ラッコの映画生活

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2007.09.05
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カテゴリ: 日本映画
LES PLAISIRS DE LA CHAIR
THE PLEASURES OF THE FLESH
Nagisa Oshima
カラー90min
(DISCASにてレンタル)

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もう遥か昔に大島渚や日本映画に関する本を何冊も読んで既に見たと思っていた映画だけれど、たぶん実は今回が初めてで、見た記憶はなかった。大島監督というのはやはり 頭の人 で、特に若い頃はそうだから、頭で考えぬかれた映画作りであるので、ある意味解りやすいと感じた。英語や仏語の題に監督本人の意志が絡んでいるかどうかは不明だが、「肉体の悦び」ぐらいの意味で、主旨としては快楽に特化した性は自己破壊であり自殺であることだろう。中心に据えられていているのは中村賀津雄の演じる主人公脇坂の物語だが、彼が関わり遍歴する4人の女性が挿話的に描かれる寓話のオムニバスとしても見れ、なかなか面白かった。題名から予想されるような派手な性描写はほとんどないが、映倫によるカットの結果らしい。結果的にその方が良かったのかは不明だけれど、そういう表現の制約なく作家の思う通りに作られた映画を見てみたかった。

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貧乏学生の脇坂は家庭教師をしている金持ちの娘匠子(加賀まりこ)を秘かに深く愛するようになっていた。匠子も屈託なく天真爛漫な様子で脇坂になついていた。匠子はもう忘れているらしいが、小学生の頃男に暴行され、両親(成瀬昌彦、氏家慎子)は今もその男に強請られていた。両親にその男へ金を届けることを頼まれ、匠子を愛する脇坂は金を届けた後その男(小林昭二)を尾行し、列車のデッキから突き落として殺害した。今は安サラリーマンの脇坂のボロアパートにある夜速水という農産省事務官が訪れる(小沢昭一)。速水は脇坂の殺人現場を見ていたと言う。速水は横領した公金9800万円のうちの3000万円の入ったトランクを脇坂に無理矢理預け、たぶん5年ぐらいになるだろう刑期を終えて出所してくるまでその3000万円を預かって欲しいと言う。金に手を出したら殺人を目撃したことを警察に話すと言うのだ。しかしそれから4年後 「匠子の花嫁姿をぜひ見て下さい」 と結婚披露宴の招待状が届き、匠子は有名化粧品会社社長と結婚してしまった。脇坂は3000万円を1年間で派手に使ってしまい、あとは自殺をしようと考えた。そして次々と4人の女を月100万円で買う脇坂の生活が始まるのだが・・・。

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(以下ネタバレ含む)
「これは誰の物?」「あなたの物よ」 という2人の問答が繰り返される。金で体の所有は出来てもそれは心の所有ではないと言っているように聞こえるが、もともと眸は匠子の代替物であって、求めるのは匠子の心ではあっても眸のではない。結局ヒモのヤクザ絡みのごたごたで脇坂は眸を去る。

次はまともな職もない上に友人の保証人となって借金に苦しむ気のいい駄目男江城(小松方正)の妻志津子(八木昌子)。小さな子供2人も抱えてアルサロ(=アルバイトサロン)で働く彼女は被虐的女で、不幸こそが彼女を夫に繋ぎ留めているのかも知れない。そんな志津子を脇坂もいたぶるが、結局夫との不幸な生活を志向する彼女に家と金という一時の幸せを不幸として与えて脇坂は去る。

3人目は研究医のインテリ女圭子(樋口年子)。殻に籠っていて、自分の「女」を受け入れることができない抑圧された圭子はまだ処女だ。月100万円で女として買われることを拒絶する彼女に、脇坂は試用期間として1ヶ月間の北海道旅行を提案する。彼女は風邪をこじらせて寝てばかりいることになる。1ヶ月の期限が来て阿寒湖畔(?)でパトカーを見た脇坂は 「圭子さん、ボクを好きになって下さい。いや好きにならなくてもいい。1回だけ寝て下さい。」 と土下座して懇願する。今までの2人の女は最初から簡単に脇坂に体を許した。しかし拒絶する彼女の中に脇坂は自分を受け入れずに捨てた匠子を見ていたのだ。だから殺人罪で警察に捕まる恐怖や自分に残された時間があと3ヶ月だという思いを新たにしたとき、圭子=匠子(あるいは一人の女)の愛を欲した。それが叶わぬなら幻想だけでも満足させてくれる体を欲した。たとえ一回限りでも。それも拒否された彼は乱暴に圭子に迫る。湖に入水までして拒絶した圭子だったが、彼女の出した条件は結婚だった。東京に戻って結婚した最初の晩2人はベッドインする。素性は言わないでくれと言っていた圭子だったが、ここにきて彼女は脇坂の素性を尋ねた。初めて身を任せる男が何者か知りたいと言う。脇坂は答えずに無理矢理圭子を抱くが、言いたくても言えないのが脇坂の状況だ。体は得たが、言えない脇坂はやはり圭子の心を得ることなどできない。2ヶ月後には圭子と離婚して死ななければならないのだ。そんな2人が上手く行くわけはない。また圭子は別れた後脇坂が自殺しようとしていることに気付いていた。

(以下結末もネタバレ)


もとの安アパートに戻ると匠子が訪ねてきた。この1年の間に女連れの羽振りの良い脇坂を何度か見かけたと彼女は言い、夫の会社が倒産寸前でお金を貸して欲しいと言うのだ。そのためなら脇坂に何でもすると言う。脇坂は殺人を目撃された弱味に付け込まれて3000万円を無理矢理預けられ、それをこの1年間ですべて使ってしまったことを話すが、自分の役に立たないと知って匠子は脇坂を非難して去っていく。それでも脇坂は殺人の理由を匠子に話しはしなかった。すべてを失い、毒のカプセルを手に呆然とさまよう脇坂に警官が迫る。殺人容疑で逮捕するという。カプセルを口に入れて密告者を警官に問うと、答えは匠子だった。毒薬を吐き出した脇坂は警官に連行されていく。


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最初にも書いたようにこの映画は脇坂の女性遍歴に登場する各種4人の女がオムニバス的に描かれているとも言える。各種各様の女の姿を描いている。一方メインストーリーの脇坂はある意味で非常に傲慢だ。自分の一方的な愛のために罠にはまり、匠子を得られなかったことでそこに彼が見る全世界を敵に回してしまった。そのことは最初の方で新婚の匠子が脇坂を訪ねてくる彼の妄想シーンでしっかり描かれている。世界すべてに裏切られたという子供っぽい傲慢さとも言える。だから金の力はあっても、あるいは金だけで女(つまりは世界)を屈服させようとしても何も得られない。パックリと開いた深淵に落ち込んでいくだけだ。山田風太郎の原作小説が『棺の中の悦楽』で、セリフにもあるようにトランクは棺桶であり、自分が入るべく中の3000万円を悦楽で、つまりは彼の傲慢で空にしていく物語なのだ。脇坂を演じた中村賀津雄は傲慢と不安を良く演じていたし、眸、志津子、圭子、マリを演じた4人の女優もそれぞれの役を好演していた。中では圭子とマリが良かっただろうか。物語としても圭子がいちばん深く描かれている。加賀まりこの匠子はやや捉えどころが希薄だが、遍歴の女4人に抽出して描かれた女の色々な面をすべて底に持った存在が匠子なのかも知れない。

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Last updated  2007.10.10 04:25:10
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