Over The Moon.

Over The Moon.

2008年02月22日
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カテゴリ: *能関係の日記*
1回生が2人、
それぞれにプレゼントを手に持って
私と鴨くん(仮名)は、それを受け取る。

私「ありがとうー」
鴨くん「ありがとうございます、開けていいですか?」


開けると、
鴨くんは手袋、マフラー、
私は可愛いカトラリーセットにカエルのツボ押し、アイレスト、バスソルト。

すごい、よく考えてる。
どれもこれも可愛くて嬉しいーvv


鴨くん「こんなに沢山、ありがとうございます。
    じゃあ、五月さん」

私「ええ」


向こうに行って
紙袋をひとつ。


私「これは4回生からです」

犀ちゃん「えっ、あっ、ありがとうございます」


下回生からのプレゼントは恒例になってたけど、
私たちからのプレゼントは予想していなかったようで、驚き気味。

中には
手書きの松が描かれた、清水焼の茶碗。

鴨くん「師匠にお茶をお出しするときに使ってください」

いつもお茶をお出しする茶碗が
あんまりいいものじゃなかったり、茶渋がついていたりして
新しいのが欲しいと常々みんなで言っていた。

だから卒業に際して、茶碗を贈ろうと
鴨くんとこっそり言っていたのだ。


リスちゃん(仮名)「お2人で買ってこられたんですか?」

私「はい。2人で選びました」

清水寺の、茶碗坂へ見に行って
色々回ってこれだと決めた。
憎めない感じの松が、うるさくなく面白く、
愛嬌があって気に入ったのだ。

犀ちゃん「ありがとうございます。
     大切に使います」



そうやってプレゼントを渡し、宴もたけなわ。
4回生から何か言葉を送り
師匠からもお言葉をいただくことになった。


鴨くん「えーと、何言うか
    全然考えてなかったんですが・・・」


鴨くんの言葉を聞いている間に
私も何を言うか考える。

あー、でもなんか色々あってまとまらんなぁ。
何から言えば・・・

鴨くん「じゃあ次、五月さんどうぞ」

・・・全然まとまってないし。


よろよろと立ち上がると
当たり前だけどみんなが注目していて
背筋を伸ばした。


最後に言いたいこと。
やっぱり。


私「4年間やって思うのは
  私は宝生会に入ったこと
  全然後悔してないってことです」


4年間という長い月日。
それを宝生会に費やした時間は、とてつもなく大きい。

でも全然後悔してないのだ。
出会った芸術、出会った人、
すべてが出会って良かったと思える。

そう思えることが、なんと素晴らしく
なんと嬉しいことか。


私「つらいこともあると思うんです。
  『稽古すればいい』ってよく言うけど、それだけじゃないし。
  でもそれを越えて余りあるほど
  宝生会から得るものは沢山あります」


いや
得るだけではない。
得たら「次に伝える」という、使命にも似た気持ちが生まれるのだ。

その使命感が心地よいのだ。
分かるだろうか。


私「私は受け継いだものを
  いつからか、下に伝えなきゃ、と思ったから
  鸚鵡返しや稽古を頑張りました。
  だから下回生も、いつかは稽古を受けるだけじゃなくて、
  ほんのちょっとでも『下に伝えよう』って
  思ってくれたら嬉しいです」


私がここにいたことによって
誰かの芸の何かの身になって
次の世代に伝わってくれたら。

私がここにいた意味が
時を越えて残る・・・。



師匠「いやー、言いたいことはもう
   ほとんど言われてしまったんですけどね」

そして師匠(仕舞)のお言葉をいただく。

師匠「五月さんも言ってたけど
   『下に伝える』ってことは、実は凄く重要だと思うんです」

こちらを見て
周りを見渡す。

師匠「能は、室町時代の世阿弥から始まって、今に至るまで
   ほとんど変わらず、でも形をちょっとずつ変えて
   口伝によって、ずーっと伝わってきたものです。
   それが今、この宝生会の中にある」


戦乱で途切れても
時代に弾圧されても
能は、細々と生き延びた。

そして今、
私たちの中に生きている。


師匠「これはある種
   壮大な伝言ゲームなんです」


腑に落ちた。


私たちはいつしか
長い長い歴史の中の
伝言ゲームの中にいたのだ。

こんなに深く
こんなに壮大なゲームがあるだろうか。


師匠「今その先端にいるのが僕らで
   さらに最先端にいるのが現役で、1回生なんです。
   どうかほんのちょっとでもいい。
   少しでも次の世代に伝えてくれたら
   僕も嬉しいです」



私は、卒業して
その役目を果たすことが出来た。

そうやって4回生が抜けて
宝生会は、次の時代に移り変わる。

また京都の大学の片隅の
小さな古いBOXで
伝言ゲームが続いていく。




「「お疲れ様でしたー」」

2次会は、その慣れ親しんだBOXで。
こたつを囲んで、日本酒と焼酎とつまみをのせて
ぬくぬく、とりとめもない話をする。

ああなんて贅沢。
朝の4時までだらだら過ごすなんて
社会人になったら出来ないだろうなー。



いい追いコンにしてもらった。
ありがとう。みんなありがとう。

卒業してもがんばるのだ!
ありがとうー!





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Last updated  2008年02月27日 23時07分48秒
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