全11件 (11件中 1-11件目)
1
![]()
売り上げと作品の出来は比例しないことを示す代表例 『スウィート・ベイビー・ジェームス』をはじめとして1970年代を通じて多くのヒット作を送り込んだジェームス・テイラー(James Taylor)。そんな彼の絶頂期において唯一ゴールド認定されなかったアルバムがある。それが1974年に発表された『ウォーキング・マン(Walking Man)』という作品だった。 確かに、大きなヒットを重ねていた当時を考えると、全米13位というのは、彼の作品としては地味なチャート・アクションだった。また、この盤からはシングル・ヒットも生まれなかった。けれども、売り上げの低さと作品の内容は、比例することも多いが、常に比例するわけではないことは自明である。早い話、“売れなかった好盤”というものは世にいくつもある。この盤は、ジェームス・テイラーの作品としてはまさしくそういったタイプの代表格と言えるだろう。 本盤に収められた中からとくに注目の曲をいくつか挙げておきたい。まず、表題曲の1.「ウォーキング・マン」。このナンバーは、シングル発売されたものの、当時は全米チャート入りしなかった。とはいえ、ファンの間では人気が高く、いま聴いても美しい曲調はまったく色褪せていない。もう一つ、本盤収録曲の中で外せない美曲と言えるのは、6.「エイント・ノー・ソング」。筆者はジェームス・テイラーのこの手の曲にめっぽう弱い。同じような傾向のナンバーとしては、10.「フェイディング・アウェイ」もなかなかの好曲。アルバム全体を通観すれば、しっかり弾き語りスタイルのナンバーもあれば、アップ・テンポの曲もあるのだけれど、個人的には上記3曲のような部分にジェームス・テイラーの魅力を最も感じている。[収録曲]1. Walking Man2. Rock 'n' Roll Is Music Now3. Let It All Fall Down4. Me and My Guitar5. Daddy's Baby6. Ain't No Song7. Hello Old Friend8. Migration9. The Promised Land10. Fading Away1974年リリース。 輸入盤 JAMES TAYLOR / WALKING MAN [CD] 【中古】 ウォーキング・マン<SHM-紙ジャケットCD>/CD/WPCR-13822 / ジェイムス・テイラー / ワーナーミュージック・ジャパン [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 【輸入盤CD】James Taylor / Warner Bros. Albums: 1970-1976【2019/7/19発売】(ジェームス・テイラー) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021.07.28
コメント(0)
![]()
没後に発表されたアコースティック演奏曲集(後編) ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)の没後にリリースされたアコースティック演奏を集めた『ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ』。先に更新した前編に続き、この盤に収録された各曲について、続きを見ていきたい。 7.「バーリー・アンド・グレープ・ラグ」は、1976年作の『コーリング・カード』に収録されていたナンバー。もちろんここに収録されているのは、それとはまったく異なるヴァージョンである。アイリッシュ・フォーク・グループ、ザ・ダブリナーズの中心人物であるロニー・ドリューが上記の盤を聴いてこの曲を気に入り、ダブリナーズとの共演での録音が行われたとのこと。8.「カッコウ」は、フランドル(ベルギー)出身のブルース・ミュージシャンである親友のローラン・ヴァン・カンペンハウト(Roland Van Campenhout)との共演。彼の自宅のスタジオで録音された音源とのことである。トラディショナル曲だが、いかにもロリー・ギャラガー風にアレンジされていて、個人的にはかなり気に入っている。 9.「アメイジング・グレイス」から始まる3曲は、1994年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏。バンジョー奏者のベラ・フレック(Bela Fleck)、ハーモニカ奏者のマーク・フェルサム(Mark Feltham)が一緒に登場したステージである。まず、この「アメイジング・グレイス」は一瞬この曲とは思えないようなアレンジで、バンジョー演奏を伴いながら、ギターがメロディラインを奏でる。この演奏を枕にして、ハーモニカも加わっての10.「ウォーキン・ブルース」と11.「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」が繰り広げられる。10.の方は有名なデルタ・ブルース曲だが、とにかくかっこよく、音だけでなくステージ上の雄姿を見たくなる。メドレー的にそのままの流れで始まる11.はブルーグラスのやはり有名なナンバーで、結局はロリー・ギャラガー節の演奏になっているのが面白い。 12.「ディープ・エルム・ブルース」は、上述のローラン・ヴァン・カンペンハウトとの共演だが、こちらはライヴでの演奏を収めたもの。同じミュージシャンとの共演でも、スタジオ録音の8.とは全く違っていて、ライヴでの雰囲気や勢いが感じられる。13.「ゴーイン・トゥ・マイ・ホームタウン」は、“スキッフルの王様”ロニー・ドネガンに提供した曲だったというが、スタジオではうまくいかず、ライヴで演奏している1980年代初頭のものが、ここに収められた演奏である。14.「ロンサム・ハイウェイ・リフレイニング」は、無題のまま残されたインスト演奏の音源とのことで、4.「ロンサム・ハイウェイ」のリフが含まれているため、この表題で収録されたということらしい。 前回記事でも述べたように、アルバムとしての流れは期待しない方がいい。曲順通りでも、それを無視しても、とにかく個々の演奏を楽しんで聴きたい盤だと言える。そして、聴いた後には、アコースティックでもロリー・ギャラガーはカッコよく、やはりギター・ヒーローなのだということを改めて確認させられる。そんな一枚と言えるように思う。[収録曲]1. Wheels Within Wheels2. Flight to Paradise3. As the Crow Flies4. Lonesome Highway5. Bratacha Dubha6. She Moved Thro' the Fair/Ann Cran Ull7. Barley and Grape Rag8. The Cuckoo9. Amazing Grace10. Walkin' Blues11. Blue Moon of Kentucky12. Deep Elem Blues13. Goin' to My Home Town14. Lonesome Highway Refraining2003年リリース。 ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ/ロリー・ギャラガー[SHM-CD]【返品種別A】 【国内盤CD】ロリー・ギャラガー / ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ【K2018/3/21発売】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021.07.25
コメント(0)
![]()
没後に発表されたアコースティック演奏曲集(前編) 1948年、アイルランド出身のブルース・ロック・ギタリストでシンガーのロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)は、1995年に47歳という早すぎる死を遂げた。その死から8年ほど後、ちょうど彼が生きていれば55歳になったであろう頃にリリースされたコンピレーション盤が、この『ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ(Wheels Within Wheels)』である。没後の未発表音源集のような盤は多くあるけれど、このアルバムは一風変わっていて、初めてロリー・ギャラガーを聴く人に勧めるような盤ではない。というのも、“アコースティック演奏”がキーワードとなった曲集なのである。 様々な音源から集められた楽曲や演奏なので、正直なところ、全体の統一感などといったところには期待しない方がいい。全体として言えることはというと、エレキ・ギターじゃなくても、ロリー・ギャラガーは最高なギタリストだったということぐらいだろうか。けれども、それは裏を返せば、聴き手は個々の演奏をどこからでも好きに聴いて一つ一つ楽しめるということでもある。そんなわけで、簡潔ではあるけれども、収録された各曲について見ていくことにしてみたい。 表題曲の1.「ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ」は、1977年にアルバム制作のために録音したものの、お蔵入りになった音源という。確かに彼らしい雰囲気のナンバーではないけれど、これはこれで美しく、完成度が高い。2.「フライト・トゥ・パラダイス」は、思いっきりフラメンコ調の美ナンバー。アコースティック・ツアー中に合間をぬって録音された音源だという。3.「烏が飛ぶように」は、1974年の『ライヴ・イン・アイルランド』で演じられていたナンバーだが、そのスタジオ・テイクがここに収められている。ライヴの6分には及ばない4分強の長さだが、迫真の演奏の様子がスタジオのものからも存分に伝わってくる。 4.「ロンサム・ハイウェイ」は、このタイトルだけでなく「イッツ・オンリー・レイニング」のタイトルでも構想されていた曲だったそうで、1975年に録音されたものである。アコースティック・ギターの演奏ながら、ロリー・ギャラガー節の王道と言えるナンバー。5.「黒い旗」は、一転してクラシックのような雰囲気の演奏。これは、彼が敬愛していたフォーク・シンガーのマーティン・カーシー(Martin Carthy)との共演による録音で、トラディショナル曲を取り上げたものである。6.「シー・ムーヴド・スルー・ザ・フェア/林檎の木」も同じくトラディショナル曲で、こちらはバート・ヤンシュとの共演。 長くなってきたので、7.以降は、次回更新の後編へ。(収録曲の一覧も後編の中に掲載しています)。 ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ/ロリー・ギャラガー[SHM-CD]【返品種別A】 ホイールズ・ウィズイン・ホイールズ [ ロリー・ギャラガー ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021.07.23
コメント(0)
![]()
ジャズ・ギターの有名盤 ジョニー・スミス(Johnny Smith)は、1922年アラバマ州に生まれ、メイン州で育ったジャズ・ギタリストで、2013年に死去している。早くに第一線から退いたため、作品数は決して多くないが、クール・ジャズの演奏者として1950年代に人気を博した。ベンチャーズ(ザ・ヴェンチャーズ)の演奏で有名な「急がば廻れ(ウォーク・ドント・ラン)」の作曲者としても知られる人物である。 そんなスミスの代表盤と言えば、『ヴァーモントの月(Moonlight in Vermont)』である。スタン・ゲッツをフィーチャーした表題曲の1.「ヴァーモントの月」は、1952年にシングルとして好評を博した。この曲は、翌1953年に『ジャズ・アット・NBC』という10インチ盤に収録されたが、ややこしいことに、1952年にも同名タイトルの10インチ盤が出されていた。要するに、『ジャズ・アット・NBC』と題された10インチ盤が2つ存在し、1956年になってからこれらを1枚の12インチLPにまとめたのが、この『ヴァーモントの月』ということになる。 そんな経緯に影響されたせいか、ジャケットも2種類が流通していて紛らわしい。一つは月の輝く風景にギターを弾くスミスの写真というもの。筆者の手元にあるのはこちらなので、何となくこれがしっくりくるのだけれど、もう一つ別のジャケットもよく知られる。ピンク地の背景にイラストでギターを弾くスミスが大きくあしらわれ、左下にはテナーを吹くスタン・ゲッツが小さめに描かれているものである。どうやら写真を使ったものの方がこの盤の元来のジャケットで、イラストのものは10インチ盤に由来するということのようである。 いずれもテナー・サックスの入ったクインテット演奏なのだけれど、1952年から1953年にかけての複数回のセッションが含まれていて、ジョニー・スミス本人とピアノのサンフォード・ゴールド以外はセッションごとに異動がある。テナーは全16曲のうち、スタン・ゲッツが8曲で、残りは、ズート・シムズとポール・クイニシェットが4曲ずつである。全体としては、ギター演奏があくまでメインで、テナーがでしゃばり過ぎることはない(とはいえ、ゲッツ、シムズ、クイニシェットの個性の違いははっきり出ている)。ピアノ・トリオも全体的に抑え気味で、ムードよくギターを中心に聴かせようという意図があったかのように見える。それでいて、高度な演奏技術のギターをさらりと披露しているところが本盤全体としては注目したいところと言えるだろうか。 個々の曲で筆者のお気に入りをいくつか挙げておきたい。1.「ホエア・オア・ホエン」のまったりした感じは、このアルバムのリラックス・ムードを象徴する演奏。アルバム表題にもなっている3.「ヴァーモントの月」も1.と同じ流れの中にある演奏で、スタン・ゲッツならではのサックスも相まって、ヴァーモント(行ったことすらないけれど)の月景色が浮かんでくる。面白いのは、「ジャガー」で、スタン・ゲッツが入った4.とズート・シムズが入った15.が聴き比べられる(個人的にはズートが参加した方に軍配を上げたい)。12.「チェロキー」も個人的にお気に入りで、難しいことをクールにさらりとやってのけるというジョニー・スミスの本領が発揮されている演奏だと思う。他にも個々の曲を挙げていくときりがないのだけれど、とにかく聞き流したい人にも集中して楽しみたい人にもどちらにも満足のいく盤というのは、どこにでもあるものではない。本盤はそういう性質をもった稀有の盤の一つでもあるのかなと感じる。[収録曲]1. Where or When2. Tabú3. Moonlight in Vermont 4. Jaguar5. Stars Fell on Alabama6. Tenderly7. (I Don't Stand a) Ghost of a Chance8. Vilia9. Cavu10. I'll Be Around11. Yesterdays12. Cherokee13. Sometimes I'm Happy14. Nice Work If You Can Get It15. Jaguar (別ヴァージョン)16. My Funny Valentine[パーソネル、録音]Johnny Smith (g)Stan Getz (ts, 1.~6.,13.~14.),Zoot Sims (ts, 7.~8.,15.~16.),Paul Quinichette (ts, 9.~12.)Sanford Gold (p)Eddie Safranski (b, 1.~4.,7.~8.,15.~16.), Bob Carter (b, 5.~6.,13.~14.), Arnold Fishkind (b, 9.~12.)Don Lamond (ds, 1.~4.,7.~12.,15.~16.), Morey Feld (ds, 5.~6.,13.~14.)1952年3月11日(1.~4.)、1952年4月(7.~8.,15.~16.)、1952年11月(5.~6.,13.~14.)、1953年8月(9.~12.)録音。 【輸入盤CD】Johnny Smith / Moonlight In Vermont (リマスター盤) (ジョニー・スミス) 【中古】 ヴァーモントの月 /ジョニー・スミス 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021.07.20
コメント(0)

INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたい です)をクリックお願いします! ↓ ↓
2021.07.18
コメント(0)
![]()
未発表音源リリースとなった“初ソロ作” ザ・フー(The Who)の顔であり、屋台骨であるピート・タウンゼント(Pete Townshend)が最初にソロ名義で発表したのが、1972年の本盤『フー・ケイム・ファースト(Who Came First)』だった。とはいえ、これは、一般的なソロ作品と同列には見なせない複雑な事情も含んだ盤であった。 初ソロ作というと、通常はバンド活動とは別に何らかの意図をもって自身の新たな作品を制作したというイメージを連想するだろう。けれども、本盤は、そうしたものとは違って、リリース前の数年間の音源を集めた編集盤となっている。初ソロ作が編集盤となった経緯は、次のようなものだった。当時タウンゼントが心酔していたインドのグル(霊的指導者)、メヘル・ババのために制作されたアルバムの中にタウンゼントの未発表音源が収められた。しかし流通範囲が限られたことからそれらの音源はブートレグ(海賊盤)化して出回るようになった。そこでレコード会社はタウンゼントに働きかけ、それらの音源を含めた編集盤をリリースしたというわけである。 そのようなわけで、アルバムとしてのまとまりは正直なところないと言っていい。けれども、注目曲がいくつも含まれているという意味では無視しがたい作品でもある。そのいくつかに簡単に触れておきたい。 1.「ピュア・アンド・イージー」は、頓挫して実現しなかった“ライフ・ハウス”プロジェクトの楽曲。他にも1971年にシングル発表された4.「レッツ・シー・アクション」なんかが、元々はこのプロジェクトのために用意された曲だった。上述のババ師の生誕75周年を祝うアルバム(ユニヴァーサル・スピリチュアル・リーグというババの教えを広げるための組織が1970年にリリースした『ハッピー・バースデイ』)に収録されていた楽曲としては、2.「エヴォリューション」、8.「コンテント」がある。後者はババ信奉者の女性が書いた詞にタウンゼントが曲をつけたものとのこと。ユニヴァーサル・スピリチュアル・リーグは、1972年(本盤の発表よりも前)にもう1枚『アイ・アム』というアルバムを制作しており、3.「フォーエヴァーズ・ノー・タイム・アット・オール」と9.「パヴァーディガー」はそちらの盤に収録されたものである。 なお、リリース時には本盤には9曲が収められていたが、CD化に伴ってボーナス・トラックが追加された。筆者の手持ちの盤(以下の曲目を参照)では、6曲が追加収録されていて、とりわけ12.「デイ・オブ・サイレンス」や14.「ザ・ラヴ・マン」なんかはなかなかの好曲だと思う。また、筆者は未聴だけれども、後のCDリリースではボーナス・トラック数曲がさらに増え、2018年の45周年記念エディションでは、2枚組になってCDの2枚目が丸ごと追加曲になっている。[収録曲]1. Pure & Easy2. Evolution3. Forever’s No Time At All4. Let's See Action5. Time is Passing6. There’s a Heartache Following Me7. Sheraton Gibson8. Content9. Parvardigar~以下、CD(1990年代のRyko盤)のボーナス・トラック~10. His Hands11. The Seeker12. Day of Silence13. Sleeping Dog14. The Love Man15. Lantern Cabin1972年リリース。 【輸入盤CD】Pete Townshend / Who Came First (w/Bonus Tracks) (ピート・タウンゼント) 【中古】 【輸入盤】Who Came First /ピート・タウンゼント 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021.07.15
コメント(0)
![]()
3人組体制の集大成的ライヴ盤(後編) 前年の『ザ・シングル・ヒッツ・コレクション:ライヴ前編』に続き、1993年にリリースされたのが、ジェネシス(Genesis)の本ライヴ盤、『もうひとつのジェネシス:ライヴ後編(Live -The Way We Walk, Volume 2: The Longs)』である。日本盤では“前編”・“後編”という名称であるが、元の盤でも“ヴォリューム1”・“ヴォリューム2”と銘打たれていて、リリースは同時ではなかったものの、2枚で一対のライヴ盤といった風になっていた。 原題に“The Longs”とある通り、この“後編”では、10分を超える長尺の演奏曲やメドレー形式の演奏が全6トラック収められている。音源は前年の『ウィ・キャント・ダンス』のツアーのもので、1992年7月10日(1., 3., 5., 6.)と同13日(2., 4.)のドイツ、ハノーファーでの2公演のものである。 聴きどころは、まず、20分近くに及ぶ1.「オールド・メドレー」。『月影の騎士』(1973年)からのシングル曲だった「アイ・ノウ・ホワット・アイ・ライク」や、『眩惑のブロードウェイ』(1974年)の表題曲「ザ・ラム・ライズ・ダウン・オン・ブロードウェイ」など、過去のジェネシスをメドレー形式で聴かせるもの。もちろんピーター・ガブリエルではなく、フィル・コリンズのヴォーカルなわけだけれど、オールド・ファンにとってはなかなか盛り上がれるメドレーだと思う。もう一つ、本盤の聴きどころとして触れておきたいのは、3.「ドミノ」。『インヴィジブル・タッチ』(1986年)に収められていたナンバーなのだけれど、元々10分超えの大作で、これをライヴのパフォーマンスでじっくり聴けるとは有り難い。ちなみに、当時のライヴではスクリーンを使った派手なヴィジュアル演出を伴っていたとのことである。 他に2.も4.も捨てがたく、結局は全部が聴きどころということになってしまうのだけれど、最後にあと1曲だけ触れておきたい。6.「ドラム・デュエット」というトラックである。正式メンバーが3人のジェネシスのライヴ・ツアーには、当然ながら追加のミュージシャンが加わっていた。ドラマーのチェスター・トンプソンは長年ジェネシスのツアー・メンバーを務めたのだが、本来のジェネシスのドラマーであるフィル・コリンズと2人でドラム・デュエットをしているというもの。これもある種ライヴでの見せ場となっており、なかなか面白い。 ちなみに、英国チャートにおいて、『前編』の最高位は3位だったが、本盤は1位を記録した(全米ではそれぞれ35位と20位)。その一方、累積売り上げを見ると、この『後編』よりも『前編』の方がはるかに多くの枚数が売れたようである。つまり、何が言いたいのかというと、プログレ時代からの古いファンにとっては、2枚組ライヴ・アルバムのような聴かれ方をし、その一方で、直近のファンにはヒット曲ベスト盤ライヴ的に『前編』のみ買う人が案外多かったということなのだろう。余談ではあるが、結果的に、2枚組ではなく、タイミングをずらして別々の2枚の盤というリリースの形は、売り上げ面でも成功したということも言えたりするんじゃないだろうか。[収録曲]1. Old Medley: Dance on a Volcano/The Lamb Lies Down on Broadway/The Musical Box/Firth of Fifth/I Know What I Like (In Your Wardrobe)2. Driving the Last Spike3. Domino: Part I-In the Glow of the Night/ Part II-The Last Domino4. Fading Lights5. Home by the Sea/Second Home by the Sea6. Drum Duet1993年リリース。 【輸入盤CD】GENESIS / LIVE: WE WALK 2--LONGS (ジェネシス) 【中古】 【輸入盤】ライヴ:ウェイ・ウィ・ウォーク・VOL.2 /ジェネシス 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021.07.12
コメント(0)
![]()
3人組体制の集大成的ライヴ盤(前編) ピーター・ガブリエル、スティーヴ・ハケットと主要メンバーが抜けていき、そして“3人が残った”ジェネシス(Genesis)は、1980年代、ポップな方向性に舵を切って大成功を収めた。この3人組での活動期の集大成的ライヴ盤と言えそうなのが、今回取り上げる2枚のライヴ・アルバム(原題は『ザ・ウェイ・ウィー・ウォーク』となっていて、それぞれ”Vol. 1”、”Vol. 2”と称されている)である。 その1枚目である『ザ・シングル・ヒッツ・コレクション:ライヴ前編(Live -The Way We Walk Volume One: The Shorts)』には、『インヴィジブル・タッチ』のツアー(1986年の音源から1曲、1987年の音源から2曲)、『ウィ・キャント・ダンス』のツアー(1992年7月~8月の3つの公演から8曲)の演奏が収められている。 1980年代の彼らの代表曲・ヒット曲メドレーでも言うべき内容なので、捨て曲はない。通して聴いて当時のライヴ・パフォーマンスにただただ浸るというのが正しい聴き方の盤とでも言えばよいだろうか。収められているのは11曲で、いずれもがシングルとして発売されたナンバーである。 まず、セルフ・タイトル盤『ジェネシス』(1983年)の収録曲からは、6.「ママ」と8.「ザッツ・オール」の2曲が収められている。次に、最も曲数が多い(というかそもそもシングルの数も多い)のが、『インヴィジブル・タッチ』(1986年)からのものである。1.「混迷の地(ランド・オブ・コンフュージョン)」、4.「スローイング・イット・オール・アウェイ」、9.「イン・トゥー・ディープ」、10.「トゥナイト、トゥナイト、トゥナイト」、11.「インヴィジブル・タッチ」の5曲が本ライヴ盤に収録されている。さらに、『ウィ・キャント・ダンス』(1991年)からは、2.「ノー・サン・オブ・マイン」、3.「ジーザス・ヒー・ノウズ・ミー」、5.「アイ・キャント・ダンス」、7.「ホールド・オン・マイ・ハート」という4曲のライヴ演奏を本盤で聴くことができる。[収録曲]1. Land of Confusion 2. No Son of Mine3. Jesus He Knows Me 4. Throwing It All Away 5. I Can't Dance6. Mama7. Hold on My Heart8. That's All9. In Too Deep 10. Tonight, Tonight, Tonight 11. Invisible Touch 1992年リリース。[参考記事リンク]ジェネシス 『もうひとつのジェネシス:ライヴ後編』 【輸入盤CD】GENESIS / LIVE: WE WALK 1--SHORTS (ジェネシス) 【中古】 ザ・シングル・ヒッツ・コレクション:ライヴ前編 /ジェネシス 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021.07.10
コメント(0)
![]()
いわくつきの“ライヴ盤” ザ・バンド(The Band)のライヴ盤と言えば、『ロック・オブ・エイジズ』あるいは『ラスト・ワルツ』。これらを差し置いて優先されるライヴ盤はない。けれども、今回は彼らのいわくつきの“ライヴ盤”に目を向けてみたいと思う。1995年に発売された『ライヴ・アット・ワトキンス・グレン(Live at Watkins Glen)』というのがその盤である。 アーティストの作品は、時に制作途中で頓挫したり、出来上がったとしても何らかの理由でお蔵入りになってしまうことがある。この盤は、1974年に『イズ・エヴリバディ・ウェット?(Is Everybody Wet?)』の表題でリリースが予定されていたらしいが、キャンセルされて“お蔵入り”となった。それから20年以上が経過した1995年、この『ライヴ・アット・ワトキンス・グレン』となってリリースされた。“お蔵入り”から“蔵出し”とういことになったわけである。 この“蔵出し”盤は、賛否両論(というか、否の声の方が圧倒的に大きい)となった。というのも、早い話が本当のワトキンス・グレン・サマー・ジャム(1973年夏の大規模ライヴ)の音源をそのまま収録した盤ではないからだ。どうやら2曲(5.「トゥー・ウェット・トゥ・ワーク」と9.「ジャム」)だけが、該当するライヴの音源で、残りはアウトテイクにライヴ風の音声加工を施した“作り物”であったり、別のライヴ音源だったりするのである(5.なんかは悪天候の雷鳴音なんかが妙に大袈裟に聞こえるので、その辺も加工されているのかもしれない)。1.「バック・トゥ・メンフィス」と2.「エンドレス・ハイウェイ」は、『ムーンドッグ・マチネー』のアウトテイクで、加工前の演奏はそちらの盤のリマスター(2001年)で聴くことができる。3.「アイ・シャル・ビー・リリースト」を含む何曲かは、ライヴ盤『ロック・オブ・エイジズ』のアウトテイクとのこと。さらに、出所がよくわからない音源の曲もいくつか含まれている。 このようなわけで、“フェイク盤”などと揶揄されるのだけれど、羊頭狗肉や疑似ライヴ加工は確かに非難されても仕方がない。だからと言って聴くに値しない演奏内容かと言えば、そういうわけでもない。つまるところ、もうちょっと違う形で作品化されればもっと違う評価を受けた可能性が高いと言えると思う。今の時代にこんな作品というか“商品を売り出す”なんてことをすれば、あっという間にネットで炎上ものである。それにしても、活動当時にリリースが中止になったとはいえ、ザ・バンドのメンバーがなぜこんな加工を是としたのか…。何ともすっきりせず、疑問が残り続ける盤だったりする。[収録曲]1. Back to Memphis2. Endless Highway3. I Shall Be Released4. Loving You Is Sweeter Than Ever5. Too Wet to Work6. Don't Ya Tell Henry7. The Rumor8. Time to Kill9. Jam10. Up on Cripple Creek1995年リリース。 【中古】 ライヴ・アット・ワトキンス・グレン /ザ・バンド 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021.07.07
コメント(0)
![]()
地味ながら聴き逃がせない70年代前半の好盤 エリック・ジャスティン・カズ(Eric Justin Kaz)は、1946年、ニューヨーク生まれのシンガーソングライターである。1970年代前半に2枚のソロ作(なお、2015年に41年ぶりの新作が出ているが、筆者は未聴)を残し、さしたるセールスも上げることはなかった。それどころか、日本では当時発売すらされなかったという。その2枚のうち、1972年のファースト・ソロ作が本盤『イフ・ユアー・ロンリー(If You're Lonely)』である。 全曲自作(5.のみ共作)で、鼻にかかった声で淡々と歌う。派手な盛り上がりもなければ、過剰な演出もない。けれども、以下の2つの点で聴き逃がせない好作品に仕上がっているという風に思う。 一つめは、楽曲そのもののよさである。孤独や切なさがテーマになっていてそれを淡々と歌い上げるというスタイルが、かえって詞や楽曲のよさを際立たせているように思う。二つめは、そのシンプルな楽曲の演奏スタイルが決して偶然ではなく、おそらくは綿密に作り込まれた結果という点である。実は、本盤のプロデューサーは、かのマイケル・カスクーナで、ジョージ・デュヴィヴィエをはじめジャズ系ミュージシャンが演奏を支えている。他のゲストもなかなか豪華で、曲の提供者としてコンスタントに活動をしていたことによる人脈もうかがえる。ボニー・レイットがスライド・ギターを披露したり、トレイシー・ネルソンがバッキング・コーラスを務めていたりする。 注目したい曲をいくつかだけ挙げておきたい。表題曲の2.「イフ・ユアー・ロンリー」は、カズのシンガーソングライターとしての本領発揮曲の一つと言えるように思う。他のアーティストとの関わりという意味では、トレイシー・ネルソンで知られる7.「マザー・アース」が代表格なのだろうけれど、後にリンダ・ロンシュタットが取り上げた6.「クライ・ライク・ア・レインストーム」(ロンシュタットは1980年代にこれを表題にしてアルバムを制作している)などといった注目の仕方も面白いかもしれない。[収録曲]1. Cruel Wind2. If You're Lonely3. Temptation (Took Control of Me and I Fell)4. Time Has Come5. Tonight, the Sky's About to Cry6. Cry Like A Rainstorm7. Mother Earth (Provides for Me)8. When I'm Gone9. Someday, My Love May Grow10. Christ, It's Mighty Cold Outside1972年リリース。 イフ・ユアー・ロンリー [ エリック・ジャスティン・カズ ] 【送料無料】 Eric Justin Kaz / If You're Lonely 【紙ジャケット/SHM-CD】 【SHM-CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021.07.04
コメント(0)
![]()
トロンボーン奏者の密かな好演 ベニー・グリーン(Bennie Green)は、1923年シカゴ生まれのトロンボーン奏者で、1977年に亡くなっている。1950年代から60年代にかけて、自身のリーダー作を多く残したほか、様々なミュージシャンのサイドマンも務めた。ちなみに、同姓同名のピアノ奏者も存在するが、そちらは全くの別人である。 ベニー・グリーンは、J・J・ジョンソンとは違った流れに位置するトロンボーン奏者ということになるが、小気味よいスウィング感、優れた演奏技術、そしてソウル感のあるバックグラウンドを感じさせる演奏の組み合わせがその特徴と言える。本盤『ウォーキング・ダウン(Walking Down)』は、1956年プレスティッジでの吹込み盤で、彼のトロンボーンに加えてテナーが入ったクインテット演奏盤である。 全部で5曲(自作が1曲で、残りはスタンダード曲)が披露されているが、特に素晴らしいのは、前半(LPだとA面)の2曲の演奏。いずれも12分ほどの長めの尺の演奏なのだけれど、1.「ウォーキング」も2.「過ぎし日の夏の思い出(ザ・シングズ・ウィー・ディド・ラスト・サマー)」も、演奏の流れや展開が絶妙で、曲の途中で大きく変化をつける工夫もいい。トロンボーンをしっかり聴かせる部分があるだけでなく、サックスのエリック・ディクソンの見せ場、ピアノがいい味を出す箇所、といった具合で、とにかく聴き手を飽きさせない10数分をそれぞれ展開している。とりわけ、1.のエリック・ディクソンのテナーは聴きどころになっていると言える。 ついでに面白いのは、ベニー・グリーン自作曲の3.「イースト・オブ・ザ・リトル・ビッグ・ホーン」。短いながら、トロンボーンのよさに加え、テナーのエリック・ディクソンの演奏も冴えている。ベニー・グリーンの魅力を楽しみ、なおかつマイナーなサックス奏者エリック・ディクソンのテナーも堪能できるという、決して有名な盤というわけではないかもしれないが、なかなか贅沢な好演奏盤ということができるように思う。[収録曲]1. Walkin' (down)2. The Things We Did Last Summer3. East of The Little Big Horn4. It's You or No One5. But Not for Me[パーソネル、録音]Bennie Green(tb) Eric Dixon(ts) Lloyd Mayers(p) Sonny Wellesley(b) Bill English(ds)1956年6月29日録音。 【中古】 Bennie Green / Eight Classic Albums 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021.07.01
コメント(0)
全11件 (11件中 1-11件目)
1