だけでの経営のため、生産量は少ないですが、高品質なワインを作る生産者として注目されています。前回の甲州のみの会では、このワイナリーを代表するワインの一つと言える千野甲州を飲みました。セパージュはマスカット・ベリーA100%。クサカベンヌとは、クサカベ地区の葡萄から来ているそうです。価格は写真のお店で2100円。色は黒いです。紫感も強め。ガーネットに分類できなくも無いですが、黒のほうがしっくり来ますね。香りはバナナや土っぽさ、シナモンといったものを感じる他、屋はリベリーなニュアンスが多いです。イチゴジャム、完熟イチゴを中心に、ブルーベリーや少々の黒ベリーっぽさもありました。加えて、ダークチェリーや微かなスミレ、小さな赤い花、樽由来の木っぽさと言った要素も感じられました。味わいは口当たりが大変印象的でした。柔らか、まろやか、滑らか、スムーズ、優しい、そんな言葉が次々思いつくようなもので、大変に快適です。ボディはミディアムですが、ふくらみもあり、上記口当たりの良さと強い関連を感じます。果実味はある程度しっかりで、メインの要素ではありますが、抑えの利いたキレイな出方です。また、口当たりの良さにマッチした乳酸系の酸と旨みが上手く重なります。タンニンはあまり感じず。会では、白カビ系チーズとの相性がまあまあで、その後の豚肉のパテとの相性は良好、と言った感じでした。パテの脂感、鉄っぽさ、柔らかさとこのワインの果実味やボディの雰囲気がよく合いますね。その他、焼き鳥(タレ)やハンバーグなど、家庭で食べる肉料理と合せたいタイプですね。フレンチなどでも、上記パテなど、いわゆるビストロ的な家庭料理と合せてガブガブ楽しんでなんぼ、のような印象です。肩肘張らず楽しめる、しかし、口当たりの良さや味わいのバランスなど、完成度の高さも見せてくれるワインでした。価格的にもコストパフォーマンス高いですね。国産=高いというイメージを払拭するには最適なワインの一つでしょう。楽天ブログでも、byson1さんやbusuka-sanさんが高く評価されていらっしゃりますが、なるほどという1本でした。にほんブログ村
2011年01月27日
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まだまだ続く先日の山梨のワインの会のワイン。今回は山梨のシャルドネです。桜沢シャルドネ09。生産者は奥野田葡萄酒醸造。前回の甲州の会の際にも飲んだ生産者です。創業は平成元年だそうで、先ずは国際品種のワインで日本のワインをアピールしていきたいと、シャルドネやメルローと言った国際品種を多く栽培しているそうです。また、それらの品種は、優れた畑ながら遊休農地となっていた土地を利用して作っていて、栽培法としては日本によくある棚式ではなく、海外に多い垣根式だそうです。価格は、写真のお店で3300円。色は黄金。樽熟ということで、その雰囲気が良く出ています。香りは、こちらも樽っぽさがよく出ておりカラメルやハチミツをしっかり感じます。開けてすぐからしばらくは、これらの要素が支配的で、そこにクッキー、リンゴアメ、少々のグレープフルーツが加わると言ったところ。時間をおくとカラメルっぽさが落ち着き、グレープフルーツっぽさが増す他、ミカンやオレンジと言ったその他柑橘やオレガノ、タイムといったハーブっぽさも見えました。味わいは、残糖を感じるほどの甘さがあり、やや辛口といっていいでしょう。時間と共に多少落ち着いたので、樽の影響もあるのでしょうか。酸は、甘みの陰に隠れて見えにくい感じで、それが落ち着くとリンゴ産的なものが少し垣間見えます。旨みはありますね。ボディはミディアムで滑らか。この辺は、九州の骨太なそれと比べると日本的ですね。会では、白カビチーズとの相性が良好だった他、優しいブルーとも結構いけてしまいます。また、チーズの後豚のパテをお出しいただいたんですが、そちらとの相性も、鉄っぽさと上手く引き合っていい感じでした。樽っぽさが強いですが、優しさもあるので、魚や鳥肉のクリーム煮などと合わせると面白いかもしれません。また、焼き鳥(塩)なども旨みのしっかりしたものならいいつまみになりそう。あまり鮮魚に合せたい印象はありません。09は非常にいい年だったと言う事で、樽強めながらも葡萄の味わい、香りも十分見えました。ただ、今はまだ若いのかなというのが正直なところです。あと3年5年して、色々な要素が落ち着いてきたときがこのワインの真の姿のように思います。楽天内には07ヴィンテージがあるようですが、どうなっているのか気になるところです。にほんブログ村
2011年01月25日
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先日のワイン会のワイン、続いては最近色々出てきている国産のソーヴィニヨン・ブランです。勝沼ソーヴィニヨン・ブラン09。生産者はシャトレーゼ勝沼ワイナリー。あの洋菓子で有名なシャトレーゼが、地元産業の振興と、元々社長さんが山梨出身でワイン作りをして見たいという思いがあったことから、はじめたワイナリーです。従業員は5名と少数精鋭ですが、資金力を活かし一から新しい生産設備を作ったり、優れた土地に畑を購入したりしています。価格は2625円ですが、楽天内に取り扱いはなし。写真のものは07ですが既に売り切れ。写真撮り忘れた^^;のですが、同じラベルなので貼っておきます。ちなみに、購入先はコチラ。色は青みのある薄い黄色。グレープフルーツの果汁的な雰囲気。香りは軽い硫黄的な要素があり、ビオ的なつくりをうかがわせます。時間が経つとそれは薄れ、硝煙的なミネラル、グリーンハーブや青い草、土っぽさといった、フルーティさではなく結構シビアなニュアンスが強く感じられます。勿論、フルーツっぽさも無いわけではなく、グレープフルーツやライム、カボスといった、甘い系ではなくフレッシュさのある柑橘香が感じられます。また、ちょっと柚子コショウっぽい雰囲気も。味わいはミネラリーさとフレッシュで強い酸が印象的。また、酒質の強さがあり、硬質感すら感じられます。果実味は繊細で、柑橘系のそれがほのかに感じられます。後口には少々の苦味もあってグレープフルーツ的ですね。旨みもしっかりあります。ボディはライトで、前述の硬質感と相まってシャープさがあります。まさにソーヴィニヨン・ブランらしい味わいと香りで、シェーブルチーズとの相性は良好です。また、マンチェゴもいいつまみになりますね。意外だったのは、結構ウォッシュとも悪くなかったこと。まあ、食べやすいタレッジョだったこともあるでしょうが。他に食事に合せるなら、鮮魚系は良さそうで、白身魚カルパッチョなどは勿論、お刺身でも食用菊を添えたりすると十分いけそう。山葵との相性も期待できます。和食系は濃い煮込みなどで無ければ全般的に合せられそうですが、天婦羅は面白そうで、特に、ちょっと早いですが苦味と香りが魅力的な春野菜の天婦羅には是非合せたいところ。実は、今回一番印象に残ったワインです。最近、ソーヴィニヨン・ブランはニュージーランドのものばかり飲んでいましたのでこういうボルドーのそれに似た雰囲気のものは久しぶりだったのもありますが、そういった外国のものと抵抗無く比較できてしまう完成度の高さが衝撃だったと言うのが一番です。にほんブログ村
2011年01月23日
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続いての山梨の甲州以外のワイン会のワインは日本の自然派を代表するこの生産者のワインです。キャネー・デラウェア+10。生産者は金井醸造です。山梨の万力のワイナリーで、ビオ的な栽培法、それも、ただビオディナミを受け入れるのではなく、自身の畑の環境にあったものを模索している他、自然酵母による醸造などにも取り組んでいます。セパージュはデラウェア100%ですが、自社畑のもののほか、同じく自然なワイン作りを志向する四恩醸造の小林氏が栽培したものも使っているそうです。価格は2520円でしたが、楽天内に取り扱いは無し。写真を撮り忘れました^^;ので、購入先のリカーショップながさわさんか、ワイナリーのページをご参照くださいm(_ _)m色は極薄い黄色。ただ、この手のワインらしく濁りがあります。香りは、濁りの印象そのままの酵母的なニュアンスや吟醸香といったものが強いです。また、少々のハーブっぽさなどもあったでしょうか。それ以外は、デラウェアらしいフルーティなもので、パイナップルや巨峰、洋梨、メロンといったものが豊かです。特に、メロン的なウリ科の香りは、時間と共に印象を増しました。その他、蜜っぽさや軽い石灰的なミネラルと言ったものも。味わいは、シャープで明るさのある酸が主体。リンゴ酸系で、強さもありちょっとヨーロッパ的かも。果実味はほんわかしたものが繊細に感じられる程度で、旨みも強め。この辺のバランスも結構欧州的かもしれません。ボディはライトですが、ミネラル感、エキス分共に十分で、芯を感じます。会では、どのチーズとも喧嘩せず、と言った感じですが、シェーブルやウォッシュはいいつまみになりました。逆に、白カビ系ですとワインの印象が少し薄れるかも。ワイナリーのページでは、カブと塩豚の煮込みや、季節野菜とラクレットチーズがオススメの料理として挙げられていますが、確かに、野菜の甘みを味わえる料理とはよく合いそうです。特に、カブと塩豚の煮込みなどのような、白い煮込み料理には面白そうです。その他、個人的には焼き鳥(塩)や牡蠣との相性も是非試してみたいですね。デラウェアのワインといいますと、甘口で飲みやすいものが多いイメージですが、こちらはシャープで随分と本格的な辛口です。国産ワインの入り口としては、やはり甲州などが適切なのでしょうが、ワインをある程度の見慣れている人は、あえてここから入るのも面白いかもしれませんね。にほんブログ村
2011年01月21日
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今回は正月に飲みました勝沼醸造のプレミアム甲州です。アルガブランカ・イセハラ09。生産者勝沼醸造は言わずと知れた勝沼の名門。1937年創業の古参で、勝沼後に根ざしたワイン作りを続けています。アルガブランカ・イセハラは、ヨーロッパにも輸出されている勝沼醸造の特別キュヴェで、2001年にイセハラで収穫されたブドウから作ったワインに、それまでになかった柑橘の香りがみられた事から研究を重ね作られたワインです。セパージュは勿論甲州100%。価格は2730円ですが、09ヴィンテージは楽天内にはもうありません。写真のものは2010ヴィンテージで、価格は同じく2730円。色は極めて薄い黄色。甲州らしいほぼ透明な感じです。香りは、イセハラらしいソーヴィニヨン・ブラン的な要素をしっかり感じます。グレープフルーツ、カボス、ライム、グリーンハーブと言ったものが出ています。また、パッションフルーツっぽさも。そこに、白桃やみかん、りんごといった甲州的なフルーティさが加わります。その他、蜜っぽさや少々のミネラルと言った要素を感じました。味わいは、やや辛口と表記されていますが、そこまで甘いわけではなくフルーティと言った程度。しかし、そのフルーティさがメインの要素ではあります。そこに、甲州らしいしなやかな強さを持った酸と、旨みが加わる感じです。また、後口には少々の苦味も。ボディは甲州らしいライトなものですが、張りのある印象を受けます。御節に合せるワインとして、昨年の旭洋酒のプティ・ボワゼに続いての甲州でしたが、相性はプティ・ボワゼ程ではありませんがなかなかのものでした。甘辛く煮られたたらこやマツタケ、鰆の蒸し焼きなどにはよく嵌りました。また、twitter上であれこれ試されていた数の子との相性に関しては、「におい」が出たのは事実です。ただ、生臭い、と言うよりは磯の香り、というくらいのものかな、と言う印象です。勿論、この辺の感度には個人差がありますから一概には言えませんが、個人的には不快とは感じませんでした。面白いのが、同じ数の子でも子持ち昆布と合せると、そういった「におい」も出ず、昆布の香りと数の子の旨みのいいところだけがワインの香り、味わいとマッチしているような感じでした。ワイン側も、リンゴのニュアンスがよく引き出されていましたね。1年たっているということで、熟成感はどんなものかと思っていたのですが、全くと言っていいほど感じられず(せいぜい軽い蜜っぽさがあったのとミネラルが柔らかいくらい)、非常にフレッシュだったのは驚きでした。芯のしっかりしたワインなんだということをあらためて感じられましたし、どの程度の熟成に耐えるのかも興味が湧きましたね。にほんブログ村
2011年01月09日
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さて、先日の甲州ワインの飲み比べ会のワインもこれで最後です。大トリは勿論これ。ソレイユ・千野甲州09。生産者は旭洋酒。山梨市にある、鈴木さんご夫妻が夫婦で営むワイナリーです。中央葡萄酒の栽培と醸造の各部門に勤め、職場結婚されたと言う鈴木さんご夫妻ですが、自分のワイナリーを持ちたいと考えていたところ、協同組合用のワイナリーだった旭洋酒買取の話が来て、独立を決意されたそうです。千野甲州は、旭洋酒を鈴木さんご夫妻に紹介された、一文字短梢仕立てを考案された栽培家の小川さんが育てたウイルスフリーの甲州から作られています。価格は、写真のお店で2730円。色は薄い黄色。ほんのり黄色いと言った程度で甲州のイメージにあう雰囲気。香りは、樽がほどよく利いており、ホイップクリームや柑橘っぽさと相まってグレープフルーツ的なニュアンスを感じさせます。また、柑橘の印象はかなり強く、柚子やミカンといったハツラツとした香りがあります。その他、リンゴや洋梨、メロン、それに少々のパン系の香ばしさや吟醸的なニュアンスと言ったものを感じました。まだ若いためか、蜜っぽさはあまり強くありません。味わいは、ほっこり温かみを感じる果実味が中心。そこにブライトな酸が一本芯のような感じで入っており、バランスは流石。ちょっとジューシーな雰囲気でもありますね。ミネラル感は感じなくはないですがあまり硬質なものではなく、柔らかな印象。エキス分もほんのり感じられるミディアムライト。会では、どのチーズとも喧嘩しません。特段マリアージュというほどの組み合わせはありませんでしたが、日本酒的な感じでつまみにはなる感じです。これなら単独でも十分に楽しめるでしょうが、食事にあわせるなら刺身というよりは、鳥肉ジャガやらおでんやら野菜の炊いたものなど、手をかけた料理の方が良さそうです。また、白い肉にも良さそうで、ヴァイスブルストやパテなんかをマスタードをつけながら食べるといい相性見せそうです。過去のヴィンテージが洞爺湖サミットで使われたことでも話題になりましたが、さすがの品質ですね。香りもよく、味わいのバランスも高いレベルだと思います。甲州を含め、国産ワインといいますと、これまでのフランスワイン的な価値観とはちょっと違う世界観を持つものがたくさんありますが、このワインなら国産ファンも、フランスワイン的価値観になれた方もどちらも楽しめるのではないでしょうか。特に、シャルドネはちょっと濃すぎると言う人にはうってつけでしょうね。にほんブログ村
2010年12月12日
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続いての甲州ワインの飲み比べ会のワインは、皮ごと醸すスタイルと、印象的なラベルでおなじみのこちら。窓辺・橙09。作り手である四恩醸造さんのワインは、これまでもちょくちょく記事にしてきました。四恩学園ナザレ幼稚園の園児の農業体験用のブドウ園のブドウが非常にいいものだったことから、「百姓」になりたいと考え勝沼醸造を退社されていた小林剛さんを栽培・醸造家として迎えはじまった、まだ10年にも満たない若いワイナリーです。小林さんは意欲的な方で、栽培・醸造に関して自然派な作り等を実践されています。価格は、写真のお店で1785円。国産なのと、生産量も多くないのとで、価格はどこでも一緒です。色はピンクグレーな甲州の果実を思わせる色合い。若干の黄色も見えますでしょうか。香りは、まさに醸し甲州。蜜蝋や少々のリンゴっぽさ、それに石灰や石的なミネラルと言ったものを感じます。ただ、時間とともに甘いニュアンスがどんどん増して行き、洋梨、桃、温州みかん、それに蜜っぽさと言ったものまで感じられるようになりました。特に、洋梨のニュアンスははっきり出て、シャルドネに近い印象さえありました。味わいは、果実味がメインと言う甲州らしからぬバランス感。開けてすぐ、温度の低い状態では丸く柔らかみのある果実味とハリのある酸が均衡している印象ですが、時間が経ち、温度が上がってきますと「ジューシー」という感じを受けるほどになります。ミネラル感は、開けてすぐは硬質な印象を与えますが、これも時間とともに開き、柔らかくなります。ボディはライトですが、ミディアムに限りなく近いですね。チーズとの相性はどれもまずまずですが、意フロマージュブラン+ハチミツとの相性が一番だったのが意外な感じです。タレッジョなど、もう少し味の強いものでも面白いとは思いますが。食事との相性の幅は広そうですが、蜜蝋系の香りと果実味の充実具合からして、焼き鳥屋で飲みたいワインかなと感じました。タレよりは塩で、モモ、ネギマといったところは勿論、砂肝などのあっさりした内臓系とも面白そうです。また、魚系では、同じスタイルながら樽がかかりこれより少し値段の高いブーケが以前フグと好相性だったことを考えますと、これも淡白な白身魚ともよく合いそうです。果実味の印象が強かったのが意外でした。酸の強いものが揃った前回のラインナップの中にあれば、相当印象的だったでしょうね^^にほんブログ村
2010年12月08日
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ということで、ここからは先日の甲州ワインの飲み比べ会のワインです。1本目は仙人のブドウから作られたこちら^^勝沼人の大地 甲州09。勝沼人の大地とは、勝沼ワイナリーマーケットの店主であり、「勝沼のネゴシアン」なんて言われたりもしてらっしゃる新田さんと、その同級生で内田ブドウ園を営まれ、「仙人」と呼ばれていらっしゃる内田さんとの共同プロジェクト。菱山で、甲州とマスカット・ベリーAの栽培を行っている他、ブドウ作り体験もやっているそうです。セパージュは、「桃園」という畑の甲州100%。価格は2100円ですが、楽天内に取り扱いはなし。色は薄く、甲州らしいほぼ白といっていいレベルです。香りは、酵母、吟醸香、白い花といった香ばしい系のニュアンスや若干のオイリーさと言ったものを感じます。オイリーさも、リースリング的な石油系のものではなく、ナッツ系のそれと言った感じです。その他、白桃、リンゴ、温州みかん、それに少々のカボスっぽさと言ったものや、微かな白コショウ、ミネラル等を感じました。味わいは、フレッシュで力強さのある酸が主体。果実味は、思ったほど弱くはなく、酸の後ろにほんわかと感じられます。ミネラル感もあり、優しいながらも背骨の通った味わいのライトボディです。後口に良くある苦味はあまり感じられませんでした。会では、ミモレットとの相性が抜群でした。他のワインと比べましても、このワインとミモレットのコンビがずば抜けていたと言う印象です。香りの面ではまあ普通なんですが、ハードらしい後口の旨みを、雑味を抑えてブラッシュアップさせつつ、しかも引き合いよく伸ばしてくれるといった感じで、まさに最高のつまみという組み合わせでした。今回のミモレットは熟成したものだったのですが、パルメジャーノなど他のハードチーズも、熟成して旨みの塊となったものならいい相性を見せてくれそうです。また、和系の旨みの強いつまみ、例えばからすみなども面白そうです。いいですね。香りもしっかりありますし、酸メインの甲州らしい味わいながら、果実味も弱すぎる事がなくバランスの良さを感じます。強いて言えば、やはり生産量が少なく入手が難しい事がネックですね。価格的にもいいので、普段使い出来ると嬉しいのですが。ちなみにこのワイン、勝沼人の大地倶楽部が、勝沼のワイナリーに醸造を委託しているのですが、08までは勝沼醸造が手がけていて、この09からダイヤモンド酒造に変わったそうです。勝沼人の大地倶楽部→http://katsunumabitonodaichi.com/にほんブログ村
2010年12月06日
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さて、先日の甲州ワインの飲み比べのワインもこれで最後。最後は樽の効いた甲州です。グレイス・樽甲州08。生産者である中央葡萄酒は1923年に勝沼で創業しました。品質の高いワインを作ることは勿論、勝沼の甲州全体の品質向上のために勝沼ワイナリーズクラブを組織したり、ボルドー大学のデュブルデュー教授と組んで世界に通用する甲州ワインを作ろうとしたりと、様々な活動を行っています。近年では、キュヴェ・ドゥ二・デュブルデューを欧州に輸出し始めた事がニュースになりましたね。価格は、写真のお店で3171円。色は、今回のワインの中では最も黄色が薄く、ほぼ透明に近いレベル。香りは、やはり樽の印象が強く、ナッツをかなり強く感じます他、やや小松菜を思わせるようなニュアンスもあります。また、その樽のニュアンスと甲州らしい酵母や吟醸系の香りが連続しており、樽を強く感じますが、浮いたところはありません。その他、カボスや柚子的な柑橘のニュアンスやミネラルといったものが感じられました。味わいは、甲州らしい酸主体のドライなものですが、さすがはグレイスというべきか、酸は強さ、しなやかさのあるもので、果実味は繊細ながらフルーティさ、ハツラツさを感じさせる快適なものとなっています。ボディも、ライトながら芯を感じるものです。ただ、時間とともに他のワインが向上したのに対し、こちらはやや衰えを見せました。会では、レバーペーストとの相性の良さが印象的でした。他のものとあわせると、レバーの香りと鉄っぽさが立ちすぎるレバーペーストでしたが、このワインの樽の香りがレバーの臭みを消しつつ、骨太な味わいがレバーの旨みとよくマッチしていました。このワイン、どうやら魚系より肉系のもののほうが相性が良さそうです。焼き鳥(塩)や豚肉のパテなど、流石に赤身肉には難しいでしょうが、白い肉の料理とあわせたいところ。鳥刺とかも面白そうです。柚子コショウでも添えるとなおいいかも。現段階では、樽の印象が強くやや甲州らしさにはかけるのかなとも思いますが、まあその控えめさが甲州らしいといえるのかもしれません。数年の瓶熟を経て、樽のニュアンスが落ち着いてきたときにどうなるのかはかなり興味深いです。蜜っぽさに変わって華やかなワインになっているとかなり良さそうですね。にほんブログ村
2010年11月16日
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続いての甲州ワインの飲み比べ会のワインは果皮も一緒に醸し発酵させたタイプ、それもスパークリングです。ペティヤン・オランジェ08。生産者ルミエールは、勝沼の外縁部にあたる笛吹市一宮のワイナリーです。1885年創業の老舗で、宮内庁御用達に指定されている他、明治中期に作られた地下発酵層が有形指定文化財になっているという歴史ある作り手です。近年では、限りなくビオディナミに近いような葡萄栽培を行うなど更なる品質の向上を目指しています。価格は、写真のお店で1950円。色はまさにオレンジ。ツヤもありますね。ペティヤンというと微発泡の印象がありますが、こちらはかなりしっかり泡を感じます。香りは、やはりこのワインにも酵母っぽさやグジェールのようなニュアンスが感じられます。また、今回飲んだ4種類の中では最も蜜を感じました。その他、リンゴやミカン系のフルーツやミネラルも感じますが、なんといっても醸し甲州らしい蜜蝋や蝋燭、あるいはマジパンのような独特のニュアンスがしっかり出ています。味わいはやはり酸主体ですが、こちらは太さはあるものの、泡の勢いの強さも手伝ってか結構軽快な印象です。果実味も酸の後ろにほんのり感じられます。旨みやミネラル感、それに骨格も感じられ、ライトボディながら飲み応えがあります。会では、つまみのチーズには満遍なく合いました。特に、フレッシュシェーブルにハチミツをかけたものとの相性は秀逸で、流石スパークリングといった印象です。ということで、あまり甘みの強すぎないスイーツ類との相性は期待できそうです。日本のもの同士ということで、お茶菓子なんかとあわせても面白いかもしれません。あとは、ドライなスパークリングとして大概の食べ物と合わせられそうで、甘みとの相性に注目するならパテなどの白い肉料理にフルーツのソースを合わせたものとも良さそうですし、旨みとの相性に注目しておでんや煮物などとあわせるのもありでしょう。キザンのブリュットと比べますとやや粗さを感じなくもありませんが、それでも1000円安い事を考えればこちらもなかなかのコストパフォーマンスかと思います。特に、甲州のスパークリングへの適正の高さと、醸し甲州の個性を両方感じられるという点では、興味深い1本だと感じました。にほんブログ村
2010年11月14日
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先日の甲州ワインの飲み比べ会のワイン、続いては山梨を代表する生産者である勝沼醸造の限定ものです。勝沼甲州CUVEE-F116 07。生産者勝沼醸造は1937年より(ワイナリーとしては1941年から)勝沼の地でワイン作りを営んでいます。醸造だけでなく、自社畑での栽培も行っています。甲州へのこだわりが強く、欧州へも輸出される「イセハラ」をはじめ、様々なスタイルの甲州ワインを手がけています。価格は2520円ですが楽天内に取り扱いはありません。色は薄い黄色。白さの強いシュール・リーのものなどと比べますと黄色さをしっかり感じられ、微かなツヤもあります。香りは、最初はやはり酵母的なニュアンスが強く、シャンパンやスパークリングワインのそれに近いほど。時間とともにフルーティな香りが現われ始め、白桃やレモンといったものを感じられるようになりました。その他、ミネラル、白い花、少々の蜜、それに軽い白コショウも感じられました。味わいは、やはり繊細。そのなかでも、このワインは比較的果実味を感じられるタイプではありました。しっとりとして、骨太な酸を中心に、繊細な果実味が加わります。ミネラル感も強く、繊細ながらもハリのある口当たりです。ボディはライトですが、前述のミネラル感のおかげか骨格を感じます。会では、やはり旨みの強いゴーダチーズとの相性がよかったですが、果実味が膨らんでからは生ハムなんかも結構いいつまみになったりしました。バランスがよく、相性の幅は広そうです。料理に合わせるなら、塩で食べる天婦羅なんか良さそうです。タネはエビや根菜、それに白身魚などと試してみたいですね。他にも、和食全般(肉じゃがなど味の濃い肉料理以外ですが)によく合うでしょうが、鮮魚なら白身魚の昆布締めとか面白そうです。完成度高いですね。この安心感は流石勝沼醸造といったところでしょうか。最初はやや印象薄かったですが、最終的には今回の1番人気でした。にほんブログ村
2010年11月12日
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ということで、甲州ワインの飲み比べのワイン、1本目は金井醸造の最新ヴィンテージです。キャネー甲州祝村川窪09。生産者である金井醸造は山梨県の万力のワイナリーです。現在醸造栽培を手がける一郎、祐子夫妻は3代目だそうで、お二人の代から鳥を感じられるワインを作りたいとビオ的なワイン作りを行っています。09年からは、県内の有機栽培を実践する農家と契約し、使用するブドウの7割までが有機栽培によるものになったそうです。価格は1890円でしたが、既にこのロットは売り切れ。11月中旬に次のロットが発売されるそうです。色は薄い黄色。真っ白というほどではなくそこそこ黄色を感じますが、やはり無濾過だけあって濁りが強くあります。香りは、最初は閉じ気味で微かな酵母っぽさとミネラルを感じる程度。時間とともに酵母っぽさはより強くなり、香ばしいほどに。ミネラル系の印象は少し落ち着き、代わってアルコールっぽさやリンゴ、白桃、フローラル、それに少々のハーブといったものが感じられました。味わいは、抜栓直後は軽く、やや抜けたような印象で酸しっかりといったところ。時間とともにボディにふくらみが出て、極めて繊細ながらもそれなりには感じられる果実味、しっとりした酸、アルコール、旨みといったものが感じられるようになりました。ボディはライト。会では、チーズなどのつまみとあわせましたが、24ヶ月熟成のゴーダチーズはいいつまみになりました。もちろん、さっぱりした和食などにはよく合うでしょうが、日本酒感覚で!?旨みの強いものとあわせてみると良さそうです。ただ、レバーペーストなど肉系の味の強いものとあわせると流石に印象が消え気味でしたので、多少クセはあってもいいでしょうが脂や鉄分の押しの強いものは避けた方が無難でしょう。ナチュラル系のワインらしい味わいの部分もありましたが、アルコール感の強さなどやや「暴れている」という印象も否めませんでした。輸送等によるボトルコンディションの問題だったのか、それとも今、このワインはこういう状態なのか、ちょっと判別の付かないところです。最近飲まれた方のご意見を伺いたいところです。にほんブログ村
2010年11月10日
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今回は国産のロゼ、それもやや甘口のものです。キャンベルアーリー・ロゼ09。生産者は、このワインで国外からも高い評価を得た都農ワイナリーです。非常に優れたシャルドネを作る宮崎のワイナリーですが、こちらのロゼも評価の高い1本です。価格は、写真のお店で1302円。都農のラインナップのなかではデイリーレンジに当たるもののようです。色は鮮やか。ザクロを思わせるような赤の強いピンクです。まさにバラ色といった感じ。香りは、完熟イチゴにイチゴキャンディ、イチゴジャムとイチゴたっぷりのフルーティで親しみやすいもの。加えて、クランベリーなどその他の赤ベリーもちょこちょこ垣間見えます。また、赤い花を中心としたフローラルなニュアンスや、若干のスイカっぽさも。その他、少々の土系ミネラルもあるようなないような。味わいはやや甘口ですので、当然しっかり糖を感じますが、酸がしっとり系で、リースリングなどのそれとはちょっと違うこともあってか、カビネットクラス程度の甘さはあるように感じました。ただ、タンニンがほのか~に感じられ、後口を〆てくれるのがなかなかのもの。ボディはライトですが、目の詰まった印象はあります。このワインとの相性のよさに驚かされたのがチキン南蛮です。宮崎県の名物料理ですが、まさに地の料理に地のワインという鉄板ぶりを見せ付けてくれました。甘辛系の餡とワインの甘さが驚くほど合いますし、ほのかなタンニンやワインのうまみが鶏肉の旨みと鮮やかさを持って結びつきます。恐れ入りました。その他、宮崎つながりということで炭焼き地鶏とも合わせてみましたが、こちらは鳥の旨みとはいいのですが、炭の香ばしさにやや押され気味といった印象。寿司ネタとは驚くほど喧嘩せず、イチゴっぽさが赤みに妙に合ってたりしますが、ポイントだったのはシャリは西日本風の甘め、醤油はキッコーマンよりたまり、といったところかもしれません。ワイン自体も、とっつきやすく飲みなれない方にはとてもいいでしょうし、料理との相性の深さは、そっちが好きなワイン好きの興味にも十分に答えるものがあると思います。ワイナリーのページでは、スイーツ、味噌や醤油を使った和食とも合うという記載が見られましたので、その辺とあわせてもみたいですね。後、チーズもよさそうで、薫り高いハードチーズなんて面白そうです。にほんブログ村
2010年09月19日
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これまでも、国産ワインを飲む会はちょこちょことやっていましたが、和食、それもお寿司とあわせたのは初めてでした。それは、今まで自分で国産ワインと刺身などをあわせてみて、相性は悪くありませんがそう劇的なマリアージュを体験できなかったために少し二の足を踏んでいたからでした。今回色々あって実際にガッツリあわせて見ましたが、ソガ・メルローとトロや、北海ケルナーと辛味大根の相性の良さはなるほどマリアージュと言えるレベルだったように思います。ただ、特に甲州は寄り添うという感じが多く、白身魚などともやはり劇的マリアージュとは行かなかったかなという印象も持ちました。鮮魚との相性に関しては、グリューナーなどのほうが面白いのかもしれません。もっとも、キザン ブリュットが土佐酢のジュレのダシの旨みと上手く引き合ってくれたように、お寿司、刺身といった鮮魚ではなく(まあ、これも作り方や素材によって違ってくるのでしょうが)、いわゆる「和食」との相性の方がいいものが期待できそうです。加えて、以前フレンチと国産ワインの会をやりました際、千野甲州と火の入った貝や魚との相性がよかったということもありましたので、西洋料理や、魚介でも火の入ったものとの相性も興味深いところ。いろいろなものに合いそうでそれほどでもなくて、甲州のマリアージュは、今後テーマにしたい要素の一つになりました。一方、ワインそのものも、やはり完成度は高いな、と。私は、基本的にワインを単独で飲むということはバーなどで飲む場合以外は無く、つまみ、料理との相性を重視していますし、実際今回飲んだワインたちは料理、つまみと合わせることでより魅力を発揮するワインだとは思います。ただ、香りの強さ、味わいの雰囲気と、決して単独では楽しめないといったようなものではないことも確かと言えるでしょう。強いて言えば、きいろ香の酸味が強く感じられたり、全体的に軽く感じられたりということはあるでしょうが、その辺りも、私が国産ワインになれていることを差し引いても、もう好みのレベルでしかないところまできているように感じられました。にほんブログ村
2010年09月07日
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さて、先日のお寿司と国産ワインの会のワインもこれで最後です。締めは甘口、それも赤です。マタヤローネ。生産者はこちらもココファーム&ワイナリーですが、使用している葡萄は栃木県産。陰干し葡萄を使用したデザートワインで、園生の方々の、収穫後の「明日もまたやろうね」という挨拶と、イタリアの陰干し葡萄を使ったワイン「アマローネ」を引っ掛けたネーミングだそうです^^セパージュは、マスカット・ベリーA100%。価格は、写真のお店で5000円。サイズは375mlです。色は濃く、ガーネット系ですが黒が強いです。香りは、やはり甘さがメインですね。特に、干し杏や干し葡萄といった乾燥フルーツ、それにプラムや完熟黒ベリーといった黒系フルーツのニュアンスがしっかり。また、チョコレートやカラメル、それに黒蜜っぽさもありますね。さらに、15.5度という高い度数に似合ったアルコールのニュアンスも。その他、少々の茶系スパイスやバナナっぽさも感じました。味わいは当然甘口。極甘口というほど濃く、重い甘さではありませんが、しっかりデザートワインです。また、やはりアルコール感をしっかり感じます。酸は完全に裏方で存在感は余りありません。ボディはフルボディで、重さはありますが滑らかではあります。ただ、若さを感じますね。流石に食事にあわせるものではないでしょう。最後にアンコ玉をつまみながら飲みましたが、これはなかなか悪くありません。香りや甘さが引き合いつつ、最後はワインのボディとアルコール感が後口を締めるといった感じです。つまみにするなら、ポート感覚でブルーチーズなんてのもいいでしょうし、アンコを使ったお茶菓子系にもいいかもしれません。しっかり甘口で、度数も強く、最後の締めにはぴったりなワインでした。また、熟成可能性もかなりあるようで、20年程度は瓶熟が期待できるそうですが、たしかにそのぐらいのものは感じましたね。インパクトありますし、名前的にもワイン会に使うにはもってこいのワインといえそうですね^^にほんブログ村
2010年09月07日
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お寿司と国産ワインの会のワイン、辛口赤は優しい長野のメルローです。ル・ヴァン・ナチュレル・ビオ・メルロー07。生産者は小布施ワイナリーです。言わずと知れた?長野の有名生産者ですね。メルローやシャルドネといった国際品種を多く栽培し、しかも有機栽培や天然酵母での醸造という日本では難しいビオワインに挑戦しているというこだわりの作り手です。こちらのドメーヌ・ソガは自社畑の葡萄100%という、さらにこだわったラインとなっています。価格は、4200円でしたが楽天内に07は既に無し。写真のものは08ヴィンテージです。色はまさにガーネット。透明度は低いですが、この品種にありがちな黒さや紫は皆無。香りは、まさに国産メルローというべきチャーミングさの強いものです。クランベリーやイチゴといった赤ベリーやさくらんぼといった小さな赤い果実のニュアンスが中心。そこに、土っぽさや根菜、それに少々のカラメルといったものが加わります。その他、微かなプラムっぽさ、ココア、キノコ、それにマジパンのような香りもあったでしょうか。味わいは、バランスの良さが際立ちます。酸味が主体ですがこなれて丸く、その後ろから繊細な果実味が続きます。渋味は非常に大人しいですが、全く無いというわけではなく裏方に徹しています。ツルツルとした口当たりの、柔らかなミディアムフルボディで、繊細さを感じさせますが、芯がないわけではありません。冷涼な印象ですね。会では、一品料理最後のウナギのところから飲み始めました。鰻との相性は悪くありませんが、過去あわせたオーストリーのピノなどと比べますと特筆するほどではないかもしれません。一方、マグロとの相性はかなり良好で、赤身の旨みともなかなかのものですし、トロとは見事なものでした。柔らかく、脂の旨みの強いトロと、このワインの柔らかで滑らかな口当たりや、ほのかなタンニン、果実味がよくマッチしていました。もちろん、シャリや醤油と喧嘩するという事もありません。この辺は流石国産ですね。このワインは個人的に今回1番の当たりと言ってもいいくらい好印象でした。キレイでバランスがよく、ボムロールやら新世界やらのメルローを想像すると全然違いますが、ピノ・ノワールの好きな人なんかにはとっつきやすいのではと思います。ソガさんは還元臭の出ないビオワインを目指していらっしゃるようですが、こちらのワインには全く臭みは無く、状態もいいものでした。国産ワインコンクールでの高評価も頷けましたね。にほんブログ村
2010年09月05日
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まだまだ続くお寿司と国産ワイン会のワイン、続いては北海道産の葡萄を使ったこのワインです。北海ケルナー08。生産者は栃木のココファーム・&ワイナリーですが、葡萄は北海道余市産。栽培者の藤澤裕治氏はワイン用の葡萄を栽培している農家で、最近北海道に増えている、中澤ヴィンヤードのような存在です。08の余市は日照量が多くよい葡萄が出来たそうで、本ワインもやや甘口ながら度数は驚きの14.4度です。セパージュは、名前の通りケルナー100%。価格は、写真のお店で3000円。ちゃんと08ヴィンテージがあります^^色は薄い黄色。透明に近い印象です。香りはケルナーらしいフローラルな印象が強めで、高い度数に見合ったアルコールのニュアンスも感じます。その他、ミネラル、ビワ、レモン、温州みかん、リンゴといった要素も感じられました。加えて、ミントや山葵?などのハーブ系のニュアンスも少々。味わいはやや甘口という事で、当然糖を感じます。一方、酸のトーンはやや低めで完全に裏刀印象。じゃあ甘ったるいのかといえばそんなことは全く無く、太いミネラルとアルコール、柔らかふくよかな口当たりのおかげでバランスは良く取れています。後口に微かな苦味があるのもいいですね。ボディはリッパなフルボディといっていいでしょう。会では、モッツァレラの漬けとお土産で頂いたパテの辺りで飲み始めたのですが、どちらもなかなかの相性で、いいつまみになりました。モッツァレラとはコク同士が引き合いますし、パテはハーブの香りとあっさりした味わいが、ワインのすっきり感と香りにいい相性でした。ただ、抜群によかったのは辛味大根を乗せた鰆の握り。鰆の柔らかな味わい、食感とシャリの甘みがワインの口当たり、甘みとよくマッチしていますし、辛味大根とは香りが抜群。こちらのお寿司とは今までいくつかのワインを合わせてきましたが、辛味大根を使った握りにはこのケルナーが1番だったように思います。個人的には、もう少し酸が効いてタイトな味わいの方が好みではありますが、完成度の高さは感じられましたし、会での評判も上々でした。やや甘口というワインは、どうしても甘みにフォーカスされがちなのですが、酸やミネラル、ボディの厚み、口当たりなど様々な要素とのバランスが非常に奥深く、このワインも他にありそうでない存在感を見せているように思います。にほんブログ村
2010年09月03日
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気を取り直しまして先日のお寿司と国産ワイン会のワイン、続いては九州のシャルドネです。シャルドネ・エステート07。生産者は当ブログにも時折登場いたします都農ワインです。熊本や安心院と並んで、優れたシャルドネを作る九州は宮崎のワイナリーです。キャンベル・アーリーのロゼは海外メディアでも高い評価を得ていますね。価格は、2940円でしたが、楽天内に同ヴィンテージは既に無し。リンク先のものは08です。色は深い黄金。熟成感を感じます。貴腐ワイン並かも。香りは華やかなシャルドネのそれです。ハチミツを強く感じ、加えてカスタードやクレームブリュレのような濃厚な要素があります。また、ベッコウアメやオイリーさといったものも感じますね。その他、オレンジやグレープフルーツといった柑橘も強く出ていますし、蜜入りリンゴや根菜、ミネラルといったものも。味わいは、果実味が見事にこなれており辛口です。乳酸系でしっとりしているものの、鮮やかさも感じさせる酸が主たる要素で、へたることなく伸びます。果実味はその後ろで、繊細さのある脇役。旨みもしっかりで、ボディは柔らかながらもエキス分を感じさせるミディアム。会では、モッツアレラの漬けやタチウオの辺りから飲み始めました。タチウオにはまあ可もなく不可もなくといった程度ですが、モッツアレラとはクリーミーさや漬けによる濃厚な旨みがワインの濃さ、香りとよく嵌りいい具合でした。また、鰻との相性は、同じシャルドネでも昨年のダルヴィオ・ペランのムルソーに軍配が上がりますが、イカやエビといった寿司ネタとの相性はこちらの方がいいでしょうか。面白いもので、同じこなれたシャルドネでもやはり国産というべきか、鰻よりはあっさり感のあるイカやエビと相性がよかったのは印象的。香りも非常に豊かで、流石な雰囲気ですが、果実味が相当レベルで減っていたのはちょっと意外でした。リンク先の08ヴィンテージは今どうなっているのか興味深いところです。にほんブログ村
2010年09月01日
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お寿司と国産ワイン会のワイン、続いては今回二本目の甲州、しかもマグナムです。甲州きいろ香06マグナム。生産者は言わずと知れた国産ワインの先頭集団を走り続けるワイナリーであるシャトー・メルシャンです。本ワインはボルドー大学のデュブルデュー教授の力を借りて甲州の新しい可能性を探るべく始まった甲州アロマプロジェクトによって産まれた、シャトー・メルシャンならではの新しい甲州です。価格は4845円でしたが、楽天内では残念ながら売り切れ。写真のものは最新の09ヴィンテージの750mlのものです。ラベルデザインはほぼ同じなのでとりあえず貼っておきます。ちなみに価格は2152円と他店より少しお安め。色は甲州らしい極めて薄い黄色、というかほぼ白です。印象的なのは少し濁りのようなものが見られたこと。香りは、開けてすぐは還元臭のような石油香のような、やや特徴的なものを感じました。加えて鉱物的なミネラルといったところ。時間とともにきいろ香らしいカボスや柚子、酢橘といった和の柑橘のニュアンスが現われます。その他、蜜っぽさやリンゴ、フローラルといったやや濃さのある香りも微かに感じられ、複雑さがあります。味わいは、やっぱりきいろ香だなという酸強めの辛口です。明るいリンゴ酸が主役ですが、若いものと比べますとややしっとり感も出ていたでしょうか。果実味は相変わらず繊細で完全に裏方。ただ、キンキン酸っぱくは感じないのはやはり裏から聞いているという事ですね。ボディはライトですが、エキス分は弱くなくやや固めの印象すら受けます。会では、一品料理の二品目のイカのところから飲み始め、量があるのでお寿司のタイミングでもちょこちょこ飲んでみました。流石というべきか醤油、米、酢、魚介といったものと喧嘩するということを知らないワインです。特に、一品料理のイカは醤油や酒を使った漬け的なものでしたが、これと見事な相性。イカの甘さと醤油・酒によるコクに、このワインの酸と柑橘の香りがよく嵌る他、やや硬質な口当たりがイカのコリコリした歯ごたえがこれまたいい感じです。また、握りに関しても、イカは相性がよかったほか、白身魚やエビなど、かみ締めて甘みのある魚介とは良く合うようでした。マグナムとはいえ06ヴィンテージという事で、大分こなれた姿を想像していたのですが、オイリーさは少し感じたものの、至って若い状態だったといえそうです。この強さも、並の甲州ワインとは違う、このプロジェクトの興味深い結果のひとつでしょうね。甲州アロマプロジェクトに多大な尽力を果たした人物に、ボルドー第二大学醸造学部博士であった富永敬俊氏がいらっしゃいます。氏は2008年に急逝されてしまいましたが、氏についての本が出ています。きいろ香を飲みながら読んでみるのもいいかもしれません。予約販売・甲州のアロマ-ボルドーでワインの香りに人生を捧げた富永敬俊価格:1,575円(税込、送料別)にほんブログ村
2010年08月28日
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先日国産ワインコンクール2010の結果が発表された事は先の記事でも触れましたが、その結果発表にあわせて?ワイナート 58号でも国産ワインが特集されていますね。日本に適した品種を求めてというテーマで、様々な産地の、特に生産者個人にスポットを当てた特集記事と、ワインツーリズムについての記事が載っています。その中でも特に興味深かったのは、元ココファームの栽培・醸造責任者をされていたブルース・ガットラヴ氏についてのものです。ココファームを離れた後、なんと北海道で、しかも、あの栗沢ブランの中澤氏や、同じく気鋭の作り手である近藤氏とともに、共同経営ワイナリーを始められるとのことで、今後が非常に楽しみな動きといえそうです。ほかにも、とうとうというべきでしょうが、がんこおやじの手造りわいんでおなじみ?の仲村わいん工房の記事まであり、驚きました。特徴的なラベルですね^^;(楽天内では売り切れ)なかなか読み応えがある特集だと思います。国産ワインファンの方は勿論、あまり馴染みのない方にとっても、「国産ワインの今」を知る事のできるものでしょう。ここで取り上げられているワイナリーのワインを、国産ワインの入り口にしてみるのもいいかもしれません。また、この時期に?という気もしないでもありませんが、ポートワインの特集もありました。≪特集≫日本に適した品種を求めてワイン産地日本ワイナート9月号 58号 ●送料無料● 【楽ギ...にほんブログ村
2010年08月08日
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辛口甲州部門に関しましては、まあ当然ですが今年も山梨ばかりです。ただ、その中で志太 中伊豆ワイナリーの中伊豆シュールリーが今年も銅賞を獲っています。いつか金賞を獲る日も来る…でしょうか^^また、埼玉の秩父ワインの源作印 白も銅賞に輝いています。このワイナリーといいますと、一升瓶ワインの印象が強かったんですが、720mlもいいんですね。このワイン、なんと1100円程度とかなりお手ごろなのもポイント高そうです。最優秀はシャトレーゼベルフォーレの勝沼ワイナリーで作られた勝沼 甲州樽発酵でした。ケーキなどのお菓子で有名なシャトレーゼのやっているワイナリーで、ワイナリー内にはローマンガラス美術館やケーキやチーズのショップもあるようで、遊びに行くにもよさそうです。森の写真がとても涼しそうで…^^その他、フジッコやシャトー・メルシャンといった常連が上位に来ていますが、興味深いのが「樽」の文字の多さです。甲州といいますと、やはりシュール・リーのさっぱりしたものが中心で、樽を効かせたものとなりますと、やや樽が強すぎるかという印象もあったのですが、近年はバランスのいいものが多く見られるようになりました。その辺の技術も向上してきたのでしょうが、それがしっかり反映されていますね。甲州ワインも新しい段階に入ってきたという事でしょうか。さて、今回の結果の中で、個人的にぜひとも触れておきたいのが国内改良品種の赤です。最優秀はアルプスワインのAWプラチナコレクション マスカット・ベリーA08Rです。このワインを筆頭に、山梨や長野、それに新潟の岩の原葡萄園のマスカット・ベリーAが金賞~銅賞を占めています。そんな中、最優秀のワインとともに金賞に輝いたのがサッポロワインの岡山ワイナリーのグランポレール 岡山マスカット・ベリーA バレルセレクトです!これまで高評価を得ていたプチ・グランポレールのマスカット・ベリーAが生産終了ということでどうなるのかと思っていましたが、新たなワインでついに金賞獲得です!このワインは今年の10月発売という事で、要チェックです^^岡山ワイナリーは、ほかにも極甘口のジャンルでマスカット・オブ・アレキサンドリアのワインで銀賞を獲っており躍進の年となったと言えそうですね。他には、スパークリング、北米系品種、ロゼ、改良系品種ブレンド、中口・甘口甲州といったジャンルがあり、それぞれに結果が出ています。特に、スパークリングではルミエール ペティヤンや安心院葡萄酒工房のスパークリング、メルシャン 穂坂のあわといった銘柄ではなく、大和葡萄酒のスパーク シャルドネが最優秀を獲っており、個人的にノーマークな銘柄だったので、覚えておきたいと思います。今回は、各ジャンルの最優秀受賞のワイナリーが結構ばらけていて、優秀な国産ワインの作り手がますます群雄割拠してきたんだなという印象です。シャトー・メルシャンが最優秀を極甘口の甲州鳥居平06だけでしか獲っていないというのは象徴的かもしれません。また、コンクールに出ていなくとも優れたワイナリーもありますし、出ていても出品していないワインのなかにいいものもあるでしょうからね。今後も国産ワインから目が離せません。とりあえず、今年こそは四恩醸造のクレマチス・橙が飲みたいところです^^;シャトレーゼ樽甲州、こちらは最優秀受賞の08ヴィンテージの前の07ヴィンテージ。にほんブログ村
2010年08月06日
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先日の8月3日、毎年恒例の国産ワインコンクールの結果が発表されましたね。ということで、今年も結果を見ての感想を軽く記事にしておきたいと思います。まず、欧州系品種についてです。赤は、やはり例の如く長野強しという感じですが、その中でも少し動きが合ったといいますか、ここ数年最優秀カテゴリー賞を獲っていた小布施ワイナリーが、ル・ヴァンナチュレル・ド・ドメイヌ・ソガ・メルロー・プルミエ08で銀賞だったのに対し、今年は井筒ワインのNACカベルネ・ソーヴィニヨン樽熟08が最優秀に輝きました。いつも小布施の後塵を拝している印象があった井筒ですが、ついにですね。しかも、品種がカベルネ・ソーヴィニヨンというのも興味深いです。昨年のメルシャンの城の平に続き、メルローと比べて日本では難しいといわれていたこの品種が高評価を得ているのは、適した土壌の発見や栽培法、醸造法の確立によるのか、それともここ数年の気候条件のせいなのか、色々調べてみたいところです。また、銀賞のところに北海道ワインの葡萄作りの匠 田崎正仲ツヴァイゲルト・レーべ08というワインが入っているのも見逃せません。このツヴァイゲルト、まだまだこれからの品種でしょうが、北海道や岩手など北日本で多く作られており、本家オーストリー以上に気合が入っているそうで今後が非常に楽しみです。案外カベルネやメルローからその座を奪い取る日も遠くないのかもしれません。続いて白ですが、最優秀はなんと志太 中伊豆ワイナリーの志太シャルドネプレミアム09です!これまでも、甲州や信濃リースリングといった品種でちょこちょこ存在感を見せていた志太 中伊豆ワイナリーですが、まさかの激戦区シャルドネでの最優秀獲得です。もはやこのワイナリーは見過ごせません。早く飲んでみたいですね~^^その他は、小布施ワイナリーのムラサキヴィンヤードやシャトー・メルシャン長野シャルドネ、熊本ワインのナイトハーベストと樽熟成といった定番の銘柄が並んでいますが、グランポレール北海道ケルナー辛口とシャトー・メルシャンのソーヴィニヨン・ブランがシャルドネだらけのなかでちょっと異彩を放っていますね。ケルナーはドイツ系品種で、やはり北海道で色々と面白いワインが作られているようで、注目したい品種です。熊本ワインといえば、ナイトハーベストの小伏野と上永野も銅賞を受賞しているのですが、発売月がこっそり?書いてあって、これ見られるの大きいですね^^;【JWC国産ワインコンクール 最優秀金賞受賞!!】井筒ワイン NACカベルネ・ソーヴィニヨン樽熟 ...続きます。にほんブログ村
2010年08月06日
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四恩醸造 ブーケ 4015 キュヴェ プティ×2 赤四恩醸造続きで今回は新しいキュヴェの赤ワインです。ブーケ4015キュヴェ・プティ×2。4015とは、2007年産の葡萄と2008年産の葡萄を使っているから、両方を足し合わせたのだそうです^^600本の限定醸造。セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランを中心に数品種。混植混醸らしいです。価格は2310円。国産ですのでやっぱりどこでも値段は一緒。色は黒いです。紫感のある濃いガーネットで、透明度も低め。香りは、最初は小豆や梅といった要素や、少々の還元っぽさといったものが感じられます。時間とともに還元っぽさは薄れていき、タール、ブラックベリー、腐葉土、シナモンなどの茶色いスパイス、レンコンチップスといったようなセパージュに見合った要素が現われてきます。その他、赤ベリーやチェリー、それらのジャムといったフルーティさやミネラル、フラン由来でしょうかミントっぽいハーブ系のニュアンスといったものも感じられるようになりました。味わいは酸しっかりです。還元的なニュアンスがある状態からそれが無くなった後まで、一貫して一番の要素です。結構フレッシュ感のある酸でした。また、開けてすぐの若干還元的な状態の時は少々微発泡していますが、これも時間とともになくなりました。果実味は繊細で、タンニンは大人しく渋味も強くありません。ミネラル感は強く、やや塩気を感じます。口当たりは透明感、ツルツル感を感じさせる滑らかなもので、優しいミディアムボディ。食事との相性はやはり幅広いでしょう。肉なら、鳥でも牛肉でもいけるでしょうが、熟成した肉にこってりソース、といったものよりは、やはり日本のワインというべきか、サシの入った柔らかな牛肉を、あっさりシンプルに、というほうが良さそうです。根菜を使った肉巻きや焼きシャブ(どちらも塩で)、それにタタキなどとは好相性ですね。鳥肉なら、焼き鳥(タレ)に照り焼き、肉じゃが、から揚げ等など色々いい感じです。その他、脂の乗った金目鯛の煮付けやカサゴのから揚げなど、魚介類でも味の濃いものを調理法いかんによっては十分に合わせられます。これまた「四恩節」を感じさせる、独特のワインですが、香りにはセパージュ由来の割と本格的なものが感じられたのも面白かったです。単独で云々、というよりは、やはりワイナリーのスタンスどおり、普段の食事とあわせて楽しみたいワインですね。
2010年06月17日
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今回の会でも、やはり何と言っても印象的だったのは九州です。熊本ワインが素晴らしいのは分かっていたつもりでしたが、小伏野は、酸の綺麗な出方といい想像以上でした。また、国産スパークリングには意外に?いいものが多い印象でしたが、安心院のものも高い完成度を見せてくれました。甲州のスパークリングですと、国産ならではの個性がありますが、シャルドネでは外国産と比べるとどうしても…というイメージがありましたが、こちらはコスパでもいい勝負するんじゃないでしょうか。ツヴァイゲルト飲み比べも面白いものでした。パストゥグランは、まさに小布施節全開、といった印象です。あくまでブルゴーニュ的世界感を指向していますね。一方、ハヤチネゼーレはオーストリア的スタイルながら、和の透明感も併せ持つ、ある種オーストリア産の同価格帯のもの以上の完成度を感じるものでした。フレンチとの相性も上々ですね。甲州は和食との相性というアプローチがありますが、シャルドネなどの欧州系品種はどう食事と合わせて行くのかという事は少し考えていたテーマでしたが、最近流行りのあっさりしたスタイルの、日本人向けなフレンチにはかなりいいんじゃないでしょうか。甲州に関しても、今回の千野甲州のような濃さもあるスタイルなら、シャルドネともリースリングともソーヴィニヨン・ブランとも違う、オリジナルな存在感をフレンチシーンで見せられるのではないでしょうか。まあ、濃さの為に樽をかけすぎて甲州らしさが消えてしまっては元も子もありませんが…。豚肉のパテやリエットにはなかなか良さそうでしたし、このタイプの甲州は、ビストロ辺りで見かける機会も増えるかもしれません。甲州はイギリスなどを中心に、本格的に欧州進出へ動き出したようですし、食事とともに楽しむワインの需要・評価が高まって来ている昨今、国産ワインはますます楽しみな存在ですね。
2010年04月30日
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先日の国産ワインとフレンチの会のワインもこれで最後です。ツヴァイゲルトの飲み比べでもということで、こちらは岩手産です。ハヤチネゼーレ・ツヴァイゲルトレーベ樽熟成04。生産者エーデルワインは岩手県花巻市の大迫(おおはざま)という場所のワイナリーです。昭和25年に設立された岩手県立農業試験場大迫葡萄試験地が前身で、その後、町役場と農協が中心となりワイン作りによる村おこしが始まったのだそうです。早池峰(はやちね)山に、エーデルワイスの姉妹花が咲いている縁でオーストリアのベルンドルフと姉妹都市の関係にあり、ワイン作りにおいてもオーストリアの影響を多分に受けているようです。セパージュはツヴァイゲルト100%。価格は、写真のお店で3150円です。色は濃いガーネット。黒さを感じますが、エッジは赤みが強く、また、透明度も多少感じられます。香りは、まさにオーストリア的ツヴァイゲルトです。茶色いスパイスを中心に、黒胡椒やキノコ、黒い土、チョコっぽさ、上等なバルサミコ、それにバナナっぽさや少々の茹で小豆と言ったような要素を感じます。また、完熟赤ベリーやそれらのジャム、ダークチェリーなどの赤系果実のニュアンスに加え、黒ベリーやブルーベリーなどの色の濃いベリーの要素も感じられました。味わいは、口当たりが滑らかで岩清水系なところは6年の経過で多少やわらかさが出ているのでしょうが、それでもしっかり渋みを感じますし、旨みも豊かです。果実味は最初のアタックではメインの要素として感じられますが、割と穏やかです。その後乳酸系のしっとりした酸が出てきます。ミディアムフルでコクはありますが、落ち着いてもいます。会では、メインの牛フィレステーキのところで飲みましたが、これは流石の相性です。肉の香りや旨みにワインの香りや果実がソース的によくマッチしています。今回のようなフィレ肉はもちろん、日本人好みのさしの入った脂の美味さを感じるような肉にも、このワインの柔らかさとコクがよくマッチしそうです。その他、付け合せのキノコのソテーやレンコンチップスともいい相性で、特に、レンコンチップスはいいつまみになりそうです。その他、鳥ならチキンだとちょっと弱いかもしれませんが、鴨やその他ジビエ系統ですと、鉄分や滋味がはまりそうですし、豚肉にもかなりよさそうで、ウィンナーシュニッツェルなどのカツレツや角煮、前菜で食べたパテなども面白そうです。まあ、熟成感の違いもありますが、ヨイチ・ノボリとは見事なまでにスタイルが違います。小豆っぽさや土っぽさなどの共通点もありますが、(ほぼ)同じ品種でこれだけスタイルが違うと言うのは、ワイン会のネタとしては面白かったと思います。ツヴァイゲルトと言うのは、収量の抑え方や収穫時期などによって、ボルドーのような深いワインから、魚に合わせられるようなフレッシュなロゼまで色々なワインになる興味深い品種です。
2010年04月28日
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先日のワイン会のワイン、ここからは赤です。こちらは北海道産。ヨイチ・ノボリ パストゥグラン08。生産者はドメーヌ・タカヒコ。曽我貴彦氏は長野県の小布施ワイナリーの曽我さんの弟さんで、ココファームでワイン作りに携わっていたそうですが、北海道の余市にあったピノ・ノワールとツヴァイゲルトに惹かれ余市に移り住み、ドメーヌ・タカヒコをはじめたそうです。醸造設備が完成したのは今年に入ってからだそうで、本ワインは小布施ワイナリーの設備を借りて醸したそうです。セパージュはツヴァイゲルト70%、ピノ・ノワール30%。色は紫を感じるガーネット。若々しさがあります。香りは、グラスに注いですぐはツヴァイゲルトらしい小豆っぽさや茶色いスパイス、土、ミネラルといった要素をよく感じます。その後、時間とともに黒ベリーや赤ベリー、チェリー、赤ベリーの中でも特にイチゴやイチゴジャム、キャンディーといったものが感じられるようになり、さらに、スミレっぽさや赤い花などフローラルなニュアンスがかなり強くなりました。味わいは、フレッシュな赤ベリー系の酸が中心。最初は相当なレベルで支配的です。時間とともに徐々にやわらかさと温かみのある果実味が顔を出してきます。ただ、あくまで酸よりはおとなしく、酸っぱすぎないようにバランサーに徹しているといった印象。ミネラル感はしっかりあり、透明感、芯の強さを感じるミディアムボディ。旨みは多めで、タンニンは滑らか。渋みもさほど強くありません。会では、これもやっぱりハマグリと鯛のポルトガル風のところで飲み始めましたが、意外や意外、相性は非常に良好でした。やはり酸や土っぽい香り、繊細な果実味がトマトと嵌るようです。また、ハマグリともよく合っており、旨みを引き立てあっていました。一方、メインの牛フィレにはやはり力負けしてしまっていました。レンコンチップスにはそこそこよかったのですが。肉類とあわせるなら、これは断然鳥肉でしょうね。チキンソテーや照り焼き、焼き鳥(タレ)、あるいは鴨肉のローストやウズラ、キジなどのジビエなどとも面白いかもしれません。曽我氏は、ツヴァイゲルトをブルゴーニュ的方法で醸造するほうが合っているのではないかと考えているようですが、なるほど、このワインはまさにツヴァイゲルトを使ってはいますが、良質なブルゴーニュ・パストゥグランのような雰囲気がありました。私は、オーストリア的な濃さのあるツヴァイゲルトしか知らなかったので、こういう姿も見せてくれるのかと興味深いものがありました。ワイナリーのホームページには、曽我氏の考え方などが書かれています。ホームページはこちら
2010年04月26日
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先日のワイン会のワイン、続いては個人的に一番印象に残った熊本のシャルドネです。菊鹿セレクション小伏野08。生産者は焼酎や山梨のマルスワイナリーを手がけている本坊酒造が経営する熊本ワインです。フードパル熊本というフードアミューズメントパーク内の施設ながら、近年、特にシャルドネにおいて、国産ワインコンクールで金賞を含め多くの賞を受賞している気鋭のワイナリーです。本ワインは特別限定のキュヴェで、やはり国産ワインコンクールで金賞を受賞しています。価格は、写真のお店では2948円でしたが、残念ながら既に売り切れです。今ですと入手はかなり困難になりそうです><色はややツヤのある黄色。柑橘果汁系の色合いです。香りは、樽熟成のシャルドネらしく、ナッツやクリームのニュアンスをしっかり感じます。また、フルーティさも強くあり、グレープフルーツ、レモン、蜜柑、少々のオレンジなどといった柑橘っぽさや、蜜入りリンゴ、少々の洋梨っぽさ、それにパインなどの南国フルーツ系のニュアンスといったものを感じました。加えて、これまたシャルドネ定番の花の蜜やハチミツっぽさ、それにシュール・リーをしているのか白い花や酵母、吟醸香的な要素といったものも感じられました。味わいは、果実味がメインです。リリース当初ははっきりと甘いといえるくらいだったのでしょうが、時間経過のおかげでぼちぼち落ち着いては来ています。その果実の奥からフレッシュで鮮烈な印象の酸が見えてきており、バランスの良さも感じられます。ミネラル感もあり、まろさ、ふくよかさを感じるミディアムフルボディですが、透明感、柔らかさも感じられるのはやはり国産ですね。会では、やはりハマグリと鯛のポルトガル風の辺りから飲み始めました。皮目が香ばしく焼かれた鯛との相性もなかなかのものですが、メインの牛フィレステーキの下にひかれていたバターライスと茸のソテーとの相性は抜群。バターのコクやまろやかさはもちろん、ブイヨン系の旨みともよく引き合います。また、お肉の上に乗っていたレンコンチップスもかなりの相性でした。このワインには、やはりバターを使った料理や根菜などが好相性のようです。エビカニの類のグリルや根菜の素揚げ、また、白身魚や鳥肉のクリーム煮などと合わせたいところです。ただ、やはり国産らしく旨みを上手く引き出してくれるところもあるようですので、レンコン饅頭のお椀や天婦羅などの和系の料理とも案外いいかもしれません。果実味が強く南方系の雰囲気もありますが、時間経過でこなれたおかげかいい感じに酸が出てきています。もう1年くらい置いてみるとさらにバランス面では良くなりそうな気もします。しかしまあ流石です。ここといい宮崎の都農といい、生産量の少なさという問題はありますが、このクオリティが安定して飲めるなら、輸送ダメージのリスクのある輸入ワインに手を出さなくても…なんて思ってしまいます。
2010年04月24日
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先日の国産ワインとフレンチの会のワイン、続いては国産の代名詞ともいえる甲州種のワインです。ソレイユ・千野甲州08。生産者旭洋酒は、「ソレイユ」シリーズでおなじみの山梨を、といいますか国産ワインを代表する生産者の一つといえるでしょう。しかし、鈴木さんというご夫婦二人だけで営んでいるという純家族経営の小さなワイナリーです。元々は周辺の葡萄農家がワインを作るための共同ワイナリーだったのを、鈴木さんご夫妻が、本ワインに使われている葡萄を栽培している小川考郎氏の紹介で買い取ったそうです。セパージュは山梨県甲州市塩山千野地区産の甲州100%です。価格は写真のお店で2730円。色は薄めながらも青みがかった黄色。一番お手頃なレンジのものと比べますと色はちゃんと出ています。香りは、柑橘類と樽っぽさが中心。ハッサクや温州みかん、少々の柚子っぽさといったものが感じられ、さらに、クリームや木っぽさ、メロンといったような要素が続きます。また、洋梨や青リンゴといったニュアンスや、ほんのりとですが吟醸香っぽさや蜜蝋のような香りといったものも感じられました。あと、少々の蜜も。味わいは結構フルーティです。果実味が中心の要素となっており、それをやや控えめでしっとりした酸が支えています。また、ミネラル感もあり、国産らしい柔らかな口当たりながらも太さ、芯、あるいはエキス分というべきものを感じられるミディアムボディとなっています。会では、ハマグリと鯛のポルトガル風辺りから飲み始めましたが、シーフードとの相性は全く問題無しです。特に、鯛とはいい感じでした。ただ、そこまで劇的なマリアージュ、という感じではなく、むしろ前菜の豚肉のパテ辺りとはよく合ったかなという印象です。また、メインのステーキの下にはバターライスと茸のソテーが敷かれていましたが、この辺とは結構よく合っていました。和洋どんな料理にも、多少味が濃いもの(もちろんステーキなど濃すぎてはダメですが)ならば幅広く合いそうです。おせち料理や鳥肉を使った煮物などとも試したいところです。果実味はしっかりしていますが、出過ぎる事は無く、甲州ワインらしい端正な印象を受けるワインです。洞爺湖サミットでも飲まれたそうですが、なるほど、国賓、それもワインをよく飲むような国の方々をもてなす席でも、日本代表のワインとして十分大役を果たせるワインだなと思いますね。
2010年04月22日
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今回は国産赤の代表的なワインです。長野メルロー07。生産者はシャトー・メルシャン。前身の会社は1877年に設立され、1949年にはメルシャンとなった、国産ワインのパイオニア的存在です(シャトー・メルシャンは1970年スタート)。桔梗が原でのメルロー栽培や、城の平でのカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培(しかも、日本発の垣根式で!)を行うなど、日本のファインワインの実現を目指し様々な挑戦を続けています。セパージュは、もちろんメルロー100%。桔梗が原産のものが中心です。色は鮮やかなガーネット。透明度はやはり国産、高いです。香りは、シナモンやクローヴなどの茶色いスパイスや樽っぽさをしっかり感じるほか、黒コショウっぽさもあります。また、熟したアメリカンチェリーやカシス、ブラックベリーやベリーコンポートといったフルーティさも。その他、黒い土や根菜といった大地のニュアンスも結構あります。味わいは、結構タニックです。渋味をはっきり感じるほか、口当たりにも存在感を感じられます。酸は、しっとりしたものですが、しっかりあります。タンニンに次ぐくらいの印象でしょうか。果実味は繊細でたおやか。ボディも、繊細さ、柔らかさを感じる和な雰囲気ですが、芯はあります。透明感、みずみずしさも感じました。食事にはあわせやすいでしょう。それこそ、ビーフシチューやタンシチュー、トンカツやビフカツ、テリヤキチキンなど日本の洋食と合わせたいワインです。その他、焼き鳥(タレ)やミートソースパスタ、ゴボウを使った鳥肉や豚肉の煮込みなど、色の濃い食べ物とは幅広い相性が期待できそう。やや果実が大人しすぎるかなとも思いますが、流石の完成度です。ただ、今飲むなら、少し時間をおくか食事と一緒にというのがベストなような気はします。出来れば、3~5年くらい寝かせてみたいところですね。
2010年04月16日
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デイリーワイン続きで、今回は国産、それも岡山産のものです。プチ・グランポレール 岡山マスカット・ベリーA樽熟成08。生産者は言わずと知れた国産大手ワイナリーの一つであるサッポロワインの岡山ワイナリーです。トップキュヴェであり、世界に通用するワインを目指したグランポレールブランドの「プチ」ということで、お手ごろな価格で頂けるレンジのワインですが、2008年の国産ワインコンクールでは、本ワインの07ヴィンテージが銀賞を獲っています。セパージュは、岡山県井原市産のマスカット・ベリーA100%です。楽天内に取り扱いは無く、岡山の酒屋さんで1200円弱でした。色は鮮やかなガーネット。透明度も高めです。エッジにはやや紫も。香りは、樽熟成ということで樽のニュアンスを感じます。ナッツや木の香りを感じます。また、ベリー系の香りもしっかりで、ブルーベリーやブラックベリー、ラズベリー、クランベリー、あるいはそれらのジャムといった要素があります。そのジャムっぽさと、木のニュアンスが相まってジャムトーストのような印象も。その他、少々のカラメルやミルクチョコっぽさ、あるいは茶色いスパイスやヤマモモ、かすかなタイムなどのハーブといったニュアンスも感じられました。味わいは優しい国産らしいものになっています。酸がしっかりしておりこれがメインの要素。乳酸系ですね。タンニンもきっちりしており、繊細な果実味と渋味が酸に続く要素なっています。後口にかけては渋味が、最初のインパクトは果実がよりはっきり感じられるでしょうか。また、ミネラル感や旨みもそこそこあり、かすかに塩気を感じるような印象も。食事には良く合います。家庭料理や簡単なお惣菜などがいいパートナーになりますね。煮豚や焼き鳥(タレ)、チキン南蛮、メンチカツ、それに鳥のから揚げなどをあわせてみましたが、どれも良く合います。特に、そこそこタンニンがあるので、鳥や豚肉の脂身も美味しくいただけますね。また、調理パンなどもいいつまみで、ハムとチーズのホットサンドやトマトをつかったサンドイッチなど、パン屋さんに行くのが楽しみになるワインでした。これいいですね。ピノっぽいマスカット・ベリーAとは違う、あくまでマスカット・ベリーAなワインですが、それはそれで楽しめます。樽もくどくない程度でしっかり効いています。なお、サッポロワイン岡山ワイナリーのアドレスはこちら。見学も出来ますし、ワインやビールをいただきながらの食事も出来ます。もう少し足を伸ばせば吉田牧場さんやお鮨のひさ田さんもありますね。
2010年01月23日
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新年最初のワインは、今年もお節に合わせて国産です。ソレイユ甲州 プティ・ボワゼ07。生産者は国産ワインを語る上では必ず名前が挙がるであろう有名生産者のひとつである旭洋酒です。元々はワインを造るための何軒かの農家による共同体だった物が、その後380件の農家によって有限会社化され、さらに2002年には廃業寸前だったところ現在の鈴木夫妻によって引き継がれることになったのだそうです。プティ・ボワゼとは「少しだけ樽の効いた」という意味だそうで、その名のとおりフレンチオークで3ヶ月間熟成しているそうです。価格は、写真のお店で1890円。色は薄い黄色。本当にほんのり黄色いという程度ですが、無濾過の為か少々にごりも感じます。香りは樽のニュアンスは割と出ています。バニラやかすかなカラメルっぽさといった物が感じられます。その他、バナナっぽさや白い花、酵母、それに吟醸香の様なニュアンスも強く感じられました。フルーティーさはそう強くありませんが、青りんごっぽさや温州みかん的なニュアンス、それにかすかな青梅といったものも感じられたでしょうか。ミネラル感はそう強くありません。味わいは、結構な凝縮感を感じました。甲州にしては密度がありますね。とは言っても、やはり優しく、みずみずしい雰囲気は持っていますが。ミディアムライトくらいでしょうかね。また、果実味はかなり大人しく、繊細です。酸の方が前に出てはいますが、こちらも乳酸系で溌剌としているというよりはややしっとりした印象を受けるでしょうか。旨みは強めで、日本酒的な印象も受けます。流石にお節との相性は抜群で、昆布の煮しめとは昆布の香りとワインのバナナっぽさが妙によくマッチしていますし、田作りとも、ごまめの旨みを存分に引き出しつつ、甘めの香りとワインの香りがよく合います。この辺は樽を使っていることがいい方に作用しているようです。しかし、一番の発見だったのは数の子との相性。こればっかりは甲州でも難しいかなと思っていたのですが、先ず臭みが全くでないことに驚きました。そう香りが引き立って、ということはありませんが、旨みはやはり相乗効果が期待できますし、面白いのがワインのエキス分を感じる口当たりと、数の子のプチプチした食感が好相性だったことです。流石日本のワインですね。まあ、栗きんとんとあわせると甘みで印章消えてしまいましたが^^;、合わないメニューはひとつとしてありませんでした。何より、魚卵の中でも最も難しいと思っていた数の子をクリアーできたのは、新年早々大発見でした。
2010年01月01日
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