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ヨコハマスカイキャビンの停止不能、 ランド・マリン・タワーの展望フロア行き高速エレベーター異常動作、 Yアリーナ横浜の超小型ドローン・ショー。 桃太郎、金太郎、浦島太郎から代わる代わる届く犯行声明に夏希が対応。 そして、パシフィコ横浜の《潮入りの池》への毒物混入の後、 桃太郎が、イーサリアムの口座に仮想通貨100イーサを振り込めと要求。 支払わないと、金太郎のクリッキング技術と浦島太郎のドローン&爆破技術、 さらに桃太郎の毒物技術を用いて、県民を危機に陥れると脅してくる。そんな中、加藤がドローン・ショーの準備・実行をした内田社長を見つけ出し、先日のやりとりの中で、夏希が浦島太郎の信頼を得ていたことが分かる。今回の恐喝がモジュール的犯罪だと気付いた夏希は、三太郎の繋がりを断ち切ろうと考え、浦島太郎だけに向け、自分の思いを伝えるメッセージを送信する。そして、桃太郎から怒りの返信の後、浦島太郎からも返信が。 - あんたを信じる。鷺舞橋11時。夏希は、加藤、小川、アリシアと共に現地に向かった。 ***今回は、割とシンプルなお話でした。いつもと同じぐらいのボリュームの一冊でしたが、夏希と三太郎とのやりとりのシーンでは、メッセージ毎に1行空欄になっていたので、総文字数は、いつもより結構少なめだったような気がします。
2025.06.29
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『マスカレード・ホテル』、『マスカレード・イブ』 そして『マスカレード・ナイト』に続く、シリーズ第4弾。 今回も、捜査1課係長・新田浩介警部がホテル・コルテシア東京で潜入捜査。 総支配人・藤木がロサンゼルスから呼び戻した山岸尚美も、そこに加わります。 その尚美が、新田との再会を果たした際の言葉は次のようなもの。 私が知っているのは、恨みを晴らしたい人々が力を合わせて、 それぞれの復讐を当人以外の者が共犯で果たしているらしい、ということです。 これまでに起きた3つの事件の被害者は、いずれも過去に人を死なせた経験のある人物で、 その時に亡くなった人たちの遺族には事件当日のアリバイがある。 そしてその3人の遺族が、今夜このホテルに宿泊予定だとか。(p.117)その過去に人を死なせた3人と、その被害者及びその遺族は次の通り。 入江悠斗 傷害罪(少年院送致) 被害者・神谷文和 遺族・神谷良美(母親) 高坂義広 強盗殺人罪(懲役18年) 被害者・森元俊恵 遺族・森元雅司(長男) 村山慎二 リベンジポルノ(懲3猶5) 被害者・前島唯花 遺族・前島隆明(父親)そして、新田は捜査で突き止めるポイントについて、尚美に次のように説明します。 ひとつ目は、誰の命が狙われているのか、ということです。 おそらく今夜の宿泊客だと思われますが、過去に人を死なせた経歴の持ち主だという以外、 今のところ手がかりは全くありません。(中略) 彼らが手を結ぶことになったきっかけは何か、出会いの場はどこか、ということです。 物理的な人間関係に関しては、すでに徹底的に調査が行われていますが、 これまでのところ、繋がりは何ひとつ見つかっていません。(中略) 遺族たちがどこで出会ったのかを突き止めると同時に、はっきりさせるべきことがあります。 それは、仲間は何人いるのか、ということです。(p.118)今回のクリスマス・イブの捜査には、捜査1課7係長の梓真尋警部も加わりますが、ホテルの許可を得ずにバーの様子を隠し撮りしたり、部屋を盗聴したりとやりたい放題。そんな中、沢崎弓江が佐山涼とコーナー・スイートにチェックイン。早々にルームサービスを頼み、さらに3人の仲間を加えてクリスマス・パーティーを始めます。そして、新田の大学時代の同期で元検察官の三輪葉月がデラックス・ダブルにチェックイン。彼女は、大麻取締法違反で逮捕歴がある佐山涼の行動を、新田から聞き出そうとします。さらに、小林三郎とその妻もデラックス・ツインにチェックイン。しかし、予約者リストの備考欄には「番号名義不一致」と記載されていました。やがて、森元雅司と思われる人物が運営している『不可解な天秤』のブログの中に、『刑事責任能力とは』という記事が見つかります。それは、20歳の女が、交際する男が自分と別れ他の女と付き合おうとしていると知り、大量に精神安定剤を服用した後に、錯乱状態になって男性を刺し殺したという事件を語ったもの。気を失った女は、意識を取り戻した後、「何が起きたのか全く覚えていない」と主張し、精神鑑定で心神喪失状態との診断結果が出たことで、不起訴処分になりました。加害者は長谷部奈央、被害者は大畑誠也で、その両親の氏名は大畑信郎と大畑貴子。そして、大畑信郎名義の運転免許証の写真の人物は、まさに……その人物は、インターネットで被害者遺族たちが情報交換するサイトに辿り着き、さらに、その運営者からダークウェブのネット集会「ファントムの会」を紹介されます。そこでは、理不尽な事件の加害者の近況について詳細な情報が交換されていました。そして、その人物は、理不尽な事故で娘を失った尾方道代という女性と教会で知り合います。尾方道代は、その人物から「ファントムの会」について教えられ、集会に参加するように。そして、「デスマスク」というハンドルネームで、長谷部奈央のSNSを発見したと報告します。その後、入江悠斗、高坂義広、村山慎二が、何者かによって次々に殺害され、長谷部奈央がクリスマスの日に渡米、前日はホテル・コルテシア東京に宿泊することが判明。さらに、長谷部奈央が何者であるかも判明し、その人物が、今日、展望コーナーで尾方道代と出会い、目礼だけしていたことが分かると、新田は尾方道代の正体に気付き、直接会って事情を問いただします。そして、尾方道代と長谷部奈央の関係、そしてその行動の意味が明らかになっていくのでした。 ***今回も、東野さんの作品らしい、とても悲しいお話でした。それでも、新田には新しい道が開け、次回作も期待できる締めくくりとなっていることが救いです。その際は、梓真尋警部もまた登場しそうですね。
2025.06.29
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いよいよ海幕高校オケ部の定演が始まる。 開演5分前、舞台袖の緊張感。 鼓動が高まる中、会場におもむろに流れる定演開始のアナウンス。 穏やかに響く拍手の中を、演奏者たちが厳かに入場。 そして静寂の中、鮎川のタクトが振り下ろされる。 『「カルメン」より前奏曲』を奏でつつ、これまでの日々を振り返る律子。 同じように、『「くるみ割り人形」組曲』ではハルが、 『「四季」より「春」と「夏」』では原田たち3年生が、これまでの日々を振り返る。さらに『「サムソンとデリラ」バッカナール』を聞いた後、ハジメの母親との言葉のやりとりの中で、武田が鮎川と過ごした高校時代を回想。そして、『新世界より』では、佐伯や3年木村、ハジメが、これまでの日々を振り返り、次はいよいよ終楽章、というところで今巻は終了。 ***今巻の中では、ハルと町井先輩のエピソードが、一番心に残りました。4巻でも、ハジメに大きなインパクトを残した町井先輩。とても良いキャラクター。引退しても、また登場して欲しいです。
2025.06.22
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現在放送中のTVアニメは、第4巻の終盤に差し掛かっていますが、 その部分のお話は確かに読了し、記事まで書いているのに、 6年半前に読んだそのお話は、アニメを見ていても、 そのストーリーを全く思い出すことが出来ないという情けない状況でした。 そこで今回、再度、読み返してみることに。 すると、アニメで描かれていたシーンが、確かに記述されている…… 先述したように、既に一度記事は書いているので、 今回は「21話 事の始まり」で楼蘭が紡いだ物語のみ、まとめておこうと思います。 ***神美の父親は奴隷交易で成功を収めていたが、女帝に目を付けられ、息子である先帝の上級妃に取り立てたいので、娘を後宮に差し出すよう命じられる。娘を質にとられた神美の父親は、奴隷交易を縮小せざるを得なくなり、それに代わる事業として、後宮の拡大を女帝に提言する。一方、子昌は一族の傍流に過ぎない男だったが、その聡明さや王母と同じ血筋であること、本家に後継者がいなかったことから、神美と婚約して本家の養子に入っていた。子昌は、先帝と女官(晩年は怪談話の収集を楽しみとしていた)との間に生まれた娘を匿い、娘が適齢期になると、先帝から娶るよう頼まれ、生まれた娘は子翆と名付けられた。やがて、神美の父親が病に伏すと、子昌が家督を継ぐことに。そして、神美が下賜され、子昌と神美の間に娘が生まれ、子翆と名付けられる。母親が亡くなり、名前を奪われた翆苓は、後宮の元医官の元へと引き取られていく。元医官は、後に砦で神美から不老の薬を作るよう命じられることになった。子昌は所詮養子であり、宮廷における権力に比べて、一族内での力はそれほどでもなかった。神美を思い、自分を虚仮にし続けた憎き国を滅ぼしたかった彼女のために行動しつつ、国のことも見捨てられない忠臣は、最期までこの国の腐敗を一手に集める敵役を演じきった。そして、楼蘭も父母双方の思いを叶えつつ、一族の未来を猫猫に託し、散っていったのだった。
2025.06.14
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入院中の母親に会いに行った帰り道、ハジメは中学生の時の担任・武田に会う。 色んなことに悩むハジメに、武田は「もっと周りを頼れ!」と言って立ち去る。 律子と電話で話した後、ハジメは佐伯を呼び出して自分の気持ちを語り始める。 そして、佐伯も自分の気持ちを語り始める。 激しくぶつかり合う感情。 そして、 俺… 本当は誰が父親とか どうでもいいんだ。 ずっと… 君に申し訳なくて… うしろめたかったけど… 君が「俺として」見てくれたからどうでもいい。 俺は…… 血の繋がりよりも… 今身近にいる人達との繋がりを大事にしたい。 …こいつ、 俺がずっと苦しんでたことを たった一言で片付けやがった。翌日、ハジメが久しぶりに部活に復帰すると、「新世界より」第4楽章の練習が始まる。そして、定演まで13日と迫った部活休みの夜、花火大会に一緒に出かけたハジメたち。金魚すくいや射的を楽しんで、佐伯の演奏で凹んだ経験を互いに語り合う。夜明け前、ハジメはユーモレスクを弾くうちに父親の言葉の数々を思い出す。 お前はもっと 音色のイメージを 明確にしろ。そして始まった再テスト。結果は、ハジメが表で、佐伯が裏。定演前日、原田や立石、そして鮎川が語る言葉に、全員で「一音一会!」。部員たちは、心の音をひとつにしたのだった。 ***ハジメと佐伯の感情がぶつかり合うシーンは、今巻最大の見せ場……のはずですが、私としては、今一つ気持ちを持ち上げきれませんでした。何故?数々の演奏シーンも同様。何故?夏休み中の緩いシーンなどは、読んでいて全く違和感ないのですが、肝心要のシーンに限って、気分が高揚してくれない……
2025.06.14
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著者の樋口みみさんは、1987年に日本で生まれ、 親の仕事の都合で幼少期をアメリカで過ごし、15歳で帰国、 大学進学の際に再び渡米し、留学先で台湾人の現在の夫と出会いました。 結婚後は台湾に住み、現在は3人の男の子の母親となっています。 本著では、台湾の食文化や生活習慣はもちろん、 台湾の人と夫婦になって台湾に住むこと、 義家族との関りや、自分の子どもを台湾で育てていくことについて 台湾生活12年目の著者が、赤裸々に語っています。隣国といえども、やはり海を隔てた異国の文化や生活習慣は相当な差異があり、濃密な義家族との関係や、台湾の国際的位置付けと国籍の問題、兵役の存在と学校教育等々、日本に住む者にとっては、アンビリーバブルと感じてしまうことも少なくありません。目の前に突然このような現実を突き付けられたら、精神的ストレスは計り知れないでしょう。著者の場合は、幼児期からアメリカで長期間過ごしていたことから、異文化の中での暮らしに相当慣れていたということと、義父母が義姉と共にアメリカに永住することになって物理的距離が出来、家族だけの時間を過ごせるようになったことが、とても幸いしたと感じました。台湾だけでなく、他国の方との結婚を考えられている方はもちろん、同じ国の方との結婚を考えている方でも、育った家庭の生活習慣や考え方、感じ方、行動には大なり小なり違いがあるものなので、本著を通じて、結婚の現実を知っておくのは、とても有意義なことだと思いました。
2025.06.14
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本書で著者が述べたいことは、最終章に集約されています。 そこに至るまでの構成は、こんな感じです。 まず、『序章 労働と読書は両立しない?』では、 映画『花束みたいな恋をした』を参照し、 なぜ働いていると本が読めなくなるという声が上がるようになったのか? という問題提起をおこなった。(p.238)とあるように、映画の主人公である二人の男女にスポットを当てながら、「文化的趣味に触れる姿勢の背後にある階級格差」について述べていきます。この映画は、たまたま私も観ていたので、述べていることがよく伝わってきました。そして、『第1章 労働を煽る自己啓発書の誕生 - 明治時代』『第2章 「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級 - 大正時代』『第3章 戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか? - 昭和戦前・戦中』『第4章 「ビジネスマン」に読まれたベストセラー - 1950~60年代』『第5章 司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン - 1970年代』『第6章 女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー - 1980年代』『第7章 行動と経済の時代への転換点 - 1990年代』『第8章 仕事がアイデンティティになる社会 - 2000年代』『第9章 読書は人生の「ノイズ」なのか? - 2010年代』では、「残業国民」でありながら、「読書国民」である日本人が、どのようにして労働と読書の両立関係を生み出すことが出来たのかを、時代の変遷の中で考察していきます。第9章のp.206に図示された「知識と情報の差異」には、 「情報=知りたいこと」「知識=ノイズ+知りたいこと」 *ノイズ……他者や歴史や社会の文脈とあり、ノイズを受け入れることの大切さに著者は言及しています。そして、『最終章 「全身全霊」をやめませんか』では、著者の思いが爆発します。その締めくくりの言葉は、次のようなものです。 働きながら本を読める社会をつくるために。 半身で働こう。それが可能な社会にしよう。 本書の結論は、ここにある。(p.266)「働き方改革」が強く推進される時代ならではの一冊でした。
2025.06.13
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夏休みに入り、演奏会に向け本格的に「新世界」の合奏練習が始まる。 その終了後、ハジメは原田に質問しようとするが、多数の部員が彼を取り囲む。 ハジメは、3年1stヴァイオリン、トップサイドの町井美月に声を掛け、 「もっと他の楽器の音にも耳を傾けてみたらどうかな?」と助言される。 ハジメはチェロの山田と一緒に朝練、佐伯は個人練習でハルと合わせる。 そして、鮎川に指名されたハジメと佐伯、そして山田が、 弦楽器の1プルトの表5人が集まって練習するトップ練を一緒に見学。 先輩たちの心地良い演奏を聞いた後に佐伯が奏でた音楽に、ハジメは大きな衝撃を受ける。以後、テストが迫り焦るハジメは、佐伯を避けるように。そんな時、母親が倒れて入院、ハジメは練習を欠席する。心配した律子、ハル、佐伯、山田が家を訪ねると、ハジメは父親と母親、そしてヴァイオリン、佐伯の演奏について語り始める。そして、4人が帰った後、再び現れた佐伯は、さらに衝撃的な事実を語り始める。 …俺が日本に戻って来たのは… 君に会うためなんだ。 それは1人のヴァイオリニストの演奏の様子を映した動画だった。 その演奏に… 一瞬にして俺は惹き込まれた。 …彼の名前は 青野龍仁。 …お母さん そのヴァイオリニスト 知ってるの? …でも じいちゃんは あまり好きじゃないみたい。 …俺の母さんは 声楽家なんだ。 今はドイツのオペラ団体に所属して ソプラノ歌手をやってる。 …青野くん。 俺の父親は 青野龍仁だ。以後、ハジメは練習を休み続けます。そして、入院中の母親に部活を辞め辞めようと思うと伝えますが、即、却下されてしまったのでした。 ***なかなか、想像を超えた展開でした。でも、よくよく考えてみれば、というか注意深く見ていれば、予測可能だったかもしれません。やっぱりそう来たか……と言う感じで。
2025.06.08
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本著帯には「TVアニメ大ヒット放送中!!」の文字が。 (現在アニメで放送されているのは、4巻収録のエピソードです) さらには「シリーズ累計4000万部突破」とも。 前巻の帯には「シリーズ累計3300万部」とありましたから、本当にスゴイ。 私がこの作品を読み始めた頃には、予想もしなかった状況です。 ***皇帝の手術を終えて半月、日常を取り戻した猫猫でしたが、ある村で疱瘡流行との報が届き、その処置のため、老医官と猫猫の後輩・妤、さらに民間の医者・克用が都を発ちます。一方、皇太后(安氏)の異母兄・豪の娘・梔子の部屋の近くの軒下で、呪いの壺が見つかります。梔子は、妾の子で病弱なため後宮入りできず、腹いせに入内した妃を呪っていると疑われます。姪の嫌疑を晴らそうとする皇太后の依頼を受け、壬氏は猫猫と共に皇太后の実家に赴きます。猫猫は、毒を作ったのは妾であり、梔子はその毒で弱っていることに気付くと、豪の正妻・末摘花と元妓女の妾、さらにその娘・梔子の間に横たわる真相を解き明かします。そして、壬氏は梔子を羅漢邸で療養させることにしたのでした。その羅漢邸に姚と燕燕が長期間留まっていることに対し、猫猫の後輩・長紗が意見。羅半に対する自分の気持ちが掴み切れない姚でしたが、実家に戻る方向へと気持ちを動かします。一方、自身の所有する船が沈んでしまった翡翠翁に羅半が連れ去られるという事件が発生。三番と一緒に羅半を迎えに行った猫猫は事の真相に気付くと退散、やがて一件落着したのでした。そして、疱瘡の村の最初の感染者は子どもで、遠出をした際に通り魔に切りつけられた傷があり、近隣で似たような事件が何件かあったことも分かります。猫猫は壬氏と共に紅梅館に赴き、克用から牛や馬の疱瘡の実験について教えてもらいますが、その後、入り口で門番と小競り合いになっていた男が、小刀を手にこちらに向かってきます。馬閃が頬を傷つけられながらも取り押さえたのは、克用がかつて疱瘡の治療に当たった村の村長。克用ばかりが称えられることを逆恨みしながらも、克用の真似をしていたのでした。馬閃は疱瘡にかかる可能性があるため、強制的に10日間隔離されることに。その後、猫猫は克用と語り合い、彼が(彭侯のような男)だと再認識させられたのでした。 ***さて、最後に本巻で私が最も心に残った箇所をご紹介。それは、次の一文です。 視点によって、人によって、見える面は変わってくる。(p.301)この前に記されている猫猫が雀に言った 「人間の認識って立場によって違うものですからね。」という言葉も、頷けるものですね。
2025.06.08
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5年前に独立して開いた洋菓子店『パティストリー・ブランシュ』。 その店を閉め、元ライバル店だった『パスカル』でバイトを始めた白井は、 料理研究家・佐渡谷真奈美に、閉店した店の厨房を貸すことを了承。 そして、その厨房を使って、一人の生徒を相手にした料理教室が始まります。 病気休暇をとって会社休んでいた順子は、フルーツタルトとタルトタタンを、 中学3年生の結杏はマカロン、さらに母親や明日香と一緒にイートン・メスを作り、 なかなかいい曲が作れなくなった金髪の秋山静は、結杏と一緒にザッハトルテを作ります。 生徒は皆、佐渡谷の姪・明日香が営む『あすか心のクリニック』のクライアントたちでした。カーキ色の上下の作業服に厚底のブーツ姿の優美は、クルミを使ったクッキー2種を作った後に、優美の母が好きだったモンブランと優美が好きなチーズケーキをマリアージュした『謙虚で自由なモンブラン』を作ります。それがきっかけとなって、白井は2つ目のバイト先から開発部員としてスカウトされることに。そして、料理教室の最後の生徒は白井自身、佐渡谷と一緒にパウンドケーキを作ります。その際、佐渡谷がかつて働いていたフランスの『パティストリー・フェデリック』が、今でも営業を続けており、『マ・ナミ』というフィナンシェが売られていることが分かります。再びハートに火が点いた佐渡谷は、店主・ヴィクトーに会うべくフランスへと飛んだのでした。一方、白井は『パティストリー・ブランシュ』を再オープンすることを決意。準備の合間には、試作のパウンドケーキを持って予告なく母親を訪ね、小学4年生の時に、白井がひとりで分厚いホットケーキを焼いたことを語り合ったのでした。開店当日、結杏が手伝いに来てくれた店の前には、女の子たちがずらりと並んでいました。 ***TVドラマがとても良かったので、今回原作を読んでみました。読書開始時には、蓮佛美沙子さんや永作博美さんのイメージが強く残っていましたが、読み進めるにつれ、次第に原作が描き出す世界へと書き換えられていきました。全体として、お話も各キャラクターもTVドラマよりライトでスッキリした感じです。ドラマでは、秋山静が重要な役どころを果たしていましたが、原作では他のキャラと同列です。また、ドラマでは各キャラが背負う重たいものにしっかりと焦点を当てると共に、ラブコメ的要素も加味して描くことで、素晴らしい作品に仕上がっていました。でも、原作は原作で、全体を通して良い雰囲気が漂っていて、私はとても好きです。 ***それでは、最後に私が原作の中で心に深く残った箇所を紹介します。それは、明日香さんが結杏ママに言った次の言葉。 「探すのは悪いことじゃないと思うけれど、探すというのはフォーカスすることで、 ペンを探していれば、ペンしか見えなくなるでしょ? でも退いた目線で、広角レンズでぼんやりしてると、色々なものが見えて、 ペンの後ろにある意外なものが目に飛び込んでくるんじゃないかしら」(p.102)とってもイイな、と思いませんか?
2025.06.08
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マジックのコンベンションPCMA(環太平洋マジシャン協会大会)の クロースアップ部門で最優秀賞を獲得した里見沙希(17)は、 都内デパートのマジック用品売り場で実演販売をしたり、 ディズニーランドのマジックショップへ月間トレーナーとして出向する日々。 そんな沙希の前に、営業部の矢野課長と共に芸能プロダクションの植松が現れ、 マジックのパフォーマンスを売りにするアイドルグループ『ソーサリー』加入を要請される。 メンバーの一員となった沙希は持てる力を発揮、ダンスの練習にも取り組み活躍するが、 他の6人のメンバーが目指したい方向性を強く感じ取り、一人脱退することに。マジック用品売り場に戻った沙希に、ある日、男が横長封筒を差し出し立ち去って行く。中には「グレート・マジシャン選抜カリキュラム」への招待状が入っており、特待生は参加費無料で、カリキュラムを首席卒業すると世界を舞台に活躍する道が開けるらしい。胡散臭さを感じながらも、沙希はEJMS主催のこのカリキュラムにへの参加を決意する。かつてマジックテクニックを駆使し万引きをしていた椎橋彬(20)と共に特別貸切列車に乗り、そこで知り合った梨本俊司(18)、佐藤砂耶香(15)とグループを組んで課題に挑む沙希。クロースアップマジック、サロンマジックを終えた時点でトップを走るが、イリュージョンの課題も見事にクリアした時点で、椎橋が別のグループに移籍することに。代わりにグループに加わった久保と共に、番組収録の出演場面をうまくこなす課題もクリア。続くメンタルマジックは、椎橋のグループだけが成功させるが、運営者たちは沙希に執拗にそのトリックを問い詰め、砂耶香がタネを明かしてしまう。そして、最終課題のメンタルマジックは沙希自身がクリアし、首席卒業を確定させる。その後、参加者たちは修了祝賀会会場に集められるが、そこで閉じ込められてしまい、このカリキュラムが、自分たちにトリックを考えさせるためのものだったと気付く。参加者たちは持てる力を結集し、正真正銘、本物の脱出イリュージョンを成功させ、トリックを駆使しての純金大仏消失イリュージョンを目論んだ一味は、警官に連行された。 ***ずいぶん昔に『千里眼 マジシャンの少女』を読んだ記憶があるのですが、その頃は、まだこのブログを始めていなかったので、記事が残っていません。そして、『マジシャン』と『イリュージョン』も、既に読んだつもりになっていましたが、どうやら、それは思い違いで、まだ読んでいないことに本著を読んで気が付きました。機会があれば、この2冊は読んでみたいと思います。
2025.06.01
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オーディションまで2週間となった昼食時、 ハジメは、購買部で2年の羽鳥葉に声をかけられ、食事を共にする。 そして、ダンス部と兼部する羽鳥から、今後はオケ部に集中すると聞かされる。 部活後、残って練習するハジメと佐伯に、羽鳥は言う。 …今年のオーディションは 原田さんが出ないから つまんねーと 思ってたけど…… 前言撤回。 …めちゃくちゃ 楽しみだわ。そして、オーディションまで1週間を切った6月下旬・土曜日の練習後、とうとう律子と言い争いになってしまった立花静は、2ndヴァイオリンのパートリーダー・米沢が声をかけられ、自身の思いを語り始める。 なんていうか 秋音さんは! 独りよがりっていうか…! 自分の音しか聴いてないんです! だから 秋音さんは… 周りの音をよく聞けば、もっと弾けるはずなんです。さらに、立花が2ndヴァイオリンを希望した理由を知った律子は、翌朝、自ら立花に演奏について教えを請いに行く。すると、立花は律子の要請に応じ、さらに合奏時の姿勢についても助言する。オーディション3日前、ハジメと佐伯は数学の補習のため遅れて練習に参加することに。そんな二人に、顧問・鮎川は佐伯の名前は覚えているが、ハジメの名前は覚えていないフリ。高校の同級生で、ハジメの中学時代の担任・武田から既にハジメについての情報を得ていたのに。そして、オーディションを終え、鮎川は即日、夏の定演の座席表を完成させる。ハジメは原田の真後ろの席で、左隣は佐伯、真後ろに羽鳥、律子は選ばれず。鮎川は職員室に羽鳥とハジメを呼び出し、まず、羽鳥に次のように告げる。 お前はもっと今後の自分の立場を考えて演奏しろ。そして、ハジメには 今後の演奏次第で お前と佐伯の席は入れ替えるつもりだ。 昔のお前の音色は…そんなものではなかったはずだ。 何故 俺がこんな話をしたかわかるか? それは お前が… 次期コンサートマスターの候補だからだ。さらに、今回は佐伯が高熱でろくな演奏が出来なかったので、1か月後、演奏会前にどちらがオーケストラにふさわしい演奏をするか見極めると告げる。ハジメは、テスト期間で練習禁止の楽器庫で出会った羽鳥に、自分の演奏について尋ねる。すると、羽鳥は次のように言ったのだった。 もっと曲のイメージを伝える努力をすればいいのになーとは思う。 ***高校生の部活の雰囲気が、あちこちから十分に漂ってはくるのですが、ハジメの演奏レベルが、どれ程のものに設定されているのかが、私にはよく分かりません。高校のオケのメンバーの中に、コンクール入賞常連者が入った時、どんな感じになるのかも。というか、そういうレベルの人が、高校のオケに入部することがあるのかも。
2025.06.01
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