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1999.01.14
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カテゴリ: ミステリ




 名の明かされない女子大生を主人公としたシリーズ第四作。
 円紫師匠はあまり出てこない。主人公がほとんど独力で謎を解いていくのだが、その謎は犯罪などではなく、なぜ芥川龍之介は「六の宮の姫君」を書いたのか、という謎なのである。
 作者が昔興味を持って調べたことがもとになっているらしいが、見過ごしてしまいそうな細かい点に着目して調べていくたちの人なのだろう。だからこそ、こういうミステリーが書けるわけだ。
 老大家の思い出話として、芥川が「あれはキャッチボールだ」と言ったことが出発点になるのだが、これは作者の創作のはず。結論を導き出すために作り出したのだろうが、違和感がない。
 このシリーズを読んでいて漠然と感じていたことなのだが、主人公も円紫も、というより、どの登場人物も、他人からはうかがい知ることのできない孤独感を抱えて生きているように思えてならない。
 さりげなく描写される登場人物のしぐさにそれが表れているように思うのだが。





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Last updated  2005.04.01 20:41:50
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