ラッコの映画生活

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2007.12.14
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
INSOMNIA

92min
(DISCASにてレンタル)

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この映画は日本では劇場未公開作品で、クリストファー・ノーラン監督/アル・パチーノ主演のアメリカ版リメイク『インソムニア』のリメイク元としてDVDになったのでしょう。フランスなんかでも条件は同じらしく「 みんなアメリカ版リメイクを既に知ってこの映画を見る 」なんて書かれています。そして更に「 アメリカ版リメイクは無くても良かった 」と。リメイクを作ることでこの原典を知らしめたことはノーラン監督に感謝したいですね。実に良い作品でした。ボクはアメリカ映画をあまり見ないからノーラン/アル・パチーノ版は見ていません。ヨーロッパ映画等のリメイクがハリウッドで作られたのを知ると、そのリメイクではなくリメイク元が見たくなる自分です。そして結局その後にアメリカ版リメイクも見ることになる場合が多いです。きっとアル・パチーノ版もそのうち見そうな気配。

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この映画にはマリア・ボネヴィーというノルウェー/スウェーデンの女優さんが出ています。この人2003年のデンマーク映画 『恋に落ちる確率』 に主演していたのが素敵でした。これ書いていたら半年ほど前にレンタルで見た 『恋に落ちる確率』 good life に相当するフランス語の bonne vie をくっつけた Bonnevie という名前なんですが、フランス語読みなら ボンヌヴィー ですね。そういえば『恋に落ちる確率』の中での役は Aimee アイメ と字幕等には出ていましたが、フランスの女優アヌーク・エメ(Anouk Aimee)と同じ Aimee で、「愛された」という意味のフランス語ですね。ずいぶん名前のフランス語関連に脱線してしまいましたが、スウェーデン・ストックホルムの演劇学校(たぶん王立)で学んだ人で、イングマール・ベルイマンの芝居にも出ているようです。ベルイマンと言うと我々日本人にとっては映画監督ですが、本国ではその前に舞台演出家だったらしいです。また脱線気味になってしまいましたが、このマリア・ボネヴィーという女優さんはその眼が美しい。この女優さんその人が実際にどういう人であるかまではわかりませんが、純粋そうな眼で、自分や相手に対して誠実であること、真摯であることを求めるようなジッと見つめる視線は実に美しく、また見ている者の心に突き刺さります。借りるかどうか、どんな映画かか調べていたらこの人の名前があったので即レンタルしました。この映画での役は主演ではないけれどかなり重要ですが、この作品のDISCASのページではクレジットされておらず、この人の名で検索してもこの作品には至りませんでした。

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ノルウェー北部、北極圏(北緯66°33′以北)の小さな町。撮影はニクスンドとトロムソで行われたらしいですが、どちらも北緯69°ぐらいに位置する。つまり夏は1日中太陽の沈まない白夜の地(冬は逆に1日中太陽は出ない)。そこで17才の高校生の女の子タニヤが殺害され、ゴミ捨て場で遺体が発見される。田舎での難事件の捜査のためにオスロ勤務のスウェーデン警察のヨナスが派遣されてくる。事実関係は良くわかりませんが、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの北欧三国は兄弟国のようなもので、関係が深いですね(特にスウェーデンとノルウェーは)。三国の中ではスウェーデンがいちばん文化的にも社会的にも都会というか、進んでいる。工業国として自動車メーカー(ボルボとサーブ)があるのもスウェーデンだけです。だからこういう協力関係もあるのでしょう。言葉も似ていて、国境付近では隣国のテレビがそのまま解ると言います。映画の中では「スウェーデン語は解らない」なんてセリフが出てきますがこれは一種の反感・皮肉かも知れません。この映画実はノルウェー語とスウェーデン語が混ざっているのですが、似ているので聞いていてもその区別は出来ず残念でした。せめてどりらか一方の言葉が解ればより楽しめたのだと思います。

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こういう映画、フィルム・ノワ-ルとか探偵物とか呼ばれる映画では、犯人探し的要素、サスペンス性、人間同志の心理関係、そういう点に比重があって観客の関心を引き付けるものだと思いますが、この映画ではそういう体裁はとりながらも、主人公ヨナス・エングストロムという人物を描いた作品で、その他の要素はすべてそのためにあるのではないかと感じました。非常にプライドが高く、有能でもあるのだけれど、それゆえに人との心の交流を持ちたくても持てない男の孤独と焦燥と哀しみとでも言ったらよいでしょうか。実はそれに苦しみながらも自分ではどうしようもできない。その気分、安らぎたくても安らげないこと、それがつまり眠りたくても夜も明るい白夜ゆえに眠れないという形で表現されている。本当はこちらが先なのに公開が後になってリメイクに「インソムニア」というタイトルを奪われてしまい、メインタイトルを『不眠症』とされてしまっているけれど、意味的には「得られぬ眠り(=安らぎ)」ぐらいでしょう。「不眠症」っていうとどこかイメージが違います。

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遺留品に見せかけてリュックサックを置いて犯人をおびきだそうとする。ヨナスは現地警察提供の地図を使って恐らく完璧な計画を立てた。しかしその地図にはなかった地下道を使って犯人は逃走。気づいたヨナスら警官は犯人を追うけれど、若い警官は脚を撃たれ、ヨナスは同僚で友人のヴィクを霧の中誤って射殺してしまう。そしてこの失敗を認めずに偽装交錯を始める。これがこのヨナスの眠られず、安らぎを得られぬ悪夢の始まりのように言う人が多く、また映画的にはそうなのだろうけれど、ヨナスの人生はずっとこうだったのだと思います。この一件はそのことを解りやすく説明する実際例なのだと思います。 (以下ややネタバレになりますが) 偶然も作用して結局物事は収まるべきところに収まる。途中で彼が接触した最初の女子高生殺しの犯人が語るように、この誤射と同僚殺しを認めたところで、しばらくの謹慎で復職できる。職業的に大した汚点にはならない。しかし物語は彼が真実を曲げて作り上げた秩序に収まる。だからヨナスには安らぎはないし、事件解決に対する現地警察署長の賞賛や謝意も彼には虚しく響く。

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愛不能人間 なわけだ。生まれたばかりのまだ目の見えぬ子猫を見せられたヨナスはアンに「 イヤな生き物だ 」と言うけれど、目も見えずひ弱なこの子猫の頼り切った様子に、自分がそうしたくてもそうなれない姿を見たからなのだろう。職務を終えてオスロに戻る旅支度をするヨナスの部屋に女性刑事ハーゲンが訪れる。彼女はヨナスが発砲したとおぼしきスウェーデン・ノルマ製の弾丸の薬莢を持ってくる。しかし彼は「 スウェーデン警察でよく使っている弾だ 」と言うのみで、彼女の誘いの水をも拒絶する。そして一人孤独に、そう来るときは一緒だった同僚も今はなく、一人この人生を続けるべく孤独に去っていくのみだ。

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Last updated  2007.12.15 09:08:10
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