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2008.02.13
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼エロディアード「舞台」6(マラルメ20)
孤高の美を貫こうとするエロディアード。その並々ならぬ決意に乳母も引き下がるしかありません。そして「舞台」はいよいよ終幕へと向かいます。

N.(乳母)
Madame, allez-vous donc mourir?
王女様、では死ぬおつもりですか?

H.(エロディアード)
Non, pauvre aïeule,
いいえ、哀れな老婆よ。

Sois calme et, t'éloignant, pardonne à ce coeur dur,
ただ気を静め、この場を立ち去り、そしてこの頑な心を許しておくれ。

Mais avant, si tu veux, clos les volets, l'azur
しかしその前に、お願い、そのよろい戸を閉めておくれ。

Séraphique sourit dans les vitres profondes,
天使のような青空が窓ガラスの深奥で笑っている。

Et je déteste, moi, le bel azur !
私は嫌いよ、あの美しい青空が!

Des ondes
海の波が揺らめく彼方、

Se bercent et, là-bas, sais-tu pas un pays
夕暮れの茂みの間で燃える金星の

Où le sinistre ciel ait les regards haïs
憎しみの眼差しを持つ憂いを帯びた空。

De Vénus qui, le soir, brûle dans le feuillage :
その空の下にある国をお前は知らないのか。

J'y partirais.
私はそこへ旅立ちたい。

Allume encore, enfantillage
もっと蝋燭に灯を点しなさい。

Dis-tu, ces flambeaux où la cire au feu léger
子供じみているかもしれないが、その蝋燭の炎は

Pleure parmi l'or vain quelque pleur étranger
軽やかに燃え、空しい金色の中に、人知れぬ蝋の涙を流すのだ。

Et...
そして・・・

N.(乳母)
Maintenant ?
今でしょうか?

H. (エロディアード)
Adieu. Vous mentez, ô fleur nue
お別れです。ああ、私の唇に咲く裸の花よ、

De mes lèvres.
お前は嘘をついている。

J'attends une chose inconnue
私は未知のものを待つ。

Ou peut-être, ignorant le mystère et vos cris,
あるいは、お前はおそらく、神秘にもお前の叫びにも気づかないまま、

Jetez-vous les sanglots suprêmes et meurtris
冷たい宝石の数珠玉がついにバラバラと飛び散るのを

D'une enfance sentant parmi les reveries
夢の中で見て傷つく子供のように


Se séparer enfin ses froides pierreries.
この上もなく、痛ましいすすり泣きを漏らすのだ。


これで「舞台」は終わります。おそらく物語的にはこの続きがあるのでしょうが、それが発表されることはありませんでした。すでに述べたように、マラルメが生前発表したのはこの「舞台」だけ。『エロディアード』断章の第三部「聖ヨハネのたたえ歌」が発表されたのは、実に死後約15年経った1913年でした。マラルメは壮大な戯曲のような長詩を構想していたのでしょうが、それが完成することはなかったわけですね。

現存する「舞台」の最終章におけるエロディアードの心は揺れています。青空が憎いとは、何と屈折した心理だろうと思ってしまいますよね。実際マラルメは「青空」という詩を書いて、青空に対する複雑な心境を明かしています。青空は詩人の理想であるがゆえに、挫折する詩人に対して皮肉の笑みを浮かべます。マラルメはその責め苦に耐えられず、雲や霧で青空を覆い隠してくれることを望むんですね。エロディアードが「天使のような青空が窓ガラスの深奥で笑っている」「よろい戸を閉めておくれ」と言っているのは、マラルメのそのような心情を反映したものです。

その皮肉の笑みをたたえる空の下にある国とは、詩人の理想の国であり、エロディアードにとっては理想の美の国なのでしょう。マラルメもエロディアードも、その国へと旅立ちたいのですが、現実がそれを許しません。マラルメにとっての現実とは父親としてのマラルメ、英語教師としてのマラルメで、エロディアードにとっての現実とは、聖書に記録されている悲劇へと歩みはじめることではないかと思います。

最後のエロディアードの台詞も難解です。
「私の唇に咲く裸の花」とは、エロディアードの表層心理のことでしょうか。たとえば「青空が憎い」と言っても、深層心理では青空を愛したい、青空から愛されたいと思っています。表層心理は、そんな深層心理(お前の叫び)にも気づかずに、ただ子供のように青空が怖いと泣いている――そのように解釈することもできるのではないかと思います。
(続く)

揺れる海の波の彼方、マラルメが怖れた青い空の下の国?

海





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最終更新日  2008.02.13 10:33:52
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