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小さな小さな窓に緑の屋根白い外壁の可愛らしいお店
お店の名前は「vision」意味を訳すと幻(まぼろし)
20席弱の小さな店内には古い絵画が壁にかけられ店の大きな柱には
時を刻むのを止めてしまった大きな古時計
僕が「vision」でバイトするようになって一ヶ月が経とうとしていた
店には僕と紫藤さんの二人だけ
紫藤 響《しどう ひびき》こと紫藤さんは20歳前半の若い男性。
長身ですらりとした細い躰、髪は襟足だけ長く青みに近い色
物腰の柔らかい話をする人でいつも穏やかなメロディを刻むように話し
優しい笑顔を絶やさない人
僕を雇った人物でもある、僕がこの店でバイトしたのは些細なきっかけ
元々夏休みバイトするつもりでバイト先を探していたもののなかなか空きが
見つからずフラッと入った路地からこの店を見つけ立ち寄った
店内には数名のお客がおり僕はカウンター席に鞄をドサリと音を立て置くと
隣の席に腰を下ろし店内をぐるりと見渡す
僕の前にトンっと小さな音を立て水に氷が浮かべられ檸檬が一枚添えられた
涼を誘うグラスが置かれ優しい笑みと共に落ち着いた声がかけられた
「いらしゃいませ。ご注文が決まりましたらおっしゃってください」
僕はその笑みに見惚れたしまった、いや魂を奪われたような感覚に捕らわれた
コクコクと頷くだけの精一杯の姿を紫藤さんがクスリと笑った気がして
僕は何だか恥ずかしさで頬が熱くなるのを感じた
よくよく考えてみれば可笑しな話で男の僕が男性に魅入られる
それでもお店の雰囲気と紫藤さんの不思議な魅力に惹かれて
僕がこの店の面接を受けたのはその日のうちだった
履歴書を主むろに出した僕に紫藤さんは驚く素振りを見せるも
履歴書を手に取りサッと目を通すと僕に視線を合わし笑みを浮かべ
「明日からお願いできますか?柊 風羅夢《ひいらぎ ぷらむ》君」
その一言で僕はその日から「vision」で働く事になった。
秋の香り 2009.10.26
更新履歴。 2008.04.26
交差点 ~ Chase The Chance:答えはいつ… 2008.03.21
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