突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.10.21
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 遠くで誰かが言い争いをしていた。
 激しい口調で人をののしる、いくつもの声。 それに応じる、細い、怯えた声。
 大勢で寄ってたかって一人をなじっているのだろうか。
 ぼんやりとそんなことを考えて、それからレグルスははっと目を覚ました。
 ――― ここはリュキア軍士官養成学校の寮、『南天舎』の一室。 小さなころからこの寮で育ち、今年最終学年を迎えたレグルスには、ほとんど自分の家といっても差し支えないくらい、見慣れた自分の部屋だ。
 隣のベッドを見ると、レグルスのルームメイトであり最も尊敬する先輩、ベテルギウスが、レグルスより優に一回りは大きいその巨躯をかすかに上下させながら、ぐっすり眠っている。 
 ベテルギウスは今年、レグルスより一足先にリュキア軍の正戦士となったが、今も、子ども時代と同じように、この寮でレグルスと寝食をともにしている。 どんなときにも冷静沈着、決して激するということのない、優れたこの戦士を、レグルスは兄とも師とも思い、慕っている。 
 なんだ、夢だったのか、と、レグルスはまた、ぬくぬくと心地よい眠りに身を任せようとして、再びはっと目を開けた。
 夢ではない。

 助けを求める声のように聞こえた。

 飛び起きて雨戸を開けようとした。
 が、なぜか雨戸はびくとも動かない。 まるで誰かが外から心張り棒をかけたみたいだ。

 この南天舎のあるリュキア軍営舎は、このリュキアの国の周囲を取り囲む堅固な城壁の外の、砂漠に建っている。 こんな深夜に、人の言い争う声が聞こえるような場所ではないのだ。 もしや、またぞろ砂漠の盗賊でも現れたのではないか。
 ちょっと様子を見に行ってみよう、と寝巻きを脱ぎ捨て、戦闘衣に着替えているとき、隣のベッドでベテルギウスも目を覚まして起き上がった。
 「何事だ、レグルス? 今、外で人の声がしたような気がしたが」
 手早く靴を履き、愛用の大太刀を身につけながら、レグルスは答えた。
 「そうなんだ。 窓から外を確かめようとしたら、雨戸が開かないんだ。 ちょっと外へ行って様子を見てくる。 砂漠の盗賊でも現れたのかもしれない」
 聞くなり、ベテルギウスもベッドから飛び降り、あっという間に身支度を整えると、おおまたでレグルスの後を追ってきた。
 南天舎の外へ駆け出すと、人の騒ぐ声が一段と高く聞こえた。 営舎を囲む金網の柵の向こう、外の砂漠のほうだ。 見ると、星明りに白く光る砂漠に、数頭の馬といくつかの人影があった。 馬は、砂漠の盗賊たちがよく乗っている、大きなバルドーラ馬。 今まさしく、7,8人の、盗賊と思しきパピト族が、2,3人の旅人を襲っているところと思われた。
 レグルスとベテルギウスが急ぎ助けに走ろうとしたとき、広い運動場の向こうの、馬舎の扉が勢いよく開いて、中から、一頭の馬が、いななきとともに駆け出してきた。 またがっているのはレグルスの同級生、ペルセウスだ。 この養成学校の訓練生の多くが、その厳しさに耐え切れず途中で辞めていってしまう中で、レグルスとともに今までがんばりぬいてきた、数少ない同級生のうちの一人だ。 レグルスよりは少しほっそりしていて背も低いものの、その威勢のよさは養成学校一。 いちばんの得意科目は馬術だ。 

 「レグルス! ベテルギウス! 盗賊団が現れたぞ! 出陣だ!」
 叫ぶが早いかペルセウスは2頭の空馬を二人のほうに向かって走らせてよこし、自分の馬にも鞭を当て、砂漠目指して駆け出した。
 「先に行くぞ、レグルス! 一番手柄は俺のものだ!」
 レグルスもあわてて空馬を捕まえ、手綱を取るより早く馬に飛び乗ってペルセウスの後を追った。 自慢の大太刀を抜き放ち、訓練場と砂漠を隔てる高い柵を一気に飛び越して大音声で敵を威嚇する。
 「そこの不埒な盗賊ども! わがリュキア軍の目の前で悪逆非道の行いとは、見逃すわけには行かないぞ! 全員捕らえて縛り首にしてやるからそう思え!」

 ペルセウスがその後を追いながら、弓を取り出し、矢をつがえる。 
 しまった! 僕も弓矢を持ってくればよかった!
 と思ったけれどもう遅い。 レグルスの弓は弓道場の中だ。 悔しいが今はペルセウスの弓に望みを託すしかない。
 ペルセウスの放った矢は、狙いたがわず、一番後ろを走っていた盗賊の背中に、見事に突き刺さった。
 「当たったぞ!」
 ペルセウスが雄たけびを上げて盗賊団に追いすがる。
 が、背中に矢をつきたてた盗賊を乗せたまま、盗賊の馬はどんどん逃げていく。 早い。
 このまま逃がしてなるものか! とレグルスも馬のわき腹を蹴ろうとしたとき、後ろでベテルギウスが叫んだ。
 「レグルス! ペルセウス! 追うな! 戻って来い! 上官命令だぞ!」 





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最終更新日  2009.10.21 20:13:29
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