ラッコの映画生活

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2007.06.18
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
THE ROAD TO GUANTANAMO

Mat Whitecross
96min
那覇・桜坂劇場にて

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寸評:米国がキューバの粗借地にあるグアンタナモ基地にテロリスト容疑者を収容して虐待・拷問等を行っている事実を広く知らしめる価値は高く認めるけれど、映画作りとしては「甘い」と感じた。でも多くの人に見てもらいたい映画だ。

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アシフの両親はパキスタン人だが、イギリスはバーミンガムの生まれでイギリスに住み、国籍もイギリスだ。彼は両親の勧める結婚をするためにパキスタンへ。そこで結婚相手にも会い、結婚を決めるとイギリス住む友人ローヘル、シャフィク、ムニールの3人を呼び寄せる。4人は合流するが、時はちょうど米英軍によるアフガニスタン侵攻の頃。4人は隣国アフガニスタンの惨状をこの目で見ようと国境を越えた。最初は良かったがパキスタンへ戻ろうとしてやがてタリバンと北部同盟の抗争に巻き込まれ、タリバンの一味として北部同盟軍に捕まってしまう。またその過程でムニールとははぐれてしまう。

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3人はアフガニスタン北部の収容所に移送される。狭い場所に溢れる捕虜を収容し、交代しなければ横になって寝ることも叶わず、食料もほとんど与えられず、そこは劣悪な環境の収容所だったが、国際赤十字が来てからは少し良くなった。しかし英語を話す彼等3人はテロリストとして米軍によってキューバにあるグアンタナモの収容所に移送・収監されてしまう。ここはキューバの返還要求を無視して米国が租借し続けている場所。「キューバ国内でもアメリカ国内でもなく軍法のみが適用される治外法権区域」「容疑者はテロリストと見なされれば裁判にかけられる事もなく逮捕・長期拘留されるようであり、"犯罪者"と"捕虜"の処遇を使い分けるアメリカ連邦政府の都合で無期限に拘留される」(以上引用Wikipediaより)。挿入されるニュースフィルムのブッシュ大統領やラムズフェルド国務長官は「人道的処遇をしている、おおむねジュネーブ条約に準拠している」と語るが、捕虜ではないので捕虜の処遇を定めたジュネーブ条約に従う必要はなく、またアメリカではないので合衆国憲法の定める被疑者の権利を尊重する必要もないので、彼等3人を待っていたのは何十年続くのかもわからない虐待と拷問の日々だった。

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映画は再現フィルムとでもいったののにニュースフィルムや生還した3人のインタビューが挿入され、ドキュメンタリー風に作られていた。この映画を見て比較してしまったのが、スターリン時代のポーランドやチェコを扱ったブガイスキの 『尋問』

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しかしそれなのに胸にグッと来るような恐怖感というのが残らなかった。ブガイスキ作品、ガヴラス作品と比べて、思うに2つの違いがあるのではないかと今思っている。1つは尋問する側の者が、1人1人が細切れで短く登場するだけで、その欺瞞や卑怯さなどがあまり描かれていなかったこと。つまり人としての尋問者と人としての被疑者の「人」がやや描き足りない。第2点は、このグアンタナモの物語が根底に持つ人間や政治一般に関する「人間や社会の本質」への普遍性に繋がっていないことだ。米国のグアンタナモを批判する、ただそれだけなのだ。ブガイスキ作品、ガヴラス作品だって扱っていたのは1つの事件であり、一般性への言及があるわけではなかった。しかし見る者は人間や社会の悪にまで考えることを誘われた。『グアンタナモ』にはそれが希薄だ。思うに2人の監督には米国を批判する意識はあっても、虐待する兵士や権力の側に立ったときに自分も同じ悪を犯してしまう可能性のある存在であるという意識が少ない、あるいはそこを敢えて排除したのではないだろうか。イギリスのドキュメンタリーに少なくないとボクが感じている「自分を部外者の立場に置いて他人の出来事を高みから描く」というものの1本のような気がした。そういう意味で物足りなかった。

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(以下ネタバレ)
彼等は結局2年間拘留されるが、イギリスでのアリバイがあり、特にイギリスで軽い犯罪を犯していた1人のアリバイを証明するのは英国警察でもあり、3人はイギリスに移送されて釈放される。しかしここグアンタナモには750名もが収監されており、そのうち起訴されたのはたったの10名、有罪判決を受けた者は1人もいないという。しかし米国はテロ容疑者の大量収監を続けている。イギリスで解放された3人は再びパキスタンを訪れ、そこでアシフの結婚式が行われた。ちなみにアフガニスタンで離れ離れになってしまったムニールの消息は分からない。この事件をきっかけとして3人の青年が成長したこと、また世界の見方が変わったことも語られるが中途半端な感じだった。

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Last updated  2007.07.05 03:09:50
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