天の王朝

天の王朝

PR

×

プロフィール

白山菊理姫

白山菊理姫

フリーページ

ハーバード経済日誌


ハーバード経済日誌(2)


ハーバード経済日誌(3)


ハーバード経済日誌(4)


ハーバード経済日誌(5)


ハーバード経済日誌(6)


古代飛騨王朝を探して


海外でのダイビングあれjこれ


海外でのダイビングあれこれ2


海外でのダイビングあれこれ3


驚異のガラパゴス(1)


驚異のガラパゴス(2)


驚異のガラパゴス(3)


歴史箱


山口博教授の講演録


古典SFの世界


富山サイエンス・フィクションの世界


ETとの交信は可能か


不思議な世界


不思議な世界2


不思議な世界3


不思議な世界4


不思議な世界5


不思議な世界6


不思議な世界7


不思議な世界8


フォト・ギャラリー


雑感


誰がケネディを殺したか


誰がケネディを殺したか2


誰がケネディを殺したか3


誰がケネディを殺したか4


カストロが愛した女スパイ1


カストロが愛した女スパイ2


カストロが愛した女スパイ3


カストロが愛した女スパイ4


カストロが愛した女スパイ5


カストロが愛した女スパイ6


カストロが愛した女スパイ7


カストロが愛した女スパイ8


カストロが愛した女スパイ9


カストロが愛した女スパイ10


カストロが愛した女スパイ11


出雲族と大和族の話(パート1)


出雲族と大和族の話(パート2)


サイド自由欄

設定されていません。
2008.02.25
XML
テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼マラルメ夫人の扇(マラルメ31)
扇たち

娘と恋人(?)にプレゼントして、奥さんに贈らないわけにはいきませんよね。メリ・ローランに扇を贈った翌(1891)年、マラルメはようやく奥さんにも扇に詩を書いて贈ります。白い雛菊模様の銀地に赤いインクで詩が書かれ、裏面は金地に花と鳥をあしらった扇だったそうです。

どのような詩だったのでしょうか。早速、「(マラルメ夫人の)扇」を見てみましょう。

Éventail de madame Mallarmé

Avec comme pour langage
Rien qu'un battement aux cieux
Le futur vers se dégage
Du logis très précieux

言葉のためかのように
極めて大切な住処(すみか)から
ただ大空を一度羽ばたくだけの
未来の詩句が放たれる

Aile tout bas la courrière
Cet éventail si c'est lui
Le même par qui derrière
Toi quelque miroir a lui

翼を休めた伝達者である
この扇が、お前の後ろにある
何か澄み切った鏡が
映し出す扇と同じであるならば

Limpide (où va redescendre
Pourchassée en chaque grain
Un peu d'invisible cendre
Seule à me rendre chagrin)

(目に見えないわずかな灰が
ただひとつの私の悲しみとなって
一粒一粒追われるように
鏡の底へと再び沈んでいくだろう)

Toujours tel il apparaisse
Entre tes mains sans paresse.

いつも扇はそのように現れる、
休みを知らぬ、お前の手の中で。

薔薇は出てきませんでしたね。皮肉な見方をすれば、娘とメリ・ローランは薔薇にたとえられても、夫人はできなかったということでしょうか。それでも、常にマラルメの家庭を守り、働いている夫人に対する感謝の気持ちが込められていることがわかります。

澄み切った鏡に映る、ほぼ完璧な女性にも、「目に見えないわずかな灰」という気がかりがあるのだとマラルメは言っています。その気がかりが何であるかはわかりません。詩作に魂のすべてをかけたマラルメのことですから、おそらく詩作の邪魔になるような日常とかかわりがあることでしょう。

「再び沈んでいく」と言っているからには、鏡の底に堆積した灰は、何かの拍子で埃のように舞い上がっては、時間とともに落ちていくという状態を繰り返しているのでしょう。積もった不満が爆発して、やがて沈静化していく夫婦喧嘩を想像してしまいます。

さて、最初から見てみましょう。
第一節二行目の「極めて大切な住処(すみか)」とは、マラルメの家のことですが、マラルメの心のことでもあるのでしょうね。ここでも鳥と扇のイメージが重ねられ、扇はマラルメのことを指しています。大空は理想の詩の世界であることはすでに説明しました。

第一節ではマラルメが自宅で詩作に没頭する様子が描かれ、第二節では完成した詩を読む(扇を持つ)夫人の姿が語られています。鏡に映った夫人の手に持つ扇(夫人の理想)は、私が捧げた扇(私の理想)と同じなのかと問うているようでもありますね。

第三節の丸括弧内は、マラルメの本音のつぶやきなのでしょう。第四節では、日ごろの夫人の家事に感謝していると読むことができます。

こうしてみると、娘やローランに贈った詩より、やけにあっけないような気がするのは私だけ? 日常の世界にどっぷり浸かっている妻はミューズにはなりえなかったということでしょうかね。

ところで、どこかにマラルメの扇の写真がないかなと探していたら、ありました。 ここ です。シャネルの女友達ミシア・セールに、マラルメが毎年贈ったと書かれていますね。ミシア・セールについては、 こちら をご覧ください。

それからマラルメが娘に贈った扇ですが、第一節を左端にもってきて、さらに扇を開くと第二節が現れ、そして扇の真ん中にVの字が印象的な第三節、その右に第四節と続き、最後に第五節が右下に来るように書かれていたそうです。これも見事な視覚的効果を演出していますね。
(続く)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.02.25 12:24:56
コメント(6) | コメントを書く
[文学・芸術] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

立山の百姓@ 尖山について はじめまして。 尖山の近くで農園を営ん…
simo@ Re:新刊『UFOと交信すればすべてが覚醒する』の解説(03/21) こんにちは。初めまして。 昨年妻が海で撮…
たぬき@ Re:ニニギの兄に祭り上げられたホアカリの正体(03/12) ホアカリ。 徐福が秦の始皇帝の使節を隠れ…
たぬき@ Re:サノノミコト(神武天皇)になぜ神が付いたのか(07/29) ジンム。と読まずに 大和言葉風味、古代語…

バックナンバー

・2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01
2025.12
2025.11
2025.10
2025.09
2025.08

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: