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午前中の全体会は、あの田中康雄先生(北海道大学教授、と言うよりも「NHKハートをつなごう」で、いつも場の雰囲気をまとめる先生と言った方がわかる?)と女優の五十嵐めぐみさん、そしてMC担当の柘植雅義先生(兵庫教育大学教授)の三人によるてい談でした。
五十嵐めぐみさんについては、 こちら をご覧下さい。
私のフリーページ「 LD関連本 」にも著書をご紹介しています。
五十嵐さんは、登場したとき、「わあ!」と思うほど華やかでした。真っ赤なジャケットに黒のロングスカート(スリット入り!)。これぞ女優さんだわ!と言う感じ。
とは言え、お話の内容は、まさにLD児の保護者代表でした!
参加された先生方はもちろん、文科省の担当の方々が五十嵐さんの話を聞いてくれたと言うだけでも大いに価値があることだと思いました。
普通の保護者が一人で訴えても届かないことが、この五十嵐さんの口から訴えることによって多くの方々が耳を傾けてくれることでしょう。
五十嵐さんの息子さん(現在23歳だそうです)の小・中・高時代の話、そして現在の話は、どれも身につまされる内容で、親としてその不安や辛さなどがよ~くわかりました。途中、息子さんの同級生から来た手紙を紹介された時に、涙でむせて読めなくなった五十嵐さんの様子が、今までの大変さを十分物語っていたと思います。もらい泣きしてしまう人も多かったようです。学校の先生方と思われる方々も涙を拭いていましたが、親としてはその先生方以上のものを感じてしまいました。
さて、内容について。かいつまんでですがご紹介しますね。
6つのことについて話されました。
(1)障害のある子どもへの支援の実態
今がまさに(ようやく!)特別支援教育の大きな転換期。
しかし、LD,ADHD,ASに関してまだ十分な理解が無いというのも事実。
専門家が少ないと言うこともありますが、専門外の学生や研究者が、発達障害について感心を寄せるようになってきている。だから今後は専門家が増えて行くはずである。
それと同時に、現場の先生方がもっと勉強して欲しい。上からの研修の場合は予算が付くが、自主的な勉強の場合はほとんどが自腹を切ることになっているのが実情。今回も自腹で参加の先生方が多いはず。
(2)障害の早期発見・早期療育
早く気づくことで、親が無駄に悩みすぎたり追い詰められたりしなくなる。
本人が誤った対応によって辛くなったりすることを防ぐことができる。
しかし、ただ単にラベルを貼ると言うことでは無いということが重要!
※医師の診断が無ければ対応が出来ないと言うことではなく、目の前の子どもの様子を見て対応すべきである!
盲・養・ろう学校が特別支援学校としてセンター的機能、相談機関として生まれ変わるので、相談機関が今までよりもぐんと増える。
現在の乳幼児健診で、発達障害の発見は「4ヶ月健診で15%」「1才半健診で30%」「3歳児健診で60%」であるのに対し、親が自分の子どもに関する気づきは4ヶ月~1歳半ごろが多い。
たとえ5歳児健診をやっても、健診でどれくら発見率があがるか疑問?
(3)障害のある子どもの理解
親の受容(子どもに障害があるということについて)は時間がかかり、診断を受けるまでに年数がかかる。(やっとの思いで専門機関へ行くことになる)
特に、LD、ADHD、ASの親の場合は、受容までのプロセスがこれまでの障害児の親とは違い、ストレスが大きい。(なかなか受け入れ難い。⇒もう少し成長すればなんとかなる、追いつくかもしれないと言う気持ちがあるため)
周囲へのカミングアウトの必要性。
五十嵐さんの場合は最初から障害児として(障害児枠で)小学校に入学することになり、障害に関してクラスメートに直接話をするように学校から要請があり、いや応無しにカミングアウトすることになってしまったが、結果としては良かったという話。
(それでも学校でのいじめはずっとあったと言う話ですから、厳しい現実もありますね)
(4)学校、家庭、関係機関、地域の連携
ネットワークの必要性→親が一人で抱え込まない、悩まないようにするには横のつながりが重要。
親に対するケア(相談にのる、話を聞く場、聞いてくれる人材)も必要。
(5)自立と社会参加への支援
・養護学校では就労準備の学習があるが、普通校のLD児等はその機会が無い。
・ただ頑張るばかりではなく、生活を楽しめるような状況が必要。
・労働意欲を育てるためにはどうしたらよいか?
↓
労働をした時の達成感やお金を自由に使えると言うことなどを経験する必要がある。
(6)これからの特別支援教育に期待すること
子どもに向き合って、当たり前の教育を一人ひとりにするということ。お金(予算)が無くても出来ることをする。
それは、発達障害のある子どものためだけでなく、全ての子どもに必要なことである。
(発達障害を正しく理解することでいじめが減ったと言う報告が増えている)
田中先生が、「初めに診断ありき」ではなく、その子がどの部分で困っているのかを知ることが大事なのだから、診断名ではなくその子自身をよく見ること!と力説されていたのが印象的でした。
どうしても、ちょっと気になる子がいたときに、「診断を受けていないからわからない」し、「素人の判断では間違っているかもしれない」と言う気持ちがありますが、診断があってもなくても、実際に問題を抱えているその子の様子からその部分をサポートしていくと言う視点が大事なんですね。
以上が全体会でのてい談の内容でした。
私が走り書きしたメモを、ほとんどそのままアップしたのでわかり難いかもしれませんが・・・
(分科会の内容は、その3で取り上げます)