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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2025.09.13
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カテゴリ: 文芸
本流篇 に続くシリーズ第7巻。

 幸と湯屋で出会った指物師・和三郎の姉・才は、
 5~6人の女将さんたちと五鈴屋の「帯結び指南」に訪れ、以後毎月通うように。
 如月八日の針供養で賑わう淡島堂で、幸とお竹は「結び易く、解け易い」帯結びを
 前掛けの絎紐で結んでいた女性から教えてもらい、それを指南すると早速話題に。

   ***

幸は、 人形遣い・亀三から聞いた歌舞伎役者の菊次郎
「三都一の女形」として名を馳せた亡き兄・菊瀬吉之丞の養子・吉次を支援しつつ、
女形として舞台に立ち続ける菊次郎は、表を木綿、裏を絹で仕立てた吉次の稽古着を発注。
その稽古着は役者の間で評判となり、座主は五鈴屋に裏地の浜羽二重50反を注文したのだった。

ある日、賢輔が広小路で惣次を見かけたと幸に伝えると、お竹も針供養の際に見かけたという。
跡目問題が絡む難しい事案であることから、幸は孫六と治兵衛に判断を仰ぐことに。
一方、江戸では士分のものとされている小紋染めを、町人に向けても扱えないかと考えた幸は、
伊勢型紙を手配すべく、賢輔を五鈴屋本店に送り出し、鉄助と一緒に伊勢の白雲屋に向かわせる。

そして幸は、型染めをお才の亭主・染物師の力造に頼もうと考える。
しかし、力造の父は、武家の定小紋反物流出騒動で濡れ衣を着せられ、その末に亡くなっていた。
以来、力造は型染めから手を引き、黒染めしかしておらず、幸の依頼を頑なに拒み続ける。
そんな中、鈴紋の型紙を錐掘りの梅松に発注し終えた鉄助、賢輔と結が五鈴屋江戸店に現れる。


また、月に一度の帯結び指南に結も参加するようになり、こちらも色々と知恵を出し合う。
さらに、菊次郎がかつて亀三と繋がりがあったという富五郎を伴い店に現れるが、
富五郎は、舞台衣装は座主に一任しているため、五鈴屋には依頼できないと断って立ち去る。

そして、伊勢に向かった鉄助から、待ちに待った梅松の手による鈴紋の型紙が早飛脚で届く。
幸は、その伊勢型紙を力造に見せようとするが、力造は頑としてそれを見ようとしなかった。

これを用いて最初に染めたものを自分に譲って欲しいと申し出たのだった。

力造のことを諦めきれぬ幸は家を訪ねるが、力造が妻を押しのけてそこを出て行こうとした際、
幸が持っていた文箱を落とすと、力造の足元に転がった蓋の天板の裏に型紙が張り付いていた。
型紙を手にした力造に、幸は「町人のための小紋にしたい」と訴えかけ、説得に成功する。
さらに、足掛け3年の女名前延長の願いが仲間から許されたとの連絡も鉄助から届く。

年が明け、お竹を伴い菊次郎を訪ねた幸は、江州長浜で先月から縮緬製造が始まったと聞く。
そして、そこに居合わせた富五郎から、改めてお練りの衣装の見立てと仕立てを依頼されると、
幸は、富五郎が持っていた紙入れの色「江戸紫」で染めることを思いつく。
その反物が出来上がる日、待ちきれない富五郎が江戸店に姿を現す。

   ***

ここからが、本巻のクライマックス。
これまでのお話を通じて、最高に感動的な至福の頁が続きます。

  「15,6年ほど前のことです。ふたりの友との出会いがありました。
   齢も近かったし、互いに若く、夢も野心もあって、それが心地よかった。
   歌舞伎以外の世界を垣間見られたのも、その友たちのおかげでした」(p.288)

富五郎の口から語られたのは、人形遣いの亀三、そしてもう一人は何と智蔵との思い出の日々。
迂闊……気付くことが出来てもおかしくないのに、全く気付くことが出来ていなかった……
まさに、その時の幸と同じ心境に。
流石、伏線回収の天才です。





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Last updated  2025.09.13 07:45:39 コメントを書く


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