『第三世界の曙』 エレクトリック・ライト・オーケストラ 「On the Third Day」 Electric Light Orchestra(73) グループの立案者ロイ・ウッドの影を払拭し、ジェフ・リンがイニシアティヴを握って制作されたサード・アルバム。全米チャート入りも果たし、のちの世界的成功を予感させる一作。
A面 1.母なる大海の裂けし時/宇宙の帝王- Ocean Breakup / King of the Universe 2.青い鳥は絶えたのか?- Bluebird Is Dead 3.絶望のスーザン- Oh No Not Susan 4.新世界の曙/母なる大海の裂けし時- New World Rising / Ocean Breakup (Reprise) B面 1.大いなる夜明け- Daybreaker 2.いとしのベル- Ma Ma Ma Belle 3.暗黒の夢魔- Dreaming of 4000 4.山の大王の広間にて- In the Hall of the Mountain King クラシックとロックが融合したシンフォニック・ロック・バンド、エレクトリック・ライト・オーケストラ(Electric Light Orchestra。以下ELO)が73年にリリースした3rdアルバム、「第三世界の曙(On the Third Day)」。この壮大で美しい邦題は現在も使われていて嬉しいかぎり。 原題の “On the Third Day” は直訳すると “3日目に”。何となく旧約聖書の「創世記」が思い浮かぶが、神は天地創造の過程で3日目には大地(地球)を創り、海が生まれ、地球に植物の生成を命じられたんだっけ 一方、邦題の “第三世界” というのは、終戦からソビエト連邦が崩壊した89年までの東西冷戦時代に、第一世界(欧米など資本主義国家群)にも第二世界(ソ連・中国など共産主義国家群)にも属さない、主に発展(開発)途上国を指して使われていた。しかし冷戦終結とともに第二世界が消滅したことなどにより、第三世界という言葉も公式には使われなくなってしまった。
それにしてもアルバムタイトルに限らず何とも大仰な邦題がズラリと並んでいるが、楽曲の方も負けず劣らず壮大な感じで実に素晴しい! 英国盤以外にはA面5曲目に “ショウダウン(Showdown)” という、73年にシングルリリースされてヒットした、ELOの代表曲の一つともいえるナンバーが収録されている。元々シングルのみの予定だったそうだが人気曲ゆえか、今のベスト盤やリマスター盤には正式に収録されているらしい。 ラストを飾る “山の大王の広間にて(In the Hall of the Mountain King)” はタイトルそのまま、グリーグ(Edvard Grieg)が作曲した「ペール・ギュント(Peer Gynt)」の “山の魔王の宮殿にて(In the Hall of the Mountain King)” をELO風にアレンジしたもの。 ジェフ・リン、恐るべし!