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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2012.11.17
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カテゴリ: 文芸

 元老院の賛同を得て皇帝に即位した。時に66歳。
 その即位に際し、最大の功労者となったのが近衛軍団長官レトー。
 ところが、新皇帝はレトーの功に報いることを後回しにしてしまった。

 レトーに煽動された近衛軍団の兵士達が皇宮を襲う。
 そして、ペルティナクスは、わずか87日間の在位で、この世を去る。
 その後、皇位に就いたのは、
 レトーが推す前アフリカ属州総督ディディウス・ユリアヌス。

ところが、近パンノニア属州総督セプティミウス・セヴェルスと

さらに、シリア属州総督ペシェンニウス・ニゲルの三人が、次々に皇帝に名乗りを上げる。
中でも、セヴェルスはいち早くアルビヌスに共闘を申し出て、その懐柔に成功する。

セヴェルスがローマに進軍する中、ユリアヌスは近衛兵に殺害されてしまう。
ローマに入城したセヴェルスは、アルビヌスと共同皇帝に就任することを求め、
それが承認されると、ニゲル討伐のため東方へ出発、イッソス平原でニゲルに勝利する。
さらに、リヨン近郊でのアルビヌスと対決にも勝利して、単独皇帝になったのであった。

軍人皇帝・セヴェルスは、治世18年目のブリタニア戦役遂行中、
ヨークに集まった息子や妻に見守られながら、次の言葉を残し64歳の静かな死を迎えた。

  わたしは、すべてをやった。
  元老院議員でもあった。弁護士でもあった。執政官も務めた。
  大隊長もやった。将軍でもあった。そして、皇帝もやったのだ。

  しかも充分に勤めあげたという自信ならばある。
  だが、今になってみると、そのすべてが無駄であったようだ(p.135)

   ***

さて、今巻で心に残ったところを書き留めておく。

  「小事」まで批判を受けてはならぬという想いで進めると、

  大胆な改革を進める者には、
  小さなことには今のところは眼をつむるぐらいの度量は必要であったのだが。(p.29)

この辺りのさじ加減、バランス感覚がとても難しい。

  実力主義にはプラス面も多いが、人間社会の他のすべての事柄と同じでマイナス面もある。
  実力主義とは、結局は実力でカタをつけるしかない解決法なのであった。(p.42)

ここで言う「実力」とは、どんな「実力」を指し示しているのかが問題だ。

  自分たちと似ている指導者には親近感を持つが、
  似ていない指導者のほうに魅かれるものなのだ。
  この傾向はとくに、危機の到来を感じたときに顕著になるのだった。(p.63)

似ていない者を指導者として選択するということは、
自分とは似ていない彼・彼女がとる行動や、その行動がもたらす結果が予測不能ということ。
窮地に追い込まれたときや、危機に瀕したとき、
人は、予測できないものに夢や希望を見出そうとしてしまうものなのか。

  いや、もしかしたら人類の歴史は、悪意とも言える冷徹さで実行した場合の成功例と、
  善意あふれる動機ではじめられたことの失敗例で、
  おおかた埋まっているといってもよいのかもしれない。
  善意が有効であるのは、即座に効果の表れる、
  例えば慈善、のようなことに限るのではないか、と。
  歴史に親しめば親しむほどメランコリーになるのも、
  人間性の現実から眼をそむけないかぎりはやむをえないと思ったりもする。(p.108)

世の中って、なかなかうまくいかないもの、らしい。





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Last updated  2012.11.18 13:33:29 コメントを書く


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