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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2013.07.14
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カテゴリ: 文芸

 短編集でも、それぞれのお話しに継続性はあるものの、
 こうやって読み比べると、やはり違いがあるものだと実感。
 作品としての奥行きや深みは、こちらが上。

 今回は、ヨーロッパ各地やアメリカが舞台となっており、
 ちょっとした旅行気分が味わえる。
 おそらく、 αシリーズ やこの作品のために、、
 松岡さん、実際にあちこち出かけて来られたんでしょうね。



  錦織は瑞穂のテーブルを見やった。
  早くも粘土を丸くこねだしている。
  細い鉄製の芯棒のみを支柱にして頭像を立てる気らしい。
  錦織は手もとの道具類を眺めた。
  「中身となる芯材、ほかには用意されてないな」
  瑞穂がぶっきらぼうにつぶやいた。
  「芯棒だけ軸にして、あとは粘土の塊。日本じゃそれがふつうでしょう」
  たしかにそうだ。
  たとえばアメリカでは、頭像といえばフットボールほどもある大きな石を丸ごと芯材にし、
  表層に粘土で肉付けをしていくのが常識になっている。
  乾燥しがちな土地柄、型崩れを防ぐためのネイティブの工夫が受け継がれた結果ときく。

  サルディーニャの空気が日本に近いことを祈るのみだった。
  剥離や変形はご免こうむりたい。(p.127)

全国から腕利き贋作師たちが集められて行われた「周正天主催、海外芸術能力選定ツアー」。
ここで勝ち抜き、その能力が認められれば、高収入と共に過去を帳消しにしてもらえるという。
ヨーロッパ各地を転々とし、そこで粘土を材料にした彫塑で、有名人の頭部を次々につくる。


こんなふうに、ちゃんと肝となる部分を、
予めお話しの中に、しっかり提示しているからこそのミステリー小説。
物語の終盤になって、実はこんな人もいたんです、こういうこともあったんです、
なんて言われても、読み手としては、戸惑うしかないわけで……

そういった基本的なことを、きちんとやってくれているからこそ、
松岡さんの作品は、いつも安心して読むことが出来るんですね。





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Last updated  2013.07.14 12:10:01 コメントを書く


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