ラッコの映画生活

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2007.08.10
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カテゴリ: 日本映画
火星のカノン

(aka : CANON ON TUESDAY)
風間志織
121min

1.jpg

見始めて最初の15分か20分、映画が良い悪いというのではなく、それを言うならむしろ良く出来ているからだと思うが、描かれている世界にちょっと違和感を感じた。ここのところあまり日本映画を見ていなかったせいかも知れない。登場する日本人に違和感を感じたのだ。それはつまり毎日見慣れている欧米映画に出てくる人物たちとかなり違うからなのだが、それは日本人を日本人として的確に描いているということでもある。前にもどこかで書いた日本語の性格とも関連するのだが、気持ちを言語化しないあり方だ。それは自分の相手に対する気持ちを と りあ え ず 客観化して、それを自分にも相手にも提示するということの不在。その点ではたとえば公平の娘ありみは子供だからか(?)もっとストレートだ。あるいはある言葉に対する万人共通の客観的理解の共有の不在、ないしある場合には拒否。それはある事態の本質の明確化の不在や拒否でもあり、すべて個人的 特 殊 性 に帰せしめようという欲求でもある。社会通念や常識の問い直しをしようという意志が有ろうと無かろうと、言葉にまつわる手あかに対する拒否が有ろうと無かろうと、妻子ある公平とつきあう絹子の関係は 不 倫 以外の何ものでもない。こういう情緒性が良く描けていて、そのために違和感あるいはもどかしさを感じてしまったのだ。(ただ誤解があってはならないのは、この絹子と公平のような心理状況のカップルが欧米世界にはないということではない。)

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絹子は妻子ある公平の週1回火曜日だけの不倫相手なわけだけれど、絹子にとってたぶん公平は運命の男でもなければ、特に魅力的なわけでもない。公平の存在はいわば麻薬であり、アルコールであるだけだ。孤独を紛らわすために好きでなくてもやめられない麻薬中毒のようなものだ。熱海旅行に行った2人は浴衣を着て部屋で夕御飯を食べる。公平の差し出すお茶碗に絹子が御飯を盛ったりして、絹子が口にするように2人の家での夫婦水入らずの生活のひとコマのようだ。中毒患者絹子の夢は公平が離婚して自分と結婚することだけれど、仮にそれが実現しても決して幸せは待っていないように辛辣に描かれているような気がした。そんな絹子を演じた久野真紀子も公平の小日向文世もとても良い。絹子を好きで、絹子に冷たく拒否されても怒らず淋しいだけで、お腹が減ったと言われれば甲斐甲斐しく御飯を作る聖。しかし日本女性一つの姿として旧来から描かれた演歌的日陰の女ではない。4人の主要人物の中で聖がいちばんしっかりと自分の欲求を行動に移す。自分を抱いて絹子の悦ばせかたを教えてと公平に迫る聖でもある。こういう静かな激情の女というのは恐くもあるが魅力的だ。演じた中村麻美が良かった。最初に違和感と書いたが、それほどまでに真鍋や焼き鳥屋の男も含め、すべての役者がリアリティーをもって人物を表現していた。これはボクの見た最近の日本映画としては稀に見ることだ。小学生のありみの子供の直截な物の見方を描いて大人の人物の心理のヒダを浮き彫りにした脚本も巧い。聖は絹子と同性愛として描かれてはいるが、その点は特に重要ではないと思った。聖という1人の人物を描きたかったのと、絹子と公平の関係で必要とした副人物を一緒にしたようなものだ。そしてその聖は絹子のある一部分の人格化にも感じられた。

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(以下ネタバレ)
絹子29才。独身。チケットビューロー勤め。彼女には火曜日だけの恋人公平がいる。公平は会社員43才。共稼ぎの妻と小学生の娘。絹子が病気になれば火曜日以外でもなんとかやってくるが朝までには帰って行くし、一緒に温泉旅行に行って、夜「このままもう帰らない」と(ウソでも?)言っていても娘が病気と妻から連絡があれば途中で帰ってしまう。路上の詩人・占師の真鍋は聖の姉の元カレ。聖を仄かに想い、一緒に暮らしているが、聖にとっては友情の対象。絹子に再会した聖は絹子を愛するようになり、空いていた絹子のアパートの隣室に引っ越してくる。公平との気持ちのすれ違いから絹子は真鍋と一夜の関係を持つが、真鍋は絹子に惹かれながらも愛を強要しない。やがて一軒家を借りて聖と二人住むようになる絹子だが、聖とベッドをともに眠る彼女が夢に見るは公平との幸せだった。

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Last updated  2007.08.22 02:17:20
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