天の王朝

天の王朝

PR

×

プロフィール

白山菊理姫

白山菊理姫

フリーページ

ハーバード経済日誌


ハーバード経済日誌(2)


ハーバード経済日誌(3)


ハーバード経済日誌(4)


ハーバード経済日誌(5)


ハーバード経済日誌(6)


古代飛騨王朝を探して


海外でのダイビングあれjこれ


海外でのダイビングあれこれ2


海外でのダイビングあれこれ3


驚異のガラパゴス(1)


驚異のガラパゴス(2)


驚異のガラパゴス(3)


歴史箱


山口博教授の講演録


古典SFの世界


富山サイエンス・フィクションの世界


ETとの交信は可能か


不思議な世界


不思議な世界2


不思議な世界3


不思議な世界4


不思議な世界5


不思議な世界6


不思議な世界7


不思議な世界8


フォト・ギャラリー


雑感


誰がケネディを殺したか


誰がケネディを殺したか2


誰がケネディを殺したか3


誰がケネディを殺したか4


カストロが愛した女スパイ1


カストロが愛した女スパイ2


カストロが愛した女スパイ3


カストロが愛した女スパイ4


カストロが愛した女スパイ5


カストロが愛した女スパイ6


カストロが愛した女スパイ7


カストロが愛した女スパイ8


カストロが愛した女スパイ9


カストロが愛した女スパイ10


カストロが愛した女スパイ11


出雲族と大和族の話(パート1)


出雲族と大和族の話(パート2)


サイド自由欄

設定されていません。
2008.02.24
XML
テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼マラルメ嬢の扇2(マラルメ30)
では「(マラルメ嬢の)扇」を詳しく見て行きましょう。

第一節
おお、夢見る女よ、純粋な
歓喜の迷宮へと飛び込む私のために
巧妙な嘘でもいいから、
お前の手の中で私の翼を休ませておくれ。

この詩の中でマラルメは、自分を扇に重ね合わせ、そして娘をまだ本当の恋愛を知らない夢見る乙女として描いています。ですから「私の翼」とは、折りたたんだり広げたりする扇の紙(布)の部分のことを指していますね。純粋な歓喜の迷宮とは、娘のことでしょう。扇は娘の手の中に「飛び込」みます。「巧妙な嘘」と書かれていることから、娘に対して扇を手に持ってポーズを取ってくれと言っているように聞こえます。

4行目のイメージとしては、小鳥が娘の手の平の上で羽根を休めることになりますから、娘に優しく抱きしめられたいという父親の(倒錯した?)心情が込められているのかもしれません。

第二節
黄昏の清涼が
扇ぐたびにお前にもたらされ、
囚われ人の羽ばたきは
そっと地平線を後退させる。

最初の二行は娘が扇で自分を扇ぐときの描写ですね。三行目の「囚われ人」とは、娘の手に持たれている扇(マラルメ)のこと。その羽ばたき(扇ぐこと)が「地平線を後退させる」とは、ずいぶん凝った表現です。何のことだと思いますか? おそらくこれは、波紋のことを言っているんですね。池に石を投げ込んで広がる波紋のように、扇の煽りは風による波を生じさせ、その波が地平線(水平線)となって次第に遠ざかっていく光景です。はっとさせられる、見事な表現ですね。

同時にこの扇が生じさせる波とは、マラルメの詩が生じさせる衝撃波でもあります。あるいは、マラルメが白い原稿用紙に筆をつけることによって波紋のように広がる詩の響きそのもの。すると「地平線を後退させる」とは、この詩が娘の視界(視野)を広げさせ、新しい世界を眼前に開けさせるものであると言っていることになります。

第三節
めまいが! 目の前の空間は今、
大いなる接吻のように震える。
誰かのために必死に生まれようとするその接吻は、
ほとばしることも、静まることもない。

1行目に「Vertige! Voici・・・」と「V」が続きますが、このV字の形は扇が半分開いた形と同じですね。5節あるちょうど真ん中にこれをもってきていることから、視覚的にも重要な役割を演じています。ちなみにこの5節も、イメージとして五本の指を広げると扇の形になることを暗示しているようでもあります。

「めまい」は扇の振動から来るものでしょうか。その震えを乙女の恋愛に対するおののき(純真さ)とダブらせています。「大いなる接吻」「誰かのために必死に生まれようとする(接吻)」とは、大恋愛を予感させる表現です。父親から娘への恋の手解きといったところですね。

第四節
隠された笑いのように
お前の唇の片隅から
すべての襞の隅々へとそっと滑っていく
堅固な天国をお前は感じないのか!

この節は難解です。私の解釈では、これは第二節と対応していて、マラルメが贈った詩を朗読する娘の姿を描写しているように思います。照れ笑いしながら朗読する娘。その唇から発せられる詩の言葉は、扇の襞、すなわちマラルメらの心の襞の隅々へと染み渡って行きます。その恥じらいと澄み渡る声が、マラルメには「堅固な天国」に聞こえたのでしょうか。「farouche(堅固な)」には「(女が)身持ちの固い」という意味がありますから、まだ男を寄せ付けない娘であるとマラルメが信じている(信じたがっている?)ことがわかります。

第五節
それはまさに、黄金の夕べに留まる、
薔薇の岸辺の王杖。
その白い閉ざされた飛翔は、
腕輪の輝きの上に置かれている。

王杖とは、閉じた扇のことです。第三節の「めまいが!」の「!(感嘆符)」も同様です。閉じた扇が王杖に見えるなんて目が悪いんじゃないか、どうかしていると思われるかもしれませんが、庭に転がっている小石を伝説の黄金に変える錬金術師が詩人ですから、大目に見てやってください。

だからこの最終節では、その閉じた扇をもつ娘の姿を描写しているんですね。その姿は「黄金の夕べ」「薔薇の岸辺」にたとえられています。夕闇が迫る中、かけがえのない一瞬に輝く薔薇の花のイメージでしょうか。「白い閉ざされた飛翔」とは、まさに扇を閉じた様子を、羽根をたたんだ鳥のイメージに重ねていますね。「白い」と書かれていることから、白地の扇であったことがわかります。インクは黒字説と赤字説があり、よくわかりません。

娘がはめていた腕輪は、「黄金の夕べにとどまる」という表現から、おそらく金色だったのでしょう。その腕輪と並ぶように扇が置かれています。なお、クロード・ドビュッシーはこの詩からも霊感を得て、『マラルメの三つの詩』という曲で取り上げています。

さて扇をもらったジュヌヴィエーヴは、どのような未来へと飛び立って行ったのか、簡単に説明しておきましょう。1892年にマラルメのパリの自宅で開かれていた「火曜会」に出席したエドモン・ボニオ(放射線医学専攻)と恋仲となり、その後結婚します。マラルメの死後は、二人でマラルメが残した詩の編纂などをしていましたが、1919年に54歳で死去しました。遺体はパリ近郊にあるヴァルヴァン・サモローの墓地に、父マラルメの傍らに埋葬されました。

白薔薇

白い扇のような薔薇。
(続く)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.02.24 12:18:42
コメント(4) | コメントを書く
[文学・芸術] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

立山の百姓@ 尖山について はじめまして。 尖山の近くで農園を営ん…
simo@ Re:新刊『UFOと交信すればすべてが覚醒する』の解説(03/21) こんにちは。初めまして。 昨年妻が海で撮…
たぬき@ Re:ニニギの兄に祭り上げられたホアカリの正体(03/12) ホアカリ。 徐福が秦の始皇帝の使節を隠れ…
たぬき@ Re:サノノミコト(神武天皇)になぜ神が付いたのか(07/29) ジンム。と読まずに 大和言葉風味、古代語…

バックナンバー

・2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01
2025.12
2025.11
2025.10
2025.09
2025.08

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: