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シリア西部、トルコと国境を接しているイドリブはジハード傭兵に支配されてきた。ブレット・マクガークはアメリカの大統領特使を務めていた時代の2017年7月、イドリブについて、9/11以降、アル・カイダの最も大きな避難場所になっていると表現している。 アル・カイダという名称を世界に広げたのはジョージ・W・ブッシュだろう。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後にブッシュ大統領が実行者としてアル・カイダの名前を出したのだ。 しかし、アル・カイダという武装組織は存在しない。ロビン・クック元英外相がガーディアン紙に書いているが、アル・カイダとはCIAが訓練したムジャヒディンの登録リストにすぎない。 アラビア語でアル・カイダとはベースを意味し、データベースの訳としても使われる。その中からピックアップされた戦闘員を中心として編成されたのがアル・カイダ系武装勢力で、その主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だ。 イドリブにはトルコ政府を後ろ盾とするタクフィール主義者の武装背力SNAも存在している。その武装勢力が支配してきたイドリブ南部の相当部分をシリア政府軍が奪還したが、その進撃を止めるためにトルコ軍部隊が南部へ向かった。 現地からの情報によると、SNAを攻撃していたシリア政府軍のSu-22戦闘爆撃機2機が約400名の兵士を乗せたトルコ軍の車列を空爆して止めた。兵士が道路脇の建造物へ避難すると、その建造物をロシア軍のSu-34戦闘爆撃機が破壊、33名から55名のトルコ軍兵士が殺されたという。 ロシア政府は連絡の問題だとしているが、トルコ政府に対する警告だとも見られている。ロシア軍は地中海へ2隻のフリゲート艦を派遣したと伝えられているが、これもトルコ側への警告だろう。トルコ軍が戦闘をエスカレートさせた場合、イドリブのトルコ軍を全滅させるという脅しに見える。 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアのウラジミル・プーチン大統領と電話で話をしているようだが、ロシア政府によると、3月5日と6日に両者はモスクワで会談が予定されている。
2020.02.29
株式相場が大きく値下がりしているようだ。日経平均株価を見ると、今日(2月28日)昼すぎの時点で、1月31日から約3100円、2月20日から約2800円の値下がりになっている。株価が下がった最大の要因は新型コロナウイルスの感染拡大なのだろう。 このウイルスに感染している人が最初に見つかったのは中国の武漢だと言われているが、ここは生産活動の重要な拠点のひとつで、中国経済に対する影響は小さくない。 中国に経済的な攻撃を仕掛けていたアメリカ政府やそうした政策の支持者の中には武漢での病気蔓延を見て喜ぶ人もいたようだが、グローバル化が推進される中、中国での生産麻痺は世界へ波及する。ジャーナリストのF. ウイリアム・イングダールによると、アメリカで使われている医薬品の約80%は中国で製造されているのだという。中国の生産活動が麻痺するとアメリカは自国の病気に対処できないことになる。 本ブログでは何度も書いたことだが、アメリカは1970年代から製造業が国外へ出はじめた。そのひとつの結果が自動車産業の象徴的な存在だったデトロイトの衰退である。 バラク・オバマはアメリカ大統領だった2011年2月、アップルのCEOを務めていたスティーブン・ジョブスに対し、同社のiPhoneをアメリカで生産しないかともちかけている。が、ジョブスはアメリカへ戻ることはないと断っている。 ジョブスによると、中国では必要な組立工やエンジニアを集めることが容易。しかも生産規模を柔軟に変更でき、供給ラインが充実しているうえ、労働者の技術水準が高いからだという。アメリカでは公教育が破壊され、生産の現場で働く人びとの水準が低下しているという。日本も似たような情況だと言われている。 こうした経済構造ができあがっているにもかかわらず中国に経済戦争を仕掛けているのがアメリカ。1991年12月にソ連が消滅するとネオコンは国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇プランを作成している。その中心になったのが国防次官だったポール・ウォルフォウィッツ。 ソ連消滅後の潜在的なライバルである西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアを押さえ込み、力の源泉であるエネルギー資源を支配してアメリカ主導の新秩序を築き上げようというわけだ。中でも警戒していたのが中国である。「東アジア重視」とはそういうことにほかならない。 ソ連が解体されて残った核がロシアだと言えるだろう。そのロシアは西側資本の傀儡だったボリス・エリツィンが大統領として君臨、西側がロシアの富を略奪する手助けをする。クレムリンには腐敗グループが形成されたが、その中心にいたのはエリツィンの娘であるタチアナだ。当時のロシアは西側資本の属国と化していた。 21世紀に入ってそのロシアにウラジミル・プーチンが登場、不十分ながら再独立に成功するのだが、中国は新自由主義の国。新自由主義の教祖的な存在であるシカゴ大学のミルトン・フリードマンが1980年に中国を訪問して新自由主義、つまりレッセフェール流の資本主義路線を採用させた。ミルトン・フリードマンは1988年に妻のローザとともに中国を再び訪れ、趙紫陽や江沢民と会談している。また中国からは多くの若者が留学生としてアメリカへ渡り、その新自由主義的な考え方をイデオロギーをたたき込まれることになる。 こうした情況を作り上げたということもあり、アメリカは中国をコントロールできていると考えていたのだが、2014年のバラク・オバマ政権による暴力的な政策が状況を一変させた。この年の9月から12月まで香港でアメリカとイギリスは「佔領行動(雨傘運動)」を引き起こして北京を揺さぶり、オバマ政権はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行し、中東ではダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を売り出している。その内容は本ブログで書いてきたことなので、今回は割愛する。 ウクライナでクーデターを仕掛けて理由のひとつは、EUとロシアを結びつけつつあった天然ガスのパイプランがそこを通っているからだ。ウクライナに傀儡体制を築いてエネルギー資源の輸送をアメリカがコントロール、EUのアメリカ依存を強め、ロシアからマーケットを奪って経済破綻させようとしたのだが、ロシアは中国と手を組んだ。こうした展開はアメリカ支配層の想定外だったようだ。 ロシアと中国は戦略的な同盟関係に入ったとされているが、この事実を受け止められない西側の人びとは早晩分裂すると主張している。中露は関係を強めるため、両国をつなぐパイプライン、道路、鉄道などで結びつけ、経済交流を盛んにし、通貨のドル離れも推進、中国が進めている「一帯一路(BRIとも表記)」とロシアのプランは一体化させつつある。中国とロシアは分裂すると西側で唱えられている間に中国やロシアでは両国の関係を強めるための手を打っている。 アメリカの支配層にとって中国とロシア/ソ連の同盟は悪夢。ニキータ・フルシチョフがソ連の書記長だった時代に中国とソ連は激しく対立するようになるが、その再現を願っている人もいる。 中ソ対立の中、1972年2月にリチャード・ニクソンが中国を訪問して米中の国交回復を実現。その裏ではヘンリー・キッシンジャーは秘密裏に動いていたのだが、これは単にアメリカと中国とが関係を改善することが目的ではなく、中国をアメリカ側へ引き寄せ、中国とソ連との関係を冷やそうとしていたのだろう。こうして築いたアメリカと中国との関係をオバマ政権のネオコンは破壊したとも言える。
2020.02.28
イランで発見された新型コロナウイルスの感染者は245名、そのうち26名が死亡したと伝えられている。患者の人種は不明だが、東アジア系でなく国民の中で比率の高いペルシャ系、アゼルバイジャン系、クルド系などだとするならば、東アジア系の人びとが罹患しやすいという噂は正しくないのかもしれない。そうなると世界規模の感染、いわゆるパンデミックになる可能性がある。 そこで注目されているのが世界銀行(国際復興開発銀行)が2017年6月に発行した債券、PEF(パンデミック緊急ファシリティ)だ。対象になる感染症や金利の違いから2種類あり、額面総額は3億2000万ドル。償還予定日は2020年7月7日だ。 それまでにパンデミックが発生した場合、国際開発協会(IDA)の融資適格国、つまり、ひとり当たりGNI(国民総所得)が毎年新たに定められる上限を超えていない相対的に貧困な国が保険金支払いの対象になる。その支払いには投資元本が使われるため、満額償還されない。つまり、今年7月7日までにパンデミックが宣言され、相対的貧困国へ感染が広がった場合、投資家は損することになる。 しかし、アメリカにおけるインフルエンザの感染状況に関心を示さないメディアが新型コロナウイルスで危機感を煽るのは正しくない。事実を正確に伝えれば良いことだ。 ちなみに、アメリカのCDC(疾病管理センター)によると、アメリカにおける今シーズン(2019年から20年)のインフルエンザに感染した人は少なくとも2900万人、死者は1万6000人を超えたという。
2020.02.28
アメリカ軍の中で中東、エジプト、アフガニスタンにかけての地域を担当しているのは中央軍だが、その中央軍に替わってNATO軍が入ってくるという話がある。イドリブの情況を見ていると、トルコがNATO加盟国として動き始めたように感じられる。NATOの登場がトルコをロシアやシリアから引き離すことにつながるという見方もある。 中東地域の要石をアメリカはイラクだと考えている。1980年代からネオコンはイラクに親イスラエル体制を築いてシリアとイランを分断、それぞれを個別撃破しようと考えていた。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官は1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると語っている。(3月、10月) 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された10日後、イラクを攻撃することが決まったと元同僚から聞かされて驚いたクラークは数週間後、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを破壊すると知らされたという。クラークも統合参謀本部の元同僚も理由はわからなかったという。こうした中東からサハラ以北のアフリカに対する侵略戦争は始まった。 その侵略戦争にはアメリカのほか、サウジアラビア、イスラエル、イギリス、フランス、カタール、トルコなどが参加、2016年にカタールとトルコは離脱していた。そのトルコがNATOの登場で再び侵略国側に戻るかどうかが注目されている。
2020.02.27
ダイヤモンド・プリンセスというクルーズ船で新型コロナウィルスの感染が広がり、問題になっている。乗員や乗客だけでなく厚労省の職員や検疫官も罹患したようだ。 防護服を着なければならない区域と脱いでかまわない区域が明確でなく、常駐してるプロの感染対策の専門家がいないと指摘した神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授を安倍晋三政権は批判していたが、岩田教授のような指摘をする人はほかにもいる。橋本岳厚労副大臣などはそうした指摘に対する反論の中で「清潔ルート」と「不潔ルート」が合流していることを示す写真を公表、失笑を買っていた。 感染管理が杜撰だと言われて当然な情況だが、単に政府が無能でそうした事態になったのか、あるいは病気を蔓延させるため、意図的に行ったのかは判断できない。蔓延させるシナリオが存在し、そのシナリオにとって邪魔な専門家を排除したのではないかとさえ思える。 新型コロナウィルスの感染が明らかになった頃、中国の細菌兵器が漏れたという話が広められていたが、本ブログで繰り返し書いてきたように、アメリカの細菌兵器部門が関与している疑いがある。中国の細菌兵器開発が原因でないからといって、問題のウィルスが細菌兵器でないということにはならない。 アメリカの好戦派は1990年代から中国を制圧するプロジェクトを本格化させている。好戦派の中でも大きな影響力を持つネオコンは1991年12月にソ連が消滅した後、潜在的ライバルを潰し、力の源泉であるエネルギー資源の独占しようとする。潜在的ライバルの筆頭は中国だ。 この世界制覇プランは1992年2月に国防総省のDPG草案という形で作成されている。当時の大統領はCIA出身のジョージ・H・W・ブッシュで、国防長官はリチャード・チェイニー。DPG草案は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心とするネオコンのグループがまとめた。そこでこのプランはウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。その後の展開は本ブログで繰り返し書いてきたので、今回は割愛する。 アメリカは正規軍の戦いでロシアに勝つことは無理である。これは南オセチアやシリアでの戦闘で明確になった。核戦争ではアメリカも死滅する。細菌戦を彼らが選択しても不思議ではないのだが、グローバル化が進められた現在、中国への攻撃が世界へ波及することは明かだった。 アメリカの支配体制が崩壊へ向かう中、自分のタイミングで世界経済を破壊して新たな体制でも支配者であり続けようと考えても不思議ではないが、それが思惑通りに進むとは限らない。
2020.02.26
アメリカのCDC(疾病管理センター)によると、アメリカにおける今シーズン(2019年から20年)のインフルエンザ感染者数は少なくとも2900万人、死者は1万6000人を超えたという。その死者の中に新型コロナウィルスの患者が含まれているのではないかという推測が日本のテレビ番組の中で語られたと話題になっているのだが、この推測が正しいなら、新型コロナウィルスの深刻度は若干、軽減される。新型コロナウイルスは東アジア系の人びとが罹患しやすく、重症化する傾向があると噂されてきたが、それは非東アジア系の人びとが開発した生物化学兵器である可能性が高いことを示しているからだ。 もしアメリカで広く問題のコロナウィウルスが広がっているなら、非東アジア系の人びとにも感染、犠牲者が出ている可能性が高い、それが生物化学兵器であったとしても使いにくい。いわば自爆攻撃になってしまうからだ。 中国の武漢で新型コロナウィルスが広がり始めた頃、西側では中国が開発した細菌兵器が漏れ出たとする話が伝えられたが、本ブログでも書いたように、現在ではアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)やDTRA(国防脅威削減局)が注目されている。 両機関は2018年からコロナウィルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進め、DARPAと関係の深いアメリカのデューク大学が中国の武漢大学と提携、2018年にデューク崑山大学を開設していることも理由のひとつだ。 アメリカにおける生物化学兵器の研究開発で中心的な役割を果たしてきたのは陸軍感染症医学研究所があるフォート・デトリック。アメリカで細菌兵器の研究開発が始まったのは1920年頃だと言われているが、劇的に変化したのは第2次世界大戦後のことだろう。日本から重要な研究資料がアメリカへ渡されたと言われているのだ。それ以来、アメリカは生物化学兵器の研究開発で先頭を走っている。 1930年代から日本軍は捕虜を使い、中国で生体実験を始める。生物化学兵器を開発する一環で、その責任者が京都帝国大学医学部出身の石井四郎中将だった。生体実験のため、秘密裏に部隊が編成される。当初は加茂部隊と呼ばれたが、その後東郷部隊に名を変え、1941年からは第731部隊と呼ばれるようになった。 戦犯に問われることなく帰国した石井は1946年1月から2月にかけて自宅でCIC(米陸軍対諜報部隊)の尋問を受けているが、厳しいものではなかった。その際、GHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と親しくなっている。(Peter Williams & David Wallace, “Unit 731”, Free Press, 1989) 1947年4月にはキャンプ・デトリック(1955年からフォート・デトリックへ格上げ)から研究者がやって来て、第731部隊の幹部を尋問している。その直前、厚木基地からほど近い倉庫でアメリカ軍の極東医療分隊に所属する「406医療一般研究所」が活動を始めた。そこは病原体の媒介昆虫に関する研究用の「倉庫」と見なされていた。後に同部隊は東京都千代田区丸の内の三菱ビル内に本部を移し、朝鮮戦争の際には戦闘地域へ要員を派遣することになる。(Stephen Endicott & Edward Hagerman, "The United States And Biological Warfare", Indiana University Press, 1998) 本ブログでは何度か書いたことだが、アメリカはロシアや中国の周辺に細菌兵器の研究施設を建設してきた。そうした施設が作られた国として名前が挙がっているのは、ウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアなど。アフガニスタン、パキスタン、台湾、フィリピン、韓国、そして日本にもアメリカ国防総省の影響下にある細菌に関する研究施設が存在しているという。 また、今回のケースでは、2018年に「弱毒化されたコロナウィルス」に関するアメリカの特許が認められたことも注目されている。特許を申請したピルブライト研究所の主要出資者はWHO(世界保健機関)、EC(欧州委員会)、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金など。 コロナウィルスのワクチンに関する特許をこの研究所は持ったのかもしれないが、ロシア駐在中国大使の張漢暉によると、新型コロナウィルスに有効なワクチンを中国は作り出すことに成功、最終的な試験を行っているという。 2019年3月にはカナダのNML(ナショナル細菌研究所)から中国へ非常に毒性の強いウィルスが秘密裏に運ばれて中国当局から抗議され、7月にはそのNMLから中国人研究者が追い出されたことも話題になったが、10月にジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターが世界経済フォーラムやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金と共同でコロナウィルスの世界的流行に関するシミュレーションをするために集めたことも注目されている。 この会合にコロナウィルスによる病気と関係の深い中国人は招かれなかったが、アメリカ軍の幹部やネオコンが参加していた。そして会合の翌日、軍事演習に参加するために300名のアメリカ軍将兵が武漢に到着、その2週間後にコロナウィルスの最初の感染が見つかる。新型コロナウィルスの潜伏期間は14日だ。
2020.02.25
2月22日にネバダ州で開かれた民主党の党員大会でバーニー・サンダースが勝利したようだ。サンダースの政策を政策を支配層が受け入れるようには思えず、このままサンダース人気が続けばさらに強力な手段を講じてくるだろう。 20日から22日にかけてCBSニュース実施した世論調査ではサンダースが28%、ジョー・バイデンは17%、マイケル・ブルームバーグは13%、エリザベス・ウォーレンは19%、ピート・ブータジャジは10%、エイミー・クロブシャー5%、トム・ステヤー2%、トゥルシ・ガバード1%でサンダースが強い。そうした情況の中、「リベラル」というタグをつけた有力メディアはロシアがサンダースを支援していると証拠を示すことなく宣伝している。2016年の選挙と同じパターンだ。 今のところサンダースを攻撃する手法は2016年と同じで「ロシアゲート」だが、これは嘘がすでに露見したデマゴギー。今後、何らかの別の手段を考えてくるはずである。78歳という年齢をついてくるかもしれない。もっともバイデンは77歳、ウォーレンは70歳、ブルームバーグは78歳で大差はないが。 2016年の選挙に介入したのはロシアでなくCIA、FBI、そしてイスラエルだったが、こうした組織や国は今回も介入している。FBIの違法行為はすでに問題化しているが、CIA出身のウィリアム・バー司法長官が司法システムの闇にメスを入れる可能性は小さい。 本ブログでは何度か指摘したように、バー司法長官の父親であるドナルド・バーは有名人の子弟が通う予科学校のドルトン・スクールの校長を務めていたことがある。校長時代の1974年に私立大学のクーパー・ユニオンとニューヨーク大学を共に中退した若者を彼は教師として雇い入れた。それが未成年の女性らを有力者に提供、そうした人びとの行為を盗撮して恫喝の材料にしていたジェフリー・エプスタイン。 エプスタインは1976年に学校を解雇され、大手投資会社のベア・スターンズで働き始めた。教え子の中に同社の会長だったアラン・グリーンバーグの子どもがいた縁だという。その会社で同社の顧客だったシーグラムのエドガー・ブロンフマンと知り合った。エプスタインは1980年代からイスラエルの情報機関のために働いていたと言われているが、ブロンフマンもイスラエルの情報機関と深い関係にあった。 エドガーの父親、サミュエル・ブロンフマンは酒を売る傍ら、スキャンダルを使って有力者を脅すということをしていたと言われている。サミュエルの密造酒仲間で、親しかったというルイス・ローゼンスティールも同じことをしていたとされているが、そのローゼンスティールと親子のようだったと言われている人物がロイ・コーン。この人物は後にドナルド・トランプの顧問弁護士になる。 コーンは赤狩りの時代、ジョセフ・マッカーシーの法律顧問を務めていたが、それだけでなく犯罪組織のガンビーノ・ファミリーのメンバー何人かの法律顧問でもあった。そのひとりがジョン・ゴッチだ。 サンダースが戦わなければならない相手は単なる大富豪だけでなく、FBI、CIA、イスラエル、犯罪組織などが渾然一体になり、有力メディアがその手先になっている。
2020.02.24
今、世界では1パーセントに満たない一部の人間が財力と情報を独占し、彼らにとって都合の悪い情報を明るみに出す行為は犯罪と見なされるようになりつつあります。内部告発を支援してきたウィキリークスのジュリアン・アッサンジが昨年4月にロンドンのエクアドル大使館で逮捕された出来事は、そうした時代の到来を象徴していると言えるでしょう。 ウィキリークスが明らかにした情報の中には、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが2007年7月にバグダッドでロイターの特派員2名を含む非武装の十数名を銃撃、殺害する場面を撮影したものも含まれていました。 この映像は2010年4月に公開されましたが、その翌月に資料を提供したブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングへ改名)特技兵はアメリカ陸軍のCID(犯罪捜査部)に逮捕され、民間情報会社ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メールによりますと、2011年初めにアメリカでアッサンジは秘密裏に起訴されています。アッサンジが秘密裏に起訴されていることは後にケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書で確認されました。 アメリカで起訴される前、2010年8月にスウェーデンの検察官が警察の求めに応じてアッサンジを指名手配、警察のリーク情報に基づいてタブロイド紙が「事件」を報道、騒ぎになりますが、その翌日に主任検事が嫌疑不十分ということで令状を取り消します。その決定を検事局長が翻しました。 11月には検察幹部の判断でアッサンジに対する逮捕令状が出ますが、嫌疑なしということで2017年に捜査は中止され、逮捕令状は取り消されました。それにもかかわらずアッサンジの軟禁状態が続いたわけです。 アメリカはスウェーデンとイギリスの警察、検察、裁判所、メディアなどを使って冤罪でアッサンジを軟禁状態にし、エクアドルの大統領が2017年にラファエル・コレアからレニン・モレノへ交代すると新大統領はアメリカ政府の意向に従ってアッサンジの逮捕に協力しました。その直前、IMFはエクアドルに対する42億ドルの融資を認めると発表しています。 アッサンジはイギリス版のグアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されました。そこでは友人や親戚の面会が禁止され、弁護チームも監視下で会うことが要求されているほか、食べ物の差し入れや基本的な医療行為も拒否されたといいます。 尋問しているのはアメリカの国防総省、FBI、CIAに所属している人びとで、BZ(3-キヌクリジニルベンジラート)という薬物が使用されたとも言われています。これを使うと幻覚を生じさせ、現実と幻覚を混乱させるほか、昏睡、物忘れなどを含む意識障害、あるいは運動失調症を引き起こすそうです。 ウォーターゲート事件で取材の中心になったカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書きました。その中で彼は20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達するとしています。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) また、ドイツの有力紙、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月にメディアがCIAに操られている実態を明らかにしました。ドイツだけでなく多くの国のジャーナリストがCIAに買収されているというのです。日本は例外だと言うことはできないでしょう。 有力メディアが伝えない権力者の闇を本ブログで明らかにしようと努力しています。このブログは読者の方々に支えられています。カンパ/寄付をお願い申し上げます。櫻井 春彦【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2020.02.23
ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長はNATOがロシアに対する大規模な軍事侵攻を行う準備をしていると分析しているようだ。この分析には説得力がある。 NATOがソ連軍の侵攻に備えるために創設されたという話は戯言にすぎない。ソ連が消滅した後にNATOが存在していることでもわかるだろう。そもそも第2次世界大戦でドイツ軍に攻め込まれたソ連では2000万人以上の国民が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊され、当時、軍事侵攻する余裕はなかった。 そうした情況の中、1949年にNATOは創設されたのだが、その時の参加国はアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルク。その母体になったのは1948年に作られたACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)だ。 ACUEはアメリカやイギリスがヨーロッパを支配する目的で設立された組織で、イギリスのウィンストン・チャーチルやアメリカのアレン・ダレスたちが参加していた。本ブログでもしばしば登場するビルダーバーグ・グループはその下部機関のひとつ。 NATO加盟国には破壊活動を目的とする秘密部隊が存在していることもわかっている。その中でも特に有名な部隊がイタリアのグラディオ。1960年代から80年頃までクーデター計画や極左グループを装った爆破事件を繰り返していた。 フランスのOASもそうした秘密部隊ネットワークにつながる組織だが、その一部が1962年にシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を試みている。その背景を知っていたド・ゴールは1966年にフランス軍をNATOの軍事機構から離脱させ、SHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出している。ジョン・F・ケネディ米大統領が暗殺されたのは1963年のことだ。そうしたNATOの体質は現在まで変化していない。 NATOが東に向かって拡大し始めるのは1990年代に入ってから。その切っ掛けは1990年の東西ドイツ統一だ。ペレストロイカを進めていたミハイル・ゴルバチョフの決断だが、このペレストロイカを考え出したのはKGBの頭脳と呼ばれていたフィリップ・ボブコフだという。CIA人脈と連携していた可能性の高い人物だ。 東西ドイツを統一する際、アメリカ政府はNATOを東へ拡大させないと約束していた。例えばドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはロシアに約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っている。またドイツの外相だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年にエドゥアルド・シェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) それ以外にも、アメリカのジェームズ・ベイカー国務長官がソ連側に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないと1990年に語ったとする記録が公開されている。 アメリカの支配層がそうした約束を守るはずはなく、今ではロシアとの国境近くに軍事基地を建設、ミサイルを配備し、細菌兵器の研究施設を建設している。 本ブログでもすでに書いたが、アメリカはそうした研究施設をウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアで建設、アフガニスタン、パキスタン、台湾、フィリピン、韓国、そして日本にもアメリカ国防総省の影響下にある細菌に関する研究施設が存在するという。 アメリカの少なくとも一部は1950年代からソ連に対する先制核攻撃を計画、ケネディ大統領が暗殺された1963年後半に実行しようとしていたと言われている。1983年の後半にも核戦争の寸前までいった。最近もアメリカは核戦争でロシアを脅しているが、脅しても屈服しなため核戦争へ限りなく近づいている。 ドナルド・トランプを担いだのはそうした情況を懸念した人びとだったと見られているが、大統領に就任した直後にネオコン的な政策へ切り替えられている。マイケル・フリン国家安全保障補佐官の解任は象徴的な出来事だった。 NATOはアメリカによる中東支配の道具としてイラクに常駐するようになるとも言われている。NATOはアメリカの「関東軍」と化している。
2020.02.22
シリア政府軍はイドリブでジハード傭兵に対する攻撃を続け、支配地域を広げている。2月上旬には重要な幹線道路、ダマスカスとアレッポを結ぶM5ハイウェー、そしてラタキアとアレッポを結ぶM4ハイウェーを奪い返したようだ。 それに対し、トルコ政府はシリア政府軍をイドリブから追い出すために部隊を派遣すると宣伝しているが、それをロシア政府は「最悪のシナリオ」だと警告、2月19日には黒海上空に2機のTu-22M3爆撃機を護衛機付きで5時間以上飛行させた。2016年にロシア軍はシリアで活動するジハード傭兵を攻撃するため、何度かTu-22M3を使っていた。トルコ政府に対する警告だと考えられている。 昨年8月にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会見している。その際、イドリブから武装集団タハリール・アル-シャームの解体を約束、地域を正常化することで両国は合意したと言われているが、反発が強かったようだ。その月の下旬にはトルコ領へ逃げ込もうとしてトルコ軍に押し戻された戦闘員がエルドアンを「裏切り者」と罵り、大統領の写真を焼という出来事もあったという。 8月31日にはアル・カイダ系武装集団のハラス・アル・ディンとハイアト・タハリール・アッシャームの幹部がミサイルで攻撃されたが、サウジアラビアで伝えられているところによると、タハリール・アル-シャームのリーダーが手渡した情報に基づいてアメリカ軍が攻撃したのだという。イドリブからの撤退に応じようとした幹部を殺したとも言われている。 トルコ政府はロシア政府との合意を守るために12月まで武装集団と話し合いを続けたが、不調に終わる。そこでシリア政府軍は攻撃を開始したとわけだ。 トルコがイドリブで苦境に陥る中、アメリカ軍は大量の武器をイラクからシリアへ運び込んでいる。ロシア軍によると、今年に入ってから80両以上の装甲車両や武器を満載した300両を超すトラックがイラクからシリア北東部へ入ったという。トルコ軍と対立しているクルドの武装勢力へ渡されているようだ。
2020.02.21
アメリカでは「大統領候補選び」というイベントが行われているが、民主党の候補選びでバーニー・サンダースの強さが目立つ。2月14日から17日にかけて実施されたABCニュースとワシントン・ポスト紙の世論調査ではサンダースが32%だったのに対し、次のジョー・バイデンは16%、大富豪のマイケル・ブルームバーグは14%、元ハーバード大学教授のエリザベス・ウォーレンは12%、イスラエルやCIAとの関係が露見したピート・ブータジャジは8%。 ウクライナを舞台とした汚職事件が重くのしかかっているバイデンが失速していることは明らかで、アイオワ州の党員大会で飛び出したブータジャジ元サウスベンド市長はイスラエルやCIAとの関係が露見したこともあって当初の勢いはなくなっている。内政問題で弱者の立場から発言しているウォーレンは国際問題になるとネオコンの政策を主張、支持者が増えるとは思えない。結局、テレビでの宣伝だけで3億2700万ドルを投入したというブルームバーグと草の根の支持者がいるサンダースの戦いになりつつある。 2016年の大統領選挙では夏からFBIがドナルド・トランプを潰すために動き始めていたが、民主党の幹部や有力メディアは人気が出てきていたサンダースの足を引っ張りにかかっていた。こうした民主党内部の工作の一端を明らかにする電子メールをウィキリークスは2016年3月から公開している。民主党や有力メディアが「ロシアゲート」キャンペーンを始める一因はここにある。 現在、サンダースは前回より強いが、内政でも外交でも彼の政策を支配層が受け入れるようには思えない。そうした支配層に受け入れさせたければ政策を彼らのそれに近づける必要がある。そうしたことを公然と行えば支持を失う。裏で行っても晩節を汚すことになる。サンダースを懐柔できなければ、何らかの形で脅し、それでも駄目ならあらゆる手段を使って引きずり下ろそうとするだろう。
2020.02.20
通信や情報を暗号で守ることをビジネスにしていたスイスの会社、クリプトAGをスイス政府は調べ始めたと伝えられている。1952年に設立され、2018年から休眠状態だというこの会社を所有していたのがアメリカの情報機関CIAやドイツの情報機関BNDだということが判明したからだという。 クリプトAGの暗号に「秘密の鍵」が組み込まれていることが明らかになるのは1992年の出来事が切っ掛け。その年にイランの軍防諜局が同社のテヘラン駐在員ハンス・ブエラーをスパイ容疑で逮捕したのだが、ブエラーに対する会社側の対応が冷酷だったことから秘密が表に漏れ出たのだ。(Wayne Madsen, 'Crypto AG: The NSA's Trojan Whore?' CovertAction Quarterly, Winter 1998) ブエラーを助け出すためにクリプトAGはイラン政府へ100万ドルを支払ったのだが、会社は釈放されたブエラーを解雇したうえに保釈金を返せと要求、さらに裁判まで起こした。 こうした会社の仕打ちに怒った社員や元社員はクリプトAGとアメリカやドイツの情報機関との関係を暴露、追いつめられた会社は裁判を和解で終結させている。事態の進展に驚いたアメリカやドイツの情報機関の意思が働いたようだ。同社では少なからぬNSAの人間が顧問として働いていた。この当時からクリプトAGの暗号が信頼できないことは明確になっていたわけだが、それでも2018年まで会社は存続していたことになる。 クリプトAGの仕組みを利用して得た機密情報はアメリカやドイツだけでなく、イギリスやイスラエルへも流れていたはず。イギリスにはNSAと連携しているGCHQがあり、米英両国の機関が中心になって編成されているUKUSAはイスラエルの8200部隊(ISNUとも呼ばれている)と緊密な関係にある。
2020.02.19
今から75年前の2月13日から15日にかけて、イギリスとアメリカの空軍はドイツのドレスデンを空爆した。市街は廃墟と化し、約2万5000名の市民が殺されたと言われている。当時は文化都市として有名で世界的に知られた芸術作品がそこにはあったのだが、爆撃によってその多くが失われた。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、第2次世界大戦はドイツ軍の主力がスターリングラードの戦いで破れた1943年初めの時点で事実上、終わっている。 ドイツがソ連へ向かって進撃を始めたのは1941年6月のことだった。バルバロッサ作戦だ。アドルフ・ヒトラーの忠実な部下だったルドルフ・ヘスが単身飛行機でスコットランドへ渡った翌月のことである。その時にヘスはイギリス政府の首脳と会談したはずだが、その内容は未だに明かされていない。 ソ連を侵略するためにアドルフ・ヒトラーは約300万人を投入した。西部戦線に残ったドイツ軍は約90万人。ドイツ軍の首脳は西部方面を防衛するために東へ向かう部隊に匹敵する数の将兵を配備するべきだと主張したが、ヒトラーに退けられたとされている。(David M. Glantz, The Soviet-German War 1941-1945,” Strom Thurmond Institute of Government and Public Affairs, Clemson University, October 11, 2001) 軍の幹部が東と西で半々にしようと提案したのは西側からの攻撃にも備えなければならないという判断からだが、ヒトラーはそうした攻撃に備える必要がないと考えていたとしか思えない。そこで、西側からイギリスなどが攻撃してこないことをヒトラーは知っていたのではないかと推測する人もいるが、ありえないとは言えないだろう。 ドイツ軍が東へ向かっている様子をイギリスやアメリカは傍観している。両国が動き始めるのはスターリングラードでドイツ軍が降伏した後。 ドイツ軍は1942年8月にスターリングラードの市内へ突入するのだが、11月になるとソ連軍が猛反撃を開始、ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲されてしまった。生き残ったドイツ軍の将兵9万人余りは1943年1月に降伏する。 それを見たイギリスやアメリカは5月にワシントンDCで会談し、ドイツに対する軍事作戦を作成、7月に両国軍はマフィアの協力を得てシチリア島へ上陸した。ハリウッド映画の宣伝で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月のことだ。この上陸作戦に対する防衛を巡り、ドイツ軍の内部でヒトラーへの不審が強まり、暗殺計画につながったとする見方もある。 その1944年当時、OSSの幹部でウォール街の弁護士でもあるアレン・ダレスたちはフランクリン・ルーズベルト大統領には無断で1944年にドイツ軍の情報将校だったラインハルト・ゲーレン准将らと接触していた。その仲介役はダレスの部下でウォール街の弁護士でもあったフランク・ウィズナーだ。大戦後、ウィズナーは極秘の破壊工作機関OPCを指揮することになる。 ウォール街の要人たちはナチス元高官らをラテン・アメリカへ逃がすラットラインを作り、国務省やCIAはそうした人びとやドイツの科学者を雇う。ブラッドストーン作戦とペーパークリップ作戦だ。 こうした作戦を推進したグループとは違って反ファシズムの立場だったルーズベルト大統領は1945年4月に急死、5月上旬にドイツは降伏する。その直後にイギリスのウィンストン・チャーチル首相はソ連へ軍事侵攻するための作戦を立てるようにJPS(合同作戦本部)にを命令、アンシンカブル作戦が提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのは7月1日で、アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が発動しなかったのは参謀本部が計画を拒否したからだという。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) この後、7月16日にニューメキシコ州のトリニティー・サイトで原子爆弾の爆破実験が行われ、成功。8月6日には広島、8月9日には長崎に原爆が投下され、世界は核兵器の時代へ移行していく。 トリニティ実験の10日後にチャーチルは下野するが、翌年の3月にアメリカのフルトンで「鉄のカーテン演説」を行う。その翌年にはアメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得してほしいと求めている。 ドレスデンへの空爆は広島や長崎への原爆投下と同じように第2次世界大戦の終結との関係性は薄い。
2020.02.18

2002年から03年にかけて流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じように、今回の新型コロナウィルスによる肺炎でも東アジア系の人びと、特に漢民族が感染しやすく、重症化する傾向があると噂されている。そこで、病気を引き起こしているコロナウィルスはアメリカが中国向けに開発した細菌兵器ではないかとささやかれてきた。こうした疑惑に中国政府は触れたがらないようだが、ロシア軍の専門家はそうした疑惑を指摘している。 2002年より前、問題のコロナウィルスが動物から人間へ感染することはなかったという。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、ジョージ・W・ブッシュ政権が国内の収容所化と国外での侵略戦争を本格させた後、こうしたコロナウィルスは動物から人間へ移るようになったわけだ。 9月11日の攻撃(9/11)はネオコンがホワイトハウスの主導権を握る切っ掛けにもなっようにも見える。国内の収容所化と国外での軍事侵略はネオコンの政策だが、軍事面の政策に関する青写真的な報告書が存在する。ネオコン系シンクタンクのPNAC(アメリカ新世紀プロジェクト)が2000年に発表した「アメリカ国防の再構築」だ。 そのベースは1992年2月にDPG草案として国防総省で作成された世界制覇プラン。当時国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心とするネオコンのグループが書き上げたことから、このプランはウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれる。 DPG草案が作成されていた1991年12月にソ連が消滅しているが、このプランはアメリカが唯一の超大国になり、ロシアを含む旧ソ連圏がアメリカの属国になったという前提で立てられている。ブッシュ政権が国連を軽視、単独行動に出るのはそのためだ。SARSが流行している最中、2003年3月にアメリカ軍は属国軍を引き連れてイラクを先制攻撃した。 すでに本ブログで書いたことだが、新型コロナウィルスの件ではアメリカ国防省のDARPA(国防高等研究計画局)やDTRA(国防脅威削減局)が注目されている。両機関は2018年からコロナウィルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進めてきたからだ。DARPAと関係の深いアメリカのデューク大学が中国の武漢大学と提携、2018年にデューク崑山大学を開設していることも注目されている。 ロシアはアメリカがロシアの周辺、つまりウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアで細菌兵器の研究施設を建設していると批判してきた。 カザフスタンやキルギスタンは中国の周辺国でもあるが、それだけでなく、アフガニスタン、パキスタン、台湾、フィリピン、韓国、そして日本にもアメリカ国防総省の影響下にある細菌に関する研究施設が存在しているというが、アメリカの関与を疑わせる事実はそれにとどまらないという指摘がある。 例えば、「弱毒化されたコロナウィルス」に関するアメリカの特許が2018年に認められている。特許を申請したピルブライト研究所の主要出資者はWHO(世界保健機関)、EC(欧州委員会)、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金など。 また、2019年3月にはカナダのNML(ナショナル細菌研究所)から中国へ非常に毒性の強いウィルスが秘密裏に運ばれ、中国当局から抗議され、7月にはそのNMLから中国人研究者が追い出される。 10月にはジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターが世界経済フォーラムやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金と共同でコロナウィルスの世界的流行のシミュレーションをするために集める。この会合にコロナウィルスによる病気と関係の深い中国人は招かれなかったが、アメリカ軍の幹部やネオコンが参加した。 会合の翌日、軍事演習に参加するために300名のアメリカ軍将兵が武漢に到着、その2週間後にコロナウィルスの最初の感染が見つかる。新型コロナウィルスの潜伏期間は14日だ。
2020.02.17
シリア政府軍がイドリブでの軍事作戦を本格化させ、2月上旬には重要な幹線道路、ダマスカスとアレッポを結ぶM5ハイウェー、そしてラタキアとアレッポを結ぶM4ハイウェーを奪い返したが、その後、トルコ軍はシリア軍に対する攻撃を強めている。 イドリブはシリア西部にあり、トルコに接している地域。アメリカの大統領特使、ブレット・マクガークでさえ、2017年7月、イドリブについて、9/11からアル・カイダの最も大きな避難場所になっていると表現している。現在、そこにいる武装集団の後ろ盾はアメリカとトルコだと見られている。 2011年3月にシリアへの侵略戦争が始まった当時、その侵略グループにはアメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタール、トルコなどが参加していた。 しかし、その前にロシアが立ちはだかったこともあり、戦争は侵略勢力の思い通りに進まない。そしてバラク・オバマ政権は2015年に入って好戦的な体制を強めた。つまり2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。 統合参謀本部議長が交代した5日後の9月30日、ロシア軍がシリア政府の要請に基づいて軍事介入して戦況は一変、侵略勢力が送り込んだジハード傭兵の支配地域は急速に縮小していった。そこでアメリカはクルドとの連携を強めるが、それはクルドと対立しているトルコを刺激することになった。 ロシアが軍事介入した2カ月後、トルコ軍機がロシア軍機を撃墜したが、これはアメリカの承認、あるいは命令を受けてのことだったと見られている。この撃墜でロシアを脅そうとしたのかもしれないが、その後にロシア側の姿勢は厳しくなる。逆効果だったのだ。 戦争の長期化で経済が苦境に陥ったこともあり、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は2016年6月下旬にロシアへ謝罪、7月13日にはトルコ首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆した。軍事蜂起(クーデター未遂)が引き起こされたのはその直後、7月15日のことだ。この軍事蜂起が鎮圧されたのは、直前にロシアからクーデター計画に関する警告がトルコ政府へ伝えられたからだと言われている。 エルドアン政権はクーデターの黒幕をフェトフッラー・ギュレンの一派だとし、その背後にはアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいると主張している。 そのトルコがイドリブを巡り、シリアやロシアと対立している。昨年夏頃、トルコはイドリブでの戦闘を収束させようとしていたが、アメリカが妨害した可能性がある。 8月27日にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアを訪問しているが、その際にウラジミル・プーチン露大統領に対してタハリール・アル-シャームの解体を約束、そのトルコ側の圧力で武装集団から離反しようとしたグループが現れる。 8月30日にはトルコ領へ逃げ込もうとした戦闘員らをトルコ軍が押し戻すということもあったが、その際、戦闘員はエルドアンを「裏切り者」と罵り、大統領の写真を焼いて抗議している。 8月31日にはアル・カイダ系武装集団のハラス・アル・ディンとハイアト・タハリール・アッシャームの幹部がミサイルで攻撃されたが、サウジアラビアで伝えられているところによると、タハリール・アル-シャームのリーダー、アブ・モハメド・アル-ジョラニが手渡した情報に基づいてアメリカ軍が攻撃したのだという。 12月19日にはトルコの情報機関が派遣した人びとがハイアト・タハリール・アッシャームなどの戦闘集団の幹部と会談、トルコとロシアとの話し合いは不調に終わったと伝えたとされている。その直後からシリア軍による攻撃は始まる。 イドリブでの戦闘が進むとトルコへ少なからぬ人が流れ込むだろうが、そのトルコにはすでにシリアからの難民が約370万人いる。その難民が生活しているキャンプではジハード傭兵の影響力が強いとも言われている。トルコ政府はジハード傭兵を抱えて厳しい状況に陥った。
2020.02.16
民主党の大統領候補としてピート・ブータジャジが売り出されている。今年の1月まで世論調査でトップだったジョー・バイデンは急速に支持率を落としているが、これはウクライナの汚職事件を封印し損なったことが大きいのだろう。 しかし、2月に入って世論調査でトップに躍り出たのはバーニー・サンダース。草の根で人気のあるサンダースは2016年の大統領選挙でも少なからぬ人が支持、ヒラリー・クリントンを内定してた民主党幹部たちに足を引っ張られた。そうした工作の一端を明らかにしたのがウィキリークだ。 人気の点ではトップのサンダースだが、「最有力候補」とは言えない。内政でも外交でも彼の政策が支配層に嫌われているだろうからだ。彼が候補者になり、大統領に選ばれるためには政策を支配層へ近づけねばならない。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、アメリカでは国内の収容所化と国外での侵略が推進されている。そうした流れは1991年12月のソ連が消滅した後に加速、2001年9月に再加速された。 リチャード・ニクソンの辞任を受け、1974年に登場したジェラルド・フォード政権で親イスラエル派のネオコンが表舞台で影響力を強めはじめ、2001年9月からは圧倒的な力を持った。今では民主党も共和党も関係なく、大多数の議員がイスラエルを盲目的に支持している。 しかし、世界的に見るとパレスチナ人を弾圧、殺戮と破壊を繰り返すイスラエルを批判する声は高まり、イスラエルに対するBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)運動が広がっている。 そうした運動が広がることを恐れ、アメリカでは反BDSが法律化されつつある。ジョージア州では2016年に州と1000ドル相当以上の契約をしている場合、イスラエル支持を誓うことが義務づけられた。そのジョージア州の大学で講演が予定されていたジャーナリストのアビー・マーチンはイスラエルに忠誠を誓うことを拒否、その結果、講演はキャンセルされた。 アメリカと同じアングロ・サクソン系の国であるイギリスにおいてもイスラエルを批判する声はある。大きな節目になったのは1982年のイスラエル軍によるベイルート侵攻。1万数千人の市民を虐殺、さらにファランジスト党の手を借りて無防備のサブラとシャティーラにあったパレスチナ難民のキャンプを攻めて数百人、あるいは3000人以上の難民を虐殺している。 歴史的に親イスラエルだったイギリスの労働党もパレスチナ人支持へ転換、イスラエルの残虐行為を擁護するアメリカへの批判が高まった。 そこでアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めるため、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議した。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)だ。このプロジェクトには少なからぬメディアの記者や編集者が参加する。 そうした中、目をつけられた政治家がトニー・ブレア。1994年1月に妻とイスラエルへ招待され、3月にブレアはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく真の金主はイスラエルだ。 米英の親イスラエル人脈にとって好都合なことに、労働党の党首だったジョン・スミスが1994年5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利、党首になる。 レビーだけでなく、イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIを資金源にしていたブレアは労働組合を頼る必要がない。そこで国内政策はマーガレット・サッチャーと同じ新自由主義、国外では親イスラエル的で好戦的なものになる。これが日本でも評判になったニュー・レイバーにほかならない。労働党をブレア以前に戻したのがジェレミー・コービン。彼を有力メディアが「反ユダヤ」だと攻撃したのはそのためだ。 アメリカでは民主党の大統領候補選びでバイデンが失速した後、親イスラエル派に支持されているのはインディアナ州サウスベンド市長だったピート・ブータジャジである。 この人物の有力スポンサーと言われているのがヘッジ・ファンドを経営するセス・クラーマン。この人物は熱烈なイスラエル支持者で、違法入植にも賛成している。今回の大統領選挙でこの人物はブータジャジのほか上院議員のアミー・クロウバシャーなどへ寄付しているようだ。 また、昨年からデイビッド・コーエン元副長官やCIAの中東工作の責任者だったジョン・ブレアなど少なからぬCIAの元スタッフがブータジャジを支援していることが話題になっている。 ブータジャジの支持者の中にはベネズエラの体制転覆を目論んでいる人もいる。そのひとりがドナルド・トランプ政権で国家安全保障会議の南アメリカ担当者だったフェルナンド・クッツ。CIAと関係が深くネオコンが拠点のひとつにしているCSISの秘密会議に出席したことでも知られている。
2020.02.15

細菌兵器を開発する一環としてアメリカ軍がロシア人や中国人のDNAを集めているとロシア軍のイゴール・キリロフ少将は批判、同じ事が中国でも言われていた。キリロフ少将はアメリカがロシアや中国の周辺に生物兵器を配備しているとも主張している。 2013年夏頃、アメリカ軍がウクライナ東部にあるハルキーフやメレファで危険な病原体を研究する施設を建設しようとしていると問題になったことがあるが、その段階でウクライナには似た9つの施設が存在していた。キエフにおけるクーデター後に住民がロシアを選択したクリミアにあった施設は閉鎖されたと思われるが、11施設になっているようだ。 すでに本ブログでも書いたことだが、そうした施設はウクライナだけでなくアゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアにあった。 ウクライナの東部では2016年にキエフ軍が送り込んだ兵士が薬の効かないウィルス性の病気になり、20名以上が死亡したと報道されたが、ハルキーフやメレファの施設から近いことから細菌兵器が漏れたのではないかという推測もある。 アフリカ西部のギニアでは2013年12月からエボラ出血熱が広がりはじめ、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、さらにアメリカやヨーロッパへ伝染、1万1323名が死亡(致死率:70から71%)、大きな騒動になった。 その際、生物兵器を研究している学者が数年にわたってギニア、リベリア、シエラレオネのあたりで活動していたと話題になっている。その学者が所属していたのは生物化学兵器を研究開発しているアメリカ軍のフォート・デトリック、そしてテュレーン大学だ。 感染が問題になり始めた2014年7月、シエラレオネの健康公衆衛生省はテュレーン大学に対し、エボラに関する研究を止めるようにという声明を出す。その研究が予防や治療が目的でないと判断したのだろう。 このときは突如、有効な治療法が出現したことも話題になった。2014年8月に現地で治療していたふたりのアメリカ人、ナンシー・ライトボールとケント・ブラントリーが感染したのだが、アメリカへ運ばれて治療を受け、ふたりは回復している。ふたりはリーフバイオ社とデフィルス社が開発したZMappが投与されたほか、現地で回復した少女の血が輸血されたとされている。ZMappにしろ輸血にしろ、それが病気に対して有効だということをアメリカの関係者が知っていたなら、なぜアフリカ人に対しては使われなかったのかという疑問も出た。なお、後にZMappの効果には否定的な評価がなされている。 9月になるとアメリカのバラク・オバマ大統領はナイジェリア、リベリア、シエラレオネへ3000名程度の部隊を派遣すると言い始める。「エボラとの戦争」ということなのだろうが、実際は資源絡みだと見られている。 エボラ出血熱がスーダンやザイールで見つかったのは1978年のことだが、80年代の前半からこの病気を引き起こすウィルスを含む病原体を細菌兵器にしようとする極秘の研究「プロジェクト・コースト」が南アフリカで始まる。その中心にいた研究者がウーター・ベイソン。 ベイソンは1985年にイギリスを訪問、デイビッド・ケリーという研究者に会うが、このケリーは2003年7月、つまりアメリカ軍が従属国の軍隊を引き連れてイラクを先制攻撃した4カ月後に死亡している。 アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権はイラク侵略を正当化するためにフェイク・ニュースを広めていたが、その際にイギリスのトニー・ブレア政権はフェイク・ニュースを本当らしく見せるために改竄文書を作成している。その事実をBBCのアンドリュー・ギリガン記者に知らせたのがケリーだった可能性が高い。 手首を切っての「自殺」だとされているが、それにしては出血が少なく、心臓の活動が停止した後に切ったと疑いが強い。死の直前、イギリスの治安機関MI5がケリーからベイソンの件で話を聞いたともいう。なお、事実を国民に伝えたBBCはブレア政権から激しく攻撃された。執行役員会会長とBBC会長は辞任に追い込まれ、ギリガンもBBCを離れることになる。
2020.02.14
病原体を兵器として使おうと研究している人びとがいる。日本では軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部などの下で兵器の研究開発が進められ、生体実験を行うために関東軍防疫給水部本部、いわゆる第七三一部隊が編成される。 日本軍の降伏が間近に迫っていた1945年8月に部隊は関連施設を破壊、貴重な資料や菌株は運び出す。監獄に残っていた捕虜は皆殺しになった。 この部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めたのは石井四郎中将、1942年から45年2月までは北野政次少将。日本へ逃げ延びた石井たちは1946年に入るとアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けているが、厳しいものではなかった。その過程でGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と親しくなる。 アメリカ軍は日本で細菌戦に関する活動を開始するが、その中心になったのが「406医療一般研究所」。アメリカにおける生物化学兵器の研究開発で中心的な存在であるキャンプ・デトリック(55年からフォート・デトリックに格上げされた)へ406部隊は定期的に報告書を提出していた。(Stephen Endicott & Edward Hagerman, "The United States And Biological Warfare", Indiana University Press, 1998) そのキャンプ・デトリックから1947年4月にノーバート・フェルという研究者が来日し、第731部隊の幹部を尋問している。 1950年6月に朝鮮半島で戦争が始まるが、その2年後に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に対して強硬に抗議している。また戦争で捕虜となった約30名のアメリカ人パイロットが生物兵器を投下したと告白するが、アメリカ政府はプロパガンダだとして全面的に否定。パイロットたちは帰国すると国家反逆罪に問うと脅され、告白を取り消したが、実際に使われた可能性は高い。使用した細菌兵器には炭疽菌や腺ペストが含まれていたと見られている。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) 21世紀に入り、炭疽菌が注目される事件が引き起こされた。トム・ダシュル上院議員とパトリック・リーヒー上院議員を含む人びとに炭疽菌で汚染された手紙が送られてきたのである。 炭疽菌の付着した手紙は世界貿易センターや国防総省本部庁舎が攻撃された(9/11)直後の2001年9月18日から送られ始め、5名が死亡、約20名が病気になっている。後に菌の出所はフォート・デトリックだということが突き止められた。容疑者とされた学者は何も語らないまま「自殺」している。 9/11を利用してジョージ・W・ブッシュ政権は「愛国者法(テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化する2001年法)」を成立させるが、これはアメリカ憲法の機能を停止させるものだった。 大半の議員は法律案を読まずに賛成するが、ダシュル議員とリーヒー議員はこの法律に疑問を持ち、反対していた。そうした両議員の立場を炭疽菌付きの手紙は変えさせることになる。 2013年になると、アメリカがウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアで細菌兵器の研究施設を建設していると話題になった。 現在、新型コロナウィルスの感染が話題になっているが、この件ではアメリカ国防省のDARPA(国防高等研究計画局)やDTRA(国防脅威削減局)が注目され始めている。DARPAやDTRAは2018年からコロナウィルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進めてきた。DARPAと関係の深いアメリカのデューク大学が中国の武漢大学と提携、2018年にデューク崑山大学を開設していることも注目されている。
2020.02.13
2月5日に死亡した俳優のカーク・ダグラスが戦った相手は何者なのだろうか? スタンリー・キューブリックが監督した映画「スパルタカス」が1960年10月に公開されるが、ダグラスはハリウッドの「ブラックリスト」に載っていたドルトン・トランボの名前を脚本家としてその映画のクレジットに明記した。 これはダグラス自身がアメリカの映画界から葬り去られる可能性もある行為だったが、その年の大統領選挙で当選したジョン・F・ケネディがアメリカ在郷軍人会のピケを突破して映画を見たことでそうした展開にはならず、ブラックリストは消滅する。 1933年から34年にかけての時期にウォール街の大物たちはフランクリン・ルーズベルト大統領を中心とするニューディール派の政権を倒すためにクーデターを計画した。クーデターの実行部隊は在郷軍人会が予定されていた。在郷軍人会は巨大金融資本の手先だと言うことができるだろう。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、このクーデター計画は海兵隊のスメドリー・バトラー退役少将のカウンター・クーデター宣言などによって実行されなかったが、その人脈はその後も生き続ける。 第2次世界大戦でドイツは1945年5月上旬に降伏するが、その前の月にルーズベルト大統領は執務中に急死。ニューディール派の力は急速に衰え、ウォール街がホワイトハウスの実権を奪還。「赤狩り」という形で反ファシスト派が粛清されていった。 その舞台になったのが下院の非米活動特別委員会や上院の特別調査委員会。上院の委員会で委員長として「赤狩り」を指揮したジョセフ・マッカーシー議員は悪名高いが、この上院議員はFBIのJ・エドガー・フーバー長官に操られていたにすぎない。 マッカーシーの法律顧問として動いていたロイ・コーンはコロンビア法科大学院を卒業した直後からコミュニストの摘発に従事していた人物だが、その一方で恐喝を生業としている暗黒街の一味の下で働いていたとも言われている。 またコーンは禁酒法時代に密造酒で大儲けしたルイス・ローゼンスティールと「親子のように」親しく、犯罪組織ガンビーノ・ファミリーのメンバー、例えばジョン・ゴッチの法律顧問にもなっている。その後ドナルド・トランプの顧問になった。このローゼンスティールもスキャンダルを使った恐喝をしていたと言われている。 交友関係などからコーンの後継者ではないかと疑われているのが2019年7月に性犯罪の容疑で逮捕され、同年8月に房内で死亡たジェフリー・エプスタイン。コーンやローゼンスティールたちと同じように、未成年の女性などを有力者へ提供し、その行為を隠し撮りして脅しに使っていたことは本ブログでも書いたことだ。
2020.02.12
サウジアラビアとイランとの間で進められていた和平交渉のメッセンジャーだったガーセム・ソレイマーニーをアメリカ軍がバグダッド国際空港で暗殺したのは1月3日のことだった。その際、PMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官も一緒に殺されている。その際、イスラエルの情報機関から情報を提供されていたとする情報もある。 その5日前、アメリカ軍はPMUの施設を空爆して25名以上の戦闘員を殺したと伝えられたが、その理由としてアメリカ軍の使っているイラクの基地を11月から12月にかけてPMUが攻撃したからだとしている。12月27日にキルクークに近いK-1空軍基地が攻撃され、その際にアメリカの請負要員が殺された。その報復としてPMUの戦闘員を殺したというわけだろう。その27日の攻撃について、イラクの軍将校や情報機関の幹部はPMUが攻撃したというアメリカ側の主張を疑っていると伝えられている。 例によってアメリカ側は「確たる証拠がある」と主張するのだが、その証拠を彼らは明らかにしない。しかもミサイルが発射されたキルクークの地域はダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)が占領していて、2014年からPMUは活動していないのだ。 その一方、問題の地域ではダーイッシュの動きが活発化していた。そこでイラクの情報機関は11月から12月にかけ、アメリカに対してダーイッシュがK-1を攻撃しようとしていると警告していたのである。そして12月27日の攻撃。その報復としてPMUを攻撃するとアメリカから知らされたイラクの情報機関は驚いたというが、当然だろう。 27日の攻撃がPMUによるものだと信じてアメリカ軍は攻撃し、ソレイマーニーを暗殺したなどとカマトトぶって書くつもりはない。
2020.02.11
俳優のカーク・ダグラスが2月5日に103歳で死亡した。ジョン・フランケンハイマーが監督した「5月の7日間」は軍の好戦派によるクーデターがテーマの作戦だが、その映画で彼は主役を演じている。 この映画の原作はジャーナリストのフレッチャー・ネベルとチャールズ・ベイリーが1962年に書いた小説。1961年7月にアメリカ空軍の参謀総長に就任したカーティス・ルメイをインタビューしたことが小説を書くひとつの切っ掛けになったとされている。 言うまでもなく、ルメイは第2次世界大戦の終盤、東京を含む日本の都市を焼夷弾を使った空爆で焼き尽くし、多くの非戦闘員を殺した作戦の責任者であり、広島や長崎へ原子爆弾を投下する上で重要な役割を果たした。 1948年にはSAC(戦略空軍総司令部)の司令官就任、50年6月に勃発した朝鮮戦争でも日本に対する以上の空爆を実施、朝鮮の人口の20%を殺したと本人も認めているほどだ。大戦中、アメリカ軍が日本へ投下したのは約16万トンだが、朝鮮戦争で投下された爆弾は約63万5000トンに達する。 ネベルとベイリーがインタビューした当時、ルメイはライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長と同じようにソ連への先制核攻撃計画に参加、その準備としてキューバへアメリカ軍を侵攻させようとしていた。 このふたりを含む好戦派の計画を阻止したのが1961年1月に大統領となったジョン・F・ケネディで、1962年9月にはレムニッツァーの再任を拒否している。 その前にはCIAの長官と副長官が解任されている。1961年11月には長官だったアレン・ダレスを、62年1月には副長官だったチャールズ・キャベルを大統領はCIAから追い出したのだ。ルメイをSACの司令官に留めたことがケネディにとって致命傷になったと考える人もいる。 ソ連に対する先制核攻撃の準備が進められる中、アメリカ国内ではファシズムに反対する人びとの粛清が始まる。映画界へもその波は押し寄せ、下院の非米活動特別委員会が1947年9月にハリウッドのシナリオ作家、監督、俳優ら19名に対して召喚状を送り、10月23日に出頭するように命じている。 そのうちのひとりはドイツから亡命していた著名な劇作家のベルトルト・ブレヒト。指定された日に実際、証言させられたのは11名だった。そのうちブレヒトを除く10名が「ハリウッド・テン」と呼ばれている。 そのうちのひとりが脚本や小説を書いていたドルトン・トランボで、自分の名前で仕事することができなくなった。トランボが自分の名前を取り戻したのはスタンリー・キューブリックが監督、カーク・ダグラスが主役を演じた1960年公開の「スパルタカス」。映画のクレジットにトランボの名前が明記されたのだ。 しかし、現在のハリウッドは支配層の利益に反する作品を作ることは不可能な状態になっている。表現の自由は失われた。エル・サルバドへアメリカの軍や情報機関が関与している実態を描いた1986年公開の「サルバドル」、ベトナム戦争を描いた86年公開の「プラトーン」、89年公開の「7月4日に生まれて」、93年公開の「天と地」、あるいは87年公開の「ウォール街」や91年公開の「JFK」を監督したオリバー・ストーンによると、冷戦が終わってから情況は悪くなり、今では軍を批判したりイラク戦争を取り上げることが困難になっているという。有力メディアと同じように、単なるプロパガンダ機関になったということだ。 以前にも書いたことだが、「5月の7日間」を映画化するようフランケンハイマーに頼んだのはケネディ大統領である。1962年にホワイトハウス報道官のピエール・サリンジャーを介して依頼したのだが、その大統領は映画が公開される3カ月前にテキサス州ダラスで暗殺された。当時、ダラスの市長はチャールズ・キャベルの弟だ。 映画の原作が書かれる切っ掛けになる話をしたルメイに対し、ケネディ大統領が暗殺された翌年に日本政府は「勲一等旭日大綬章」を授与している。
2020.02.10
アメリカ国防総省は、アメリカ海軍の潜水艦に爆発の威力が小さい核弾頭W76-2を搭載したミサイルを配備しはじめたことを2月4日に確認した。同じシリーズのW76-0の核出力は100キロトンだが、W76-2は5から7キロトンと言われ、それだけ使いやすい核兵器だと見なされている。今回の発表が注目されている理由はそこにある。 核出力の小さい核兵器としては中性子線で生物を殺す中性子爆弾が有名。残留放射能が少ないため、使用を誤魔化すことも不可能ではない。アメリカやロシアは持っているが、イスラエルも保有していると見られている。 1986年10月にイギリスのサンデー・タイムズ紙はイスラエルの核兵器開発に関する内部告発を掲載した。告発者のモルデカイ・バヌヌによると、その当時、イスラエルはすでに150から200発の核弾頭を保有、水素爆弾も開発済みで、中性子爆弾の製造も始めていたという。 イスラエルは核兵器の開発や製造をネゲブ砂漠にある原子力研究センターで行っていたが、1990年代の初めにこの施設で大規模な事故があったと噂されている。内部の様子は不明だが、外部からは炎が見えたという。 この施設は1990年から94年頃まで閉鎖された。その公的な説明はアメリカ政府からの圧力だったとされているが、事故の影響だった可能性も否定できない。 もし深刻な事故が起こったという推測が正しいなら、核兵器の生産が困難になった可能性がある。そうなると別の場所で核兵器を製造しなければならないだろう。 ところで、小型核爆弾はすでに使われている疑いもある。例えば、2003年3月にアメリカ主導軍がイラクを先制攻撃した際、激しい戦闘があったファルージャでは開戦後、癌の発生率が高まっている。 一般的に劣化ウラン弾の影響だと説明されてきたが、現地を調査したウルスター大学のクリストファー・バスビー教授によると、原子炉や核兵器に使われるような濃縮ウランが人の髪の毛や土の中から見つかったという。 バスビーは2006年7月にイスラエル軍が軍事侵攻した後のレバノンでも濃縮ウランを発見している。爆撃によってできたクレーターで見つけたほか、レバノンやガザを走っていた自動車のフィルターからもそうした物質を発見したともしている。 今回の発表は、これまで秘密裏に使っていた小型核爆弾を公然と使うという宣言なのかもしれない。
2020.02.09
シリア西部にあるイドリブは、言うまでもなく、シリアの領土である。そのイドリブをジハード傭兵の手から取り戻すためにシリア政府軍が軍事的な圧力を強めている。その結果、シリアとトルコとの関係が緊迫化してきた。 ジハード傭兵の雇い主はシリアに対する侵略戦争が始まった2011年の春当時、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟のほか、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、パイプライン建設を目指していたカタール、オスマン帝国の復活を夢想するトルコなどだった。 アメリカ軍の情報機関DIAが2012年8月、バラク・オバマ大統領へ警告したとおりに14年からサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする武装勢力がシリア東部からイラク西部にかけての地域を制圧、その残虐さを宣伝しはじめる。 その武装勢力につけられたタグがダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)だが、サラフィ主義者やムスリム同胞団を中心とした傭兵という点で、さまざまなタグをつけられたアル・カイダ系武装集団と違いはない。 ジハード傭兵(アル・カイダ)の仕組みは1970年代にアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟がパキスタンや帝政イランと手を組んで作り上げたのだが、2011年に始まったシリア侵略では侵略参加国がそれぞれ配下の武装グループを編成したようだ。 イドリブに隣接しているトルコが編成したジハード傭兵の集団も存在、2016年にトルコがアメリカから離れてロシアへ接近してからも活動を続けている。その傭兵集団をシリア政府軍は攻撃、それにトルコ政府は抗議、反撃すると警告している。 トルコは経済的に厳しい状況にあり、レジェップ・タイイップ・エルドアン政権は好戦的な政策で国民の目を国外へ向けさせている側面があるのだが、そうした政策は経済活動の相手であるシリアやロシアとの関係を悪くし、ますます国内経済を悪化させることになる。 エルドアンの支配体制は揺らいでいるのだが、そこにアメリカ支配層がつけ込み、何らかの工作を仕掛けている可能性はある。ロシアのトルコ系住民を利用しようと目論んでいるかもしれない。シリア政府はトルコがイスラエルに接近していると批判している。 しかし、アメリカもトルコの扱いは難しい。思い通りにならないエルドアンをアメリカは2016年7月にクーデターで排除しようとしたが、失敗している。その直後、トルコ政府はクーデター計画の背後にアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたと主張していた。 それ以降、アメリカはトルコと対立関係にあるクルドを手先として使い始めた。イラクのクルドは1960年代からイスラエルにコントロールされているが、シリアのクルドにそうした主従関係はなかったのだが、「独立国」という餌に飛びついてアメリカの手先になったようだ。 アメリカやイスラエルは歴史的な背景を無視してイラクとシリアのクルドを一体化させ、一種の「満州国」を作り上げようとしている。イラクのクルドを支配するためにアメリカやイスラエルはバルザニ家を使ってきた。 現在、イラクにあるクルド自治政府のネチルバン・バルザニ首相を軸にする勢力をアメリカは動かしている。その祖父にあたるムスタファ・バルザニは1960年代後半からイスラエルの情報機関モサドのオフィサーだったと言われている人物だ。その息子でネチルバンの叔父にあたるマスード・バルザニがムスタファの後継者だが、やはりイスラエルの影響下にあった。 アメリカやイスラエルがクルドを使った工作を放棄しそうにはなく、エルドアン政権は彼らからクーデターで排除されるところだった。つまり信用できる相手ではない。トルコ政府は難しい判断を迫られていると言えるだろう。
2020.02.07
民主党の候補者を選ぶ党員大会がアイオワ州で2月3日に開かれたが、開票作業が大幅に遅れている。作業は「シャドウ」という会社が開発したスマホのアプリが使われているのだが、この会社に疑惑の目が向けられている。 この会社でCEOを務めるジェラルド・ニーミラが2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントン陣営で働いていただけでなく、そのほかにもバラク・オバマやクリントンのスタッフだった人びとが同社で働いているのだが、その資金源をたどるとセス・クラーマンというヘッジ・ファンドの経営者が現れる。 大企業と結びついた共和党の政治家にもこの人物は寄付しているが、今回の選挙では今年1月までインディアナ州サウスベンド市長だったピート・ブータジャジや上院議員のアミー・クロウバシャーなどに寄付している。 バーニー・サンダースへ寄付をしているようには見えないが、その理由はイスラエルとの関係にあるのだろう。クラーマンは熱烈なイスラエル支持者で、違法入植にも賛成している。ブータジャジやクロウバシャーは親イスラエル派として知られている。 昨年からデイビッド・コーエン元副長官やCIAの中東工作の責任者だったジョン・ブレアなど少なからぬCIAの元スタッフがブータジャジを支援していることが話題になっているが、そのキーワードも「親イスラエル」だろう。これは反パレスチナや反イランも意味する。 ブータジャジの支持者の中にはベネズエラの体制転覆を目論んでいる人もいる。そのひとりがドナルド・トランプ政権で国家安全保障会議の南アメリカ担当者だったフェルナンド・クッツで、CIAと関係が深くネオコンが拠点のひとつにしているCSISの秘密会議に出席したことでも知られている。 こうした人脈を見ると、国際問題に対するブータジャジの政策はマイケル・フリンが解任された後のトランプ政権の政策と基本的に同じで、シオニストの戦略に従っている。この点、ジョー・バイデンやエリザベス・ウォーレンも大同小異だ。 ジョー・バイデンは息子のハンターがウクライナにおける汚職事件で捜査の対象になり、その捜査を指揮していた検事総長を解任させた疑いが濃厚で、今後、これが大きな問題に発展する可能性がある。そこでブータジャジが浮上したのだろう。ゲイだと言うことも宣伝に使うかもしれない。 ネオコンを含むアメリカ支配層にとって好ましくない民主党の候補者はふたり。タルシー・ガバード下院議員とバーニー上院議員だが、今のところガバードが勝ち残る可能性は小さい。そこで2016年と同じように、バーニー攻撃が続きそうだ。
2020.02.06
アメリカ大統領選挙の候補者であるタルシー・ガバード下院議員は電子投票システムの問題を指摘している。紙を利用した投票の場合、その結果を後に検証することが可能だが、電子的なシステムでは証拠が残らず、外部から操作されてもわからないと指摘しているのだ。すでに14州で投票に紙が使用されていないという。前回は2016年に選挙があったが、その前にも電子投票システムにおける投票数操作の問題が指摘されていた。 その2016年の選挙では、2015年の段階でネオコンのヒラリー・クリントンは次期大統領に内定したと噂されていた。この人物は上院議員になったときからロッキード・マーチンの代理人と呼ばれ、後にウォール街の巨大金融資本も後ろ盾にしているとも言われるようになる。 クリントンが次期大統領に内定したと噂されたのは、2015年6月にオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合に彼女の旧友であるジム・メッシナが参加していたことなどが理由。このグループは1948年にアレン・ダレスやウィンストン・チャーチルを中心とする米英の支配層によって創設されたACUEの下部機関で、欧米支配層の利害調整が役割だとも言われている。 しかし、電子投票システムへの疑問が噴出する中、バラク・オバマ大統領やその後継者と見られていたヒラリー・クリントンの好戦的な姿勢を懸念する声が支配層の内部からも出てきた。 その切っ掛けは2014年にネオコンがウクライナでネオ・ナチを使って成功させたクーデター。その結果、ロシアと中国が急接近して戦略的同盟関係を結んでしまったのだ。その後、オバマ大統領はロシアとの関係を悪化させ、ヒラリーたちは核戦争で脅し始める。ソ連を消滅させ、ロシアを属国にしたという前提で立てられたネオコンの世界制覇プランがロシアの再独立と中露の接近で崩れ始めたことが大きいと言えるだろう。 大統領選挙の風向きが変わったと言われたのは2016年2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と会談してから。民主党の候補者選びでも戦争に反対するバーニー・サンダースがクリントンのライバルとして登場してきた。 慌てたDNC(民主党全国委員会)の幹部はサンダースを妨害する工作を始めるのだが、その一端を示す電子メールを3月から内部告発支援グループのウィキリークスが公表、クリントン陣営には大きなダメージになる。 その一方、共和党ではロシアとの関係修復を訴えたドナルド・トランプが人気になるが、そのトランプを潰す工作をFBIは2016年夏に始めた。その背後にはCIA長官だったジョン・ブレナンがいたと見られている。 アメリカの選挙制度が公正なものでないことは明白だが、さらに進めて、投票数を自由自在にコントロールできる仕組みを支配層は導入しようとしている。そうした動きが進んでいるとガバードは警鐘を鳴らしたのである。
2020.02.05
新型コロナウィルスの感染が拡大していることを利用し、アメリカやその属国の有力メディアは危機感を煽る「報道」を続けているようだが、その一方でアメリカ国防省のDARPA(国防高等研究計画局)が注目され始めた。 この研究機関は全人類を監視するシステムや行動や嗜好を分析することで体制に反抗する可能性の高い人間を探り出す研究にも手を出している。 そのDARPAは2018年からコロナウィルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究へ数百万ドル以上を提供している。コウモリが媒介するウィルスが人間に感染するようになった原因を解明するためのプロジェクトへこの機関は2018年に1000万ドルを出したともいうが、それだけでなくウィルスの生物兵器としての可能性についても関心を持っているという。 アメリカ国防総省のDTRA(国防脅威削減局)が資金を出している別の研究ではカザフスタンのコウモリが媒介するコロナウィルスが発見され、研究が始まっているが、この研究にはアメリカのデューク大学が参加している可能性がある。 この大学は病原体に関する研究でDARPAと手を組んでいるほか、中国の武漢大学とも提携、2018年には中国にデューク崑山大学を開設した。今回の感染が始まった湖北省の武漢ではアメリカ国防省の研究機関と関係の深い大学が研究を始めていたのである。
2020.02.04
イラクのバルハム・サリフ大統領は新たな首相としてモハメド・タウフィク・アラウィを指名した。この人物はアヤド・アラウィ元首相の甥にあたり、ノウリ・アル・マリキ政権で通信相を務めている。 シオニストの一派であるネオコンは1980年代にイラクのサダム・フセイン政権を倒そうとしてきたCIAと関係が深く、ペルシャ湾岸産油国の防波堤になっていたフセインを倒そうとしたのは、そこに親イスラエル体制を樹立してシリアとイランを分断し、両国を殲滅して中東全域をイスラエルに支配させたかったからだ。 その考えをネオコンのポール・ウォルフォウィッツも共有していた。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、国防次官だった1991年にウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っているのだ。(3月、10月) そして2003年3月にアメリカ軍は従属国の軍隊を引き連れてイラクを先制攻撃、フセイン体制を倒したのだが、親イスラエル体制の樹立には失敗、イランとの関係が強い政権が現れた。2006年にノウリ・アル・マリキが首相になるとイラクはアメリカ支配から抜け出す動きを見せ始める。そこでアメリカは首相をすげ替えるが、思惑通りには進んでいない。 マリキが首相になった翌年、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはニューヨーカー誌に、ジョージ・W・ブッシュ政権がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを最大の敵だと定めてスンニ派と手を組むことにしたと書いた。その相手はサラフィ主義者やムスリム同胞団をさすが、フセイン体制の残党も含まれている。 2009年1月にアメリカ大統領はブッシュからバラク・オバマに交代するが、戦術は継承された。オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を主力とする体制転覆プロジェクトを開始している。 そのオバマの政策がサラフィ主義者の支配地域を出現させるとDIA局長として警告したのがマイケル・フリン中将。その警告通り、2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)が出現、シリア東部からイラク西部にかけての地域を支配するようになった。 そのダーイッシュを敗走させたのがシリア政府の要請で介入したロシア軍とイランの革命防衛隊。その中でも重要な役割を果たしてきたガーセム・ソレイマーニーは1月3日にバグダッド国際空港でアメリカ軍が暗殺した。 そのときソレイマーニーはサウジアラビアとイランとの間で進められていた関係修復を目指す交渉のメッセンジャーとしてイランの返書を携えていた。この交渉を潰すこともアメリカ側の重要な目的だったのだろう。 アメリカは昨年からイラクの親イラン政権を揺さぶるため、イラク国民の不満を利用して「カラー革命」を仕掛けているのだが、ソレイマーニー暗殺を切っ掛けにしてその抗議活動は反アメリカに変化していると伝えられている。クルド系のサリフ大統領とダボスで会談したドナルド・トランプ米大統領はイラクとアメリカとの蜜月を演出したが、逆効果だろう。首相交代でイラク情勢が劇的に変化するとは思えない。
2020.02.03
中国の武漢(湖北省)で始まった新型コロナウィルスの感染について、1月30日にWHOのテドロス・アドノム事務局長はPHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)を宣言した。 メディアは危機感を煽る報道を続けているが、PHEICは危機的な状況であることを意味していない。アドノムはPHEICについて中国の情況が理由ではなく、他国へ感染が広がっているからだとしている。 新型コロナウィルスの2月2日時点における患者数は1万4559名、死者は305名だが、中国本土以外の患者数は178名。そのうち死亡したのはフィリピンにおける1名だけ。中国本土の患者は武漢周辺に集中している。 WHOによると致命率は2%程度。低い数字だとは言えないのだが、今回と同じコロナウイルスが原因のSARS(重症急性呼吸器症候群)の9.6%やMERS(中東呼吸器症候群)の37%に比べると低い。中国の医療関係者の話では、死者の多くは高齢で病気の治療を受けている人だ。 緊急事態という情況ではなく、西側では中国攻撃の材料に使われているのが実態。これまで「先進国」だとされてきた西側に住む庶民の中には急成長している中国への妬みから中国人差別に加担している人も少なくないようにみえる。 勿論、今回のケースでも対策を講じるに超したことはない。衛生環境が劣悪で医療システムが脆弱な国、例えばアメリカは各国の支援が必要になるかもしれない。
2020.02.02
アメリカ空軍のBACN(戦域通信中継機)、E-11Aが1月27日にアフガニスタン東部で墜落し、搭乗していた全員が死亡したという。タリバーンは撃墜したと発表した。アメリカ側も墜落は認めたが、撃墜されたことを示す証拠はないとしている。 ロシアの情報機関からの情報として伝えられているところによると、墜落したE-11Aにはマイケル・ダンドレアというCIAのオフィサーが乗っていたという。この人物はイラン工作の責任者で、ドローンを使い、「テロリスト」(アメリカ軍と敵対する人物)を疑わせる動きをしている人びとを殺す工作でも中心的な役割を演じてきた。CIAはベトナム戦争におけるフェニックス・プログラムやラテン・アメリカにおける死の部隊と同じことを繰り返しているのだ。 イスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われているコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニーとPMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官が1月3日にバグダッド国際空港で暗殺された。 ソレイマーニーはサウジアラビアとイランとの間で進められていた関係修復を目指す交渉のメッセンジャーで、イラクのアディル・アブドゥル-マフディ首相によると、緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていた。和平の動きを潰すことがアメリカ側の目的だったということだ。 この暗殺を指揮していたのもダンドレアだと言われている。つまりイランはソレイマーニーらの暗殺に対する報復としてダンドレアを殺した可能性がある。 高空を飛行するE-11Aを撃墜する能力はタリバーンにないという見方もあるが、ソレイマーニー暗殺への報復としてイランが関与していたとするなら、話は違ってくる。
2020.02.01
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