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2007.12.18
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カテゴリ: フランス映画
24 HEURES DE LA VIE D'UNE FEMME
Laurent Bouhnik
105min
(DISCASにてレンタル)

*0.jpg

いつもタイトルのことから入ってしまいますが、日本での劇場公開タイトルは『ブラウン夫人のひめごと』、DVDになって『秘密は誰かに話すもの』となっています。この作品はシュテファン・ツヴァイクの小説『女の二十四時間』 Vierundzwanzig Stunden aus dem Leben einer Frau" (ある女の生涯の二十四時間)が下敷きになった作品。1968年にも仏独合作でドミニック・ドルーシュ監督が映画化しています。どうせなら小説の邦訳題と同じ『女の二十四時間』にして欲しかったものです。そしてそれにはそれなりの訳があります。読んでないのでボクはツヴァイクの原作の構成がどうなっているかは知らないのですが、この映画は3話のオムニバスを二重の枠構造に収めたような巧みな作りになっていて、その3話はどれも別々のある「女の二十四時間」を描いているからです。

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第1話:映画の最初と最後、2001年で、時間的に映画的現在時制で描かれるのは、恋人と喧嘩をした19才の若い娘オリヴィアが、78才の引退した元外交官(大使)ルイと偶然知り合い一夜を共にする。もちろん一夜を共にすると言っても一夜を寝ずに一緒に過ごすということですが。ちなみに出会いはカジノで、ルイがそこで大金を当てるのですが、これが賭博ということでメインである第3話とも関連している。場所は南仏コット・ダジュールのニースか何処かなんですが、かつてここには高級ペンションがあって、ルイは少年時代の夏を両親と共にそこで過ごしていた。老齢のルイは財産も名誉もあるのですが、生きる気力を失ってもいて、もう一度人生を振り返るために今住んでいるニューヨークからやってきていた。人生の秋、ないしは冬にさしかかった老人と、人生の春を生きる娘との人間的交流が描かれます。ルイは恐らくはまだ若い時期に彼の人生観にも大きく影響を与えた1936年の夏の出来事、65年前だからルイ少年13才ということになりますが、それを語ります。映画の最後にまた2001年の現在時制に戻って恋人とのてん末が描かれるわけで、この若い娘オリヴィアのこの一夜は1人目の「女の二十四時間」なわけです。

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第2話:ルイの語るその1936年の出来事。ルイは両親とその高級ペンションで夏休みを過ごしているのですが、敢えて区別すればそこでは3つ出来事があった。一つは同じ宿で日々を過ごしていてルイ少年が仄かに恋心を抱いた少女とあまり親密になることもなく彼女が両親と共にドイツに帰っていったという話。二つ目は母親がイタリア人の若いテニス教師と駆け落ちしてしまったこと。そして同宿のブラウン夫人なるイギリス名なのにフランス語を訛りもなく話す謎の女性が自分の過去を語り、動揺するルイを慰めようとしたのが三つ目。結局母親は翌日ぐらいには戻ってきて、父親は何事も無かったかのごとく妻(母)を受け入れた。この失踪してすぐに戻ってくる母親が2人目の「女の二十四時間」となります。

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第3話:これがメインで、ツヴァイクの『女の二十四時間』の内容になるのだと思います。それは母親が失踪(駆け落ち)してしまったルイにブラウン夫人が語る23年前1913年の自分の物語。いかに予想もしない恋の激情に女は襲われて行動することがあるかというお話で、このブラウン夫人の激情の1日が第3の、あるいはメインの「女の二十四時間」ということになります。ブラウン夫人はもともとフランス生まれのフランス人。だから姓はイギリス名でもフランス語が流暢なのは当たり前ですね。イギリス人の貴族ブラウン氏と結婚してイギリスに渡ったんですが、ほどなくブラウン氏が死んでしまう。彼女は人生の喜びを捨ててしまって、陰気な古い城に閉じこもって暮らしていた。それを見かねた夫の姉、彼女は結核持ちで、色々障害の多い人なのだけれど明るく前向きに生きている人で、と言ってもコンプレックスの固まりのような人でもあるのだけれど、その義姉がふさぎ込んだブラウン夫人を南仏のリゾート地コット・ダジュールに無理矢理連れていく。そこでブラウン夫人はカジノでルーレットの興じる若いポーランド人男性と・・・、そういうお話です。

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ミッシェル・セロー もベレニス・ベジョも良い雰囲気を出していました。ここでセロー演じる引退大使が映画の中心人物だと思うんですが、なぜなら少年時代にブラウン夫人から直接話を聞かされたのもルイであり、3話をつなぐ、あるいは統合する人物はルイなわけです。それなのに老大使の人生に対する無気力感、たしかに老齢というのはあるんですが、なぜ死ぬ前にかつて夏を過ごしたこの地にやってきたのか、若いオリヴィアとの交流が彼に何をもたらしたのか、逆に彼が若い彼女には何をもたらしたのか、その辺があまり明確ではなく、ただ雰囲気だけといった感じだったのが残念です。3話が独立したまったくのオムニバスならばそれぞれの物語をそれぞれ充実して描けば良いのですが、あまりに巧みに枠構造に構成したために、いったいこの映画が描きたかったのはどの物語なのかが不明確になってしまったような気がします。老大使の物語をしっかりと考え抜いて描き、そこにブラウン夫人の物語を挿入できていたら、もっと面白い作品となっていたと感じ、残念でなりません。

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追記: シュテファン・ツヴァイク『女の二十四時間』を読む に原作を読んでの補足を書き足してあります。




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Last updated  2007.12.27 21:24:59
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