ラッコの映画生活

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2007.03.15
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カテゴリ: フランス映画
MORTEL TRANSFERT
Jean-Jacques Beineix
(122min)

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寸評:映像の美しさ、2人の女優(エレーヌ・ド=フージュロル&ヴァランティナ・ソーカ)の描かれかたも美しいが、全体のスタイルに統一感が欠け、またストーリー的にも中途半端。

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この監督の他の映画は『ディーバ』と『ベティ・ブルー』しか見たことがないが、どれも映像は美しいが、全体に統一感や求心力に欠けるのが苦手だ。この映画は心理サスペンス性あり、探偵サスペンス性あり、官能的エロス性あり、かつまたラブストーリーでありコミカルでもあって、スタイルに統一感がないし、物語の「何故?」も結局ハッキリは示されずに終わる。かと言って深く人物の心理が描かれるでもなく、精神分析というちょっと魅惑的なテーマを使っただけのイメージ先行の中途半端な内容に感じられた。

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精神分析医のミッシェル(ジャン=ユーグ・アングラード)に診察を受けにくるオルガ・キュブレール(エレーヌ・ド=フージュロル)。オルガは夫マックス・キュブレールに殴られる暴力的な性の官能について語るが、ミッシェルはそれを聞いていて時々居眠りしてしまうと、精神分析医の老大家ズリボヴィッチに自ら診察を受けながら語る。ある日30年来の友人の刑事シャピローから電話がある。警察に行くとオルガが宝石万引き容疑で捕まっているが、事件の日オルガは自分の診察を受けていたと不確かな記憶(あるいはウソ)で彼女をかばう。次の診察に来たオルガは窃盗癖のことを語り、ミッシェルが自分に関心を示したことに満足している。ある日ミッシェルが寝椅子に横たわったオルガの頭の背後の椅子で彼女の話を聞いていると、また眠りこんでしまった。そして目を覚まして彼が見たものは首を絞められて死んでいるオルガだった。外は雪が舞う夕刻だ。

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(以下ネタバレ)
以後の物語は、思わせぶりではあっても浅いもので、脈絡や整合性も薄く、書くのも虚しいけれど、内容についての感想を述べるための必要から一応書くことにする。

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オルガの夫でフィクサー、裏では怪しげなこともやっているマックスがミッシェルを訪れ、妻の失踪とその際に700万フランを持ち出したことを告げ、ミッシェルに金を返せと脅す。ミッシェルは金のことは知らなかったが翌日マックスの屋敷を訪れ、倒錯的な暴力的セックスの現場を見てしまうが、それが夢なのか現実なのかもわからない。数カ月前に知合った恋人のエレーヌには誤解されて去られる。ミッシェルは友人でもある精神分析の老大家ズリボヴィッチに自らも治療を受けに通っているが、そこで事件の経緯等の他、両親のセックスを見てしまった幼児体験なども話す。オルガの死体は夜墓地に忍び込んで別人の墓に一緒に入れてしまうが、その際頭のおかしなDJに見られてしまう。そしてそんなすべてを近所の浮浪者もどきエロストラートに観察されていて、エロストラートは何かとミッシェルに絡んでくる。ミッシェルの患者の一人の女教師は最近窃盗癖ができたと語る。そしてオルガの夫マックス・キュブレールが殺された。オルガのときと同じで、ミッシェルは夢の中で自分が殺したのかも知れないとも思うが良く解らない。ズリボヴィッチに診察を受けにいくと彼はミッシェルにピストルを向け、実は自分はマックスから金を借りて今の診療室もあると言い、700万フランをミッシェルに迫るが、ミッシェルは実際に金のことは知らない。そしてオルガは実は彼の患者で、それをミッシェルに回し、ミッシェルが彼女にはまっていったという経緯を明かす。ミッシェルはシャピロー刑事に呼ばれるが、そこにはDJもいた。彼はオルガの遺体処分の目撃者だ。でも幸い頭がおかしいとあまり深く相手にはされていなかった。シャピローはミッシェルにズリボヴィッチがマックスを殺したという手紙を残して自殺したことを告げる。自殺に使われた銃はマックス殺しに使われたのと同じものだった。かつて宝くじに当たり人生の来るってしまった浮浪者エロストラートがミッシェルの治療室を訪れ、オルガに預けられたという700万フランを差し出した。これを治療費に自分を診て欲しいと言うのだ。大晦日の深夜橋の上で再会したエレーヌに指輪を贈り、新年を祝いながら2人は抱き合うのだった。

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と言うわけで、こんな物語。ミッシェルの夢と現実のはっきりわからない幻想性を軸に、ミッシェルが幼児体験ゆえにズリボヴィッチが仕掛けた罠にいわばはまり、事件の経過そのものが結果的にミッシェルに精神分析的を施し彼を治癒させ、目出度くエレーヌと結ばれる、とでも考えればよいのだろうか。原題は「Mortel transfert」でベネックス監督は原題のままか直訳題を願ったらしいが『青い夢の女』となってしまった。「transfert」は精神分析用語の「転移」(逆転移も含む)ということで、精神分析治療の過程で患者が父親など幼児体験等の重要な人物を治療者の中に見てしまう転移とか、逆に治療者が自分の心の未解決な問題を患者に転移してしまう逆転移こと。平たく言えば誰か別人の人格の一部が他の誰かの人格の中に入ってしまうというようなこと。「mortel」は「死に至る」とか「致命的」という意味。オルガに暴力を振るうマックスにミッシェルは自分を転移した。だから首を絞められたオルガを目が覚めて発見したとき、自分が夢の中で殺したのかも知れないと疑問を持つ。オルガの窃盗癖はミッシェルを介して女教師に転移し、女教師は窃盗癖を持つようになる。そしてミッシェルが高級宝石店にエレーヌへのプレゼントを買いに行ったとき店内にはちょうど女教師がいた。店を出たミッシェルは時限爆弾が1分後に爆発するとウソの電話を店にし、女教師の万引きを助けるが、実はミッシェルに転移した窃盗癖をミッシェルが実現するものでもあるのだ。こんな風に題名通り「転移」「転移」「転移」だ。

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死体を演じるエレーヌ・ド=フージュロルを美しくエロティックに撮った映像、奔放・自由であるがゆえに優しくも情熱的なエレーヌのヴァランティナ・ソーカをもまた魅力的に写している。青を中心とし補色の黄色を使った画面のカラーも美しい。

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でも各人物の「何故?」を追求しても深い答えは返ってこない。雰囲気先行の映画であり、しかし流れは弱い。別の患者の治療中にカウチの下に隠したオルガの腕が出てしまうのを何度も足でカウチの下に押しやるミッシェルの妙にコメディータッチの要素。布に巻いた死体を運び出すときに落とした死体が凍った車道をもの凄いスピードで滑っていく映像。それ自体はそのようなスタイルで映画全体を統一すれば面白い映像だが、ここでは妙にコミカルで前後との整合性がない。オルガ殺害の犯人がマックスなのか、ミッシェルなのか、ズリボヴィッチなのか、あるいは別の誰かなのか、それも映画は示してくれない。見終わって、幻想的サスペンスの美しい映像詩を見せてくれたわけでもなく、また逆に深く人間心理を描いたドラマでもなく、エレーヌとのラブストーリーでもなく、もちろん殺人事件とその解決を描いた推理ドラマでもなく、結局「何なのさ?!」といったフラストレーションだけの残る作品だった。

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Last updated  2007.03.22 22:19:41
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