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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2010.11.27
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カテゴリ: 社会・政治・時事
『日本辺境論』 は、大ベストセラーとなり、
 これまでの内田先生の著作の中でも、極めつけの名著となった。
 そして本著、タイトルを見て、気楽に読めるのではないかと思っていたら、
 さにあらず、『日本辺境論』と変わらぬ重厚さで、私を早々にKO。

 先日読んだ 『テレビの大罪』 も、メディアを扱ったもので、
 そこに書かれている内容は、どれもこれも納得できるものばかりであったが、
 やはり、内田先生のメディア論となると、モノが違う。


   ***

  人のために役立ちたいと願うときこそ、人間の能力は伸びる。
  それが「自分のしたいこと」であるかどうか、自分の「適性」合うことかどうか、
  そんなことはどうだっていいんです。
  とにかく「これ、やってください」と懇願されて、
  他にやってくれそうな人がいないという状況で、
  「しかたないなあ、私がやるしかないのか」という立場に立ち至ったときに、
  人間の能力は向上する。
  ピンポイントで、他ならぬ私が、余人を以ては代え難いものとして、
  召還されたという事実が人間を覚醒に導くのです。(p.30)

今流行の職業間や就職観を、軽く一蹴してしまう、あまりに痛快で見事な一言。

それは、他者に呼び寄せられることであり、本質的に受動的経験である。」
世の風潮に惑わされ、「自分探し」に疲労困憊している者に、これ以上の救いの言葉はない。

  いずれ「こんなこと」が起きるだろうと実は前から思っていたのだけれど、報道しなかった。
  でも、「知っていたけれど、報道しなかった」と正直に言ってしまうと、
  「なぜ報道しなかったのか」と責任を問われる。

  その様な事態に巻き込まれるのが厭だから、
  「知りませんでした。聴いて、僕も驚きました。
   まさか、『こんなこと』がほんとうにあるなんて……」という芝居をしてみせる。(p.58) 

この部分を読んで、巷に溢れる様々なニュース番組のキャスターたちの姿を想起した人は、
決して少なくないはずだ。
そして、このキャスターたちの芝居こそが、
次のような負の遺産を、大量に社会にばら撒き続けているのだ。

  このようなメディアが好んで採用する「演技的無垢」は、
  それを模倣する人々の間に社会的な態度として広く流布されました。
  そして、おのれの無垢や未熟を言い立てることで責任を回避しようとする態度。
  それはいまや一種の社会的危機にまで肥大化しつつあります。(p.59) 

   ***

この後に続く主張・展開も、圧倒的な迫力で読む者に迫ってくる。
そして、それらはどこか他の場所で、見たり聞いたりしたことがあるようなものではなく、
まさに、内田先生自身を感じることができるものである。
もちろん、中には内田先生自身が、繰り返し述べてきた内容は見受けられるが。

私は、本は一度読んだら、同じものを手にすることはまずないが、
本著は、何度も読み返したくなる一冊だった。   





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Last updated  2010.11.27 12:14:56 コメントを書く
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